【6年分】神奈川県立衛生看護専門学校 助産師学科再現問題200問 解答解説(詳細講義付)で根拠がわかる【6万5000字】/過去問 学科 倍率

神奈川県立衛生看護専門学校助産師学科の学科試験は、母性看護学だけでなく、新生児看護、小児看護、母子保健、法規、薬理、発達、感染管理まで幅広く出題されていることが確認できています‼️市販の問題集だけでは学校特有の出題傾向をつかみにくく、何をどこまで学習すべきか迷う受験生も少なくありません。
本記事では、過去6年間に受験した受講生から寄せられた大多数の受験レポートを整理し、実際に報告のあった問題を中心に再現問題200問としてまとめました。
過去6年間において実際の試験で出題された内容を中心とした再現問題です。数値、病態生理、法制度、観察項目、看護判断など、異なる角度から確認できる構成として過去6年間の問題を整理しました。
すべて四肢択一形式とし、各問題に解答と詳細な解説を付けました。正答を覚えるだけでなく、なぜその答えになるのかまで理解できる内容です。
なお、本問題集は学校が公式に公開した過去問題ではなく、過去6年分の受験者報告をもとに構成した再現問題集です。実際の問題文や選択肢を完全に保証するものではありませんが、出題範囲と求められる知識の深さを把握するための実践教材として活用してください。
複数年の受験者報告を比較することで、繰り返し問われている分野、学校が重視している知識の深さ、出題されやすい数値や看護判断のパターンは完全に見えてきました。本問題集は、単なる過去問の代用品ではなく、神奈川県立衛生看護専門学校助産師学科がどのような知識と判断力を求めているのかを把握するための教材として作成しています。
正解した問題でも、理由を説明できなければ、少し表現を変えられただけで解けなくなる可能性があります。反対に、不正解だった問題でも、詳細解説講義を読んで病態や制度の仕組みまで理解できれば、関連問題にも対応できるようになります(ここ重要)。この私が直々に4日間ほぼ寝ずに作成した問題集になります。
6万5000字あり、論文レベルのボリュームです。詳細解説講義に力を入れました。
その結果、完全に傾向パターンを把握しましたので、ここから想定されうる予想問題も後日作成予定です‼️
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第1問
母子保健法に規定されているものはどれか。
① 児童手当の支給
② 母子健康手帳の交付
③ 育児休業給付金の支給
④ 保育所への入所決定
解答
②
解説
母子健康手帳の交付は母子保健法に基づく制度である。妊娠の届出をした者に対し、市町村が母子健康手帳を交付する。母子健康手帳には、妊娠中の経過、分娩、新生児期、乳幼児期の健康診査や予防接種などが継続して記録され、妊娠期から乳幼児期まで切れ目なく母子の健康を管理するために用いられる。一方、児童手当は児童手当法、育児休業給付は雇用保険制度、保育所に関する事項は主として児童福祉法に基づく。母子保健法で規定されている制度を整理する際は、妊娠の届出、母子健康手帳、健康診査、保健指導、訪問指導、産後ケア、低体重児の届出、養育医療を中心に理解しておく必要がある。
第2問
母子保健法に基づく低体重児の届出について正しいものはどれか。
① 出生体重1,500g未満の場合に届け出る。
② 出生体重2,000g未満の場合に届け出る。
③ 出生体重2,500g未満の場合に届け出る。
④ 在胎37週未満で出生した場合のみ届け出る。
解答
③
解説
母子保健法第18条では、体重2,500g未満の乳児が出生した場合、その保護者は速やかに届け出なければならないと規定されている。届出の基準は在胎週数ではなく出生体重であるため、正期産児であっても出生体重が2,500g未満であれば対象となる。反対に、早産児であっても出生体重だけで低出生体重児の届出基準を判断する。低出生体重児は体温調節、呼吸、哺乳、感染防御などの機能が未熟である可能性があり、出生後の養育状況を早期に把握し、必要な保健指導や支援へつなげることが制度の目的である。
第3問
出生体重2,300gの乳児が出生した。低体重児の届出について正しいものはどれか。
① 医師が都道府県へ届け出る。
② 助産師が保健所へ届け出る。
③ 保護者が乳児の現在地の市町村へ届け出る。
④ 届出は必要ない。
解答
③
解説
低体重児の届出義務を負うのは原則として保護者であり、届出先は乳児の現在地の市町村である。出生体重2,300gは2,500g未満であるため届出の対象となる。「住所地」ではなく、法律上は乳児の現在地を管轄する市町村へ届け出る点も重要である。医療者は保護者が速やかに届出を行えるよう説明し、必要に応じて行政との連携を支援する。低体重児の届出は単なる統計処理ではなく、訪問指導や養育支援へつなげる入口として機能する。
第4問
母子保健法に基づく未熟児への訪問指導を行う者として適切なのはどれか。
① 医師、保健師、助産師など
② 学校教員のみ
③ 児童委員のみ
④ 保育士のみ
解答
①
解説
母子保健法では、市町村長は区域内に現在地を有する未熟児について養育上必要があると認めた場合、医師、保健師、助産師その他の職員に保護者を訪問させ、必要な指導を行わせるものとされている。訪問では、乳児の体重増加、哺乳、体温、呼吸、家庭での養育環境、保護者の不安などを確認し、必要な医療・保健・福祉サービスへつなげる。未熟児や低出生体重児の支援では、児だけでなく、退院後の養育に不安を抱える家族全体を対象として評価することが重要である。
第5問
母子保健法に基づく産後ケア事業の対象として正しいものはどれか。
① 出産後1年を経過しない女性と乳児
② 出産後3年を経過しない女性のみ
③ 妊娠中の女性のみ
④ 18歳未満のすべての児童
解答
①
解説
母子保健法上の産後ケア事業は、産後ケアを必要とする出産後1年を経過しない女性および乳児を対象とする。産後の母親は、身体の回復に加えて授乳、睡眠不足、育児不安、家族関係など複数の課題を抱えることがある。産後ケア事業では、母体の身体的回復への支援、授乳支援、育児相談、休養の確保などを行い、母子が安定して家庭生活へ移行できるよう援助する。制度の対象を「産後数週間だけ」と誤解せず、法律上は出産後1年未満まで含まれることを押さえておく必要がある。
第6問
産後ケア事業の実施主体として正しいものはどれか。
① 国
② 都道府県のみ
③ 市町村
④ 各医療機関のみ
解答
③
解説
産後ケア事業の実施主体は市町村である。市町村は、宿泊型、通所型、居宅訪問型などの方法を通じて、母親の心身の回復や育児支援を行う。実際の事業を病院、助産所、その他の施設へ委託する場合があっても、制度上の実施主体は市町村である点を区別する必要がある。また、妊娠中から産後まで切れ目のない支援を行うため、こども家庭センターなどの関係機関や、母子保健・児童福祉分野の事業と連携することが求められている。
第7問
虐待を受けている可能性のある児童を発見した場合の対応として最も適切なのはどれか。
① 虐待の事実が確定するまで通告しない。
② 家族の許可を得てから通告する。
③ 虐待が疑われる段階で児童相談所などへ通告する。
④ 医療機関内だけで経過をみる。
解答
③
解説
児童虐待への対応では、虐待の事実が完全に証明されるまで待つのではなく、虐待を受けたと思われる児童を発見した段階で通告することが重要である。医療者は不自然な外傷、説明と一致しない受傷機転、著しい不衛生、養育者の拒否的な態度などを総合的に評価する。通告は処罰を目的とするものではなく、児童と家族を必要な支援へつなげるために行う。助産師は妊娠期や新生児期から家庭状況を把握できる立場にあるため、虐待の発生予防と早期発見の双方に重要な役割をもつ。
第8問
児童相談所虐待対応ダイヤルとして正しい番号はどれか。
① 118
② 119
③ 189
④ 188
解答
③
解説
児童相談所虐待対応ダイヤルは**189(いちはやく)**である。「虐待かもしれない」と思ったときに通告・相談できる全国共通の電話番号であり、発信地域を管轄する児童相談所へつながる。匿名で相談することも可能で、相談者や通告内容に関する秘密も守られる。虐待が確定していなくても利用できるため、疑いの段階で相談することが重要である。なお、188は消費者ホットラインであり、混同しないようにする。
第9問
プレコンセプションケアの説明として最も適切なのはどれか。
① 妊娠判明後から行う母体管理である。
② 分娩後の母体回復だけを支援する取り組みである。
③ 将来の妊娠や健康を考え、妊娠前から健康管理を行う取り組みである。
④ 不妊治療を受ける女性のみを対象とする。
解答
③
解説
プレコンセプションケアは、妊娠が成立してから始める管理ではなく、将来の妊娠や自分自身の健康を見据えて、妊娠前から健康管理を行う考え方である。国の基本方針では、女性やカップルを対象として、将来の妊娠のための健康管理を促す取り組みと説明されている。現在はさらに、性別を問わず、性や健康に関する正しい知識をもち、妊娠・出産を含めたライフデザインと将来の健康を考える取り組みとして位置づけられている。栄養、適正体重、運動、喫煙・飲酒、感染症、ワクチン、持病の管理などを妊娠前から整えることが、本人の健康だけでなく将来の母児の健康にもつながる。
第10問
プレコンセプションケアに含まれる内容として最も適切なのはどれか。
① 妊娠するまで健康診断を受けない。
② 妊娠前から食生活、体重、感染症、持病などを整える。
③ 妊娠を希望する女性だけが葉酸を摂取すればよい。
④ 妊娠前の喫煙や飲酒は胎児へ影響しない。
解答
②
解説
プレコンセプションケアでは、将来の妊娠だけを目的とするのではなく、現在と将来の健康を守るために、栄養状態、適正体重、運動、喫煙、飲酒、感染症、予防接種、慢性疾患、服薬、歯科保健、メンタルヘルスなどを妊娠前から見直す。妊娠初期は本人が妊娠に気づく前から胎児の器官形成が進むため、妊娠が判明してから生活を整えるだけでは十分でない場合がある。したがって、将来妊娠を希望する人だけでなく、若い世代が自分の身体やライフプランを考えるための健康教育として理解することが重要である。
第11問
骨盤を構成する骨の組み合わせとして正しいものはどれか。
① 左右の寛骨・仙骨・尾骨
② 左右の大腿骨・仙骨・腰椎
③ 左右の寛骨・胸骨・尾骨
④ 左右の坐骨・腓骨・仙骨
解答
①
解説
骨盤は、左右一対の寛骨、仙骨、尾骨によって構成される。左右の寛骨は前方で恥骨結合によって連結し、後方では仙腸関節を介して仙骨と連結している。妊娠・分娩では、骨盤が胎児の通過する産道の骨性部分となるため、助産師には骨盤を構成する骨だけでなく、骨盤入口・骨盤濶部・骨盤峡部・骨盤出口の形態を理解することが求められる。画像の「骨盤の構成3つ」という記録は、骨盤を構成する骨、あるいは寛骨を構成する三つの骨のどちらかを問う設問だった可能性がある。
第12問
寛骨を構成する骨の組み合わせとして正しいものはどれか。
① 腸骨・坐骨・恥骨
② 仙骨・尾骨・恥骨
③ 腸骨・大腿骨・坐骨
④ 恥骨・仙骨・腰椎
解答
①
解説
寛骨は、腸骨・坐骨・恥骨の三つの骨が癒合して形成される。小児期にはそれぞれが軟骨によって連結しているが、成長に伴って癒合し、一つの寛骨となる。腸骨は寛骨の上部、坐骨は後下部、恥骨は前下部を構成する。左右の恥骨は前方で恥骨結合を形成し、分娩時にはホルモンの影響によって骨盤周囲の靱帯や関節の可動性が増す。試験では「骨盤を構成する骨」と「寛骨を構成する骨」を区別して解答する必要がある。
第13問
骨盤底筋群の主な役割として最も適切なのはどれか。
① 子宮や膀胱、直腸などの骨盤内臓器を支持する。
② 卵巣からの排卵を促進する。
③ 胎児心拍数を調節する。
④ 乳汁分泌を促進する。
解答
①
解説
骨盤底筋群は骨盤の底を形成し、子宮、膀胱、直腸などの骨盤内臓器を下方から支持している。また、尿道や腟、肛門の周囲に位置し、排尿・排便の調節にも関与する。妊娠中は増大した子宮による負荷を受け、経腟分娩では胎児の通過によって筋や結合組織が伸展するため、産後には尿失禁や骨盤臓器脱などが生じることがある。骨盤底筋は単に骨盤を支える筋ではなく、臓器支持・排泄の調節・産道の形成に関係する重要な筋群である。
第14問
経腟分娩後の褥婦に対して骨盤底筋訓練を行う主な目的はどれか。
① 尿失禁の予防・改善
② 母乳分泌の促進
③ 新生児黄疸の予防
④ 子宮内感染の予防
解答
①
解説
妊娠による子宮重量の増加や経腟分娩による伸展・損傷によって、産後は骨盤底筋群の支持力が低下しやすくなる。その結果、咳やくしゃみ、運動などで腹圧が上昇した際に尿が漏れる腹圧性尿失禁が起こることがある。骨盤底筋訓練は、尿道や腟、肛門周囲を支える筋群を意識的に収縮・弛緩させ、筋力の回復を促す方法である。ただし、産後の疼痛や会陰創の状態には個人差があるため、身体の回復状況を確認しながら無理のない範囲で行う。
第15問
75g経口ブドウ糖負荷試験〈75gOGTT〉の主な目的はどれか。
① 妊婦の耐糖能を評価する。
② 胎児の染色体異常を診断する。
③ 母体の貧血を診断する。
④ 胎児肺成熟を評価する。
解答
①
解説
75gOGTTは、75gのブドウ糖を摂取した後に血糖値を測定し、母体の糖を処理する能力、すなわち耐糖能を評価する検査である。妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンなどの影響によってインスリン抵抗性が高まり、血糖値が上昇しやすくなる。そのため、スクリーニング検査で耐糖能異常が疑われた妊婦に75gOGTTを実施し、妊娠糖尿病の診断につなげる。検査では空腹時、負荷後1時間、負荷後2時間の血糖値を測定する。
第16問
妊娠糖尿病の診断に用いる75gOGTTの空腹時血糖値の基準はどれか。
① 70mg/dL以上
② 92mg/dL以上
③ 110mg/dL以上
④ 126mg/dL以上
解答
②
解説
妊娠糖尿病の診断に用いる75gOGTTでは、空腹時血糖値92mg/dL以上が基準の一つとなる。このほか、負荷後1時間値180mg/dL以上、負荷後2時間値153mg/dL以上のいずれか一つ以上を満たした場合に妊娠糖尿病と診断される。空腹時血糖値126mg/dL以上は、妊娠糖尿病よりも高度な糖代謝異常である「妊娠中の明らかな糖尿病」を考える数値であり、区別が必要である。
第17問
75gOGTTによる妊娠糖尿病の診断基準として正しい組み合わせはどれか。
① 空腹時92mg/dL以上・1時間値180mg/dL以上・2時間値153mg/dL以上
② 空腹時100mg/dL以上・1時間値150mg/dL以上・2時間値120mg/dL以上
③ 空腹時110mg/dL以上・1時間値160mg/dL以上・2時間値140mg/dL以上
④ 空腹時126mg/dL以上・1時間値200mg/dL以上・2時間値200mg/dL以上
解答
①
解説
75gOGTTによる妊娠糖尿病の診断基準は、空腹時92mg/dL以上、負荷後1時間180mg/dL以上、負荷後2時間153mg/dL以上である。この三つのうち、一つ以上が基準値を満たす場合に妊娠糖尿病と診断される。三項目すべてを満たす必要はない。妊娠糖尿病では母体の妊娠高血圧症候群や将来の2型糖尿病、胎児の過剰発育、新生児低血糖などにつながる可能性があるため、診断後は食事療法や血糖管理、胎児発育の観察が必要となる。
第18問
エジンバラ産後うつ病質問票〈EPDS〉について正しいものはどれか。
① 産後の抑うつ状態を把握するための質問票である。
② 新生児の発達を評価する質問票である。
③ 産婦の身体的疼痛のみを評価する。
④ 産後うつ病を確定診断する検査である。
解答
①
解説
EPDSは、産後の母親にみられる抑うつ症状を早期に把握するために用いられる10項目の自己記入式質問票である。気分の落ち込み、不安、自責感、睡眠への影響、自傷に関する考えなどを確認する。ただし、EPDSは産後うつ病の確定診断を行う検査ではなく、支援や専門的評価が必要な人を見いだすためのスクリーニング尺度である。高得点であった場合には、回答内容、生活状況、家族支援、自傷念慮の有無などを個別に確認し、必要な支援へつなげる。
第19問
EPDSに回答する際、対象者が振り返る期間はどれか。
① 現在の気持ちだけ
② 過去24時間
③ 過去7日間
④ 妊娠判明時から現在まで
解答
③
解説
EPDSでは、回答時点だけの一時的な感情ではなく、過去7日間にどのように感じていたかを振り返って回答する。産後は授乳や睡眠不足などによって気分が変動しやすいため、その瞬間の印象だけでなく、一定期間の心理状態を把握する必要がある。質問票を渡す際には、本人が周囲を気にせず率直に回答できる環境を整えることも重要である。
第20問
EPDSの得点が高かった褥婦への対応として最も適切なのはどれか。
① 得点だけで産後うつ病と確定診断する。
② 母親の話を聴き、生活状況や自傷念慮を確認して必要な支援につなげる。
③ 育児への適性がないと判断する。
④ 一過性の変化として全例を経過観察とする。
解答
②
解説
EPDSが高得点であっても、その得点だけで産後うつ病と確定診断することはできない。助産師や保健師は、本人の訴え、睡眠や食事、育児負担、家族の支援状況、精神疾患の既往、自傷念慮などを確認し、緊急性を判断する必要がある。日本ではEPDS 9点以上が産後うつ病を疑って支援の必要性を検討する一つの目安として用いられているが、第10項目の自傷に関する回答が陽性であれば、総得点が低くても慎重な評価が必要である。必要に応じて産科医、小児科医、精神科医、保健師、行政などと連携し、母親を孤立させない支援を行う。
第21問
骨盤誘導線の説明として正しいものはどれか。
① 骨盤各平面の前後径の中点を結んだ線である。
② 左右の坐骨棘を結んだ直線である。
③ 恥骨結合上縁と岬角を結んだ線である。
④ 左右の大転子を結んだ線である。
解答
①
解説
骨盤誘導線とは、骨盤入口から骨盤出口までの各骨盤平面における前後径の中点を結んだ曲線であり、胎児先進部が骨盤内を下降する際の方向を示す。女性の産道は一直線ではなく、仙骨前面に沿って湾曲しているため、胎児は単純に真下へ下降するのではなく、骨盤誘導線に沿うように進行する。助産師が分娩進行を理解するうえでは、子宮口開大だけでなく、児頭が骨盤内のどの方向へ下降していくのかを立体的に捉えることが重要となる。
第22問
骨産道を構成する部位の組み合わせとして正しいものはどれか。
① 骨盤入口部・骨盤濶部・骨盤峡部・骨盤出口部
② 骨盤入口部・子宮頸部・腟部・骨盤出口部
③ 骨盤上部・骨盤中央部・骨盤下部・会陰部
④ 子宮体部・子宮下部・子宮頸部・腟部
解答
①
解説
骨産道は、骨盤入口部・骨盤濶部・骨盤峡部・骨盤出口部の四つに分けて理解する。胎児は骨盤入口から進入し、骨盤濶部、骨盤峡部を通過して骨盤出口から娩出される。それぞれの部位では骨盤の形や長径の方向が異なるため、胎児は下降するだけでなく、屈位や内旋、伸展などの分娩機転を行いながら産道へ適応する。子宮頸部や腟、会陰は軟産道に含まれ、骨産道とは区別される。
第23問
骨盤入口部について正しいものはどれか。
① 胎児先進部が骨盤腔へ進入する最初の骨性平面である。
② 左右の坐骨棘を通る最狭部である。
③ 恥骨弓と尾骨先端で囲まれる平面である。
④ 軟産道の一部である。
解答
①
解説
骨盤入口部は、胎児先進部が母体骨盤内へ進入する最初の骨性平面である。入口部の後方には仙骨岬角、前方には恥骨結合上縁が位置し、この平面を児頭の最大周囲が通過すると「児頭が骨盤入口へ進入した」と評価される。左右の坐骨棘を通る部位は骨盤峡部に関係し、恥骨弓や尾骨先端で囲まれる平面は骨盤出口部である。骨盤入口部の形態や児頭との適合性は、分娩進行を判断する基礎となる。
第24問
骨盤峡部の特徴として正しいものはどれか。
① 骨産道の中で比較的狭く、左右の坐骨棘が指標となる。
② 骨盤入口より上方に位置する。
③ 恥骨結合上縁と仙骨岬角によって形成される。
④ 胎盤が娩出される部位である。
解答
①
解説
骨盤峡部は骨産道の中でも狭い部位であり、左右の坐骨棘を結ぶ線が重要な指標となる。内診で児頭下降度を表すStationは、坐骨棘の高さを0として評価する。児頭が坐骨棘より上方にあればマイナス、下方へ下降していればプラスで表すため、坐骨棘は分娩進行を客観的に捉えるうえで重要な解剖学的指標である。児頭の下降が進まない場合には、回旋異常や児頭骨盤不均衡なども考慮する必要がある。
第25問
ショックインデックス〈SI〉の計算式として正しいものはどれか。
① 脈拍数÷収縮期血圧
② 収縮期血圧÷脈拍数
③ 拡張期血圧÷脈拍数
④ 脈拍数÷呼吸数
解答
①
解説
**ショックインデックス〈SI〉**は、脈拍数を収縮期血圧で除して求める。出血によって循環血液量が減少すると、身体は心拍数を増加させて循環を維持しようとし、進行すると血圧も低下するため、SIは上昇する。産科出血では外見上の出血量を正確に把握できないこともあるため、出血量だけでなく、血圧、脈拍、意識、呼吸、末梢冷感、尿量などを統合して評価する必要がある。産科危機的出血への対応指針でも、SIは循環状態を判断する指標として用いられている。
第26問
分娩後の褥婦の脈拍数が120回/分、収縮期血圧が100mmHgであった。ショックインデックスはいくつか。
① 0.8
② 1.0
③ 1.2
④ 2.2
解答
③
解説
ショックインデックスは、脈拍数÷収縮期血圧で計算する。本問では120÷100であるため、SIは1.2となる。産科出血が続いている状況でSIが1.0以上となる場合は、出血性ショックを疑って迅速に全身状態を評価し、静脈路の確保、採血、輸液・輸血の準備、出血原因の検索などを進める必要がある。ただし、SIだけで安全性を判断してはならず、意識状態、皮膚冷感、呼吸数、尿量、出血の持続なども同時に確認する。
第27問
分娩後の褥婦の脈拍数が90回/分、収縮期血圧が120mmHgであった。ショックインデックスはいくつか。
① 0.50
② 0.75
③ 1.25
④ 1.50
解答
②
解説
90÷120=0.75であるため、ショックインデックスは0.75となる。数値だけを見ると1.0未満であるが、これだけで出血性ショックを否定することはできない。妊産婦では循環血液量が増加しており、相当量の出血があっても初期には血圧が保たれることがある。また、妊娠高血圧症候群のように元来血圧が高い場合には、出血が進行してもSIが上昇しにくい可能性がある。そのため、SIは有用な指標ではあるが、経時的な変化と臨床所見を組み合わせて判断することが重要である。
第28問
規則的な陣痛が午前2時30分に始まり、子宮口が午後1時10分に全開大した。分娩第1期の所要時間はどれか。
① 8時間40分
② 9時間40分
③ 10時間40分
④ 11時間40分
解答
③
解説
分娩第1期は、分娩開始から子宮口全開大までの期間である。午前2時30分から正午までが9時間30分、正午から午後1時10分までが1時間10分であるため、合計は10時間40分となる。計算問題では、午前と午後をまたぐ場合に時刻を取り違えないことが重要である。分娩所要時間は、各分娩期の開始時刻と終了時刻を確認してから計算する。
第29問
子宮口が午後1時10分に全開大し、児が午後2時05分に娩出された。分娩第2期の所要時間はどれか。
① 45分
② 50分
③ 55分
④ 1時間05分
解答
③
解説
分娩第2期は、子宮口全開大から胎児娩出までの期間である。午後1時10分から午後2時までが50分、午後2時から午後2時05分までが5分であるため、合計は55分となる。分娩第2期には、陣痛に加えて腹圧が加わり、児頭の下降・回旋・伸展を経て胎児が娩出される。助産師は時間だけでなく、胎児心拍数、児頭下降、母体疲労、陣痛の状態なども継続的に評価する。
第30問
児が午後2時05分に娩出され、胎盤が午後2時17分に娩出された。分娩第3期の所要時間と、分娩開始を午前2時30分とした場合の総分娩所要時間の組み合わせとして正しいものはどれか。
① 第3期12分・総分娩所要時間11時間47分
② 第3期17分・総分娩所要時間11時間35分
③ 第3期12分・総分娩所要時間12時間47分
④ 第3期22分・総分娩所要時間11時間47分
解答
①
解説
分娩第3期は、胎児娩出から胎盤および卵膜の娩出までの期間である。午後2時05分から午後2時17分までは12分となる。また、分娩開始の午前2時30分から胎盤娩出の午後2時17分までは、午前2時30分から午後2時30分までが12時間、その13分前であるため、総分娩所要時間は11時間47分となる。総分娩所要時間は、分娩第1期・第2期・第3期の合計と一致する。本問でも、10時間40分+55分+12分=11時間47分となり、二つの方法で計算結果を確認できる。
神奈川県立衛生看護専門学校 助産師学科
受験者報告をもとに再現した学科試験(第31~40問)
※受験者が試験後に記録した「新生児蘇生法」「人工呼吸まで60秒」「出生直後のチェックポイント」「人工呼吸と胸骨圧迫の比率」「肩にタオルを敷く」「妊娠前BMI」「BMI25の妊婦の体重増加量」「母親年齢別出生数」などのキーワードから、実際に出題された可能性の高い形式へ復元しています。新生児蘇生法については、現行のNCPRガイドライン2025も確認したうえで作成しています。
第31問
出生直後の新生児について、最初に確認する項目の組み合わせとして適切なのはどれか。
① 在胎週数・呼吸または啼泣・筋緊張
② 出生体重・身長・頭囲
③ 皮膚色・血圧・体温
④ 哺乳力・排尿・排便
解答
①
解説
出生直後は、児が子宮外生活へ円滑に移行できているかを短時間で判断する必要がある。そのため、まず正期産児であるか、呼吸または啼泣が良好であるか、筋緊張が良好であるかを確認する。これらがすべて良好であれば、通常のケアとして保温、気道の維持、母子接触などを行う。一方、いずれかに問題がある場合は蘇生の初期処置へ進む。身体計測や哺乳状態の確認は重要であるが、出生直後の呼吸循環評価より優先されるものではない。新生児蘇生では、低酸素状態を長引かせないために、出生直後の迅速な評価が重要となる。
第32問
出生後、自発呼吸がみられない新生児に対して、遅くとも人工呼吸を開始することが望ましい時期はどれか。
① 出生後30秒以内
② 出生後60秒以内
③ 出生後3分以内
④ 出生後5分以内
解答
②
解説
新生児蘇生では、出生後に呼吸がない、またはあえぎ呼吸がみられる場合、保温、体位保持、気道開通、皮膚乾燥と刺激などの初期処置を行い、必要であれば出生後60秒以内を目安に人工呼吸を開始することが重要である。この最初の約60秒は、新生児蘇生で呼吸を確立するための重要な時間として扱われる。新生児の徐脈や心停止の多くは呼吸原性であり、成人の心肺蘇生とは異なって、まず有効な人工呼吸を確立することが最優先となる。
第33問
蘇生の初期処置を必要とする新生児の気道を確保する体位として適切なのはどれか。
① 頸部を強く前屈させる。
② 頸部を強く後屈させる。
③ 頭部を中間位に近い気道開通体位とする。
④ 腹臥位にして頭部を下げる。
解答
③
解説
新生児の気道確保では、頸部を過度に前屈または後屈させず、頭部を中間位に近い気道開通体位に保つ。新生児は後頭部が大きいため、仰臥位にすると自然に頸部が前屈し、気道が狭くなることがある。反対に、強く後屈させても気道閉塞を起こす可能性がある。そのため、あご先を軽く挙上し、鼻が上方を向く程度の姿勢を整える。人工呼吸を有効に行うためには、マスクの密着だけでなく、この気道開通体位が保たれていることが前提となる。
第34問
新生児の気道開通体位をとりやすくするため、巻いたタオルを置く部位として適切なのはどれか。
① 後頭部の下
② 頸部の下
③ 肩の下
④ 腰部の下
解答
③
解説
新生児は成人と比べて後頭部が大きいため、仰臥位では頸部が前屈しやすい。そこで、必要に応じて巻いたハンドタオルなどを肩の下へ置き、肩枕として使用すると、頭頸部を中間位に保ちやすくなる。後頭部の下へ厚いタオルを入れると、さらに頸部が前屈して気道が閉塞する可能性がある。受験者メモの「肩にタオルを敷く」は、この気道確保方法を問う設問であった可能性が高い。
第35問
新生児に人工呼吸を開始する適応として最も適切なのはどれか。
① 自発呼吸が良好で心拍数140回/分である。
② 啼泣が強く筋緊張も良好である。
③ 無呼吸またはあえぎ呼吸がみられる。
④ 四肢末端のみに軽度のチアノーゼがある。
解答
③
解説
新生児蘇生では、初期処置後も無呼吸またはあえぎ呼吸がみられる場合、あるいは心拍数が100回/分未満の場合に人工呼吸を開始する。新生児の徐脈は低酸素によって生じることが多く、有効な人工呼吸によって肺を拡張し、酸素化を改善することが最も重要である。啼泣が良好で筋緊張も保たれている児は、通常のケアで経過を観察する。四肢末端だけのチアノーゼは出生直後に一時的にみられることがあり、それだけで直ちに人工呼吸の適応とはならない。
第36問
適切な人工呼吸を30秒間行った後も、新生児の心拍数が60回/分未満であった。次に行う処置として適切なのはどれか。
① 人工呼吸を中止して経過観察する。
② 胸骨圧迫を開始する。
③ 直ちに授乳を開始する。
④ 身体計測を行う。
解答
②
解説
有効な人工呼吸を30秒間行っても心拍数が60回/分未満である場合は、人工呼吸を継続しながら胸骨圧迫を開始する。ここで重要なのは、胸骨圧迫を始める前に、人工呼吸が適切に行われているかを確認することである。マスクの密着不良や気道確保不十分によって換気できていない状態で胸骨圧迫だけを追加しても、低酸素状態は改善しにくい。新生児では心停止や徐脈の主因が低酸素であるため、胸骨圧迫中も人工呼吸を確実に継続する必要がある。
第37問
新生児蘇生における胸骨圧迫と人工呼吸の比率として正しいものはどれか。
① 1対1
② 3対1
③ 15対2
④ 30対2
解答
②
解説
新生児蘇生では、胸骨圧迫と人工呼吸を3対1の比率で行う。胸骨圧迫3回と人工呼吸1回を1サイクルとし、1サイクルを約2秒で実施することで、1分間に胸骨圧迫約90回、人工呼吸約30回、合計約120動作となる。成人や小児の心肺蘇生と異なる比率になるのは、新生児の徐脈や心停止の多くが呼吸原性であり、換気を重視する必要があるためである。心原性の心停止が明らかな特殊な状況を除き、基本は3対1と覚える。
第38問
新生児の胸骨圧迫を行う部位と深さの組み合わせとして正しいものはどれか。
① 胸骨上部を胸郭前後径の2分の1まで圧迫する。
② 胸骨中央部を胸郭前後径の4分の1まで圧迫する。
③ 胸骨下部3分の1を胸郭前後径の約3分の1まで圧迫する。
④ 心尖部を胸郭前後径の3分の2まで圧迫する。
解答
③
解説
新生児の胸骨圧迫では、胸骨下部3分の1を、胸郭前後径の約3分の1がへこむ深さまで圧迫する。方法としては、両手で胸郭を包み込み、両母指で胸骨を圧迫する両母指法が推奨される。圧迫が浅すぎれば十分な血流を得られず、深すぎれば胸部臓器を損傷する危険がある。また、圧迫解除時にも指を胸壁から離さず、胸郭が十分に元へ戻るようにする。
第39問
妊娠前のBMIが25.0である妊婦の、妊娠中の体重増加量の目安として適切なのはどれか。
① 3~5kg
② 7~10kg
③ 10~13kg
④ 12~15kg
解答
②
解説
妊娠前BMIが25.0の場合は、BMI25以上30未満の肥満1度に該当し、妊娠中の体重増加量の目安は7~10kgである。妊娠前BMIが18.5未満の低体重では12~15kg、18.5以上25未満の普通体重では10~13kg、BMI30以上では個別対応とされ、体重増加の上限5kg程度が一つの目安となる。ただし、体重増加は機械的に数値だけで管理するのではなく、胎児発育、浮腫、食生活、妊娠合併症などを含めて個別に評価する必要がある。
第40問
令和7年〈2025年〉の人口動態統計月報年計〈概数〉において、母の年齢階級別出生数で前年より増加した年齢階級はどれか。
① 20~24歳
② 25~29歳
③ 30~34歳
④ 40~44歳
解答
③
解説
令和7年〈2025年〉の人口動態統計月報年計〈概数〉では、母の年齢を5歳階級別にみた出生数は、30~34歳のみ前年より増加し、その他の年齢階級では減少した。受験者メモには「母親年齢出生数多い~30–34」とあり、母の年齢階級別出生数について問われた可能性が高い。ただし、実際の試験が令和8年度入試であれば、出題時点で利用可能だった統計は2024年以前のものであった可能性がある。そのため、「最も出生数が多い年齢階級」を問う問題と、「前年より増加した年齢階級」を問う問題は区別して理解する必要がある。
第41問
逆性石鹸に分類される消毒薬はどれか。
① ベンザルコニウム塩化物
② ポビドンヨード
③ エタノール
④ 次亜塩素酸ナトリウム
解答
①
解説
ベンザルコニウム塩化物は陽イオン界面活性剤に分類され、逆性石鹸と呼ばれる消毒薬である。医療現場では、手指・皮膚、手術野、創傷部位、医療機器、病室内の器具や物品などの消毒に用いられるが、使用する部位によって適切な濃度が異なる。例えば、医療機器の消毒には0.1%溶液、手術室や病室の物品には0.05~0.2%溶液を用いる方法が添付文書に示されている。消毒薬は「名称」だけでなく、分類、用途、濃度を関連付けて理解することが重要である。
第42問
正常に経過している低リスクの産婦に対する分娩第1期の援助として適切なのはどれか。
① 原則として仰臥位を保持させる。
② 歩行や立位など、本人が楽だと感じる体位を選べるよう支援する。
③ 子宮口全開大までベッド上安静とする。
④ 陣痛中は必ず砕石位をとらせる。
解答
②
解説
低リスクで正常に経過している分娩第1期では、産婦の希望に応じて歩行や立位などの活動性を保ち、楽な体位を選択できるよう支援することが推奨される。直立位や歩行は重力を利用して胎児下降を促しやすく、仰臥位による大動脈・下大静脈圧迫も避けやすい。分娩中の体位は一律に決めるのではなく、胎児心拍、破水、麻酔、出血、母体の全身状態などを確認したうえで個別に判断する。
第43問
Bowlby〈ボウルビィ〉が提唱したアタッチメント〈愛着〉の説明として正しいものはどれか。
① 出生直後に完成する母親の本能である。
② 子どもが特定の養育者に対して形成する情緒的なきずなである。
③ 妊娠中の女性だけにみられる心理変化である。
④ 乳児期に限定され、その後の発達には影響しない。
解答
②
解説
**アタッチメント〈愛着〉**とは、子どもが特定の養育者に対して形成する情緒的なきずなを指す。子どもは不安や恐怖を感じた際に養育者へ接近し、守られ、安心を得る経験を繰り返すことで愛着関係を形成していく。愛着は出生直後に完成するものではなく、日常的な応答や養育を通して徐々に形成される。また、単に母親だけを対象とする概念ではなく、継続して養育を担う人との間に成立し得る。
第44問
Erikson〈エリクソン〉の発達理論における乳児期の発達課題はどれか。
① 基本的信頼対不信
② 自律性対恥・疑惑
③ 主体性対罪悪感
④ 勤勉性対劣等感
解答
①
解説
乳児期の発達課題は基本的信頼対不信である。空腹、痛み、不安などを表出した際に養育者が安定して応答し、抱く、授乳する、声をかけるといった関わりを重ねることで、乳児は「自分は守られている」「必要なときに応えてもらえる」という基本的信頼感を形成する。この基本的信頼感は、その後の対人関係や心理社会的発達の基盤となる。ボウルビィの愛着理論とエリクソンの基本的信頼は同一概念ではないが、安定した養育者との関係を重視する点で関連付けて理解できる。
第45問
令和4年〈2022年〉に開始された、妊娠届出時から出産・子育て期までの相談支援と経済的支援を一体的に行う事業はどれか。
① 出産・子育て応援交付金事業
② 未熟児養育医療制度
③ 乳幼児健康診査事業
④ 児童扶養手当制度
解答
①
解説
令和4年〈2022年〉には、妊娠届出時から妊娠後期、出産後まで継続して相談に応じる伴走型相談支援と、妊娠・出産時の経済的支援を組み合わせた出産・子育て応援交付金事業が開始された。妊娠・出産・育児では、支援が必要な人ほど自ら相談できない場合もあるため、節目ごとに面談や情報提供を行い、必要なサービスへつなげることが目的である。画像中の「2022年から始まった政策」は、この事業を指していた可能性が高い。
第46問
母体から胎児へ胎盤を通過して移行する免疫グロブリンはどれか。
① IgA
② IgD
③ IgG
④ IgM
解答
③
解説
母体由来の免疫グロブリンのうち、胎盤を通過して胎児へ移行するのはIgGである。胎児は出生時点で十分な抗体産生能力をもたないため、胎盤を介して受け取った母体由来IgGによって、生後早期の感染防御を補っている。IgGの胎盤移行は単純拡散ではなく、胎盤における受容体を介した能動的な輸送によって行われる。
第47問
初乳に多く含まれ、新生児の消化管粘膜における感染防御に重要な免疫グロブリンはどれか。
① IgA
② IgE
③ IgG
④ IgM
解答
①
解説
初乳には分泌型IgAが豊富に含まれている。分泌型IgAは新生児の口腔や消化管の粘膜表面を覆い、病原体が粘膜へ付着・侵入するのを防ぐ役割をもつ。胎盤を通過するIgGが全身性の受動免疫に関係するのに対し、母乳中のIgAは主として粘膜免疫を補う。このため、胎盤=IgG、初乳=IgAと機序を分けて理解する必要がある。
第48問
胎児の免疫グロブリンについて正しいものはどれか。
① IgMは胎盤を容易に通過する。
② 胎児血中のIgM高値は胎児自身の抗体産生を示唆する。
③ IgAが母体から胎盤を通過する。
④ 母体由来IgGは胎児へ移行しない。
解答
②
解説
IgMは分子量が大きく、通常は胎盤を通過しない。そのため、新生児や胎児の血液中でIgMが増加している場合には、胎児自身が子宮内感染などへの反応として抗体を産生した可能性が考えられる。一方、母体から胎児へ移行する主要な免疫グロブリンはIgGである。免疫グロブリンは、IgG=胎盤通過、IgA=母乳・粘膜免疫、IgM=胎盤を通過しにくく初期免疫反応に関与という形で整理すると理解しやすい。
第49問
マタニティブルーズについて正しいものはどれか。
① 出産後数日頃にみられ、多くは一過性に改善する。
② 必ず薬物治療を必要とする精神疾患である。
③ 妊娠初期にのみ発症する。
④ 症状が数か月持続しても産後うつとの鑑別は不要である。
解答
①
解説
マタニティブルーズは、出産後の急激なホルモン変動、疲労、睡眠不足、生活環境の変化などを背景として、涙もろさ、不安、気分の落ち込み、情緒不安定などが一過性にみられる状態である。多くは出産後数日頃に出現し、時間の経過とともに自然に改善する。一方、抑うつ気分、意欲低下、自責感、不眠などが持続し、育児や日常生活に支障を来す場合には産後うつを考え、専門的な評価や支援が必要となる。
第50問
妊娠高血圧症候群に使用されることがあるニフェジピンの副作用として適切なのはどれか。
① 顔面潮紅や頭痛
② 高度な低血糖
③ 聴力低下
④ 甲状腺機能低下
解答
①
解説
ニフェジピンはカルシウム拮抗薬であり、血管平滑筋へのカルシウム流入を抑えて血管を拡張し、血圧を低下させる。血管拡張に伴う副作用として、顔面潮紅、熱感、頭痛、めまい、動悸、頻脈、血圧低下、浮腫などがみられることがある。妊娠高血圧症候群の降圧治療では、血圧を下げることだけでなく、過度な血圧低下によって子宮胎盤血流を損なわないよう、母体血圧と胎児状態を継続して観察する必要がある。
第51問
産痛緩和を目的として刺激されることがある三陰交の位置として正しいものはどれか。
① 内果の上方、脛骨内側縁の後方
② 外果の上方、腓骨前縁
③ 膝蓋骨の直上
④ 足背の第1趾と第2趾の間
解答
①
解説
三陰交は、下腿内側で内果の上方、脛骨内側縁の後方に位置する経穴である。分娩時には、指圧や足浴などによって三陰交周辺を刺激し、産婦のリラクセーションや産痛緩和を図ることがある。ただし、産痛緩和効果については研究方法や評価指標にばらつきがあり、効果が確立しているとまでは言えない。そのため、三陰交への刺激は標準的な医学的疼痛管理の代替ではなく、産婦の希望や分娩経過を確認しながら行う非薬物的援助の一つとして理解する必要がある。
第52問
胎盤の機能として適切なのはどれか。
① 母体と胎児の血液を直接混合させる。
② 母体と胎児の間で酸素、二酸化炭素、栄養素、老廃物を交換する。
③ 胎児の肺で酸素化された血液を母体へ送る。
④ 胎児の尿を母体の膀胱へ排泄する。
解答
②
解説
胎盤は、母体と胎児の間でガス交換、栄養輸送、老廃物排泄、ホルモン産生、免疫学的調節などを担う臓器である。母体血と胎児血は通常直接混ざるのではなく、絨毛を隔てて酸素や栄養素などが移動する。酸素や一部の物質は濃度勾配に従って移動し、ブドウ糖やアミノ酸などは担体や能動輸送機構も利用される。胎盤機能が低下すると、胎児への酸素・栄養供給が不足し、胎児発育不全などを引き起こす可能性がある。
第53問
胎盤から胎児へ酸素を多く含む血液を運ぶ血管はどれか。
① 臍動脈
② 臍静脈
③ 肺動脈
④ 上大静脈
解答
②
解説
胎盤で酸素と栄養を受け取った血液は、1本の臍静脈を通って胎児へ流入する。成人の循環では動脈が酸素を多く含み、静脈が酸素の少ない血液を運ぶことが多いが、動脈と静脈は酸素濃度ではなく、心臓から出るか、心臓へ戻るかによって命名される。胎児循環では臍静脈が酸素を多く含む血液を胎児側へ運び、左右2本の臍動脈が酸素の少ない血液を胎児から胎盤へ戻す。
第54問
胎児循環において、臍静脈から流入した血液の多くを肝臓を迂回して下大静脈へ導く血管はどれか。
① 動脈管
② 静脈管
③ 卵円孔
④ 冠状静脈洞
解答
②
解説
静脈管は、臍静脈から流入した酸素を多く含む血液の多くを、肝臓の循環を一部迂回させて下大静脈へ送る胎児特有の短絡路である。下大静脈へ入った血液は右心房へ流れ、その一部は卵円孔を通って左心房へ進む。静脈管は、胎盤から供給された比較的酸素濃度の高い血液を、心臓や脳などの重要臓器へ効率よく届けるために機能している。
第55問
胎児循環において、右心房から左心房へ血液を通過させる構造はどれか。
① 卵円孔
② 動脈管
③ 静脈管
④ 房室結節
解答
①
解説
胎児循環では、右心房へ戻った比較的酸素濃度の高い血液の一部が卵円孔を通って左心房へ流れる。そこから左心室、大動脈へ進み、冠動脈や脳へ優先的に供給される。胎児の肺はまだガス交換を行っていないため、血液を肺循環へ大量に流す必要がなく、卵円孔によって右心系から左心系へ血液を短絡させている。出生後は肺血流が増加して左心房圧が上昇し、通常は卵円孔が機能的に閉鎖する。
第56問
胎児循環において、肺動脈と大動脈を連絡し、血液の多くを肺から迂回させる血管はどれか。
① 臍静脈
② 静脈管
③ 動脈管
④ 卵円孔
解答
③
解説
動脈管は肺動脈と下行大動脈を連絡する胎児特有の血管であり、右心室から肺動脈へ送り出された血液の多くを大動脈へ短絡させる。胎児の肺は液体で満たされ、肺血管抵抗が高いため、肺へ流れる血液量は少ない。出生後に呼吸が始まると肺血管抵抗が低下し、血中酸素分圧の上昇などによって動脈管は収縮する。健康な正期産児では通常、出生後早期に機能的閉鎖が進む。
第57問
胎児循環に存在する三つの短絡路の組み合わせとして正しいものはどれか。
① 静脈管・卵円孔・動脈管
② 臍静脈・臍動脈・冠動脈
③ 上大静脈・下大静脈・門脈
④ 肺動脈・肺静脈・大動脈
解答
①
解説
胎児循環に特徴的な三つの短絡路は、静脈管・卵円孔・動脈管である。静脈管は肝循環の一部を迂回し、卵円孔は右心房から左心房へ血液を流し、動脈管は肺動脈から大動脈へ血液を流す。これらは、胎盤がガス交換を担い、胎児の肺がまだ呼吸器官として機能していないことに適応した構造である。名称だけを暗記するのではなく、「静脈管=肝臓」「卵円孔=心房間」「動脈管=肺」と関連付けると理解しやすい。
第58問
子癇発作の前駆症状として最も注意すべきものはどれか。
① 激しい頭痛や眼前暗黒感
② 軽度の鼻汁
③ 食後の眠気
④ 一過性の空腹感
解答
①
解説
子癇発作に先行して、激しい頭痛、眼華閃発、視力障害、悪心・嘔吐、心窩部痛、右上腹部痛、反射亢進、急激な血圧上昇などがみられることがある。これらは中枢神経系の刺激症状や重症妊娠高血圧腎症を示唆する重要な所見であり、発見した場合は静かな環境を整え、転倒や外傷を予防しながら、直ちに医師へ報告して治療準備を進める。子癇は前駆症状なく突然発症することもあるため、症状がないことだけで危険を否定してはならない。
第59問
出生体重3,200gの正期産児が、生後3日目に2,944gとなった。体重減少率はいくつか。
① 5%
② 8%
③ 10%
④ 12%
解答
②
解説
体重減少率は、(出生体重-現在の体重)÷出生体重×100で求める。本問では、3,200-2,944=256gであり、256÷3,200×100=**8%**となる。出生後は、胎便や尿の排泄、不感蒸泄、哺乳量がまだ十分でないことなどにより、生理的に体重が減少する。体重は生後2~3日頃に最も低くなることが多く、その後は哺乳量の増加に伴って増加へ転じる。ただし、減少率だけで判断せず、哺乳、排尿・排便、黄疸、活気、脱水所見なども合わせて評価する。
第60問
生後4日目の正期産児の所見として、正常な経過と考えられるものはどれか。
① 出生直後から急速に増強する黄疸
② 哺乳不良と活気低下を伴う著明な体重減少
③ 生理的体重減少後に体重が増加へ転じ始める。
④ 胆汁を含む緑色の嘔吐を繰り返す。
解答
③
解説
健康な正期産児では、出生後に一時的な体重減少がみられ、生後2~3日頃に最低となった後、生後4日頃から増加へ転じ始めることがある。また、生理的黄疸は通常、出生直後ではなく生後2~3日頃から出現し、生後4~5日頃に強くなる。したがって、生後4日目には体重、哺乳量、排尿・排便、黄疸を総合して経過を評価する必要がある。出生24時間以内からみられる黄疸、活気低下、哺乳不良、著しい体重減少、胆汁性嘔吐などは正常経過とはいえず、速やかな評価が必要である。
第61問
生後2か月から定期接種を開始できるワクチンの組み合わせとして正しいものはどれか。
① B型肝炎・ロタウイルス・肺炎球菌・5種混合
② BCG・麻疹風疹混合・水痘・日本脳炎
③ 麻疹風疹混合・おたふくかぜ・BCG・日本脳炎
④ 水痘・日本脳炎・2種混合・HPV
解答
①
解説
乳児期早期から予防すべき感染症に備えるため、B型肝炎、ロタウイルス、肺炎球菌、5種混合ワクチンは標準的に生後2か月から接種を開始する。5種混合ワクチンは、ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ、Hib感染症を予防するワクチンである。乳児は感染症に対する免疫が未熟であり、特に百日せき、細菌性髄膜炎、肺炎球菌感染症などは重症化することがあるため、接種可能な月齢になったら遅らせずに開始することが重要である。ワクチンは名称だけでなく、何か月から開始するか、何を予防するか、定期接種か任意接種かを関連付けて理解する必要がある。
第62問
1歳から定期接種の対象となるワクチンの組み合わせとして正しいものはどれか。
① 麻疹風疹混合ワクチン・水痘ワクチン
② B型肝炎ワクチン・ロタウイルスワクチン
③ 5種混合ワクチン・肺炎球菌ワクチンの初回接種
④ BCG・日本脳炎ワクチン
解答
①
解説
麻疹風疹混合〈MR〉ワクチンと水痘ワクチンは、標準的に1歳から接種する。麻疹は感染力が非常に強く、肺炎や脳炎などを合併することがあり、風疹は妊婦が感染すると胎児に先天性風疹症候群を生じる可能性がある。水痘も多くは軽症で経過するが、重症化や合併症を起こすことがある。乳幼児健診や保健指導では、母子健康手帳を確認し、接種漏れがないかを把握することが重要である。なお、実際の接種スケジュールは制度改正で変更される可能性があるため、教材では年度ごとの最新資料を確認する必要がある。
第63問
ロタウイルスワクチンについて正しいものはどれか。
① 初回接種は原則として生後14週6日までに開始する。
② 1歳を過ぎてから初回接種を行う。
③ 皮下注射で接種する。
④ 任意接種であり、定期接種には含まれない。
解答
①
解説
ロタウイルスワクチンは経口接種する生ワクチンであり、初回接種は生後14週6日までに開始することが推奨されている。接種開始が遅くなると、ワクチン接種後の腸重積症との関連を評価しにくくなることなどから、接種可能となる生後2か月頃から早めに開始する。現在は定期接種に含まれている。接種後に激しく泣く、機嫌が悪い、嘔吐、血便、腹部膨満などがみられた場合には、腸重積症の可能性を考えて速やかな受診が必要となる。
第64問
カウプ指数の計算式として正しいものはどれか。
① 体重kg÷身長m²
② 身長cm÷体重kg²
③ 体重kg÷身長m³
④ 体重g÷身長cm
解答
①
解説
カウプ指数は乳幼児の体格を評価する指標であり、計算式は体重〈kg〉÷身長〈m〉²である。数値上は成人のBMIと同じ式になる。身長をcmで用いる場合には、体重g÷身長cm²×10としても同じ値を求められる。乳幼児では成長に伴って体格が大きく変化するため、単一時点の数値だけでなく、年齢・月齢別の基準、成長曲線、経時的な変化を合わせて評価する必要がある。カウプ指数だけで栄養状態を断定するのではなく、食事、活動性、疾病の有無、身長・体重の推移を統合して判断する。
第65問
身長80cm、体重10.24kgの幼児のカウプ指数はいくつか。
① 14
② 16
③ 18
④ 20
解答
②
解説
カウプ指数は、体重kg÷身長m²で求める。本問では身長80cmを0.8mに換算し、10.24÷0.8²を計算する。0.8²は0.64であり、10.24÷0.64=16となる。計算問題では、身長をcmのまま二乗してしまう誤りが多いため、単位を確認してから計算することが重要である。ただし、求めた値だけで体格を正常・異常と即断するのではなく、その児の年齢、性別、過去の成長経過と照らして評価する。
第66問
乳幼児の身体発達の原則として正しいものはどれか。
① 身体の中心部より末梢から発達する。
② 下肢から頭部へ向かって発達する。
③ 頭部から下方へ向かって発達する。
④ すべての部位が同時に発達する。
解答
③
解説
乳幼児の運動発達には一定の方向性があり、基本的には頭部から足部へ向かう頭尾方向に進む。まず頸部の筋を制御して首がすわり、その後に体幹の安定、座位、立位、歩行へと発達する。また、身体の中心から末梢へ向かう近位遠位方向の原則もあり、肩や上肢全体の運動が発達した後に、手指を使った細かな動作が可能になる。発達には個人差があるため、単一の月齢だけで異常と判断せず、発達の順序と経時的な変化を確認する必要がある。
第67問
乳児の運動発達の順序として最も適切なのはどれか。
① 寝返り→首すわり→ひとり座り→歩行
② 首すわり→寝返り→ひとり座り→つかまり立ち
③ ひとり座り→首すわり→寝返り→つかまり立ち
④ つかまり立ち→寝返り→首すわり→歩行
解答
②
解説
乳児の運動機能は、一般に首すわり、寝返り、ひとり座り、はいはい、つかまり立ち、ひとり歩きの順に発達する。厚生労働省の乳幼児身体発育調査では、首すわりは生後4~5か月、寝返りは生後6~7か月に90%以上の乳児が可能となっている。ただし、すべての児が完全に同じ順序・時期で進むわけではなく、はいはいをあまり行わずにつかまり立ちへ進む児などもいる。評価では、月齢だけでなく、筋緊張、左右差、反応性、これまでの発達経過を確認する。
第68問
乳歯について正しいものはどれか。
① 全部で16本である。
② 全部で20本である。
③ 全部で24本である。
④ 全部で28本である。
解答
②
解説
乳歯は上下それぞれ10本ずつ、合計20本である。一般に生後6~7か月頃から下顎の前歯が生え始め、その後、上顎の前歯、乳臼歯、犬歯などが順次萌出する。永久歯と異なり、乳歯には小臼歯が存在しない。乳歯は永久歯へ生え替わる一時的な歯ではあるが、咀嚼、発音、顎の発達、永久歯が生える空間の保持などに重要な役割をもつため、早期からの口腔ケアが必要である。
第69問
乳歯がすべて生えそろう時期として最も適切なのはどれか。
① 生後6か月頃
② 1歳頃
③ 2歳半~3歳頃
④ 5~6歳頃
解答
③
解説
乳歯は一般に生後6~7か月頃から生え始め、個人差はあるものの、2歳半~3歳頃に20本が生えそろう。前歯は1歳前後までに増え、奥歯はその後に順次萌出する。乳歯の萌出時期や順番には幅があるため、多少早い、遅いというだけで異常とは判断しない。一方、著しい萌出遅延、左右差、歯や顎の形成異常が疑われる場合には、歯科での評価が必要となる。
第70問
乳歯がう蝕になりやすい理由として適切なのはどれか。
① 永久歯よりエナメル質と象牙質が薄く、う蝕が進行しやすい。
② 永久歯より歯質が厚いためである。
③ 乳歯には歯髄が存在しないためである。
④ 乳歯では細菌が増殖しないためである。
解答
①
解説
乳歯は永久歯と比べてエナメル質や象牙質が薄く、石灰化も未熟であるため、う蝕が生じると歯髄へ向かって進行しやすい。さらに乳幼児は自分だけで十分に歯を磨くことが難しく、糖分を含む飲食物を頻回に摂取する生活が続くと、口腔内が酸性に傾く時間が長くなる。う蝕予防では、歯が生え始めた時期からの清掃、保護者による仕上げ磨き、間食や甘味飲料の摂取方法、フッ化物の活用、定期的な歯科健診が重要となる。乳歯のう蝕は永久歯の発育や歯列にも影響し得るため、「いずれ生え替わるから問題ない」と考えてはならない。
第71問
乳幼児期における遊びの意義として最も適切なのはどれか。
① 疲労を生じさせるため、できるだけ制限する。
② 身体・認知・言語・社会性などの発達を促す。
③ 学習とは異なるため、発達には関係しない。
④ 集団生活を開始した後にのみ必要となる。
解答
②
解説
乳幼児期の遊びは、単なる気分転換ではなく、心身の発達を促す重要な活動である。乳児は見る、触る、なめる、音を聞く、手足を動かすといった感覚・運動的な遊びを通して、外界の性質や自分の身体の動かし方を学ぶ。幼児期になると、模倣遊び、ごっこ遊び、他児との遊びなどへ広がり、言語、想像力、対人関係、ルールの理解が発達する。乳幼児期の遊びは、子どもが自発的に環境へ働きかけて学ぶ過程であり、教育や発達支援の中心に位置づけられている。
第72問
乳児期前半にみられる遊びとして最も適切なのはどれか。
① ごっこ遊び
② ルールのある集団遊び
③ 音の出る玩具を見たり触ったりする遊び
④ 勝敗を競う遊び
解答
③
解説
乳児期前半は、見る、聞く、触る、なめる、手足を動かすといった感覚・運動的遊びが中心となる。ガラガラの音を聞く、玩具を握る、鏡に映る姿を見るなどの活動を通して、感覚器官や運動機能が発達する。ごっこ遊びやルールを理解した集団遊びは、象徴機能、言語、社会性が発達した後にみられる。遊びを評価する際は、玩具の種類だけでなく、児が追視するか、手を伸ばすか、音へ反応するかなど、発達段階に応じた反応を観察することが重要である。
第73問
生後3~4か月頃の乳児にみられる発達として適切なのはどれか。
① 首がすわり始める。
② ひとり歩きを始める。
③ 二語文を話す。
④ 階段を交互に上る。
解答
①
解説
粗大運動の発達では、一般に生後3~4か月頃に首すわりがみられる。頭部を自分で保持できるようになることは、頭部から足部へ向かって発達する頭尾方向の原則にも一致する。乳幼児健診では首すわりだけでなく、腹臥位で頭を持ち上げるか、追視、聴覚反応、筋緊張、左右差などを総合的に確認する。発達時期には個人差があるため、月齢だけで異常と断定せず、修正月齢やこれまでの発達経過を含めて評価する必要がある。
第74問
生後3~4か月頃の乳児の社会的・情緒的発達として適切なのはどれか。
① あやすと笑う。
② 人見知りが完成する。
③ 仲間と協力して遊ぶ。
④ 善悪を理解して行動する。
解答
①
解説
生後2~4か月頃になると、養育者があやした際に笑う社会的微笑がみられるようになる。これは単なる反射的な笑いではなく、人の顔や声に反応して生じる対人的な反応であり、社会性や愛着形成の基礎となる。3~4か月児健診でも「あやすとよく笑うか」は重要な確認項目である。人見知りはさらに月齢が進んでから明確となり、協同遊びや道徳的判断は幼児期以降に発達する。
第75問
乳児の感情発達について正しいものはどれか。
① 出生時から複雑な感情が完成している。
② 初期には快・不快を中心とした反応がみられ、成長に伴って感情が分化する。
③ 不快の表出は発達異常を示す。
④ 感情発達は養育者との関係の影響を受けない。
解答
②
解説
出生直後の乳児は、快・不快を中心とした比較的未分化な情動を、泣く、身体を動かす、表情を変えるなどの形で示す。成長に伴い、喜び、怒り、恐れ、不安などへ徐々に感情が分化していく。養育者が乳児の泣きや表情へ安定して応答することで、乳児は不快な状態から安心を得る経験を重ね、情緒の調整や対人関係の基礎を形成する。したがって感情発達は児の成熟だけでなく、養育者との相互作用や生活環境とも関連して考える必要がある。
第76問
Erikson〈エリクソン〉の心理社会的発達理論において、1歳頃から3歳頃までの発達課題はどれか。
① 基本的信頼対不信
② 自律性対恥・疑惑
③ 主体性対罪悪感
④ 勤勉性対劣等感
解答
②
解説
エリクソンの心理社会的発達理論では、乳児期の基本的信頼対不信に続き、幼児前期では自律性対恥・疑惑が発達課題となる。この時期の子どもは歩行や言語、排泄、食事、着脱などの能力を獲得し、「自分でやりたい」という欲求が強くなる。養育者が安全を確保しながら試行錯誤を認めることで、自分の行動を自分で調整する自律性が育つ。一方、失敗を過度に叱責したり、何でも大人が代行したりすると、恥や自分への疑いが強くなる可能性がある。
第77問
3歳児の発達として適切なのはどれか。
① ごっこ遊びをする。
② 首がすわる。
③ 喃語を話し始める。
④ 原始反射が最も活発になる。
解答
①
解説
3歳頃になると、想像した役割や場面を再現するごっこ遊びがみられるようになる。ままごとやヒーローごっこなどでは、言語、象徴機能、模倣、社会性が組み合わされている。また、自分の名前を言う、手洗いや歯磨きをしようとする、階段を上るなど、日常生活動作の自立も進む。3歳児健診では、ごっこ遊びができるか、遊び友達がいるか、自分の名前が言えるかなどが確認項目として用いられている。
第78問
注意欠如・多動症〈ADHD〉の中核となる特性の組み合わせはどれか。
① 不注意・多動性・衝動性
② 幻覚・妄想・意識障害
③ 筋力低下・知覚障害・失語
④ 発熱・発疹・関節痛
解答
①
解説
**注意欠如・多動症〈ADHD〉**は、年齢や発達水準に不相応な不注意、多動性、衝動性を主な特性とする神経発達症である。忘れ物が多い、課題へ集中し続けにくい、順番を待つことが難しい、状況に合わず動き回るなどの行動がみられる。ただし、活発な性格や一時的な落ち着きのなさだけで判断するのではなく、複数の生活場面で持続し、学習や生活、人間関係に影響しているかを評価する必要がある。
第79問
ADHDのある子どもへの支援として適切なのはどれか。
① 失敗するたびに厳しく叱責する。
② 指示を短く具体的にし、望ましい行動を認める。
③ 本人の努力不足として対応する。
④ 刺激の多い環境へ移す。
解答
②
解説
ADHDのある子どもへの支援では、環境を整え、指示を短く具体的に伝え、できた行動を速やかに認めることが重要である。課題を小さな段階へ分ける、視覚的な手がかりを使う、注意をそらす刺激を減らすなど、子どもの特性に合わせて方法を工夫する。ペアレント・トレーニングでは、保護者が褒め方、指示の出し方、環境調整などを学び、適切な行動を増やすことが目指される。行動を単なる反抗や努力不足と決めつけない姿勢が必要である。
第80問
熱性けいれんについて正しいものはどれか。
① 主に生後6か月から5歳頃の乳幼児に、発熱に伴って生じる。
② 必ず中枢神経感染症によって生じる。
③ 無熱性発作の既往がある児のみを指す。
④ 発作はすべて30分以上持続する。
解答
①
解説
**熱性けいれん〈熱性発作〉**は、主として生後6~60か月の乳幼児に、通常38℃以上の発熱に伴って生じる発作であり、中枢神経感染症、代謝異常、その他の明らかな原因がないものをいう。無熱性発作やてんかんの既往がある児は、一般的な熱性けいれんの定義から除外される。発作には全身性のけいれんだけでなく、一点凝視、脱力、眼球上転などの非けいれん性発作が含まれる場合もある。
第81問
児が熱性けいれんを起こした際の初期対応として最も適切なのはどれか。
① けいれんを止めるために手足を強く押さえる。
② 口腔内に指や物を入れて舌をかまないようにする。
③ 衣服を緩めて安全な場所へ寝かせ、発作の持続時間を確認する。
④ 直ちに水分を飲ませる。
解答
③
解説
熱性けいれんが起きた際は、児を安全な場所へ寝かせ、衣服を緩め、呼吸を妨げないようにして発作の開始時刻と持続時間を確認する。嘔吐した場合に備えて顔を横に向け、周囲の硬い物を取り除くことも重要である。手足を強く押さえると外傷の原因となり、口腔内へ指や物を入れる行為も歯や口腔の損傷、窒息につながる危険がある。けいれん中は嚥下できないため、水分や薬を口から与えてはならない。発作後は呼吸、意識、皮膚色、左右差、再発の有無を観察する。
第82問
複雑型熱性けいれんを疑う所見はどれか。
① 全身性で左右対称の発作が3分間みられた。
② 24時間以内に1回のみ発作がみられた。
③ 片側の上肢と下肢を中心とした発作がみられた。
④ 発作後に速やかに意識が回復した。
解答
③
解説
熱性けいれんは、発作が長時間持続する、焦点性すなわち身体の一部や片側に限局する、同一発熱機会に反復する場合などに複雑型が疑われる。単純型は一般に全身性で短時間に終わり、24時間以内の再発を認めない。片側性の発作は焦点性発作を示すため、中枢神経感染症やてんかんなど他の病態も含めた慎重な評価が必要となる。発作時間、左右差、回数、意識回復までの経過を正確に把握することが重要である。
第83問
発熱している幼児への看護として適切なのはどれか。
① 悪寒がある時期から全身を積極的に冷却する。
② 発汗していても水分摂取を控える。
③ 活気、呼吸状態、水分摂取量、尿量を観察する。
④ 体温の数値だけで重症度を判断する。
解答
③
解説
小児の発熱では体温の高さだけでなく、活気、顔色、呼吸状態、意識、水分摂取、尿量、嘔吐や下痢の有無を総合的に観察する。悪寒や四肢冷感がある体温上昇期に強く冷却すると不快感を増すため、本人が寒がる場合は保温し、熱が上がりきって暑がるようになった段階で衣類や寝具を調整する。発汗や頻呼吸によって水分が失われるため、意識が清明で嘔吐がなければ少量ずつ水分を補給する。体温が高くても活気がある場合がある一方、発熱が軽度でも呼吸障害や意識障害があれば緊急性が高い。
第84問
川崎病の主要症状として正しいものはどれか。
① 両側眼球結膜の充血
② 化膿性の眼脂
③ 水疱を伴う限局性発疹
④ 強い咳嗽と喘鳴
解答
①
解説
川崎病の主要症状には、発熱、両側眼球結膜の充血、口唇・口腔所見、発疹、四肢末端の変化、急性期の非化膿性頸部リンパ節腫脹がある。眼球結膜の充血は通常両側性で、膿性眼脂を伴わないことが特徴である。口唇の紅潮や亀裂、いちご舌、手足の硬性浮腫、手掌足底の紅斑、回復期の膜様落屑なども重要な所見となる。主要症状がすべてそろわない不全型もあるため、乳幼児の持続する発熱では全身所見を丁寧に評価する必要がある。
第85問
川崎病で最も注意すべき合併症はどれか。
① 冠動脈病変
② 気管支喘息
③ 腎結石
④ 中耳炎
解答
①
解説
川崎病は全身の中小動脈に炎症を起こす血管炎であり、特に注意すべき合併症は冠動脈拡張や冠動脈瘤などの冠動脈病変である。冠動脈病変が生じると、血栓形成、冠動脈狭窄、心筋虚血など将来にわたる循環器管理が必要となる可能性がある。そのため急性期には心エコー検査を行い、治療後も冠動脈の状態に応じて経過観察する。川崎病の治療目的は発熱や炎症を抑えることだけでなく、冠動脈病変を予防することにある。
第86問
川崎病の急性期に行われる標準的な治療として適切なのはどれか。
① 免疫グロブリン大量静注療法とアスピリン投与
② 抗菌薬のみの投与
③ インスリン投与
④ 気管支拡張薬の吸入
解答
①
解説
川崎病急性期の基本的な治療は、免疫グロブリン大量静注療法〈IVIG〉とアスピリン投与である。免疫グロブリンによって全身の炎症を速やかに抑え、冠動脈病変の発生リスクを低減することを目的とする。アスピリンには急性期の抗炎症作用と、解熱後の抗血小板作用が期待される。IVIG投与後も発熱や炎症が持続する不応例では、重症度や施設の治療方針に応じて追加治療が検討される。
第87問
小児の急性リンパ性白血病でみられやすい症状の組み合わせはどれか。
① 発熱・骨痛・皮下出血
② 多尿・口渇・体重増加
③ 黄疸・白色便・腹部膨満
④ 咳嗽・喘鳴・吸気性呼吸困難
解答
①
解説
急性リンパ性白血病では、骨髄内で白血病細胞が増殖して正常な造血が抑制されるため、発熱、倦怠感、貧血、鼻出血、皮下出血などがみられる。また、白血病細胞の浸潤によって骨痛、関節痛、リンパ節腫大、肝腫大、脾腫大などを認めることがある。症状は白血病に特異的とは限らず、風邪や成長痛のように見えることもあるため、症状が長引く場合や複数の所見が重なる場合には血液検査を行って評価する必要がある。
第88問
急性リンパ性白血病で皮下出血や鼻出血が生じる主な理由はどれか。
① 血小板産生が低下するため
② 赤血球が増加するため
③ 血糖値が低下するため
④ 胆汁分泌が低下するため
解答
①
解説
急性リンパ性白血病では、白血病細胞が骨髄内で増殖し、正常な造血細胞の増殖を妨げる。その結果、血小板減少によって点状出血、紫斑、鼻出血、歯肉出血などが生じやすくなる。同様に赤血球産生が低下すると貧血による顔色不良や倦怠感がみられ、正常白血球、特に好中球が減少すると感染症や発熱が起こりやすくなる。白血病の症状は、どの血球が減少しているかという機序から理解すると整理しやすい。
第89問
急性リンパ性白血病の確定診断に重要な検査はどれか。
① 骨髄検査
② 尿糖検査
③ 便潜血検査
④ 呼吸機能検査
解答
①
解説
急性リンパ性白血病の確定診断には骨髄検査が重要である。末梢血検査では白血球数の増加だけでなく、減少や正常値を示すこともあり、白血球数だけでは白血病を否定できない。末梢血中の芽球、貧血、血小板減少、好中球減少、高LDH血症などから白血病を疑い、骨髄検査によって芽球の割合や細胞表面マーカー、遺伝学的特徴などを評価する。
第90問
急性白血病で血小板減少を認める児への看護として適切なのはどれか。
① 転倒や打撲を予防する。
② 歯肉を強く刺激して歯磨きを行う。
③ 筋肉内注射を積極的に行う。
④ 鼻出血時には鼻を強くかませる。
解答
①
解説
血小板減少がある児では出血しやすいため、転倒・打撲の予防、出血の観察、刺激の少ない口腔ケアが重要となる。皮下出血、点状出血、鼻出血、歯肉出血、血尿、血便、頭痛や意識変化などを観察し、特に頭部打撲は頭蓋内出血につながる可能性があるため注意する。硬い歯ブラシによる強い刺激や筋肉内注射は出血を起こす可能性があり、鼻出血時に強く鼻をかませることも避ける。感染予防だけでなく、貧血と出血傾向を含めた全身管理が必要である。
第91問
正常な頭位分娩で、児頭が骨盤入口部を通過しやすくするために起こる胎勢の変化はどれか。
① 反屈
② 屈曲
③ 側屈
④ 過伸展
解答
②
解説
正常な頭位分娩では、児頭が下降する過程で屈曲が強まり、あごが胸部へ近づく。児頭が屈曲すると、産道を通過する児頭の前後径が小さくなり、比較的通過しやすい状態になる。反対に屈曲が不十分で児頭が反屈すると、より大きな児頭径で産道を通過しなければならず、分娩が遷延する可能性がある。分娩機転は単に順番を暗記するのではなく、胎児が母体の骨盤形態へ適応し、できるだけ小さな径で産道を通過する動きとして理解することが重要である。厚生労働省の助産師国家試験出題基準でも、分娩機転や進入・回旋の異常は助産診断・技術の重要項目に位置づけられている。
第92問
正常分娩において、児頭が骨盤内を下降しながら後頭部を母体前方へ向ける運動はどれか。
① 第1回旋
② 第2回旋
③ 第3回旋
④ 第4回旋
解答
②
解説
児頭が下降しながら後頭部を母体前方へ向ける動きは第2回旋であり、内旋とも呼ばれる。骨盤入口部では横径が広いため、児頭は矢状縫合を横径または斜径へ合わせて進入する。一方、骨盤出口部では前後径が通過に適しているため、児頭は下降しながら後頭部を恥骨結合側へ向ける。この回旋が正常に進まなければ、後方後頭位や低在横定位などの回旋異常となり、分娩遷延や器械分娩につながる可能性がある。
第93問
正常な前方後頭位分娩で、児頭が恥骨結合下縁を支点として娩出される際の運動はどれか。
① 屈曲
② 内旋
③ 伸展
④ 外旋
解答
③
解説
児頭が骨盤出口へ到達すると、後頭部が恥骨結合下縁に接し、これを支点として児頭が伸展する。これによって後頭部、頭頂部、前額部、顔面、あごの順に娩出される。この動きは第3回旋に相当する。児頭が単純に真下へ進むのではなく、骨盤誘導線に沿って前上方へ方向を変えながら伸展する点が重要である。分娩介助では、児頭の急激な娩出を防ぎ、会陰の伸展状態や胎児心拍を確認しながら安全に娩出を支援する。
第94問
児頭娩出後、児頭が肩甲の位置に合わせて母体の大腿側へ回る運動はどれか。
① 進入
② 屈曲
③ 内旋
④ 外旋
解答
④
解説
児頭娩出後には、骨盤内で回旋している肩甲の方向へ児頭が戻るように回る。この運動を外旋といい、第4回旋に相当する。児頭の外旋は、胎児の肩甲が骨盤出口の前後径へ適応して回旋したことを外部から確認できる所見でもある。外旋後は前在肩甲が恥骨結合下から娩出され、続いて後在肩甲、体幹が娩出される。児頭を人為的に強く回すのではなく、胎児自身の回旋を観察しながら肩甲娩出を介助する。
第95問
鉗子分娩で児頭を牽引する方向として最も適切なのはどれか。
① 常に母体の腹側へ向けて牽引する。
② 常に床と水平に牽引する。
③ 児頭の下降度に応じ、骨盤誘導線に沿って方向を変える。
④ 母体の頭側へ向けて強く牽引する。
解答
③
解説
鉗子分娩の牽引方向は一定ではなく、児頭の下降度と骨盤誘導線に沿って変化させる必要がある。児頭がまだ骨盤内にある段階では、初めは下方へ向けて牽引し、児頭が骨盤出口へ近づくにつれて水平から前上方へ方向を変えていく。受験者メモの「鉗子を水平より下に向ける」は、牽引開始時には鉗子柄を水平より下方へ向け、骨盤軸に沿って牽引することを問う設問だった可能性がある。鉗子分娩は、子宮口全開大、破水、児頭位置の確認などの条件を満たし、安全に娩出できる状況で実施される。
第96問
乳汁産生を直接促進するホルモンはどれか。
① オキシトシン
② プロラクチン
③ エストロゲン
④ プロゲステロン
解答
②
解説
プロラクチンは下垂体前葉から分泌され、乳腺の乳腺胞上皮細胞へ作用して乳汁産生を促進する。児が乳頭を吸啜すると、その刺激が視床下部へ伝わり、プロラクチン分泌を抑制しているドパミンの作用が弱まることで、プロラクチン分泌が増加する。プロラクチンは乳汁を「つくる」ホルモンであり、オキシトシンはつくられた乳汁を乳管へ押し出す「射乳」に関与する。両者の作用を区別して理解する必要がある。
第97問
射乳反射に直接関与するホルモンはどれか。
① プロラクチン
② オキシトシン
③ 卵胞刺激ホルモン
④ ヒト絨毛性ゴナドトロピン
解答
②
解説
児の吸啜刺激が視床下部へ伝わると、下垂体後葉からオキシトシンが分泌される。オキシトシンは乳腺胞の周囲にある筋上皮細胞を収縮させ、乳腺胞内につくられた乳汁を乳管へ押し出す。これが射乳反射である。緊張、強い疼痛、不安などによって射乳が起こりにくくなる場合があるため、授乳時には母親が安心できる環境を整えることも重要となる。プロラクチンが乳汁産生、オキシトシンが乳汁射出という役割分担を整理しておく。
第98問
胎盤娩出後に乳汁分泌が増加し始める主な機序として適切なのはどれか。
① エストロゲンとプロゲステロンが急激に低下し、プロラクチンの乳汁産生作用が現れる。
② オキシトシンの分泌が完全に停止する。
③ プロラクチンが急激に低下する。
④ 胎盤からのhCG分泌が増加する。
解答
①
解説
妊娠中はプロラクチン濃度が高いにもかかわらず、胎盤から大量に分泌されるエストロゲンとプロゲステロンが乳汁の本格的な分泌を抑制している。分娩後に胎盤が娩出されると、これらのホルモン濃度が急激に低下し、プロラクチンの乳汁産生作用が十分に発揮されるようになる。その後は児の頻回な吸啜によってプロラクチン分泌が繰り返し促され、乳汁産生が維持される。乳汁分泌は「出産したから自動的に始まる」のではなく、胎盤娩出によるホルモン環境の変化と吸啜刺激が組み合わさって成立する。
第99問
授乳時に後陣痛が強くなる主な理由はどれか。
① プロラクチンが子宮平滑筋を弛緩させるため
② オキシトシンが子宮平滑筋を収縮させるため
③ エストロゲンが急激に増加するため
④ hCGが子宮収縮を促進するため
解答
②
解説
授乳による乳頭への刺激は、下垂体後葉からのオキシトシン分泌を促進する。オキシトシンは乳腺の筋上皮細胞だけでなく子宮平滑筋にも作用するため、授乳時には子宮収縮が強まり、後陣痛を感じることがある。この収縮は子宮復古を促し、胎盤付着部の血管を圧迫して産後出血を抑える方向にも働く。特に経産婦では子宮筋が伸展しているため、後陣痛を強く感じることがある。授乳、射乳、後陣痛、子宮復古はオキシトシンによってつながる一連の反応である。
第100問
産褥早期に情緒不安定が起こりやすくなる背景として最も適切なのはどれか。
① 胎盤娩出後のホルモン環境の急激な変化に、疲労や睡眠不足などが重なる。
② エストロゲンとプロゲステロンが妊娠中より増加し続ける。
③ 産後は心理状態が安定し、気分変化は起こらない。
④ 乳汁分泌が始まると精神症状は必ず消失する。
解答
①
解説
産褥早期は、胎盤娩出によって妊娠中に高値であったエストロゲンやプロゲステロンが急激に低下し、身体のホルモン環境が大きく変化する。さらに、分娩による疲労、疼痛、睡眠不足、授乳や育児への不安などが重なるため、涙もろさ、焦燥感、気分の変動などのマタニティブルーズがみられることがある。多くは一過性であるが、症状が長引く場合、日常生活や育児に支障がある場合、自責感や自傷念慮が認められる場合には、産後うつ病を疑って継続的な評価と支援を行う必要がある。産後の心理変化をホルモンだけに帰属させず、身体・心理・社会的要因を統合して考えることが重要。
第101問
母子保健法に基づく妊娠の届出について正しいものはどれか。
① 妊娠した者は、出産後に都道府県知事へ届け出る。
② 妊娠した者は、速やかに市町村長へ届け出る。
③ 医師だけが妊娠の届出を行う。
④ 妊娠20週以降になってから届け出る。
解答
②
解説
母子保健法第15条では、妊娠した者は速やかに市町村長へ妊娠の届出を行うことが規定されている。届出によって市町村は妊婦の存在を把握し、母子健康手帳の交付、妊婦健康診査、保健指導、相談支援などへつなげることができる。届出時期について妊娠週数の明確な法定期限は示されていないが、母子保健サービスを早期から利用するためにも、妊娠が確認された後は速やかに届け出ることが重要である。
第102問
母子健康手帳を交付する者として正しいのはどれか。
① 厚生労働大臣
② 都道府県知事
③ 市町村
④ 出産した医療機関
解答
③
解説
母子保健法第16条に基づき、妊娠の届出をした者に対して市町村が母子健康手帳を交付する。母子健康手帳には、妊娠経過、分娩時の状況、新生児・乳幼児の発育、健康診査、予防接種などが継続して記録される。単なる妊娠中の記録帳ではなく、妊娠期から乳幼児期まで母子の健康情報を一貫して管理し、医療・保健・福祉の関係者が支援へ活用するための重要な媒体である。
第103問
母子保健法に基づき、市町村が必ず実施する乳幼児健康診査の組み合わせはどれか。
① 1か月児健康診査・6か月児健康診査
② 3~4か月児健康診査・9~10か月児健康診査
③ 1歳6か月児健康診査・3歳児健康診査
④ 5歳児健康診査・就学時健康診断
解答
③
解説
母子保健法第12条では、市町村が1歳6か月児および3歳児に対して健康診査を行うことが規定されている。これらの健康診査では、身体発育、運動・言語発達、視聴覚、歯科、栄養、生活習慣、親子関係、養育環境などを確認する。ほかの月齢でも自治体によって健康診査が実施されているが、母子保健法上、市町村に実施義務が明記されているものとして、1歳6か月児健康診査と3歳児健康診査を区別して覚える必要がある。
第104問
産後ケア事業の実施方法として適切な組み合わせはどれか。
① 宿泊型・通所型・居宅訪問型
② 入院型・手術型・救急搬送型
③ 集団健診型・学校訪問型・就労支援型
④ 電話相談型のみ
解答
①
解説
産後ケア事業では、母子を施設に宿泊させて支援する短期入所型〈宿泊型〉、日中に施設へ通って支援を受ける通所型〈デイサービス型〉、助産師などが家庭を訪問する**居宅訪問型〈アウトリーチ型〉**が用いられる。母親の身体的回復、授乳、育児技術、休養、心理状態、家族の支援状況などを評価し、対象者の状況や希望に応じて適切な方法を選択する。産後ケアは単に育児方法を教える事業ではなく、産後も安心して子育てできる支援体制を確保することを目的としている。
第105問
産後ケア事業で行われる支援として最も適切なのはどれか。
① 母体の休養、授乳支援、育児相談などを行う。
② 乳児の予防接種だけを行う。
③ 母親に代わり長期間すべての育児を行う。
④ 産後の身体状態にかかわらず運動を指導する。
解答
①
解説
産後ケア事業では、母親の身体的・心理的な回復支援、授乳支援、育児に関する相談や指導、母子の健康状態の確認、休養の確保などを行う。産後の課題は乳房や子宮復古といった身体面だけではなく、睡眠不足、育児不安、孤立、家族からの支援不足など多岐にわたる。そのため、母子を一体として評価し、必要に応じて医療機関、こども家庭センター、精神保健、福祉サービスなどへつなぐことも重要となる。
第106問
出生体重による分類の組み合わせとして正しいものはどれか。
① 低出生体重児は2,000g未満、極低出生体重児は1,000g未満
② 低出生体重児は2,500g未満、極低出生体重児は1,500g未満
③ 低出生体重児は3,000g未満、極低出生体重児は2,500g未満
④ 低出生体重児は在胎37週未満、極低出生体重児は在胎32週未満
解答
②
解説
出生体重が2,500g未満の児を低出生体重児、1,500g未満の児を極低出生体重児という。分類は在胎週数ではなく、出生時の体重に基づく。したがって、在胎37週以降に出生した正期産児でも、体重が2,500g未満なら低出生体重児に該当する。低出生体重児では、体温調節、呼吸、血糖維持、哺乳、感染防御などが未熟である場合があり、出生後の状態に応じた観察と退院後の継続支援が必要となる。
第107問
低出生体重児の届出の目的として最も適切なのはどれか。
① 児の氏名を全国へ公表するため
② 必要な訪問指導や養育支援へ早期につなげるため
③ 医療費を必ず全額自己負担とするため
④ 出生届の提出を不要にするため
解答
②
解説
出生体重2,500g未満の児について保護者が行う届出は、行政が児の出生と養育状況を早期に把握し、訪問指導、発育・哺乳の確認、保護者への相談支援、必要な医療や福祉制度への案内につなげるために行われる。低出生体重児は退院後も体重増加や哺乳、発達などに継続的な支援を要する場合があり、家族も育児への不安を抱えやすい。そのため、児だけでなく保護者を含めた家庭全体を支援する視点が重要となる。
第108問
児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について正しいものはどれか。
① 虐待が裁判で確定した後にのみ利用できる。
② 通告者は必ず氏名を公表しなければならない。
③ 虐待かもしれないと思った段階で相談でき、匿名での利用も可能である。
④ 消費生活に関する相談専用番号である。
解答
③
解説
児童相談所虐待対応ダイヤル**189〈いちはやく〉**は、「虐待かもしれない」と感じた段階で、地域を管轄する児童相談所へ通告・相談するための全国共通番号である。虐待の事実を通告者自身が確定する必要はなく、匿名で相談することもでき、通告者や相談内容に関する秘密は守られる。通告は養育者を処罰することだけを目的とするのではなく、児童の安全を確保し、児童と家族を必要な支援へつなげるために行われる。
第109問
プレコンセプションケアで妊娠前から葉酸摂取を考える主な理由はどれか。
① 胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減するため
② 妊婦の血圧を必ず低下させるため
③ 胎児の性別を決定するため
④ 産後の乳汁分泌を停止させるため
解答
①
解説
胎児の神経管は妊娠の非常に早い時期に形成されるため、妊娠が判明してから葉酸摂取を始めるだけでは、重要な形成時期に間に合わない場合がある。そのため、妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性には、通常の食事から葉酸を摂取することに加え、妊娠前から葉酸を補うことが推奨される。葉酸摂取は神経管閉鎖障害の発症を完全に防ぐものではないが、発症リスクを低減するための重要なプレコンセプションケアの一つである。
第110問
プレコンセプションケアの対象について最も適切なのはどれか。
① 現在不妊治療中の女性だけである。
② 妊娠が確定した女性だけである。
③ 将来の健康や妊娠・出産を考える男女を含む幅広い世代である。
④ すでに出産を終えた女性だけである。
解答
③
解説
プレコンセプションケアは、不妊治療中の女性や直ちに妊娠を希望している女性だけを対象とするものではない。男女を問わず、将来の健康と妊娠・出産を見据えて、若い時期から生活習慣、栄養、適正体重、感染症、ワクチン、持病、服薬、性に関する知識などを整える取り組みである。妊娠するかどうかを本人が決めていない段階でも、自分の身体と将来のライフプランについて正しい情報を得ることに意義がある。
第111問
Ⅲ度熱傷の受傷部位にみられる特徴として正しいものはどれか。
① 発赤のみで強い疼痛を認める。
② 水疱を形成し、必ず激しい疼痛を認める。
③ 知覚神経まで損傷するため、受傷部位の痛みを感じにくいことがある。
④ 表皮のみが損傷し、瘢痕を残さず治癒する。
解答
③
解説
Ⅲ度熱傷では表皮と真皮の全層が損傷し、知覚神経も障害されるため、熱傷の中心部では痛みを感じにくい、または痛みを認めないことがある。熱傷が深いほど痛みが強いとは限らず、むしろ痛みがないことが重症な深部熱傷を示す場合がある点が重要である。皮膚は蒼白、蝋状、褐色、黒色などを呈し、自然な上皮化が困難で、範囲や部位によっては植皮術などの外科的治療が必要となる。なお、Ⅲ度熱傷の周囲にⅡ度熱傷が混在していれば、その部分には強い疼痛を認めることがあるため、「患者がまったく痛がらない」とは限らない。
第112問
熱傷の深度と損傷範囲の組み合わせとして正しいものはどれか。
① Ⅰ度熱傷―皮下組織まで損傷する。
② Ⅱ度熱傷―真皮まで損傷する。
③ Ⅲ度熱傷―表皮だけが損傷する。
④ Ⅲ度熱傷―真皮は保たれている。
解答
②
解説
熱傷は深さによって、Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度に分類される。Ⅰ度熱傷は表皮までの損傷で、発赤や疼痛を認める。Ⅱ度熱傷は真皮まで損傷が及び、水疱を形成することが多い。Ⅱ度はさらに浅達性Ⅱ度と深達性Ⅱ度に分けられ、深達性になるほど治癒に時間を要し、瘢痕を残す可能性が高くなる。Ⅲ度熱傷では皮膚全層が損傷し、皮下組織にまで達することがある。受傷直後は深度を正確に判断しにくく、時間の経過とともに損傷範囲が明確になる場合もある。
第113問
Ⅱ度熱傷に特徴的な所見はどれか。
① 水疱形成
② 知覚の完全な消失のみ
③ 皮膚の炭化のみ
④ 発赤を認めない。
解答
①
解説
Ⅱ度熱傷では損傷が真皮まで及び、代表的な所見として水疱形成がみられる。浅達性Ⅱ度熱傷では創面が赤く湿潤し、知覚神経が保たれているため強い疼痛を伴いやすい。深達性Ⅱ度熱傷では真皮深層まで損傷し、創面が白色調となり、知覚が低下する場合がある。したがって、水疱があるから軽症とは限らず、熱傷の部位、面積、創面の色、湿潤状態、疼痛や知覚の有無を総合して深度を評価する必要がある。
第114問
幼児が衣服の上から熱湯を浴びた際の初期対応として最も適切なのはどれか。
① 皮膚に密着した衣服を直ちに無理に脱がせる。
② 衣服の上から速やかに流水で冷却する。
③ 患部へ氷を直接押し当てる。
④ 患部へ油や市販の軟膏を塗ってから冷却する。
解答
②
解説
熱湯による熱傷では、熱の作用を止めて組織障害の進行を抑えるため、できるだけ早く流水で冷却する。衣服が皮膚へ密着している場合、無理にはがすと水疱や損傷した皮膚まで剥離する危険があるため、衣服の上から冷却する。氷や保冷剤を直接当てると、冷却による組織障害や低体温を起こす可能性がある。特に乳幼児は体表面積に対する体重が小さく、広範囲を長時間冷却すると低体温になりやすいため、全身状態を観察しながら対応する。顔面、手、足、会陰、関節部、広範囲の熱傷や、深い熱傷が疑われる場合は速やかな医療機関受診が必要である。
第115問
3歳児の疼痛を評価する方法として最も適切なのはどれか。
① 成人と同様に0~10の数字だけで回答させる。
② 表情や行動を観察し、発達段階に応じてフェイススケールなどを補助的に用いる。
③ 心拍数が正常なら疼痛はないと判断する。
④ 3歳児は痛みを評価できないため、観察しない。
解答
②
解説
3歳児は痛みを言葉で十分に説明できない場合があるため、表情、啼泣、体動、患部をかばう行動、慰めへの反応、睡眠や遊びの変化などを観察する必要がある。顔の絵を用いるフェイススケールは、言語能力が未発達な小児にも理解しやすい方法だが、国際疼痛学会のFaces Pain Scale–Revisedは主に4~16歳を対象として検証されている。このため、3歳児では発達段階や説明への理解を確認したうえで補助的に用い、行動評価や保護者からの情報と組み合わせることが適切である。
第116問
フェイススケールを用いた疼痛評価の説明として適切なのはどれか。
① 看護師が児の顔に最も似た絵を選ぶ。
② 児に、自分の痛みの強さを表す顔を選んでもらう。
③ 児の機嫌の良し悪しだけを評価する。
④ 痛みの部位を診断するために使用する。
解答
②
解説
フェイススケールは、複数の顔の絵から、現在感じている痛みの強さに最も近いものを児自身に選んでもらう自己評価法である。看護師が児の表情を見て代わりに選ぶ方法ではない。また、「一番悲しい顔」や「今の気分に似た顔」ではなく、「どのくらい痛いかを表す顔」を選ぶよう説明する必要がある。痛みは主観的な体験であるため、可能な限り本人の自己申告を尊重するが、年齢や認知発達によって信頼性が異なるため、行動や生理的反応も合わせて評価する。
第117問
言葉で痛みを十分に表現できない幼児の疼痛評価として適切なのはどれか。
① 泣いていなければ痛みはないと判断する。
② 心拍数だけで疼痛の強さを決定する。
③ 表情、下肢の動き、活動性、啼泣、慰めへの反応などを観察する。
④ 保護者の情報は主観的であるため使用しない。
解答
③
解説
自己申告が難しい幼児では、表情、身体の動き、活動性、啼泣、慰めへの反応などの行動を系統的に観察する。疼痛があっても、疲労や恐怖によって泣かない児もいるため、啼泣の有無だけでは判断できない。心拍数や呼吸数の変化は疼痛によって生じることがあるが、発熱、不安、脱水などでも変化するため、単独では評価できない。日頃の児を知る保護者から、普段と異なる表情や行動について情報を得ることも重要である。フェイススケールを理解できる場合には自己評価を加え、複数の情報を統合して判断する。
第118問
授乳開始直後に分泌される前乳〈foremilk〉の特徴として正しいものはどれか。
① 授乳後半の乳汁より脂肪含有量が高い。
② 比較的水分が多く、脂肪含有量が低い。
③ 母乳中の水分をほとんど含まない。
④ 初乳と同じ意味である。
解答
②
解説
**前乳〈foremilk〉**は、一回の授乳の比較的早い段階に児が飲む乳汁であり、授乳後半の乳汁と比べて水分が多く、脂肪含有量は低い傾向にある。乳糖やたんぱく質などを含み、児の水分需要にも応える。一方、初乳は分娩後数日間に分泌される乳汁を指すため、前乳とは異なる概念である。前乳と後乳が明確な境界で急に切り替わるわけではなく、授乳が進むにつれて母乳中の脂肪濃度が徐々に増加していくと理解することが重要である。
第119問
後乳〈hindmilk〉の特徴として正しいものはどれか。
① 授乳の後半に得られ、前乳より脂肪を多く含む。
② 授乳開始直後だけに分泌される。
③ 前乳よりエネルギー量が低い。
④ 水分を含まない。
解答
①
解説
**後乳〈hindmilk〉**は授乳が進んだ後半に得られる乳汁で、前乳より脂肪含有量が高く、エネルギー密度も高い傾向にある。脂肪濃度は授乳中に連続的に増加するため、前乳と後乳が完全に別の乳汁として分かれているわけではない。児が乳房を十分に吸うことで、授乳後半の脂肪を多く含む乳汁も摂取でき、満足感や体重増加につながる。したがって、母乳を「薄い前乳」と「濃い後乳」に単純に二分するのではなく、一回の授乳の中で組成が徐々に変化すると理解する。
第120問
前乳と後乳の特徴を踏まえた授乳支援として適切なのはどれか。
① 一定時間ごとに左右の乳房を頻繁に切り替える。
② 児が自ら乳房を離すまで一方の乳房を十分に吸わせ、その後に反対側を勧める。
③ 授乳開始直後の乳汁は栄養がないため捨てる。
④ 後乳だけを搾乳して与えることを原則とする。
解答
②
解説
授乳時間を機械的に区切って左右を頻繁に切り替えると、児が一方の乳房から十分に飲む前に授乳が中断されることがある。そのため、基本的には児が満足して自ら乳房を離すまで一方を十分に吸わせ、その後で反対側を勧める。これによって授乳後半に脂肪濃度が高くなる乳汁も摂取しやすくなる。ただし、毎回必ず両側を飲ませる必要はなく、児の吸啜、満足した様子、排尿、体重増加、母親の乳房状態などを総合して個別に支援する。
第121問
第1度会陰裂傷で損傷する部位はどれか。
① 会陰部の皮膚および腟粘膜
② 会陰筋群
③ 肛門括約筋
④ 直腸粘膜
解答
①
解説
第1度会陰裂傷は、会陰部の皮膚や腟粘膜にとどまる比較的浅い裂傷であり、会陰筋や肛門括約筋には及ばない。出血が少なく、創縁のずれも小さい場合には自然に治癒することもあるが、出血の持続や創部の開大があれば縫合が必要となる。会陰裂傷の分類では、裂傷が「どこまで到達しているか」を順に理解することが重要であり、第1度では皮膚・粘膜、第2度では会陰筋、第3度では肛門括約筋、第4度では直腸粘膜まで損傷が及ぶ。
第122問
第2度会陰裂傷について正しいものはどれか。
① 会陰部の皮膚だけが損傷する。
② 会陰筋まで損傷するが、肛門括約筋には及ばない。
③ 肛門括約筋まで損傷する。
④ 直腸粘膜まで損傷する。
解答
②
解説
第2度会陰裂傷では、皮膚や腟粘膜に加えて会陰筋群まで損傷するが、肛門括約筋は保たれている。会陰筋は骨盤底の支持や腟・肛門周囲の機能に関与しているため、筋層を解剖学的に修復し、創部を正しく縫合する必要がある。産褥期には疼痛、腫脹、発赤、出血、創離開、感染徴候を観察するとともに、排尿や排便、座位や歩行への影響も確認する。
第123問
第3度会陰裂傷で損傷する部位はどれか。
① 会陰部の皮膚のみ
② 会陰筋まで
③ 肛門括約筋まで
④ 直腸粘膜まで
解答
③
解説
第3度会陰裂傷は、会陰部の皮膚、腟粘膜、会陰筋群に加えて、肛門括約筋まで裂傷が及んだ状態である。損傷の程度によって、外肛門括約筋の損傷が50%未満の3a、50%を超える3b、外肛門括約筋と内肛門括約筋の双方が損傷する3cに細分される。適切に修復されなければ、便失禁、ガス失禁、排便時の切迫感などが残る可能性があるため、分娩後には直腸診を含めて裂傷の深さを確認することが重要である。
第124問
第4度会陰裂傷について正しいものはどれか。
① 裂傷は皮膚だけにとどまる。
② 会陰筋まで損傷するが、肛門括約筋は保たれる。
③ 肛門括約筋まで損傷するが、直腸粘膜は保たれる。
④ 肛門括約筋を越えて直腸粘膜まで損傷する。
解答
④
解説
第4度会陰裂傷は、皮膚、腟粘膜、会陰筋、肛門括約筋に加えて、直腸粘膜まで損傷が及ぶ最も深い会陰裂傷である。直腸内と会陰創が交通するため、便による創部汚染や感染、創離開、直腸腟瘻、便失禁などの危険がある。修復後は疼痛管理だけでなく、感染徴候、排便状態、ガスや便を保持できるかなどを継続して評価する必要がある。
第125問
第3度または第4度会陰裂傷を生じた褥婦の退院後に、特に確認すべき症状はどれか。
① ガスや便を保持しにくい。
② 一時的な乳房緊満
③ 授乳時の後陣痛
④ 少量の白色悪露
解答
①
解説
第3度・第4度会陰裂傷では肛門括約筋が損傷するため、退院後にはガス失禁、便失禁、便意を我慢しにくい状態、排便時痛、会陰創の疼痛や離開などがないかを確認する。これらを本人が「産後だから仕方がない」と考えて申告しない場合もあるため、医療者側から具体的に尋ねることが重要である。症状がある場合には、産婦人科だけでなく、必要に応じて骨盤底リハビリテーションや肛門機能の専門的評価へつなげる。
第126問
妊娠糖尿病で胎児が過剰発育しやすくなる機序として正しいものはどれか。
① 母体のインスリンが胎盤を通過し、胎児の脂肪分解を促進する。
② 母体の高血糖により胎児血糖が上昇し、胎児のインスリン分泌が増加する。
③ 胎児のインスリン分泌が低下し、胎児の成長が促進される。
④ 母体の血糖値が高くなると、胎児へのブドウ糖移行が停止する。
解答
②
解説
母体の血糖値が高くなると、ブドウ糖は胎盤を通過して胎児へ移行し、胎児も高血糖となる。一方、母体のインスリンは原則として胎盤を通過しないため、胎児は自ら膵臓からインスリンを多く分泌する。胎児インスリンには成長を促進する作用があるため、脂肪やグリコーゲンの蓄積が進み、LGA児や巨大児となる可能性が高まる。妊娠糖尿病の胎児への影響は、「母体高血糖→胎児高血糖→胎児高インスリン血症→過剰発育」という流れで理解するとよい。
第127問
妊娠糖尿病の母体から出生した新生児が低血糖を起こしやすい主な理由はどれか。
① 出生後も母体から大量のブドウ糖が供給され続けるため
② 出生後に胎盤からのブドウ糖供給は途絶えるが、新生児のインスリン分泌が高い状態で残るため
③ 新生児のインスリン分泌が完全に停止するため
④ 母体のインスリンが出生後に母乳から大量に移行するため
解答
②
解説
胎内で母体高血糖にさらされた胎児は、血糖を処理するためにインスリンを多く分泌している。出生して臍帯が切断されると、胎盤からのブドウ糖供給は急に途絶えるが、児の高インスリン状態はすぐには消失しない。その結果、血糖が急速に低下し、新生児低血糖を起こしやすくなる。振戦、活気不良、哺乳不良、多呼吸、無呼吸、チアノーゼ、けいれんなどは低血糖を疑う所見であり、糖尿病母体児では出生後早期から哺乳状態と血糖を注意して評価する。
第128問
妊娠糖尿病による胎児の過剰発育と関連して、分娩時に生じやすくなるものはどれか。
① 肩甲難産
② 臍帯脱落遅延
③ 胎盤遺残のみ
④ 新生児の乳歯萌出遅延
解答
①
解説
妊娠糖尿病では、胎児高インスリン血症の影響によって体幹や肩周囲に脂肪が蓄積し、LGA児や巨大児となる可能性がある。その結果、児頭が娩出された後に肩甲が恥骨結合へ引っかかる肩甲難産の危険が高くなる。肩甲難産では腕神経叢損傷、鎖骨骨折、低酸素などを生じる可能性があるため、胎児推定体重だけでなく、母体の耐糖能異常や巨大児分娩歴なども含めて分娩リスクを評価する。妊娠糖尿病の治療は、巨大児、LGA児、肩甲難産などの発生を減らすことにつながる。
第129問
メチルドパの投与開始時または増量時に注意する副作用はどれか。
① 眠気や脱力感
② 高度な覚醒状態
③ 永続的な聴力低下
④ 重度の低血糖のみ
解答
①
解説
メチルドパでは、投与開始時や増量時に眠気、脱力感、倦怠感、めまいなどが現れることがある。そのため、症状の有無を観察し、ふらつきによる転倒などを予防する必要がある。降圧薬を使用する妊婦では、薬剤の副作用だけでなく、過度の血圧低下による母体の気分不良や子宮胎盤血流への影響にも注意し、血圧を経時的に評価する。
第130問
メチルドパを使用している妊婦にみられた場合、肝機能障害を疑う所見はどれか。
① 黄疸と肝酵素値の上昇
② 軽度の発汗のみ
③ 一過性のくしゃみ
④ 乳房緊満のみ
解答
①
解説
メチルドパでは、まれに肝炎、肝機能障害、黄疸が生じることがある。そのため、倦怠感、食欲不振、悪心、右上腹部の不快感、皮膚や眼球結膜の黄染などを認めた場合には、AST、ALT、ビリルビンなどを確認する必要がある。また、重篤な血液障害が報告されているため、長期使用時には症状と検査値を継続して観察する。単に血圧が下がっているかだけでなく、薬剤による全身への影響を評価することが重要である。
第131問
妊娠初期に分泌され、黄体を維持してプロゲステロン分泌を継続させるホルモンはどれか。
① ヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉
② ヒト胎盤性ラクトゲン〈hPL〉
③ オキシトシン
④ 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉
解答
①
解説
受精卵が着床すると、絨毛を構成する栄養膜細胞から**ヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉**が分泌される。hCGは黄体形成ホルモンに似た作用をもち、妊娠黄体を維持してプロゲステロンやエストロゲンの分泌を継続させる。プロゲステロンは子宮内膜を妊娠維持に適した状態へ保ち、子宮筋の過度な収縮を抑えるため、胎盤が十分にホルモン産生を担えるようになるまでの妊娠初期に黄体を維持することが重要となる。妊娠反応検査では、尿中または血中のhCGを検出して妊娠成立を判断する。胎盤ホルモンは名称だけでなく、hCG=妊娠初期の黄体維持という機序で理解する必要がある。厚生労働省の助産師国家試験でも、hCGとhPLを含む胎盤ホルモンの作用が出題されている。
第132問
ヒト胎盤性ラクトゲン〈hPL〉の作用として適切なのはどれか。
① 母体のインスリン抵抗性を高め、胎児へブドウ糖を供給しやすくする。
② 母体の血糖値を常に低下させる。
③ 胎児の肺でガス交換を開始させる。
④ 胎盤娩出後に乳汁射出反射を起こす。
解答
①
解説
**ヒト胎盤性ラクトゲン〈hPL〉**は胎盤から分泌され、妊娠の進行に伴って増加する。hPLは母体のインスリン作用を弱め、脂肪分解を促すことで、母体がエネルギー源として脂肪酸を利用しやすくし、ブドウ糖を胎児へ優先的に供給できる代謝環境をつくる。一方、この生理的なインスリン抵抗性へ膵臓のインスリン分泌が十分に対応できない場合、母体血糖が上昇して妊娠糖尿病へつながる。したがって、妊娠後半に耐糖能異常が出現しやすくなる背景には、胎盤ホルモンによる生理的変化がある。hPLについては、単純に「胎盤から分泌される」と暗記するのではなく、母体の代謝を変化させて胎児へ栄養を届けるホルモンとして理解する。
第133問
妊娠中のプロゲステロンの作用として最も適切なのはどれか。
① 子宮内膜を妊娠維持に適した状態へ保ち、子宮筋の興奮を抑える。
② 子宮筋収縮を直接増強して分娩を開始させる。
③ 乳腺の筋上皮細胞を収縮させて射乳を起こす。
④ 胎児の動脈管を閉鎖させる。
解答
①
解説
プロゲステロンは妊娠初期には主として妊娠黄体から、その後は胎盤から分泌される。子宮内膜を脱落膜へ変化させて受精卵が発育できる環境を維持するとともに、子宮筋の興奮性を抑え、妊娠中に不必要な子宮収縮が起こりにくい状態をつくる。また乳腺の発達にも関与するが、妊娠中はエストロゲンとともに本格的な乳汁分泌を抑えている。胎盤が娩出されてプロゲステロンとエストロゲンが急激に低下すると、プロラクチンによる乳汁産生作用が現れやすくなる。妊娠維持・子宮収縮の抑制・産後の乳汁分泌開始は、プロゲステロンの変化を軸に関連付けて理解できる。
第134問
妊娠中のエストロゲンの作用として適切なのはどれか。
① 子宮の増大や乳腺組織の発達に関与する。
② 胎児の赤血球を破壊する。
③ 母体の血糖を直接低下させる。
④ 乳腺の筋上皮細胞を収縮させる。
解答
①
解説
妊娠中のエストロゲンは胎盤を中心に産生され、子宮筋の増殖や子宮血流の増加、乳腺組織の発達、外性器や腟の妊娠性変化などに関与する。妊娠末期には子宮筋のオキシトシン受容体や細胞間結合の形成にも影響し、子宮が収縮しやすい状態へ変化していく。一方、乳汁を乳管へ押し出す射乳反射を起こすのはオキシトシンであり、エストロゲンではない。妊娠中の乳房はエストロゲンやプロゲステロンによって発達するが、胎盤娩出後に両ホルモンが急激に低下して初めて、本格的な乳汁分泌が始まりやすくなる。
第135問
臍帯を構成する血管の組み合わせとして正しいものはどれか。
① 臍静脈1本と臍動脈2本
② 臍静脈2本と臍動脈1本
③ 臍静脈2本と臍動脈2本
④ 臍静脈1本と臍動脈1本
解答
①
解説
正常な臍帯には、臍静脈1本と臍動脈2本が存在する。臍静脈は胎盤で酸素と栄養を受け取った血液を胎児へ運び、左右の臍動脈は胎児から二酸化炭素や老廃物を含む血液を胎盤へ戻す。動脈と静脈の名称は酸素濃度によって決まるのではなく、心臓から離れる方向へ流れる血管が動脈、心臓へ戻る方向へ流れる血管が静脈である。そのため胎児循環では、静脈である臍静脈の方が臍動脈よりも酸素濃度の高い血液を運ぶ。1静脈・2動脈という本数と血流方向を組み合わせて理解しておく必要がある。
第136問
出生して呼吸が開始された直後の肺循環の変化として正しいものはどれか。
① 肺血管抵抗が低下し、肺血流量が増加する。
② 肺血管抵抗が上昇し、肺血流量が減少する。
③ 肺血流は完全に停止する。
④ 肺動脈から動脈管を通る血流が必ず増加する。
解答
①
解説
胎児期の肺は液体で満たされ、肺胞が拡張していないため肺血管抵抗が高く、肺へ流れる血液量は少ない。出生後に児が呼吸を始めると肺胞が拡張し、肺内の酸素分圧が上昇することで肺血管が拡張する。その結果、肺血管抵抗が低下して肺血流量が増加し、肺で酸素化された血液が肺静脈から左心房へ戻るようになる。この肺血流の増加が左心房圧を上昇させ、卵円孔の機能的閉鎖にもつながる。出生に伴う循環変化は、単に短絡路が閉鎖するのではなく、呼吸開始→肺血管抵抗低下→肺血流増加という順序で起こる。
第137問
出生後に卵円孔が機能的に閉鎖する主な機序はどれか。
① 肺血流が増加して左心房圧が右心房圧より高くなる。
② 肺血流が減少して右心房圧が上昇する。
③ 臍静脈血流が増加して右心房圧が上昇する。
④ 動脈血酸素分圧が低下して弁が収縮する。
解答
①
解説
胎児期には肺血管抵抗が高く、右心房圧が比較的高いため、血液は卵円孔を通って右心房から左心房へ流れる。出生後に呼吸が始まると肺血流が増加し、肺静脈から左心房へ戻る血液量が増えることで左心房圧が右心房圧を上回る。その圧差によって卵円孔弁が心房中隔へ押し付けられ、機能的閉鎖が起こる。また臍帯結紮によって胎盤から右心房へ戻る血流が減少することも、右心房圧の低下に関係する。厚生労働省の助産師国家試験でも、「生後の肺血流量の増加によって卵円孔が閉鎖する」という出生後の循環変化が確認されている。
第138問
出生後に動脈管が収縮する主な要因はどれか。
① 動脈血酸素分圧の上昇
② 動脈血酸素分圧の低下
③ 肺血流量の完全な停止
④ 臍静脈血流量の増加
解答
①
解説
胎児期の動脈管は肺動脈と下行大動脈を連絡し、肺を迂回させる短絡路として機能する。出生後に呼吸が始まると動脈血酸素分圧が上昇し、胎盤が切り離されることで動脈管を開存させる方向に作用していたプロスタグランジン濃度も低下する。これらによって動脈管の平滑筋が収縮し、機能的閉鎖が進む。したがって「酸素分圧の上昇によって動脈管が開く」という説明は誤りであり、実際には酸素分圧の上昇が閉鎖を促進する。先天性心疾患によっては動脈管開存が生命維持に必要となるため、プロスタグランジンE1を投与して意図的に開存させる場合もある。
第139問
出生後の臍帯結紮によって起こる循環変化として適切なのはどれか。
① 胎盤循環が遮断され、体血管抵抗が上昇する。
② 胎盤循環が増加し、体血管抵抗が低下する。
③ 肺血管抵抗が上昇して肺血流が減少する。
④ 卵円孔を通る右左短絡が増加する。
解答
①
解説
胎児期の胎盤は血管抵抗の低い大きな循環経路として体循環へ接続している。出生後に臍帯を結紮すると、この低抵抗の胎盤循環が切り離されるため、全身の体血管抵抗は上昇する。同時に臍静脈から右心房へ戻る血流がなくなるため右心房圧は低下し、呼吸開始による肺血流増加で左心房圧は上昇する。この左右心房の圧関係の逆転が卵円孔の閉鎖を促す。出生時の循環移行は、肺だけの変化ではなく、呼吸開始と胎盤循環の遮断が同時に作用して成立する。
第140問
妊娠高血圧症候群の妊婦にラベタロールを投与する際、母体および胎児・新生児で特に注意する所見はどれか。
① 過度の血圧低下や徐脈
② 高血糖と頻脈のみ
③ 甲状腺腫大
④ 高体温と多尿
解答
①
解説
ラベタロールはα₁遮断作用とβ遮断作用をもつ降圧薬であり、末梢血管抵抗を低下させて血圧を下げる。投与中は母体の血圧だけでなく、脈拍、めまい、ふらつき、倦怠感などを観察し、過度の血圧低下や徐脈に注意する。妊婦へ投与した場合には胎盤を介して胎児へ影響する可能性があり、胎児徐脈や、新生児の低血圧・徐脈などが報告されている。そのため母体の降圧効果だけで判断せず、胎児心拍数や出生後の新生児循環状態も確認する必要がある。PMDA資料でも、妊婦への投与時は母体・胎児を十分に観察し、過度の血圧低下、胎児および新生児の徐脈や低血圧に注意するよう示されている。
第141問
臍帯のWharton〈ワルトン〉膠様質の主な役割はどれか。
① 臍帯血管を外力や圧迫から保護する。
② 胎児の赤血球を産生する。
③ 羊水を胎児の膀胱へ送る。
④ 胎盤からhCGを分泌する。
解答
①
解説
Wharton〈ワルトン〉膠様質は、水分を多く含むゼラチン状の結合組織であり、臍静脈1本と臍動脈2本の周囲を満たしている。弾力性のある組織によって臍帯血管を包み、臍帯が曲がったり一時的に圧迫されたりした際に、血管が完全につぶれることを防ぐ役割をもつ。
ただし、臍帯巻絡、臍帯過短、羊水過少、臍帯脱出などによって強い圧迫が加われば、Wharton膠様質があっても胎児血流が障害される可能性がある。臍帯の表面は羊膜によって覆われ、その内側にWharton膠様質と臍帯血管が存在する。厚生労働省の助産師国家試験でも、臍帯の構造とWharton膠様質の位置関係が出題されている。
第142問
臍帯血管が一時的に圧迫された場合に、胎児心拍数陣痛図でみられやすいのはどれか。
① 変動一過性徐脈
② 早発一過性徐脈
③ 一過性頻脈のみ
④ 基線細変動の持続的増加のみ
解答
①
解説
臍帯が圧迫されると、まず臍静脈血流が減少し、圧迫が強くなると臍動脈血流にも影響する。胎児の血圧変化に対して圧受容体反射が生じ、胎児心拍数が急速に低下する。このため、臍帯圧迫では一般に変動一過性徐脈がみられやすい。
変動一過性徐脈は、子宮収縮との時間的関係や波形が毎回一定ではなく、急激な心拍数低下と回復を示すことが特徴である。破水後や羊水量が少ない場合には、臍帯が圧迫されやすくなる。反復する場合は母体体位の変更、子宮収縮の状態、臍帯脱出の有無、胎児心拍数基線や基線細変動などを総合して評価する。日本産婦人科医会も、破水後の臍帯圧迫と変動一過性徐脈の関連を示している。
第143問
妊娠後期の妊婦が仰臥位になった際、顔面蒼白、悪心、冷汗および血圧低下がみられた。主な原因はどれか。
① 増大した子宮が下大静脈を圧迫した。
② 胎盤からのhCG分泌が急増した。
③ 肺血管抵抗が急激に上昇した。
④ 卵円孔が再開通した。
解答
①
解説
妊娠後期に仰臥位をとると、増大した子宮が脊柱の前方を走行する下大静脈を圧迫することがある。下大静脈が圧迫されると心臓へ戻る静脈血が減少し、心拍出量と血圧が低下する。これが仰臥位低血圧症候群である。
妊婦には悪心、あくび、めまい、冷汗、顔面蒼白、頻脈、血圧低下などがみられ、重症では意識障害やショックに至る可能性がある。母体心拍出量の低下に伴って子宮胎盤血流も減少するため、胎児心拍数異常を起こすこともある。日本産婦人科医会は、妊産婦の仰臥位低血圧症候群を子宮による大静脈圧迫に起因する病態として示している。
第144問
仰臥位低血圧症候群が疑われる妊婦への最初の対応として最も適切なのはどれか。
① 左側臥位へ体位を変更する。
② 仰臥位を維持して経過を見る。
③ 腹部を強く右側へ圧迫する。
④ 直ちに歩行させる。
解答
①
解説
仰臥位低血圧症候群が疑われた場合は、まず左側臥位へ体位を変更する。左側臥位によって子宮が下大静脈上から移動し、静脈還流量、心拍出量、血圧および子宮胎盤血流の改善が期待できる。
外傷対応や処置の都合で完全な左側臥位が難しい場合には、身体を左側へ15~30度傾ける、または子宮を用手的に左方へ移動させる方法が用いられる。体位変換後は、母体の意識、血圧、脈拍、自覚症状に加えて胎児心拍数を確認する。症状が改善しなければ、別の出血性・心血管系病態も考えて緊急評価を進める。
第145問
分娩第1期の産痛の主な原因はどれか。
① 子宮筋の収縮と子宮頸管の開大
② 児頭による会陰部の伸展のみ
③ 胎盤娩出後の子宮復古
④ 乳頭への吸啜刺激
解答
①
解説
分娩第1期の産痛は、主として子宮筋の収縮、子宮頸管の開大、子宮下部の伸展によって生じる。子宮収縮に伴って筋組織が一時的に虚血状態となることも、疼痛の発生に関与する。
第1期の痛みは内臓痛として伝達され、一般に下腹部や腰仙部に感じられる。分娩が進行して児頭が下降すると、膀胱、直腸、骨盤底などへの圧迫も加わる。これに対し、分娩第2期では腟や会陰の伸展による体性痛が強くなる。産痛の部位や性質の変化を観察することは、単なる疼痛評価だけでなく、分娩進行をアセスメントする手がかりにもなる。
第146問
分娩第1期の産痛が主に伝達される脊髄分節はどれか。
① C1~C4
② T10~L1
③ L4~S1のみ
④ S2~S4のみ
解答
②
解説
分娩第1期における子宮体部、子宮下部および子宮頸管からの疼痛刺激は、主として交感神経線維を介し、**胸髄第10分節から腰髄第1分節〈T10~L1〉**へ伝達される。したがって、第1期には下腹部だけでなく腰背部にも痛みを感じることがある。
一方、分娩第2期に腟下部や会陰が伸展することで生じる体性痛は、主として陰部神経を通り、仙髄第2~第4分節へ伝達される。産痛の神経伝達経路を理解すると、硬膜外麻酔や陰部神経ブロックの作用範囲を整理しやすくなる。
第147問
分娩第2期に強くなる会陰部の疼痛を主に伝える神経はどれか。
① 迷走神経
② 横隔神経
③ 陰部神経
④ 顔面神経
解答
③
解説
分娩第2期では、下降した児頭によって腟下部、外陰部、会陰および骨盤底が強く伸展される。この体性痛を主に伝えるのは陰部神経であり、仙髄第2~第4分節〈S2~S4〉へ入力される。
第1期の子宮収縮や子宮頸管開大による内臓痛と比較すると、第2期の痛みは局在が比較的明確で、鋭く強い痛みとして感じられやすい。陰部神経ブロックは、会陰切開や会陰縫合、器械分娩などに伴う会陰部痛の軽減に用いられるが、子宮収縮に由来する第1期の痛みを十分に遮断する方法ではない。
第148問
腰仙部に強い産痛を訴える産婦への非薬物的援助として適切なのはどれか。
① 仙骨部を持続的に圧迫する。
② 産婦の希望にかかわらず仰臥位へ固定する。
③ 陣痛中に腹部を強く叩く。
④ 呼吸を長時間止めるよう指導する。
解答
①
解説
腰仙部に強い産痛がある場合には、陣痛に合わせて仙骨部を手掌や拳、テニスボールなどで圧迫する方法が用いられる。圧迫やマッサージによる皮膚・深部組織への刺激が、疼痛刺激の認識を弱める可能性があるほか、産婦が「自分のつらい部位に援助してもらえている」と感じることも安心につながる。
ほかにも、呼吸法、温罨法、シャワー、体位変換、歩行、揺れる動作、音楽などが非薬物的産痛緩和として利用される。ただし、助産師が一方的に方法を決めるのではなく、産婦本人が心地よいと感じる刺激、体位、強さを確認しながら調整する必要がある。正常分娩では、女性の希望と状態に合わせた助産ケアが重視されている。
第149問
胎盤を介した酸素および二酸化炭素の移動方法として正しいのはどれか。
① 主として分圧差に基づく単純拡散
② 母体の白血球による貪食
③ 胎児の能動的な嚥下
④ 臍帯血管の蠕動運動
解答
①
解説
胎盤における酸素と二酸化炭素の交換は、主として母体血と胎児血の分圧差に基づく単純拡散によって行われる。酸素は母体血から胎児血へ、二酸化炭素は胎児血から母体血へ移動する。
胎児血は母体血より酸素分圧が低いが、胎児ヘモグロビンの高い酸素親和性、胎児血中の高いヘモグロビン濃度、母体・胎児間の二重Bohr効果などによって、胎児は効率よく酸素を取り込める。胎盤は肺のような役割を果たすが、母体血と胎児血が正常に直接混合してガス交換するわけではない。胎盤機能や子宮胎盤血流が低下すると、胎児への酸素供給も障害される。
第150問
胎盤を介した母体から胎児へのブドウ糖移送として正しいのはどれか。
① 担体を介する促進拡散
② 胎児赤血球による貪食
③ 臍動脈による能動輸送
④ 母体インスリンと結合した状態での移送
解答
①
解説
ブドウ糖は胎児の主要なエネルギー源であり、胎盤の糖輸送担体を介した促進拡散によって、主として母体側から胎児側へ移動する。移動方向と量は母体・胎児間の濃度差の影響を受けるため、母体血糖が上昇すれば胎児へ移行するブドウ糖も増加しやすい。
一方、母体のインスリンは通常、胎盤をほとんど通過しない。したがって母体高血糖によって胎児血糖が上昇すると、胎児自身の膵臓がインスリン分泌を増加させる。この胎児高インスリン血症が持続すると、脂肪蓄積や過剰発育につながる。第126問で扱った巨大児の機序につながる知識だが、本問は胎盤におけるブドウ糖そのものの移送方法を問うものである。
第151問
正常に経過している分娩第1期の産婦への援助として最も適切なのはどれか。
① 分娩終了まで仰臥位を維持させる。
② 産婦が楽だと感じる体位や移動を選択できるようにする。
③ 胎児心拍数が正常でも歩行を禁止する。
④ 子宮口が全開大するまで同一体位を保たせる。
解答
②
解説
母児の状態が安定している分娩第1期では、産婦が歩行、立位、座位、側臥位、四つ這いなどから楽だと感じる体位を選択し、必要に応じて動けるよう支援する。体位を自分で選べることは、産痛への対処、安心感、主体的な出産参加につながる。
WHOは、低リスクの産婦について、分娩中の移動と直立姿勢を推奨している。重要なのは、特定の体位を一律に強制することではなく、産婦の希望、疲労、疼痛部位、胎児心拍数、破水の有無、医療処置などを確認して安全に選択できるようにすることである。
第152問
分娩第1期に直立姿勢をとる利点として最も適切なのはどれか。
① 重力を利用して胎児の下降を促すことができる。
② 子宮収縮を完全に消失させる。
③ 胎児心拍数の観察が不要になる。
④ すべての産婦で産痛がなくなる。
解答
①
解説
立位、歩行、椅子に座る姿勢などの直立姿勢では、重力を利用して胎児先進部が骨盤内へ下降しやすくなる。また、骨盤を動かしたり体位を変更したりすることで、産婦が自分に合った産痛への対処方法を見つけやすくなる。
ただし、直立姿勢をとれば必ず分娩時間が短縮する、あるいは産痛が消失するわけではない。疲労、硬膜外鎮痛、胎児心拍数異常、出血、転倒リスクなどがある場合は、安全性を優先して体位を調整する。WHOは正常な分娩経過において、移動や直立姿勢を選択できるようにすることを推奨している。
第153問
分娩第1期の産婦が腰痛を強く訴えている。体位の工夫として適切なのはどれか。
① 四つ這いや前傾姿勢を試す。
② 必ず仰臥位に固定する。
③ 頭低位にして動かさない。
④ 下肢を伸展した砕石位を維持する。
解答
①
解説
腰仙部に強い痛みがある産婦では、四つ這い、膝立ち、椅子やベッドへ寄りかかる前傾姿勢などを試すことができる。これらの体位では腹部の重量が前方へ移り、腰仙部への圧迫感が軽減する場合がある。また、仙骨部の圧迫やマッサージを組み合わせることもできる。
体位による快・不快には個人差が大きいため、「腰痛には必ず四つ這い」と固定的に考えるのではなく、産婦の反応を確認しながら変更する。正常経過であれば、産婦が自由に体位を選び、動ける環境を整えることが基本となる。
第154問
分娩第1期の産婦に定期的な排尿を促す主な理由はどれか。
① 膀胱の充満による胎児先進部の下降障害を防ぐため
② 羊水量を増加させるため
③ 子宮頸管を閉鎖させるため
④ 胎盤からのホルモン分泌を停止させるため
解答
①
解説
分娩中に膀胱が著しく充満すると、骨盤内で胎児先進部の下降を妨げたり、子宮の有効な収縮を阻害したりする可能性がある。そのため、産婦の尿意だけに頼らず、最終排尿時刻、膀胱部の膨隆、分娩進行、輸液量などを確認し、定期的な排尿を促す。
疼痛や緊張、硬膜外鎮痛によって尿意を感じにくい場合もある。自然排尿が困難で、膀胱充満が分娩進行へ影響していると考えられる場合には、状況に応じて導尿が検討される。排尿援助は単なる生活援助ではなく、娩出力・産道・胎児の関係を整える分娩管理の一部である。WHOの分娩ケアでも、膀胱機能を含む母体状態の継続的評価が重視されている。
第155問
分娩中に体位を選択する際、最も優先して確認するものはどれか。
① 母体と胎児の安全および産婦の希望
② 医療者が介助しやすいかだけ
③ 病室のベッドの向き
④ 家族が希望する体位だけ
解答
①
解説
分娩中の体位は、母体と胎児の状態を確認したうえで、産婦本人の希望や快適さを尊重して選択する。胎児心拍数異常、出血、臍帯脱出の危険、重度の高血圧、鎮痛による運動機能低下などがある場合には、安全確保のために体位や活動範囲を制限することがある。
一方、低リスクで正常に進行している産婦を、医療者側の都合だけで仰臥位や砕石位へ固定することは望ましくない。WHOは、尊重される分娩ケアの一環として、女性が移動や出産体位を選択できることを重視している。
第156問
オキシトシン製剤の使用目的として適切なのはどれか。
① 分娩誘発や微弱陣痛における子宮収縮の促進
② 胎児の肺成熟促進
③ 妊娠悪阻の治療
④ 子宮収縮の完全な抑制
解答
①
解説
オキシトシン製剤は、子宮筋のオキシトシン受容体へ作用して子宮収縮を起こす。主な適応には、分娩誘発、微弱陣痛に対する分娩促進、弛緩出血、胎盤娩出前後、子宮復古不全などがある。
分娩誘発・促進に使用する場合は、母体の子宮収縮だけでなく、胎児心拍数を継続的に評価しながら投与量を慎重に調整する必要がある。目的は単に陣痛を強くすることではなく、母体と胎児の安全を保ちながら有効な子宮収縮を得ることである。
第157問
オキシトシン製剤の投与中に最も注意すべき子宮収縮の異常はどれか。
① 過強陣痛
② 子宮収縮の完全な消失のみ
③ 後陣痛の消失
④ 妊娠初期のBraxton Hicks収縮
解答
①
解説
オキシトシンの投与量に対して子宮が過剰に反応すると、収縮が強すぎる、持続時間が長い、収縮間隔が短すぎるといった過強陣痛が生じる可能性がある。子宮収縮の間隔が短くなると、収縮と収縮の間に子宮胎盤血流が十分に回復せず、胎児低酸素を引き起こすおそれがある。
さらに、母体では子宮破裂や頸管裂傷、胎児では胎児機能不全など重大な事態につながる可能性がある。したがって、投与中は陣痛の頻度・持続時間・強さ、子宮の弛緩状態、胎児心拍数を継続して観察する。PMDAは子宮収縮薬の適正使用と過強陣痛、胎児機能不全などへの注意を求めている。
第158問
オキシトシン投与中に過強陣痛と反復する胎児心拍数低下が認められた。最初に行う対応として適切なのはどれか。
① オキシトシン投与を中止する。
② 投与速度をさらに上げる。
③ 産婦を歩行させる。
④ 胎児心拍数の記録を終了する。
解答
①
解説
オキシトシン投与中に過強陣痛や胎児心拍数異常が生じた場合は、まずオキシトシン投与を中止し、応援を要請して母体体位の調整、母体血圧や酸素化の確認など必要な処置を進める。投与を継続または増量すると、子宮胎盤血流がさらに低下し、胎児低酸素が悪化する可能性がある。
同時に、子宮収縮の頻度・持続時間、胎児心拍数基線、基線細変動、一過性徐脈、母体の血圧・脈拍・出血などを評価する。改善しなければ、急速遂娩を含む対応が検討される。PMDAの適正使用資料でも、異常が認められた場合の投与中止と迅速な対応が重視されている。
第159問
オキシトシン製剤を投与する際の方法として適切なのはどれか。
① 少量から開始し、子宮収縮と胎児心拍数を確認しながら調整する。
② 投与開始直後から最大量を急速静注する。
③ 胎児心拍数を確認せず、疼痛の強さだけで増量する。
④ 子宮収縮が過剰でも同じ速度を維持する。
解答
①
解説
分娩誘発・促進を目的とするオキシトシンは、通常、輸液ポンプなどを使用して少量から開始し、一定時間ごとに子宮収縮と胎児心拍数を評価しながら段階的に調整する。感受性には個人差が大きく、同じ投与量でも子宮の反応は異なる。
急速な投与や不用意な増量は、過強陣痛、胎児機能不全、子宮破裂などの危険を高める。投与前には適応と禁忌、胎位、児頭下降度、子宮頸管の状態、既往帝王切開などを確認し、緊急対応が可能な環境で使用する。
第160問
プロスタグランジンF₂α〈PGF₂α〉の作用として正しいものはどれか。
① 子宮平滑筋を収縮させる。
② 子宮収縮を完全に抑制する。
③ 乳汁産生を直接促進する。
④ 胎児の卵円孔を閉鎖させる。
解答
①
解説
**プロスタグランジンF₂α〈PGF₂α〉**には子宮平滑筋を収縮させる作用があり、製剤は適応に応じて陣痛誘発・分娩促進などに使用される。プロスタグランジンは分娩開始の生理にも関与し、子宮筋収縮だけでなく、子宮頸管の熟化に関連するものもある。
薬剤として使用する場合は、オキシトシンと同様に過強陣痛や胎児機能不全へ注意する必要がある。また、子宮収縮薬を同時に重ねて使用すると収縮が過剰になる危険があるため、投与方法や使用間隔を厳格に守る。PMDAの添付文書では、PGF₂α製剤が生理的な子宮収縮作用を有し、妊娠末期の陣痛誘発・分娩促進に用いられることが示されている。
神奈川県立衛生看護専門学校 助産師学科
受験者報告をもとに再現した学科試験(第161~170問)
※受験者報告にある「子癇発作前駆症状」「マタニティブルーズの看護」「産後うつ」から、第1~160問で扱っていない子癇発作時の安全確保、硫酸マグネシウムの作用と副作用、産後メンタルヘルスの具体的な支援判断に限定して復元しています。既出問題との中心論点の重複がないことを確認しています。
第161問
子癇発作を起こした妊婦への対応として最も適切なのはどれか。
① 四肢を強く押さえつける。
② 口腔内へ舌圧子を挿入する。
③ 周囲の危険物を除き、気道確保と酸素化を優先する。
④ 発作中に経口薬を服用させる。
解答
③
解説
子癇発作時には、まず母体の転落や打撲を防ぐために周囲の危険物を除き、応援を要請して気道・呼吸・循環の確保を進める。可能であれば左側臥位として気道を確保し、酸素投与、吸引、静脈路確保などを準備する。
発作中に四肢を強く押さえると骨折や筋損傷を起こす危険があり、口腔内へ指や器具を入れると口腔損傷や窒息につながる。発作中は嚥下できないため、経口薬や飲水も行わない。発作の持続時間、意識状態、呼吸、血圧、胎児心拍数を確認し、母体の安定化を最優先に対応する。
第162問
子癇の治療および発作予防に第一選択として用いられる薬剤はどれか。
① 硫酸マグネシウム
② インスリン
③ オキシトシン
④ メトクロプラミド
解答
①
解説
**硫酸マグネシウム〈MgSO₄〉**は、子癇発作の治療および重症妊娠高血圧腎症における発作予防に用いられる代表的な薬剤である。中枢神経系の興奮を抑え、神経筋伝達を抑制することで抗けいれん作用を示す。
硫酸マグネシウムは降圧薬ではないため、著しい高血圧がある場合には、必要に応じて降圧薬を併用する。子癇管理では、発作を抑えること、母体の酸素化を維持すること、重症高血圧を安全に管理することを区別して理解する必要がある。硫酸マグネシウムは、子癇の予防と治療に有効な薬剤として承認されている。
第163問
硫酸マグネシウム投与中に、過量投与を疑う所見はどれか。
① 深部腱反射の消失
② 反射の著明な亢進
③ 頻呼吸
④ 多尿
解答
①
解説
硫酸マグネシウムの血中濃度が上昇すると、神経筋伝達が過度に抑制され、深部腱反射の減弱または消失がみられる。さらに濃度が上昇すると、筋力低下、呼吸抑制、意識障害、徐脈、心停止などを起こす危険がある。
投与中は、呼吸数、酸素化、膝蓋腱反射などの深部腱反射、意識状態、尿量を継続して観察する。筋力低下や呼吸抑制は重要な副作用であり、異常が認められた場合には投与を中止して速やかに対応する。
第164問
硫酸マグネシウム投与中に尿量を確認する主な理由はどれか。
① 硫酸マグネシウムは主として腎臓から排泄されるため
② 尿量が増えるほど子宮収縮が強くなるため
③ 尿量によって胎児の性別が分かるため
④ 硫酸マグネシウムが尿中でブドウ糖へ変化するため
解答
①
解説
硫酸マグネシウムは主として腎臓から排泄されるため、腎機能が低下して尿量が減少すると、体内に蓄積して中毒を起こしやすくなる。妊娠高血圧腎症では腎血流の低下や腎機能障害を伴うことがあるため、特に注意が必要である。
投与中は時間尿量を確認し、尿量減少がある場合には、血中マグネシウム濃度の測定や投与量の調整が必要となる。深部腱反射、呼吸数、意識状態と併せて評価し、尿量だけで安全性を判断しないことが重要である。腎機能低下時には血中濃度を適宜測定することが推奨されている。
第165問
硫酸マグネシウム中毒による呼吸抑制が疑われた際に、拮抗薬として用いられるのはどれか。
① カルシウム製剤
② 葉酸製剤
③ 鉄剤
④ ビタミンK製剤
解答
①
解説
硫酸マグネシウムの過量投与によって深部腱反射消失、筋力低下、呼吸抑制などが生じた場合には、投与を中止し、呼吸管理を行うとともに、カルシウム製剤が拮抗薬として用いられる。カルシウムは神経筋接合部におけるマグネシウムの作用へ拮抗し、呼吸抑制や循環抑制の改善を図る。
ただし、カルシウム製剤を投与すれば観察が不要になるわけではない。気道確保、人工呼吸を含む呼吸管理、心電図、血圧、意識状態、血中マグネシウム濃度などを継続して評価する必要がある。
第166問
重症妊娠高血圧腎症の妊婦に硫酸マグネシウムと降圧薬を併用する理由として正しいものはどれか。
① 硫酸マグネシウムは発作を予防し、降圧薬は重症高血圧を改善するため
② 両薬剤とも乳汁分泌を促進するため
③ 硫酸マグネシウムだけでは子宮収縮が強くなるため
④ 降圧薬だけでは胎児の肺成熟が遅れるため
解答
①
解説
硫酸マグネシウムの主な目的は、子癇発作の予防と治療であり、血圧を十分に下げるための薬剤ではない。一方、降圧薬は重症高血圧による脳出血、心不全、臓器障害などを予防するために使用される。
したがって重症妊娠高血圧腎症では、必要に応じて硫酸マグネシウムと降圧薬を併用し、異なる病態へ対応する。急激または過度な降圧は子宮胎盤血流を低下させる可能性があるため、母体血圧と胎児心拍数を継続的に監視しながら調整する。
第167問
マタニティブルーズが疑われる褥婦への看護として最も適切なのはどれか。
① 気分の変化を否定し、育児へ集中するよう促す。
② 話を傾聴し、休息を確保しながら症状の経過を観察する。
③ 母子を直ちに長期間分離する。
④ 一過性なので自傷念慮の確認は不要である。
解答
②
解説
マタニティブルーズでは、涙もろさ、不安、焦燥感、気分の変動などがみられる。看護では、本人のつらさを否定せずに話を傾聴し、睡眠と休息を確保し、育児負担を調整することが重要である。
多くは産後早期に出現し自然に軽快するが、症状の持続や悪化、強い自責感、育児不能感、自傷念慮などがあれば、産後うつ病を含む精神疾患の可能性を評価する。マタニティブルーズだから必ず安全とは限らず、母親と児の安全、家族の支援状況、睡眠状態を継続的に確認する必要がある。
第168問
産後うつ病を疑う所見として最も注意すべきものはどれか。
① 産後数日の一時的な涙もろさ
② 持続する抑うつ気分と育児への著しい支障
③ 授乳後に一時的な眠気がある。
④ 児の啼泣時に短時間困惑する。
解答
②
解説
産後うつ病では、抑うつ気分、興味や喜びの低下、強い不安、自責感、睡眠障害、食欲変化、集中困難などが持続し、日常生活や育児に明らかな支障を生じることがある。自傷念慮や児を傷つける考えがある場合は、緊急性の高い状態として対応する。
マタニティブルーズは産後早期にみられる一過性の変化であることが多いが、産後うつ病は治療や専門的支援を必要とする場合がある。症状の時期だけで機械的に区別せず、重症度、持続期間、生活への影響、安全性を総合して判断する。
第169問
産後の褥婦が「消えてしまいたい」と話した。最も適切な対応はどれか。
① 気を引くための発言と考えて様子を見る。
② その場で自傷の具体的な考えや手段を確認し、一人にせず支援へつなぐ。
③ 不安を増やさないよう自殺について質問しない。
④ 家族にも伝えず本人だけで休ませる。
解答
②
解説
「消えてしまいたい」「死にたい」などの発言があった場合は、曖昧に扱わず、自傷の考え、具体的な計画、手段、実行時期、過去の自傷歴などを直接確認する。自殺について尋ねること自体が自殺を誘発するわけではなく、安全性を評価するために必要である。
危険性が否定できない場合は本人を一人にせず、児の安全も確保し、医師、精神科、地域の母子保健担当者、家族などへ速やかにつなぐ。EPDSの総得点だけでなく、自傷に関する項目への回答は特に慎重に確認する必要がある。EPDSは確定診断ではなく、支援の必要性を把握するためのスクリーニングである。
第170問
産後の精神状態を継続して支援するうえで最も適切なのはどれか。
① EPDSの得点だけで支援の要否を決定する。
② 母親の心理状態、睡眠、育児状況、家族支援を総合して評価する。
③ 一度EPDSが低得点なら、その後の確認は不要である。
④ 児の状態が良好なら母親の精神状態は評価しない。
解答
②
解説
産後のメンタルヘルス評価では、EPDSなどの質問票だけでなく、本人の表情や発言、睡眠、食事、身体的回復、授乳と育児の状況、児への感情、家族関係、経済的・社会的支援を総合して評価する。
EPDSは産後うつ病の可能性を把握するためのスクリーニングであり、得点だけで診断や支援の要否を決めるものではない。産後2週間時点では問題がなくても、育児負担や睡眠不足が重なって後から症状が出現する場合があるため、妊娠期から産後まで切れ目なく支援し、必要に応じて産婦健康診査、産後ケア、訪問支援、精神科医療へつなげる。
第171問
正常な胎便の性状として正しいものはどれか。
① 黄白色で硬く、強い腐敗臭がある。
② 黒緑色で粘稠性があり、通常は無臭である。
③ 鮮紅色で水様性である。
④ 白色から灰白色である。
解答
②
解説
胎便は、胎内で嚥下した羊水、腸管の分泌物、胆汁色素、脂肪、コレステロール、剝離した上皮細胞などによって構成される。一般に黒色から緑がかった黒色で、粘稠性が強く、通常は明らかな臭気を認めない。
出生後に哺乳が始まると、胎便へ乳汁由来の便が混ざり、次第に黄色みを帯びた移行便へ変化する。白色または灰白色の便は胆汁が腸管へ排泄されていない可能性があり、正常な胎便とは異なる。
第172問
正常な正期産児における胎便の初回排泄時期として最も適切なのはどれか。
① 生後24~48時間以内
② 生後5~7日頃
③ 生後2週間頃
④ 生後1か月頃
解答
①
解説
正常な新生児では、胎便は通常、出生後24時間以内に排泄され、多くは遅くとも48時間以内に確認される。胎便の排泄時刻は、新生児の消化管が開通し、腸蠕動が機能しているかを評価する重要な情報である。
胎便が48時間を過ぎても排泄されない場合には、単なる個人差と決めつけず、腹部膨満、嘔吐、哺乳不良などの有無を確認する。先天性消化管閉鎖、Hirschsprung〈ヒルシュスプルング〉病、胎便関連性腸閉塞などの可能性を考えて評価する必要がある。
第173問
生後3日目の新生児に、黒緑色の便と黄色の便が混じった便を認めた。この便はどれか。
① 胎便
② 移行便
③ 胆道閉鎖症による便
④ 消化管出血による便
解答
②
解説
出生後に哺乳が進むと、黒緑色の胎便へ乳汁由来の黄色い便が混ざり始める。この胎便から乳便へ移行する途中の便を移行便という。一般に生後2~4日頃にみられ、黒緑色、褐色、黄色などが混在した不均一な外観となる。
その後、胎便が排出されて乳汁摂取量が増えると、黄色から黄褐色の便へ変化する。生後3~4日目に移行便がみられることは、哺乳と腸管機能が進んでいる正常な経過の一つである。
第174問
生後4日目の正期産児で、哺乳力と活気が良好である。排便として最も正常な経過と考えられるのはどれか。
① 黒緑色と黄色が混じった移行便
② 灰白色の便
③ 鮮血のみの便
④ 腹部膨満を伴う排便停止
解答
①
解説
生後4日目頃には、胎便から黄色い乳便へ変わる途中の移行便がみられることがある。児の活気、吸啜、排尿、体重の推移が良好で、腹部膨満や嘔吐がなければ、黒緑色と黄色が混じった便は正常な経過と考えられる。
便だけを単独で評価するのではなく、哺乳状況、排尿回数、体重減少率、黄疸、腹部所見を組み合わせて判断する。灰白色便は胆汁排泄障害、鮮血便は消化管出血など、排便停止と腹部膨満は腸閉塞などを疑う所見である。
第175問
母乳栄養児の正常便として適切なのはどれか。
① 黄色から黄褐色で、顆粒を含む軟らかい便
② 常に白色で硬い便
③ 必ず黒色で粘稠な便
④ 常に鮮血が混じった便
解答
①
解説
胎便が排泄され、母乳摂取量が増えると、母乳栄養児では一般に黄色から黄褐色で、顆粒状のものを含む軟らかい便がみられる。水分が多く、一日に複数回排便することもあるが、児の活気や哺乳が良好で体重が増加していれば、直ちに下痢とは判断しない。
人工栄養児と比較すると、母乳栄養児の便は黄色みが強く、軟らかい傾向がある。排便回数には個人差が大きいため、回数だけではなく、便の性状、腹部膨満、哺乳、体重の推移を総合して評価する。
第176問
母乳栄養児に緑色の便がみられた。児の活気と哺乳は良好で、発熱や嘔吐はない。最も適切な判断はどれか。
① 必ず細菌性腸炎である。
② 胆汁色素の変化による正常範囲の便である可能性がある。
③ 胆道閉鎖症を強く示唆する。
④ 消化管出血による便である。
解答
②
解説
新生児や乳児では、黄色の胆汁色素であるビリルビンが腸管内で酸化され、緑色のビリベルジンへ変化することで、緑色便がみられることがある。児の機嫌、哺乳、体重増加が良好で、嘔吐や腹部膨満などを認めなければ、緑色というだけで異常とは限らない。
胆道閉鎖症で問題となるのは、胆汁色素が腸管へ排泄されないために生じる白色、灰白色、淡黄色の便である。便色を評価するときは「緑色だから異常」と単純化せず、児の全身状態と経過を確認する。
第177問
新生児・乳児の便で、胆道閉鎖症を疑う所見はどれか。
① 黄色の顆粒便
② 緑色便
③ 灰白色または極めて淡い色の便
④ 黒緑色の胎便
解答
③
解説
胆道閉鎖症では、肝臓でつくられた胆汁が腸管へ流れにくくなるため、便へ胆汁色素が含まれず、白色、灰白色、クリーム色などの極めて淡い便となる。黄疸が遷延する、尿の色が濃い、便色が薄いといった所見を認める場合には、速やかな医療機関での評価が必要である。
正常な便色には幅があり、黄色、黄褐色、緑色などがみられる。胆道閉鎖症は早期の診断と治療が予後に関係するため、母子健康手帳に掲載された便色カードを利用して保護者と便色を確認することが重要である。
第178問
便色カードを用いる主な目的はどれか。
① 新生児の血液型を推定する。
② 胆道閉鎖症を早期に発見する。
③ 乳歯の萌出時期を予測する。
④ 児の適正な予防接種時期を判断する。
解答
②
解説
母子健康手帳に掲載されている便色カードは、保護者が児の便色とカードを比較し、胆道閉鎖症を早期に発見することを主な目的としている。便色が白色または灰白色に近い場合や、カードの異常側の色に該当する場合には、自己判断で経過をみず、小児科などへ相談する。
胆道閉鎖症では、黄疸が生理的黄疸として見過ごされる可能性がある。皮膚や眼球結膜の黄染だけでなく、便色と尿色を確認することで、胆汁排泄障害を早期に捉えやすくなる。
第179問
生後3日目の新生児に胎便排泄がなく、腹部膨満と緑色の嘔吐がみられる。最も適切な対応はどれか。
① 正常な個人差として退院させる。
② 哺乳量を増やして経過を見る。
③ 消化管閉塞を疑い、速やかに医師へ報告する。
④ 腹部を強くマッサージする。
解答
③
解説
生後48時間を過ぎても胎便が排泄されず、さらに腹部膨満と胆汁性の緑色嘔吐を伴う場合には、消化管閉塞を疑う。Hirschsprung病、腸回転異常症、消化管閉鎖、胎便関連性腸閉塞などの可能性があり、速やかな医学的評価が必要である。
胆汁性嘔吐は、十二指腸より遠位で腸管内容物の通過が障害されている可能性を示す重要な所見である。哺乳を続けると嘔吐や誤嚥、腸管拡張を悪化させる危険があるため、自己判断で哺乳量を増やしてはならない。
第180問
新生児の排便状態から哺乳が十分であるかを評価する際、最も適切なのはどれか。
① 便の回数だけで判断する。
② 便色だけで判断する。
③ 排便の変化に加え、排尿、体重、吸啜、活気を総合して判断する。
④ 排便があれば体重測定は不要である。
解答
③
解説
出生後に胎便から移行便、黄色い乳便へ変化することは、乳汁摂取が進んでいる手がかりの一つである。しかし、便の回数や色だけで哺乳量が十分と断定することはできない。
排尿回数、体重減少率、その後の体重増加、吸啜の強さ、嚥下音、授乳後の満足した様子、皮膚や口腔内の乾燥、活気、黄疸などを統合して評価する。新生児の状態は短時間で変化するため、単一の所見ではなく、出生後の日齢に応じた経時的変化を確認することが重要である。WHOも、母乳摂取の評価では体重、濡れたおむつ、便の推移を継続的に確認するよう示している。
第181問
母体から胎児へのIgG移行の機序として正しいものはどれか。
① 胎盤の受容体を介した能動的な輸送
② 単純拡散のみ
③ 胎児の嚥下運動
④ 臍動脈から母体血中への逆流
解答
①
解説
母体のIgGは、胎盤の栄養膜細胞に存在する新生児型Fc受容体〈FcRn〉へ結合し、受容体を介して胎児側へ輸送される。したがって、単に濃度差に従って移動する単純拡散ではない。
胎盤を介して移行した母体由来IgGは、出生後の新生児が自ら十分な抗体を産生できるようになるまで、感染防御を補う受動免疫として働く。特に妊娠後半に移行量が増えるため、早産児では正期産児より母体由来IgGが少ない場合がある。厚生労働省の助産師国家試験でも、母体から胎児へのIgG移行には能動輸送が働くことが正答として扱われている。
第182問
出生時の新生児に認められる母体由来IgGについて正しいものはどれか。
① 胎盤を通過して児へ移行した受動免疫である。
② 新生児自身が出生直後に大量産生したものである。
③ 母乳だけを介して児の血液中へ移行したものである。
④ 生涯にわたって同じ濃度で維持される。
解答
①
解説
出生時に新生児の血液中に存在するIgGの多くは、妊娠中に胎盤を介して母体から移行した抗体である。これは児自身の免疫反応によって獲得した能動免疫ではなく、母体から一時的に与えられた受動免疫に当たる。
母体由来IgGは出生後に徐々に分解されて減少する。一方、新生児自身のIgG産生はまだ十分ではないため、出生後数か月頃には抗体濃度が一時的に低くなる時期がある。母体由来抗体は感染防御に役立つが、永続する免疫ではない。ワクチン接種は、児自身に抗体産生と免疫記憶を獲得させる能動免疫であり、母体由来IgGとは作用の持続性が異なる。
第183問
IgMについて正しいものはどれか。
① 免疫グロブリンの中で分子量が大きく、通常は胎盤を通過しない。
② 胎盤を最も通過しやすい。
③ 初乳中の主要な免疫グロブリンである。
④ 新生児期には産生されない。
解答
①
解説
IgMは基本的に5つの免疫グロブリン分子が結合した五量体として存在し、分子量が大きいため、通常は胎盤を通過しない。したがって、新生児血中に病原体特異的IgMが認められた場合には、母体由来ではなく、胎児自身が子宮内で抗原刺激を受けて産生した可能性を考える。
IgMは初回の感染や抗原刺激に対して比較的早期に産生され、補体を活性化する作用が強い。胎盤を通過して新生児へ受動免疫を与える中心的な抗体はIgGであり、初乳や母乳で粘膜防御を担う中心的な抗体は分泌型IgAである。厚生労働省資料でも、IgMは分子量が最も大きい免疫グロブリンとして扱われている。
第184問
新生児血中に病原体特異的IgMが認められた場合に考えられるのはどれか。
① 胎児が子宮内で病原体に対する免疫反応を起こした。
② 母体のIgMが胎盤を通過した。
③ 初乳中のIgMがそのまま血中へ大量移行した。
④ 出生時の正常な生理的変化だけである。
解答
①
解説
IgMは分子量が大きく、正常な胎盤をほとんど通過しない。そのため、新生児血中に特定の病原体に対するIgMが検出された場合は、胎児自身が子宮内で感染または抗原刺激を受け、IgMを産生した可能性を示す。
ただし、検査結果だけで先天性感染症を確定することはできず、児の症状、母体の感染歴、病原体の核酸検査、IgM値の推移などを合わせて判断する。IgGは母体由来か児自身が産生したものかを出生直後には区別しにくいが、IgMは胎盤通過性が低いため、胎児感染を考える際の重要な手がかりとなる。
第185問
初乳に多く含まれ、児の消化管粘膜で感染防御に働く免疫グロブリンはどれか。
① 分泌型IgA
② IgD
③ IgE
④ 胎盤由来IgGのみ
解答
①
解説
初乳には分泌型IgAが多く含まれている。分泌型IgAは、児の口腔、咽頭、消化管などの粘膜表面を覆い、病原体が粘膜へ付着・侵入することを防ぐ。
母乳中のIgAは、児の血液中へ大量に吸収されて全身免疫をつくるというより、主として消化管内や粘膜表面で局所的に働く。新生児の消化管は免疫機能が未熟であるため、初乳に含まれるIgA、ラクトフェリン、リゾチーム、免疫細胞などは感染防御を補助する。IgGによる胎盤経由の全身的な受動免疫と、IgAによる母乳経由の粘膜防御を区別する必要がある。
第186問
分泌型IgAの作用として最も適切なのはどれか。
① 病原体が粘膜へ付着するのを防ぐ。
② 子宮平滑筋を収縮させる。
③ 胎児の赤血球産生を促進する。
④ 血糖値を低下させる。
解答
①
解説
分泌型IgAは、消化管や気道などの粘膜表面で病原体や毒素へ結合し、粘膜上皮への付着や侵入を阻止する。この働きは免疫学的排除と呼ばれ、強い炎症を起こさずに病原体を排除しやすい点が特徴である。
母乳中の分泌型IgAは、児の消化酵素によって分解されにくい構造をもち、未熟な新生児・乳児の粘膜免疫を補う。母乳栄養には栄養供給だけでなく、このような局所免疫を与える役割がある。ただし、母乳を与えれば感染症を完全に防げるわけではなく、予防接種や標準的な感染対策も必要となる。
第187問
逆性石けんの作用機序として正しいものはどれか。
① 陽イオン界面活性作用によって微生物の細胞膜などを障害する。
② 微生物を物理的に水だけで洗い流す作用のみである。
③ 抗体を産生させて免疫記憶を形成する。
④ 芽胞を必ず完全に死滅させる。
解答
①
解説
逆性石けんと呼ばれるベンザルコニウム塩化物などは、陽イオン界面活性剤である。微生物の細胞表面へ吸着し、細胞膜や細胞内たんぱく質を障害することで消毒作用を示す。
一般の石けんは主として陰イオン界面活性剤であり、汚れや微生物を水とともに除去する洗浄作用が中心となる。これに対して逆性石けんは消毒薬として使用されるが、すべての微生物に同じ強さで有効ではない。使用目的に応じた濃度へ希釈し、汚れを除去した後に用いる必要がある。ベンザルコニウム塩化物は、手指・皮膚、粘膜、医療機器、環境表面などに対して、それぞれ異なる濃度で使用される。
第188問
逆性石けんを通常の石けんと同時に使用することが不適切な理由はどれか。
① 陰イオン界面活性剤と反応し、消毒作用が低下するため
② 必ず高熱を生じるため
③ 強い酸素を発生させるため
④ IgGを分解するため
解答
①
解説
逆性石けんは陽イオン界面活性剤であり、通常の石けんに含まれる陰イオン界面活性剤と接触すると、互いに結合して作用が弱くなる。そのため、手指や皮膚へ使用する場合には、通常の石けんで洗浄した後、石けん分を水で十分に洗い流してから逆性石けんを使用する。
血液、膿、分泌物などの有機物が付着している場合にも消毒効果が低下するため、消毒前の洗浄が重要である。消毒薬は濃度を高くすれば必ず効果が増すわけではなく、皮膚や粘膜への刺激も強くなる。製剤ごとに定められた用途と希釈濃度を守る必要がある。ベンザルコニウム塩化物製剤の用法でも、石けん分を十分に洗い落とした後に使用することが示されている。
第189問
逆性石けんの消毒効果が期待しにくいものはどれか。
① ノロウイルス
② 一般的な栄養型細菌
③ 一部のグラム陽性菌
④ 一部のグラム陰性菌
解答
①
解説
ベンザルコニウム塩化物などの逆性石けんは、一般的な細菌には一定の消毒効果を示すが、ノロウイルスを完全に失活化する方法としては適していない。ノロウイルスはエンベロープを持たないウイルスであり、界面活性剤やアルコールに対して比較的抵抗性がある。
嘔吐物や便で汚染された環境の処理では、汚染物を物理的に除去した後、適切な濃度の次亜塩素酸ナトリウムによる消毒や加熱が用いられる。消毒薬は「何にでも効く薬剤」ではなく、対象となる病原体、使用部位、有機物の有無によって選択する必要がある。厚生労働省も、逆性石けんではノロウイルスを完全に失活化できず、次亜塩素酸ナトリウムや加熱が有効であるとしている。
第190問
血液や分泌物が付着した器具を逆性石けんで消毒する前の対応として適切なのはどれか。
① まず付着した有機物を十分に洗浄・除去する。
② 汚れを残したまま消毒液へ短時間浸す。
③ 通常の石けんを消毒液へ混ぜる。
④ 消毒液の濃度を自己判断で最大限に高くする。
解答
①
解説
血液、膿、痰、便などの有機物が器具表面に残っていると、消毒薬が微生物へ十分に接触できず、逆性石けんの作用も低下する。そのため、消毒前には適切な防護具を着用し、付着した有機物を洗浄して除去することが重要である。
その後、対象となる器具や病原体に適した消毒薬と濃度、浸漬時間を選択する。逆性石けんが適さない病原体や器材もあるため、すべての器具を同じ方法で処理してはならない。また、希釈液を長期間継ぎ足して使用すると汚染される危険がある。製品の用法、医療機関の感染管理手順、器具の材質を確認して使用する必要がある。
第191問
新生児蘇生において、成人の心肺蘇生と比較して人工呼吸が特に重要な理由はどれか。
① 新生児の徐脈や心停止の多くが低酸素を原因としているため
② 新生児では心臓が存在しないため
③ 胸骨圧迫が禁忌であるため
④ 出生直後は血圧測定だけで蘇生できるため
解答
①
解説
新生児の徐脈や心停止は、成人に多い原発性の心疾患による心停止とは異なり、換気不全や低酸素によって生じる呼吸原性のものが多い。そのため、新生児蘇生では有効な人工呼吸を速やかに開始し、肺を十分に換気することが最も重要となる。
人工呼吸によって肺胞が開き、酸素化と肺血流が改善すると、低酸素によって低下していた心拍数も回復することが多い。したがって、心拍数が低いから直ちに胸骨圧迫へ進むのではなく、まずマスク密着、気道位置、胸郭挙上などを確認し、有効な換気を確立する必要がある。NCPRガイドライン2025でも、新生児蘇生では成人の胸骨圧迫に相当するほど人工呼吸が重要であると示されている。
第192問
マスクによる人工呼吸が有効に行われていることを示す最も重要な所見はどれか。
① 人工呼吸に伴って胸郭が挙上する。
② 腹部だけが著しく膨隆する。
③ マスク周囲から大きな空気漏れ音がする。
④ 心拍数がさらに低下する。
解答
①
解説
有効な人工呼吸では、マスクから送られた空気が肺へ入り、呼吸に合わせて胸郭が適度に挙上する。人工呼吸開始後に心拍数が上昇することも、有効な換気を示す重要な反応である。
胸郭が動かない場合は、マスクの密着不良、頭部位置の不良、気道内の分泌物、換気圧不足などを考える。腹部だけが大きく膨らむ場合は、空気が食道や胃へ入っている可能性がある。適切に換気できていない状態で胸骨圧迫へ進んでも改善は期待しにくいため、まず有効な換気を確保する必要がある。JRCガイドラインでも、換気が不十分な場合は直ちに胸骨圧迫へ進まず、有効な換気の確立を優先するとされている。
第193問
マスクによる人工呼吸を開始したが、胸郭の挙上がみられない。最初に確認することとして適切なのはどれか。
① マスクの密着と児頭の位置
② 児の乳歯の本数
③ 母親の血液型
④ 胎盤の重量
解答
①
解説
胸郭が挙上しない場合には、まずマスクが鼻と口を適切に覆って密着しているか、児頭が気道を確保できる中間位または軽度伸展位になっているかを確認する。新生児では後頭部が大きいため、頭部が過度に屈曲すると気道が閉塞しやすい。
マスクの位置を修正し、下顎を持ち上げ、必要に応じて口を開ける、分泌物を除去する、換気圧を調整するなどの対応を行う。それでも有効な換気が得られない場合には、気管挿管や声門上気道デバイスなど、別の気道確保方法を検討する。2025年版NCPRでは、マスク・バッグ換気が困難な場合の声門上気道デバイスがアルゴリズムにも明示されている。
第194問
新生児蘇生中に動脈血酸素飽和度を測定する際、パルスオキシメータのセンサーを装着する部位として最も適切なのはどれか。
① 右手または右手関節
② 左足のみ
③ 臍帯
④ 胸骨中央部
解答
①
解説
新生児蘇生では、動脈管を通る血液の影響を受けにくい**動脈管前の酸素飽和度〈preductal SpO₂〉**を評価するため、右手または右手関節へパルスオキシメータのセンサーを装着する。
右上肢は、動脈管が合流するより近位の大動脈から血液が供給される。一方、下肢のSpO₂は動脈管を介した右左短絡の影響を受ける可能性がある。出生直後は正常児でもSpO₂が直ちに90%以上になるわけではなく、呼吸開始後に徐々に上昇するため、出生後の経過時間に応じた目標値と比較して酸素投与を調整する。JRCガイドラインでは、出生後1分60%以上、3分70%以上、5分80%以上、10分90%以上が目標値として示されている。
第195問
正期産児に人工呼吸を開始する際の初期酸素濃度として基本となるのはどれか。
① 室内空気相当の21%
② 必ず40%
③ 必ず80%
④ 必ず100%
解答
①
解説
正期産児へ人工呼吸を開始する場合は、原則として**室内空気相当の酸素濃度21%**から開始し、心拍数や動脈管前SpO₂の反応に応じて酸素濃度を調整する。
出生直後の新生児では酸素化が段階的に進むため、成人と同じように直ちに高いSpO₂を目標とする必要はない。必要以上の高濃度酸素は酸化ストレスを増加させ、組織障害につながる可能性がある。一方、心拍数やSpO₂が改善しない場合には酸素濃度を追加・増加させる。酸素は一律の濃度で投与するのではなく、児の反応を評価しながら調整することが重要である。
第196問
有効な人工呼吸後も心拍数が60回/分未満であり、胸骨圧迫を開始する場合の酸素投与として適切なのはどれか。
① 高濃度酸素を使用する。
② 酸素を完全に中止する。
③ 酸素濃度を必ず10%以下にする。
④ 酸素化の評価を行わない。
解答
①
解説
有効な人工呼吸を30秒間行っても心拍数が60回/分未満で、胸骨圧迫が必要となった場合には、高濃度酸素を用いた人工呼吸と胸骨圧迫を連動して行う。この状態では重度の低酸素と循環不全が考えられ、酸素化された血液を重要臓器へ送る必要がある。
胸骨圧迫を開始しても、人工呼吸を中断してはならない。新生児の心停止は呼吸原性が多いため、換気の有効性を継続して確認する。NCPRでは、胸骨圧迫開始時に酸素投与を併用することが明示されている。
第197問
新生児の胸骨圧迫で推奨される手技はどれか。
① 両母指で胸骨を圧迫し、両手で胸郭を包む。
② 片手の手掌全体で胸部を圧迫する。
③ 両手を重ねて成人と同じ方法で圧迫する。
④ 児の腹部を両手で圧迫する。
解答
①
解説
新生児の胸骨圧迫では、両手で胸郭を包み込み、両母指で胸骨下部を圧迫する両母指胸郭包み込み法が推奨される。この方法は、2本の指で胸骨を圧迫する方法よりも、安定した圧迫深度と高い収縮期血圧を得やすい。
圧迫部位は胸骨の下3分の1であり、剣状突起そのものを圧迫しない。圧迫深度は胸郭前後径の約3分の1とし、圧迫後には胸郭が十分に戻るようにする。換気と胸骨圧迫は3対1の比率で連動させ、1分間に胸骨圧迫90回と人工呼吸30回を行う。
第198問
人工呼吸と胸骨圧迫を連動して行った後、心拍数が60回/分以上に上昇した。適切な対応はどれか。
① 胸骨圧迫を中止し、必要に応じて人工呼吸を継続する。
② 胸骨圧迫を必ず30分間継続する。
③ 人工呼吸だけを直ちに中止する。
④ 心拍数を再評価せず経過を見る。
解答
①
解説
人工呼吸と胸骨圧迫によって心拍数が60回/分以上へ上昇した場合は、胸骨圧迫を中止する。一方、心拍数が100回/分未満で自発呼吸が不十分であれば、人工呼吸は継続し、心拍数と呼吸状態を再評価する。
心拍数が100回/分以上となり、十分な自発呼吸が認められれば、人工呼吸を中止して安定化のケアへ移行できる。蘇生処置は、一度開始したら一定時間続けるのではなく、約30秒ごとの評価結果に応じて段階的に減らす、継続する、または追加することが重要である。
第199問
有効な人工呼吸と胸骨圧迫を行っても心拍数が60回/分未満である。次に考慮する薬剤はどれか。
① アドレナリン
② インスリン
③ オキシトシン
④ アスピリン
解答
①
解説
有効な人工呼吸と胸骨圧迫を行っても心拍数が60回/分未満である場合には、アドレナリン投与を考慮する。アドレナリンはα作用による末梢血管収縮とβ作用による心拍数・心収縮力の増加を通して、冠動脈および脳への血流改善を図る。
第一選択の投与経路は臍帯静脈を含む静脈内投与であり、標準的な静脈内投与量は0.01~0.03mg/kgである。気管内投与は静脈路確保までの一時的な方法として用いられることがあるが、静脈路確保を遅らせてはならない。投与後も換気と胸骨圧迫を継続し、心拍数を繰り返し評価する。
第200問
羊水が胎便で混濁し、出生した児に活気がなく無呼吸を認める。最も優先する対応はどれか。
① ルーチンに気管挿管して胎便を吸引してから換気する。
② 気道吸引のため人工呼吸を長時間遅らせる。
③ 初期処置後、必要であれば速やかに人工呼吸を開始する。
④ 胎便があるため蘇生を行わない。
解答
③
解説
胎便混濁羊水から出生した児に活気がなく、無呼吸や心拍数低下がある場合でも、ルーチンの気管挿管・気管内吸引によって人工呼吸を遅らせてはならない。保温、体位保持、皮膚乾燥、必要最小限の気道開通などの初期処置を行い、適応があれば速やかに人工呼吸を開始する。
新生児の徐脈や心停止は低酸素が主因であるため、胎便除去に時間を費やして換気開始が遅れることの方が危険となる。ただし、気道が胎便によって閉塞し、適切なマスク換気を行っても胸郭が挙上しない場合には、気管挿管下での吸引を検討する。JRCガイドラインでは、胎便混濁児に対するルーチンの気管内吸引は推奨されていない。
