埼玉医科大学短期大学専攻科助産師 予想問題100パーフェクト問題集(詳細解説付)+周辺知識スーパー講義集200(7万字超=本1冊分‼️)本気で合格させるための完全対策‼️(うちの本格的講義レベル)

  • 2026/09/03
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【2027年度】埼玉医科大学短期大学・専攻科母子看護学専攻|過去問3年分を徹底分析!予想問題100問+詳細講義200

埼玉医科大学短期大学専攻科助産師

埼玉医科大学短期大学の専攻科母子看護学専攻を受験する皆さん、学科試験の対策はどこまで進んでいますか?

「助産学校だから、とりあえず母性看護学を勉強しておけば大丈夫」

もし今、このように考えているのであれば注意してください。

埼玉医科大学短期大学の学科試験は、そんなに単純ではありません。

今回、令和6年度・令和7年度・令和8年度の3年分、合計127問をすべて確認しました。

すると、この学校がどのような知識を受験生に求めているのか、かなりはっきりと見えてきました。

さらに重要なのは、「何が出ているか」だけではありません。

3年分を並べることで、

「どの分野を繰り返しているのか」

「前年の問題を翌年どのように変えているのか」

「4択問題ではどのような誤答を作っているのか」

「どこまで細かく覚えていないと落とされるのか」

まで見えてきます。

過去問を1年ずつ解いているだけでは、なかなか気づけない部分です。

埼玉医大短大は、母性看護学だけでは対応できません

専攻科母子看護学専攻の入試ですから、当然、妊娠・分娩・産褥・新生児などは重要です。

しかし、実際の過去問を見ると、それだけではありません。

看護師国家試験で勉強した内容をかなり広い範囲から聞いてきます。

「助産学校の受験勉強を始めたから、成人看護や基礎看護はもうやらなくていい」

こう考えてしまうと危険です。

逆に、看護師国家試験の知識を一から全部深く勉強し直す必要があるのかというと、それも違います。

3年分を並べると、「この学校ではどこまで押さえておくべきか」が見えてきます。

ここを整理せずに、闇雲に参考書を最初から最後まで勉強するのはかなり効率が悪いでしょう。

過去問を「解いて終わり」にするのも危険です

過去問対策でよくあるのが、

問題を解く

答え合わせをする

間違えたところだけ覚える

という勉強です。

もちろん、最初の段階ではそれでも構いません。

しかし埼玉医大短大については、それだけでは不十分です。

なぜなら、3年分を比較すると「過去に出した知識を、そのまま同じ形で出すとは限らない」からです。

同じ分野でも、聞く場所を変えたり、問題の形を変えたりして出してきます。

つまり、

「去年の答えを覚えた」

だけでは、次の問題に対応できない可能性があります。

そこで必要になるのが、「その問題から周辺知識まで広げて覚えること」です。

今回、通常の解答解説とは別に「詳細講義200」を作った理由もここにあります。

しかも、簡単そうな問題ほど怖い

埼玉医大短大の問題を見ていると、医学部のような難解な知識を要求する試験ではありません。

一見すると、

「これなら解けそう」

と思う問題もかなりあります。

ところが、ここが怖いところです。

基本問題だからこそ、知識が曖昧な受験生は落とします。

4つの選択肢のうち、明らかにおかしいものが3つ並んでいるとは限りません。

「なんとなく全部見たことがある」

という選択肢が並ぶこともあります。

このとき、

「たしかこんな感じだった」

では点になりません。

埼玉医大短大対策では、「難しいことをたくさん知る」よりも、「基本的な知識を正確に持っている」ことの方が重要だと私は考えています。

2027年度対策として予想問題100問を作りました

そこで今回は、過去3年分127問を土台として、2027年度入試に向けた予想問題を100問作成しました。

単に助産師国家試験の問題を集めたものではありません。

埼玉医大短大の過去問を見ながら、

「この学校なら次はどこを聞くか」

「過去に出たテーマから次にどこまで広げられるか」

「現在の基準へ更新すると何が問題になりそうか」

という視点で作っています。

ただし、100問解くだけでは終わりません。

今回は「詳細講義200」まで付けます

予想問題を解いて、

「正答は③でした」

だけで終わってしまえば、問題を少し変えられたときにまた分からなくなります。

そこで今回は、100問の解答解説とは別に「詳細講義200」を作りました。

問題で直接聞かれた一点だけではなく、その周辺にある知識までまとめて覚えるための講義です。

ただし、教科書をそのまま長く書き写すような内容にはしていません。

埼玉医大短大の受験生が、

「ここまでは覚えておいた方がいい」

という範囲に絞っています。

さらに、直前対策も作りました

100問と詳細講義200だけでも相当な量があります。

しかし、試験直前に200講義を全部読み返すのは現実的ではありません。

そこで今回は、最後の確認用として、

「絶対に落としてはいけない数字50」

「間違えやすい組み合わせ50」

「過去問3年分から判明したひっかけ問題攻略25」

も作成しました。

ここは本番直前に一気に確認するための部分です。

何を50個選んだのか、どんな組み合わせが危険なのか、学校が過去問でどんな誤答を作っているのかについては、この先で詳しく扱います。

3年分を並べると、かなり面白いことが分かります

令和6年度、令和7年度、令和8年度。

1年ずつ見るだけなら、

「今年はこんな問題が出たんだな」

で終わります。

ところが、3年分を横に並べると見え方が変わります。

一度しか出ていないように見えるテーマ。

形を変えて何度も出ているテーマ。

問題数が変わっても残っている形式。

逆に、前年から大きく変わった部分。

そして、「次にここを聞いてもおかしくない」と考えられる場所。

この分析をしてから予想問題を作るのと、何となく母性看護学から100問作るのとでは、まったく違います。

今回の100問は、この3年分の分析を土台にしています。


ここから先は有料部分です

有料部分では、まず令和6年度・令和7年度・令和8年度の全127問から、埼玉医大短大の出題傾向を詳しく分析します。

そのうえで、

・2027年度予想問題100問
・全問の解答解説
・周辺知識まで覚える詳細講義200
・絶対に落としてはいけない数字50
・間違えやすい組み合わせ50
・過去問から判明したひっかけ問題攻略25

まで進みます。

「過去問を持っているけれど、何をどこまで勉強すればいいのか分からない」

「母性看護学だけ勉強していて本当に大丈夫なのか不安」

「問題は解けても、少し聞き方を変えられると分からなくなる」

そんな受験生は、ここから先を使ってください。

過去問の答えを覚えるのではなく、過去問から次の問題を解ける状態まで持っていく。

今回の教材は、そこを狙って作っています。

埼玉医科大学短期大学

専攻科母子看護学専攻 2027年度予想問題50問

第1回

1 次の問いに答えなさい

問題1

慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉患者の呼吸管理で適切なのはどれか。

1.吸気時間を長くするよう指導する。
2.呼吸困難時には全例に高濃度酸素を投与する。
3.口すぼめ呼吸は呼気時の気道虚脱を軽減する。
4.呼吸困難時には水平仰臥位をとる。

問題2

妊娠を計画している女性の葉酸摂取について正しいのはどれか。

1.通常の食品に加え、食品以外から葉酸400μg/日を摂取することが望ましい。
2.妊娠が判明してから妊娠中期に摂取を開始する。
3.神経管閉鎖障害との関連はない。
4.推奨量は400mg/日である。

問題3

出産育児一時金について正しいのはどれか。

1.生産の場合に限り支給される。
2.双胎でも1児分のみ支給される。
3.妊娠22週以後の出産のみ支給対象となる。
4.妊娠85日以上の出産は支給対象となり得る。

問題4

成人に経鼻胃管を挿入する際の対応で適切なのはどれか。

1.水平仰臥位で挿入する。
2.強い咳込みや呼吸困難が出現した場合は気道への誤挿入を疑う。
3.挿入後は空気を注入して心窩部で音が聞こえれば位置確認は十分である。
4.胃内容物を吸引できない場合でも直ちに栄養剤を注入する。

問題5

妊娠中の高血圧患者への使用を避ける薬剤はどれか。

1.ACE阻害薬
2.ニフェジピン
3.ヒドララジン
4.メチルドパ

問題6

左心不全で特徴的なのはどれか。

1.頸静脈怒張
2.肝腫大
3.起坐呼吸
4.下肢浮腫

問題7

腎前性急性腎障害〈AKI〉の原因となるのはどれか。

1.両側尿管結石
2.高度の脱水
3.急性糸球体腎炎
4.急性間質性腎炎

問題8

頭蓋内圧亢進が進行したときのCushing現象として正しいのはどれか。

1.血圧低下と頻脈
2.血圧低下と徐脈
3.血圧上昇と頻脈
4.血圧上昇と徐脈

問題9

Basedow〈Graves〉病でみられる検査所見はどれか。

1.TSH上昇、FT4低下
2.TSH低下、FT4上昇
3.TSH上昇、FT4上昇
4.TSH低下、FT4低下

問題10

標準予防策について正しいのはどれか。

1.血液や体液に触れる可能性がある場合は手袋を使用する。
2.すべての患者にN95マスクを使用する。
3.手指衛生は患者へのケア後のみ行う。
4.使用済み注射針は両手でリキャップする。

問題11

排卵について正しいのはどれか。

1.FSHサージによって直接誘発される。
2.受精は通常、子宮腔内で起こる。
3.黄体は排卵前に形成される。
4.LHサージによって排卵が誘発される。

問題12

妊娠中の血液学的変化として正しいのはどれか。

1.循環血漿量は減少する。
2.赤血球量は減少する。
3.循環血漿量の増加率が赤血球量の増加率を上回る。
4.血小板数は必ず増加する。

問題13

妊娠糖尿病〈GDM〉の75g経口ブドウ糖負荷試験の診断基準に含まれるのはどれか。

1.空腹時血糖92mg/dL以上
2.1時間値200mg/dL以上
3.2時間値180mg/dL以上
4.HbA1c 6.5%以上

問題14

ヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉について正しいのはどれか。

1.下垂体前葉から分泌される。
2.妊娠初期に増加し、黄体機能の維持に関与する。
3.妊娠末期に最も高値となる。
4.乳汁産生を直接促進する。

問題15

妊娠32週で早産が差し迫っている妊婦への対応として適切なのはどれか。

1.ジノプロストを投与して子宮収縮を抑制する。
2.メチルエルゴメトリンを投与する。
3.ワルファリンを投与して胎児肺成熟を促進する。
4.ベタメタゾンなどの副腎皮質ステロイド投与を検討する。

問題16

正常胎児心拍数基線の範囲はどれか。

1.80〜100bpm
2.100〜110bpm
3.110〜160bpm
4.160〜190bpm

問題17

前置胎盤について正しいのはどれか。

1.強い腹痛を伴う性器出血が特徴である。
2.疑われる場合はまず内診指による診察を行う。
3.常位胎盤早期剥離と同じ病態である。
4.無痛性の性器出血を認めることがある。

問題18

弛緩出血について正しいのはどれか。

1.胎盤娩出後の子宮収縮不良によって大量出血を起こす。
2.胎盤が子宮壁へ強固に癒着することだけを指す。
3.子宮収縮が強すぎることによって起こる。
4.通常は子宮収縮薬を使用しない。

問題19

乳汁分泌に関するホルモンについて正しいのはどれか。

1.オキシトシンは下垂体前葉から分泌される。
2.プロラクチンは下垂体後葉から分泌される。
3.プロラクチンは乳汁産生を促進する。
4.オキシトシンは射乳を抑制する。

問題20

正常な子宮復古について正しいのはどれか。

1.産後7日で非妊時の大きさに戻る。
2.おおむね産後4〜6週で非妊時に近い大きさとなる。
3.産褥1日目には腹壁上から子宮底を触知できない。
4.授乳は子宮復古を遅延させる。

問題21

新生児黄疸について正しいのはどれか。

1.生理的黄疸は通常、生後24時間以後に明らかになる。
2.出生後12時間以内の黄疸は生理的である。
3.生理的黄疸では直接ビリルビンが主に上昇する。
4.生後24時間以内の黄疸は経過観察のみでよい。

問題22

新生児蘇生法〈NCPR 2025〉について正しいのはどれか。

1.心拍数100/分未満では直ちに胸骨圧迫を開始する。
2.人工呼吸と胸骨圧迫の比率は15:2である。
3.出生1分後の目標SpO₂は90%以上である。
4.自発呼吸がない、または心拍数100/分未満では人工呼吸を行う。

問題23

妊婦のGBS〈B群溶血性レンサ球菌〉スクリーニングについて、2026年版ガイドライン作成過程の公式公開資料で示された変更はどれか。

1.妊娠24〜28週に実施する。
2.検体採取時期を妊娠36〜37週とする。
3.GBS陽性なら全例帝王切開とする。
4.陣痛開始前かつ未破水の予定帝王切開でも必ず分娩時抗菌薬を投与する。

問題24

NIPT〈非侵襲性出生前遺伝学的検査〉について正しいのはどれか。

1.確定診断検査である。
2.羊水を採取して検査する。
3.母体血中の胎盤由来cfDNAを利用して染色体疾患の可能性を評価する。
4.すべての遺伝性疾患を診断できる。

問題25

新生児マススクリーニングについて、2026年時点で正しいのはどれか。

1.従来の全国的検査対象は5疾患である。
2.SMAとSCIDはすでに全国一律の従来検査20疾患に含まれている。
3.症状が出現した新生児だけを対象とする。
4.従来の20疾患に加え、SMAとSCIDの追加に向けた実証事業が行われている。


2 妊娠に伴う生理的変化

正しいものには①、誤っているものには②をマークしなさい。

問題26

妊娠中は循環血漿量の増加率が赤血球量の増加率を上回るため、生理的な血液希釈が起こる。

問題27

妊娠成立後、プロゲステロン濃度は妊娠経過とともに低下し続ける。

問題28

妊娠初期のhCGは黄体機能の維持に関与する。

問題29

妊娠中は白血球数が生理的に増加することがある。

問題30

妊娠後期に仰臥位低血圧症候群を認めた場合は、右側臥位を第一選択とする。


3 分娩時の胎児心拍数

正しいものには①、誤っているものには②をマークしなさい。

問題31

正常胎児心拍数基線は90〜110bpmである。

問題32

変動一過性徐脈では臍帯圧迫が原因となることがある。

問題33

遅発一過性徐脈の主な原因は児頭圧迫である。

問題34

早発一過性徐脈は子宮収縮に伴う児頭圧迫によって生じることがある。

問題35

胎児心拍数基線細変動の消失は、一般に胎児の良好な状態を示す。


4 産褥・授乳

正しいものには①、誤っているものには②をマークしなさい。

問題36

オキシトシンは下垂体後葉から放出され、射乳や子宮収縮に関与する。

問題37

プロラクチンは下垂体前葉から分泌され、乳汁産生を促進する。

問題38

正常悪露は分娩直後から白色悪露となる。

問題39

子宮は正常な産褥経過では産後4〜6週頃までに非妊時に近い大きさへ回復する。

問題40

マタニティブルーズは通常2〜3か月持続する。


5 新生児

正しいものには①、誤っているものには②をマークしなさい。

問題41

生後24時間以内に出現する黄疸は、正常な生理的黄疸として扱う。

問題42

NCPRでは、自発呼吸がない、または心拍数100/分未満の場合に人工呼吸を開始する。

問題43

出生1分後の目標SpO₂は90%以上である。

問題44

新生児の褐色脂肪組織は、非ふるえ熱産生に関与する。

問題45

Moro反射は新生児期に認められる原始反射である。


6 母子保健・制度・予防接種

正しいものには①、誤っているものには②をマークしなさい。

問題46

妊婦には水痘や麻疹・風疹などの生ワクチンを通常どおり接種できる。

問題47

産後ケア事業の実施主体は市町村である。

問題48

出産育児一時金は、生児を出産した場合だけが対象である。

問題49

母子健康手帳は都道府県知事が交付する。

問題50

2026年度から、妊婦に対するRSウイルスワクチンが予防接種法に基づく定期接種となった。


正答一覧

1③/2①/3④/4②/5①
6③/7②/8④/9②/10①
11④/12③/13①/14②/15④
16③/17④/18①/19③/20②
21①/22④/23②/24③/25④

26①/27②/28①/29①/30②
31②/32①/33②/34①/35②
36①/37①/38②/39①/40②
41②/42①/43②/44①/45①
46②/47①/48②/49②/50①


解説編

問題1 正答③

COPDでは呼気時に末梢気道が虚脱しやすく、空気を十分に吐き出せなくなる。口すぼめ呼吸は呼気時に気道内圧を保ち、気道の早期閉塞を軽減するため有効である。

呼吸困難時は前傾座位など、呼吸補助筋を使いやすい体位が適している。酸素療法もSpO₂や血液ガス、CO₂貯留の有無を評価して行うので、「全例に高濃度酸素」は不適切。

問題2 正答①

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2025年版」では、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦について、神経管閉鎖障害のリスク低減のため「通常の食品以外の食品から葉酸400μg/日」を摂取することが望ましいとしている。

400「mg」ではなく400「μg」である。この単位の引っかけはこの学校が好みそうなところ。

問題3 正答④

健康保険上の出産では、妊娠4か月、すなわち妊娠85日以上が対象となる。死産・流産等も条件を満たせば対象になり得るため「生産のみ」は誤り。双胎なら胎児数分が支給される。

現在は1児につき原則50万円。

R6年度でもこの制度を5問まとめて出しているため、再登場させる価値が高い。

問題4 正答②

挿入中に激しい咳込み、呼吸困難、チアノーゼなどを認めた場合は、胃管が気管・気管支へ迷入した可能性を考える。

また「空気を入れて心窩部の音を聞く」方法だけでは誤挿入を確実に否定できない。埼玉医大短大自身がR6年度でほぼ同じ論点を出しているため、再出題候補として強い。

問題5 正答①

ACE阻害薬やARBは妊娠中、とくに妊娠中・後期の胎児腎障害、羊水過少などとの関係から使用を避ける。

ニフェジピン、ヒドララジン、メチルドパなどは妊娠中の高血圧管理で選択されることがある。

問題6 正答③

左心不全では左房圧・肺静脈圧の上昇により肺うっ血を起こし、労作時呼吸困難、発作性夜間呼吸困難、起坐呼吸などを生じる。

頸静脈怒張、肝腫大、下肢浮腫は体静脈系のうっ血、すなわち右心不全の代表所見。

R6年度で「左心不全」が既出だが、この学校は既出論点を捨てないので、むしろ再出題候補になる。

問題7 正答②

腎前性AKIは腎臓そのものではなく、腎血流量低下によって起こる。高度脱水、大量出血、ショックなどが代表。

両側尿管結石は尿路閉塞による腎後性。糸球体腎炎と間質性腎炎は腎実質性である。

R8年度には「大量出血後の乏尿=腎前性AKI」が出題されているので、原因を変えて再出題する形にした。

問題8 正答④

頭蓋内圧亢進が進むと、脳灌流を維持しようとして血圧が上昇し、圧受容体反射によって徐脈となる。「血圧上昇+徐脈」はCushing現象の重要な組合せ。

R6・R8で頭蓋内圧が繰り返し出ているため、ここも重要。

問題9 正答②

Basedow病では甲状腺ホルモンが過剰に産生されるためFT4・FT3は上昇し、負のフィードバックによりTSHは抑制される。

したがって「TSH低下・FT4上昇」。

学校の3年分では内分泌疾患が少なめなので、成人看護の新規候補として入れた。

問題10 正答①

標準予防策では、血液、体液、分泌物、排泄物、粘膜、損傷皮膚などへの接触が予想される場合に個人防護具を選択する。

N95は空気感染対策などで用いるもので、すべての患者に必要ではない。手指衛生は患者接触の前後などに行い、使用済み針の両手リキャップは針刺し事故につながる。

問題11 正答④

排卵直前にはエストロゲン上昇による正のフィードバックが起こり、LHサージが生じる。これが排卵を誘発する。

受精の好発部位は卵管膨大部。排卵後、残った卵胞が黄体へ変化する。

問題12 正答③

妊娠すると赤血球量も増えるが、それ以上に循環血漿量が増加する。そのため血液が希釈され、Hb・Htが相対的に低下する「生理的貧血」がみられる。

R6年度問題13と関連する論点なので、逆方向から聞いている。

問題13 正答①

GDMの75gOGTT基準は、

空腹時92mg/dL以上
1時間180mg/dL以上
2時間153mg/dL以上

のいずれか1点以上。

したがって①。

この「92・180・153」は助産学校受験では非常に重要な数字である。

問題14 正答②

hCGは主として絨毛組織から分泌され、妊娠初期に急増する。妊娠初期には黄体を刺激し、プロゲステロン分泌を維持して妊娠成立を支える。

乳汁産生を促す主なホルモンはプロラクチン。

問題15 正答④

妊娠32週で早産が予測される場合、胎児肺成熟促進のため母体へ副腎皮質ステロイドを投与することがある。

ジノプロストやメチルエルゴメトリンは子宮を収縮させる方向に働くため、切迫早産を止める薬ではない。

R7では切迫早産薬、R8ではベタメタゾン・リトドリン・MgSO₄・ジノプロストの組合せを出しているので、3年連続で非常に強い領域。

問題16 正答③

正常胎児心拍数基線は110〜160bpm。

100〜110程度なら直ちに異常と断定せず、基線・細変動・一過性変化などを総合して評価するが、試験上の正常基線範囲としては110〜160を押さえる。

問題17 正答④

前置胎盤では胎盤が内子宮口付近を覆うため、子宮下部の伸展などによって出血する。典型的には「突然の無痛性性器出血」。

強い腹痛・板状硬を伴う出血は常位胎盤早期剥離を考える。

前置胎盤が疑われる状況で不用意な内診指診を行うと大量出血を起こす危険がある。

問題18 正答①

胎盤娩出後に子宮筋が十分収縮すると、胎盤剥離面の血管が圧迫され止血される。ところが子宮収縮が不十分だと大量出血する。これが弛緩出血。

産後出血では「Tone=子宮収縮」「Trauma=産道損傷」「Tissue=胎盤組織残留」「Thrombin=凝固異常」という整理も有用。

問題19 正答③

プロラクチンは下垂体前葉から分泌され、乳腺へ作用して乳汁産生を促す。

一方、オキシトシンは視床下部で合成され下垂体後葉から放出され、射乳と子宮収縮を促進する。

R6はオートクリン、R7はエンドクリン、R8はオキシトシンとプロラクチン。3年連続出題領域なので、2027年度でも最重要候補の一つ。

問題20 正答②

正常な子宮復古では、おおむね4〜6週で非妊時に近い状態へ戻る。

授乳刺激に伴うオキシトシン分泌は子宮収縮を促進するため、子宮復古を遅らせるのではなく促す方向に働く。

R6で「10〜14日」を誤り、R8で「4〜6週」を正しいとしているので、まさに学校が再利用している論点。

問題21 正答①

生理的黄疸は通常、生後24時間を過ぎてから明らかになる。

出生後24時間以内の黄疸は「早発黄疸」であり、溶血など病的原因を考えて評価する必要がある。

R7・R8とも新生児正常・異常の判別を出しているため重要。

問題22 正答④

2025年版NCPRアルゴリズムでは、出生後の初期処置後に「自発呼吸なし、あるいは心拍100/分未満」で人工呼吸を開始する。胸骨圧迫は有効な換気を行っても心拍60/分未満の場合に進む。人工呼吸と胸骨圧迫は3:1。

出生1分後の目標SpO₂は60%以上で、3分70%以上、5分80%以上、10分90%以上。2025版でもこの目標値は維持されている。

R6でNCPR 2020を出しているため、2025版への更新問題はかなり有力。

問題23 正答②

ここは「2027年度でかなり狙いたい」。

日本産科婦人科学会が2026版作成過程で公表した公式資料では、GBS培養の検体採取時期について、それまでの35〜37週から「36〜37週」へ修正すると明記されている。

なお2026版そのものは2026年3月に刊行済みだが、最終版全文は現時点で一般公開されていないため、この問題は学会が公開した改訂資料を根拠としている。2026版の刊行自体は公式発表済み。

問題24 正答③

NIPTは母体採血によって、母体血中に存在する胎盤由来cfDNAを解析し、特定の染色体疾患について胎児が罹患している可能性を評価する「スクリーニング検査」。

陽性だけで確定診断とはならず、確定には羊水検査などが必要になる。

「出生前診断」はR6で倫理問題として出ているので、技術面への切り替えを予想した。

問題25 正答④

わが国の従来の新生児マススクリーニングは平成29年度以降20疾患を対象としている。現在、SMA〈脊髄性筋萎縮症〉とSCID〈重症複合免疫不全症〉について対象疾患拡大に向けた実証事業が行われている。

R7で新生児マススクリーニングそのものが出題済み。だから次は「現在何が追加されようとしているか」まで進める可能性がある。


問題26 正答①

正しい。

妊娠中は血漿量の増加が赤血球量の増加を上回るため、Hb・Htが相対的に低くなる。

問題27 正答②

誤り。

プロゲステロンは妊娠維持に重要であり、妊娠初期は黄体、その後は胎盤が主要な供給源となる。「低下し続ける」は逆。

問題28 正答①

正しい。

妊娠初期のhCGは黄体を刺激して黄体ホルモン分泌を維持する。

問題29 正答①

正しい。

妊娠中は白血球、とくに好中球が生理的に増加することがある。そのため非妊娠時と同じ基準だけで感染を判断しない。

問題30 正答②

誤り。

妊娠後期の仰臥位では増大した子宮が下大静脈を圧迫し、静脈還流量が減少する。基本的には左側臥位などによって子宮を大血管からずらす。

R6年度問題22の再出題候補。


問題31 正答②

誤り。

正常胎児心拍数基線は110〜160bpm。

問題32 正答①

正しい。

変動一過性徐脈は臍帯圧迫に伴って発生する代表的な一過性徐脈。

問題33 正答②

誤り。

遅発一過性徐脈は主として子宮胎盤循環不全と関連する。児頭圧迫は早発一過性徐脈。

問題34 正答①

正しい。

早発一過性徐脈は児頭圧迫に伴う迷走神経反射によって起こり、子宮収縮とほぼ鏡像関係を示す。

問題35 正答②

誤り。

基線細変動は胎児自律神経系・酸素化状態を評価する重要な所見。細変動の持続的消失は「安心所見」ではない。

胎児心拍はR6・R7で出題されており、5問ブロック化しても不思議ではない。


問題36 正答①

正しい。

オキシトシンは下垂体後葉から放出され、乳腺周囲の筋上皮細胞を収縮させて射乳を起こす。また子宮筋も収縮させる。

問題37 正答①

正しい。

プロラクチンは下垂体前葉から分泌され、乳汁産生に関与する。

問題38 正答②

誤り。

正常悪露はまず赤色悪露、その後褐色・漿液性を経て白色悪露へ変化する。

「産後何日から何色」という数字暗記だけではなく、「血液成分が多い→徐々に減る」という流れを理解する。

問題39 正答①

正しい。

正常では数週間かけて子宮復古が進み、4〜6週頃には非妊時に近づく。

問題40 正答②

誤り。

マタニティブルーズは産後数日頃からみられ、通常は一過性で、おおむね2週間以内に改善する。2〜3か月続くものをマタニティブルーズとして放置してはいけない。


問題41 正答②

誤り。

24時間以内の黄疸は生理的とは扱わず、溶血などの病的原因を検討する。

問題42 正答①

正しい。

NCPR 2025でも、自発呼吸がない、または心拍100/分未満なら人工呼吸へ進む。

問題43 正答②

誤り。

出生1分後の目標SpO₂は60%以上。新生児は出生直後から成人と同じ90%台になるわけではなく、胎児循環から新生児循環への移行とともに徐々に上昇する。

問題44 正答①

正しい。

新生児は成人のように効率よく「ふるえ」で熱を作れない。その代わり、褐色脂肪組織を利用した非ふるえ熱産生が体温維持に重要。

したがって低体温予防は新生児管理の基本になる。

問題45 正答①

正しい。

Moro反射は新生児期にみられる代表的原始反射。中枢神経系の成熟に伴って消失していく。

R7・R8で新生児反射が連続して出ているため再出題可能性は高い。


問題46 正答②

誤り。

水痘、麻疹・風疹などの生ワクチンは妊娠中には原則接種しない。

妊娠前に抗体価を確認し、必要であれば妊娠前または産後に接種することが重要。

問題47 正答①

正しい。

産後ケア事業は母子保健法第17条の2に基づき、市町村が実施主体となる。2026年3月公表の最新ガイドラインでも「実施主体 市町村」と明記されている。

さらに2025年4月から、産後ケア事業は地域子ども・子育て支援事業にも位置付けられている。

法律・制度を毎年出している学校なので十分狙える。

問題48 正答②

誤り。

妊娠85日以上であれば、死産・流産等も条件を満たす場合には出産育児一時金の対象になり得る。「生児のみ」という限定は誤り。

問題49 正答②

誤り。

母子保健法に基づき、母子健康手帳を交付するのは「市町村」。

R7年度の択一問題でも母子健康手帳交付が出ているため、制度主体の入れ替え問題として再出題しやすい。

問題50 正答①

正しい。

これは今回50問の中でもかなり強く予想したい。

厚生労働省は、2026年度から「妊婦へのRSウイルスワクチン」を予防接種法に基づく定期接種の対象とした。接種対象期間は妊娠28週から37週に至るまでとされている。

R7年度では「妊婦へのワクチン」を5問まとめて出している。そこへ2026年4月から新しい妊婦定期接種が実際に追加されたわけなので、2027年度入試の予想論点としては非常に強い。
第2部 問題51〜100

1 次の問いに答えなさい

問題51

アナフィラキシーを発症した成人に対する初期治療で最も適切なのはどれか。

1.抗ヒスタミン薬を経口投与する。
2.アドレナリンを大腿前外側へ筋肉内注射する。
3.副腎皮質ステロイドを第一選択として静脈内投与する。
4.気管支拡張薬のみを吸入する。

問題52

500L酸素ボンベを使用している。残圧は8.8MPaであり、酸素を3L/分で投与する。使用可能時間に最も近いのはどれか。ただし、500Lボンベの内容積を3.4Lとする。

1.約30分
2.約50分
3.約75分
4.約100分

問題53

ABO血液型不適合による急性溶血性輸血副作用でみられる可能性が高いのはどれか。

1.血色素尿
2.血小板増加
3.徐脈のみ
4.血清ビリルビン低下

問題54

高カリウム血症でみられやすい心電図変化はどれか。

1.U波の増高
2.QT時間の著明な延長のみ
3.テント状T波
4.ST上昇のみ

問題55

Clostridioides difficile感染症患者への対応として適切なのはどれか。

1.飛沫予防策のみを実施する。
2.接触予防策を行い、ケア後には流水と石けんによる手洗いも行う。
3.患者に接触しなければ手指衛生は不要である。
4.アルコール擦式製剤だけで芽胞を確実に除去できる。

問題56

褥瘡のStageⅡに該当するのはどれか。

1.真皮が露出した部分層皮膚欠損
2.骨や腱が露出した全層組織欠損
3.皮膚は正常であるが骨のみ露出している状態
4.壊死組織によって深さをまったく評価できない状態

問題57

ネフローゼ症候群で特徴的なのはどれか。

1.低蛋白尿
2.血清アルブミン上昇
3.血清総コレステロール低下
4.高度蛋白尿と低アルブミン血症

問題58

インスリン治療中の患者にみられる低血糖症状として最も典型的なのはどれか。

1.皮膚乾燥
2.徐脈
3.冷汗と振戦
4.多尿のみ

問題59

右上下肢の麻痺と失語を同時に認める患者で、病変部位として最も考えやすいのはどれか。

1.左大脳半球
2.右大脳半球
3.小脳虫部
4.脊髄腰髄部

問題60

副腎皮質ステロイドを長期間全身投与した場合に生じやすいのはどれか。

1.低血糖
2.低血圧
3.骨密度上昇
4.骨粗鬆症

問題61

妊娠悪阻が強く、経口摂取不能の妊婦にブドウ糖を含む輸液を開始する。Wernicke脳症を予防するため特に補充が重要なのはどれか。

1.ビタミンA
2.ビタミンB1
3.ビタミンD
4.ビタミンK

問題62

子癇発作を起こした妊婦に対し、発作の治療および再発予防に用いられるのはどれか。

1.オキシトシン
2.メチルエルゴメトリン
3.硫酸マグネシウム
4.ジノプロスト

問題63

常位胎盤早期剥離でみられやすいのはどれか。

1.持続する腹痛と子宮の緊張
2.完全に無痛性の出血のみ
3.子宮弛緩のみ
4.胎児心拍数異常を生じることはない。

問題64

抗D抗体を保有していないRhD陰性妊婦がRhD陽性児を出産した。適切なのはどれか。

1.抗D免疫グロブリンは妊娠中・産後とも投与しない。
2.児へ抗D免疫グロブリンを投与する。
3.次回妊娠が成立してから初めて対応する。
4.原則として分娩後72時間以内に母体へ抗D免疫グロブリンを投与する。

問題65

胎児循環において、胎盤から胎児へ最も酸素化された血液を運ぶのはどれか。

1.臍動脈
2.臍静脈
3.肺動脈
4.上大静脈

問題66

正常な頭位分娩における児頭の第2回旋について正しいのはどれか。

1.児頭が反屈する。
2.児頭が骨盤入口部で伸展する。
3.後頭部が母体前方へ回旋する。
4.肩甲が母体前方へ回旋する。

問題67

前期破水〈PROM〉の説明として正しいのはどれか。

1.子宮口全開大後の破水をいう。
2.胎盤娩出前の破水をいう。
3.妊娠37週未満の破水だけをいう。
4.陣痛開始前に卵膜が破綻することをいう。

問題68

出生1分後の新生児。心拍数120/分、呼吸は不規則で弱い、四肢は軽度屈曲、刺激に対して顔をしかめる、体幹はピンク色だが四肢にチアノーゼを認める。Apgar scoreはどれか。

1.6点
2.7点
3.8点
4.9点

問題69

出生直後、濡れた新生児の皮膚から水分が気化することによって熱が失われる現象はどれか。

1.伝導
2.蒸発
3.対流
4.放射

問題70

産褥婦に発熱と下腹部痛があり、悪露に悪臭を認める。最も考慮するのはどれか。

1.正常な子宮復古
2.マタニティブルーズ
3.産褥感染症
4.生理的乳房緊満

問題71

閉経後のホルモン変化として正しいのはどれか。

1.FSHが上昇する。
2.エストロゲンが上昇する。
3.プロゲステロンが上昇する。
4.LHが低下する。

問題72

2026年度以降の日本のHPVワクチン定期接種について正しいのはどれか。

1.定期接種制度そのものが廃止された。
2.男子のみが定期接種対象である。
3.2価ワクチンのみが公費接種に使用される。
4.公費で接種されるHPVワクチンは9価ワクチンのみとなった。

問題73

母子保健法に基づく低体重児の届出について正しいのはどれか。

1.出生体重1,500g未満のみが対象である。
2.出生体重2,500g未満の乳児が対象である。
3.出生体重3,000g未満の全児が対象である。
4.届出先は厚生労働大臣である。

問題74

児童虐待が疑われる児を発見した場合の対応として適切なのはどれか。

1.虐待であることを確定できるまで通告してはならない。
2.保護者から同意を得てからでなければ通告できない。
3.虐待を受けたと思われる児童を発見した場合には速やかに通告する。
4.医療従事者には通告制度は適用されない。

問題75

レボノルゲストレルによる緊急避妊について正しいのはどれか。

1.性交後1週間経過してから服用する。
2.1日1回を7日間服用する。
3.妊娠を中断させることを主作用とする。
4.性交後72時間以内に1.5mgを1回服用する。


2 母子感染

以下の感染症について、「胎内・経胎盤感染が代表的な感染経路であるもの」には①、「主に分娩時・母乳など胎盤以外の経路が重要なもの」には②をマークしなさい。

問題76

風疹ウイルス

問題77

B群溶血性レンサ球菌〈GBS〉

問題78

HTLV-1

問題79

トキソプラズマ

問題80

サイトメガロウイルス〈CMV〉


3 胎児循環

正しいものには①、誤っているものには②をマークしなさい。

問題81

臍静脈は胎児から胎盤へ酸素の少ない血液を運ぶ。

問題82

臍動脈は胎児から胎盤へ血液を運ぶ。

問題83

卵円孔は右心房と右心室を交通させる。

問題84

静脈管は臍静脈から流入した血液の一部を下大静脈方向へ短絡させる。

問題85

動脈管は肺動脈と肺静脈を交通させる。


4 分娩経過・産科救急

正しいものには①、誤っているものには②をマークしなさい。

問題86

分娩第1期は、分娩開始から子宮口全開大までである。

問題87

分娩第2期は、子宮口全開大から胎盤娩出までである。

問題88

分娩第3期は、児娩出から胎盤娩出までである。

問題89

肩甲難産では子宮底圧迫法を第一選択として行う。

問題90

臍帯脱出で胎児心拍数異常を認めた場合、先進部による臍帯圧迫を軽減しながら緊急娩出の準備を行う。


5 産褥・新生児

正しいものには①、誤っているものには②をマークしなさい。

問題91

産褥24時間以内に体温が少し上昇した場合は、必ず産褥感染症である。

問題92

オキシトシンは下垂体後葉から放出される。

問題93

産褥期は静脈血栓塞栓症のリスクが高い時期である。

問題94

新生児の体重減少が出生体重の10%を超えても、哺乳状態や脱水を評価する必要はない。

問題95

正常新生児の呼吸数は20〜30回/分程度である。


6 母子保健制度・最新制度

正しいものには①、誤っているものには②をマークしなさい。

問題96

母子保健法における「新生児」とは、出生後1年を経過しない乳児をいう。

問題97

出生体重2,500g未満の乳児が出生した場合、保護者は速やかに現在地の市町村へ届け出る。

問題98

1歳6か月児健康診査と3歳児健康診査を行う義務は都道府県にある。

問題99

国が示す標準的な妊婦健康診査の回数は、出産までにおおむね14回である。

問題100

2026年度から定期接種となった妊婦へのRSウイルスワクチンは、妊娠24週0日から27週6日までが接種対象である。


正答一覧

51②/52④/53①/54③/55②
56①/57④/58③/59①/60④
61②/62③/63①/64④/65②
66③/67④/68①/69②/70③
71①/72④/73②/74③/75④

76①/77②/78②/79①/80①

81②/82①/83②/84①/85②

86①/87②/88①/89②/90①

91②/92①/93①/94②/95②

96②/97①/98②/99①/100②


解説編

問題51 正答②

アナフィラキシーではアドレナリン筋肉内注射が第一選択である。大腿中央部の前外側へ速やかに投与する。抗ヒスタミン薬や副腎皮質ステロイドは補助療法であり、アドレナリンに代わる第一選択治療ではない。厚生労働省も「第一選択治療はアドレナリンの筋肉注射」と明記している。

R6〜R8ではアレルギー、輸血、薬剤などが繰り返し出ており、「知っている疾患名」ではなく緊急時に何を優先するかという形へ進めた問題。

問題52 正答④

500Lボンベは最大充填圧約14.7MPaで約500Lに相当する。

残量は概算で、

500×8.8÷14.7≒299L

299÷3≒100分。

したがって④。

厚生労働省も500Lボンベについて、内容積3.4Lと残圧から使用可能時間を算出する方法を示している。実際には安全余裕を持たせ、理論上の残量ギリギリまで使用する前提にはしない。

R7年度で滴下計算を出している学校なので、「計算問題第2弾」としてかなりあり得る。

問題53 正答①

ABO不適合赤血球輸血では、患者の抗A・抗B抗体と輸血赤血球の抗原が反応して急激な血管内溶血を起こし得る。

発熱、悪寒、腰背部痛、血圧低下、ヘモグロビン血症・血色素尿、DIC、急性腎障害などを起こす可能性がある。

日本赤十字社もABO型違い輸血を急性溶血性副作用の代表原因としている。

問題54 正答③

高カリウム血症では心筋の電気的活動に影響し、初期には尖鋭化した「テント状T波」が有名である。

さらに進行するとPR延長、P波消失、QRS幅延長などを経て、致死的不整脈に至る可能性がある。

一方、低カリウム血症ではT波平低化やU波が問題になりやすい。

問題55 正答②

C. difficileは芽胞を形成するため、環境中で生存しやすい。接触予防策を行い、手袋・ガウンなどを適切に使用する。

アルコール擦式製剤は多くの細菌・ウイルスには有効だが、芽胞除去には限界がある。そのためC. difficile患者のケア後などでは、流水と石けんによる物理的除去が重要になる。

「アルコールさえ使えば全部終わり」と覚えている受験生を落とす問題。

問題56 正答①

StageⅡは真皮が露出する「部分層皮膚欠損」。

StageⅢでは全層皮膚欠損となり脂肪組織が見えることがあり、StageⅣでは筋・腱・骨など深部組織が露出し得る。

厚生労働省資料でもStageⅡを真皮の部分欠損としている。

問題57 正答④

ネフローゼ症候群の基本は、

高度蛋白尿
低アルブミン血症
浮腫
脂質異常

である。

大量のアルブミンが尿中へ失われるため血漿膠質浸透圧が低下し、浮腫が生じる。血清コレステロールはむしろ上昇することが多い。

厚生労働省の看護師国家試験でも、ネフローゼ症候群について尿蛋白4+、Alb 1.3g/dL、高コレステロール血症という典型例が実際に使われている。

問題58 正答③

低血糖では交感神経系が活性化し、冷汗、振戦、動悸、頻脈、強い空腹感などを認める。

さらに低下すれば意識障害、けいれん、昏睡に至る。

インスリン治療を行う患者の「冷汗+ふるえ」は低血糖をまず疑う。

問題59 正答①

大脳皮質から下行する錐体路は延髄で多くが交叉するため、左大脳半球の障害では右片麻痺を生じやすい。

また言語機能は多くの人で左大脳半球が優位なので、左半球障害では失語を伴うことがある。

したがって「右片麻痺+失語」は左大脳半球病変を考える。

問題60 正答④

副腎皮質ステロイドを長期間使用すると、骨形成抑制や骨吸収亢進などによって骨粗鬆症を起こしやすくなる。

ほかにも感染リスク上昇、高血糖、消化性潰瘍、満月様顔貌、筋力低下、副腎抑制などが重要。

埼玉医大短大はR6年度に骨粗鬆症そのものを出しているため、「原因薬剤」にひっくり返す形。


問題61 正答②

妊娠悪阻で食事摂取不能が続くとビタミンB1が欠乏し、Wernicke脳症を起こすことがある。

特にブドウ糖を投与すると糖代謝によってビタミンB1消費量が増加するため、B1欠乏状態に糖だけを負荷することは危険。

2026年版産科診療ガイドライン作成過程の公式資料でも、脱水例ではブドウ糖を含む輸液にビタミンB1を添加することが推奨されている。

R7年度では「ビタミンB1欠乏→Wernicke脳症」を一般問題として出している。次に妊娠悪阻へ接続するのはかなり自然。

問題62 正答③

子癇とは妊産褥婦に生じるけいれん発作で、妊娠高血圧症候群との関連が重要。

発作時には転落防止、気道確保、酸素投与、静脈路確保などを行い、けいれん治療・再発予防として硫酸マグネシウム〈MgSO₄〉を使用する。

2026年版ガイドライン案でもMgSO₄のボーラス投与後に持続投与することが示されている。

問題63 正答①

常位胎盤早期剥離では、正常位置に付着していた胎盤が胎児娩出前に剥離する。

腹痛、子宮圧痛、持続性子宮収縮・板状硬、性器出血、胎児心拍数異常などが問題となる。

外出血量が少なくても胎盤後方に血液が貯留する「隠れた出血」があり得るため、見えている出血量だけで重症度を判断してはいけない。

DICを合併することも重要。

問題64 正答④

RhD陰性で抗D抗体を保有していない母体がRhD陽性児を出産した場合、母体がD抗原へ感作されるのを防ぐため抗D免疫グロブリンを投与する。

日本産科婦人科学会ガイドラインでは、RhD陽性児を確認したうえで、原則として分娩後72時間以内にRhD陰性母体へ投与する。妊娠28週前後の予防投与も重要である。

問題65 正答②

胎盤で酸素化された血液は「臍静脈」によって胎児へ戻る。

名称だけで考えると「静脈=酸素が少ない」と誤解しやすいが、動脈・静脈は酸素量ではなく「心臓から出るか、心臓へ戻るか」で決まる。

胎児では、

臍静脈=胎盤→胎児
臍動脈=胎児→胎盤

である。

問題66 正答③

正常な頭位分娩では、児頭が骨盤内を下降する過程で後頭部が母体前方へ回旋する。これが第2回旋。

第1回旋は屈曲、第3回旋は伸展、第4回旋は外旋として整理すると理解しやすい。

R8年度では前方後頭位や回旋異常をすでに出しているため、正常回旋そのものも予想範囲。

問題67 正答④

前期破水〈PROM〉とは、「陣痛が始まる前に卵膜が破綻して破水すること」。

37週未満で起きた場合はpreterm PROM〈pPROM〉である。

したがって「37週未満だけ」を意味するわけではない。

破水後は上行性感染や臍帯脱出などにも注意する。

問題68 正答①

Apgar scoreは、

心拍120/分=2点
呼吸不規則・弱い=1点
筋緊張・軽度屈曲=1点
刺激で顔をしかめる=1点
体幹ピンク・四肢チアノーゼ=1点

合計6点。

Apgarは「Appearance、Pulse、Grimace、Activity、Respiration」の5項目を各0〜2点で評価する。

問題69 正答②

濡れた皮膚から水分が蒸発するときに熱が奪われるのが「蒸発」。

出生直後の新生児を速やかに乾燥させる重要な理由の一つである。

伝導=冷たい物体との直接接触
対流=周囲を流れる冷たい空気
放射=直接触れていない冷たい物体への熱移動

と分ける。

問題70 正答③

発熱、子宮・下腹部圧痛、悪臭を伴う悪露は産褥感染を疑う所見。

単なる正常な子宮復古では説明できない。

産褥期では「発熱した=乳房緊満」と安易に決めず、悪露、子宮圧痛、会陰創、帝王切開創、乳房、尿路など感染源を検索する。

問題71 正答①

閉経では卵胞機能が低下し、エストロゲン・インヒビンが低下する。

そのため下垂体への負のフィードバックが弱くなり、FSHとLHが上昇する。特にFSH上昇が顕著。

R6年度では更年期ホルモンを5問丸ごと出したので、ここを捨てる理由はない。

問題72 正答④

2026年4月から、公費によるHPVワクチン定期接種で使用されるのは9価ワクチン〈シルガード9〉のみとなった。

定期接種対象となる女子については年齢・接種開始時期により2回または3回接種する。厚生労働省が現在のQ&Aで明記している。

これは「最新制度を出す埼玉医大短大」を考えるとかなり面白い候補。

問題73 正答②

母子保健法第18条では「体重が2,500g未満の乳児」が出生した場合、保護者は速やかにその乳児の現在地の市町村へ届け出る。

「2,500g以下」ではない。「2,500g未満」。

この1gの差を出題してもおかしくない学校である。

問題74 正答③

児童虐待は「確定してから通告」では遅い。

虐待を受けたと思われる児童を発見した場合には、速やかに市町村・児童相談所などへ通告する。

医療者だけで抱え込んだり、「親が否定したから虐待ではない」と判断したりしない。

近年も児童虐待対応の法制度は改正が続いており、2025年には児童福祉法改正による虐待対応強化も行われている。

問題75 正答④

レボノルゲストレルによる緊急避妊は、性交後72時間以内に1.5mgを1回服用する。できるだけ速やかに服用する。主作用は排卵抑制である。

さらに2026年2月2日から、日本では要指導医薬品となった緊急避妊薬について、対応可能な薬局・店舗での販売が実際に始まっている。

これも「令和6年版男女共同参画白書」を出したR8年度を見ると、社会状況と女性の健康を結びつける最新問題として十分あり得る。


母子感染

問題76 正答①

風疹ウイルスは胎盤を通じて胎児へ感染し、先天性風疹症候群を起こす。

特に妊娠初期の感染では、先天性心疾患、難聴、白内障などが問題となる。

問題77 正答②

GBSは母体の腟・直腸などに保菌され、主として分娩時の産道感染が新生児早発型GBS感染症で重要になる。

このため妊娠後期にGBSスクリーニングを行い、陽性妊婦には分娩時抗菌薬投与を検討する。

問題78 正答②

HTLV-1の母子感染では母乳感染が重要。

そのためHTLV-1抗体陽性妊婦では、児への感染予防を考えた栄養方法について説明・相談する。

問題79 正答①

妊婦がトキソプラズマに初感染した場合、胎盤を介して胎児へ感染することがある。

先天性トキソプラズマ症では中枢神経・眼病変などが問題となる。

問題80 正答①

先天性CMV感染は、母体のCMV感染後に胎盤を介して胎児へ感染することで成立する。

CMVは分娩時・母乳による感染もあるが、「先天性CMV感染」を考えると胎内感染が重要。


胎児循環

問題81 正答②

誤り。

臍静脈は「胎盤から胎児へ」比較的酸素の豊富な血液を運ぶ。

胎児循環では成人の「動脈=酸素多い/静脈=少ない」という単純暗記を使ってはいけない。

問題82 正答①

正しい。

左右2本の臍動脈は胎児から胎盤へ血液を運ぶ。

胎盤でガス交換を受け、臍静脈1本から胎児へ戻る。

問題83 正答②

誤り。

卵円孔は右心房と左心房を交通させる。

右心房へ入った比較的酸素の豊富な血液の一部を左房へ短絡させ、左室から上行大動脈へ送る。

問題84 正答①

正しい。

静脈管は、臍静脈から来た血液の一部を肝臓の毛細血管系を大きく迂回させて下大静脈方向へ送る胎児特有の短絡路。

「臍静脈―静脈管―下大静脈」という位置関係を押さえる。

問題85 正答②

誤り。

動脈管は肺動脈と「大動脈」を交通させる。

胎児の肺はガス交換をしていないため肺血管抵抗が高く、右室から肺動脈へ出た血液の多くは動脈管を通って大動脈へ流れる。


分娩経過・産科救急

問題86 正答①

正しい。

分娩第1期は、規則的な陣痛によって分娩が開始してから子宮口が全開大するまで。

子宮口全開大は10cmが目安。

問題87 正答②

誤り。

第2期は「子宮口全開大から児娩出まで」。

胎盤娩出までは含まない。

ここは分娩各期を一つずつずらして誤答にする、この学校向きの問題。

問題88 正答①

正しい。

第3期は「児娩出から胎盤娩出まで」。

胎盤剥離徴候や胎盤娩出様式をR8年度に5問まとめているので、その前提となる分娩期分類も押さえておく必要がある。

問題89 正答②

誤り。

肩甲難産では応援要請、McRoberts体位、恥骨結合上縁部圧迫法などが基本となる。

子宮底を上から押す「子宮底圧迫」は肩をさらに骨盤内へ嵌頓させる危険があり、基本手技ではない。

2026年版ガイドライン作成過程の公式資料でもMcRoberts体位と恥骨結合上縁部圧迫法が基本手技として示されている。

問題90 正答①

正しい。

臍帯脱出では、臍帯が児の先進部と産道の間で圧迫され、胎児への血流が急激に低下する危険がある。

先進部を挙上して圧迫を軽減するなどの緊急対応を行いながら、急速遂娩を準備する。

「胎児徐脈+破水後」という場面では、臍帯脱出を必ず考える。


産褥・新生児

問題91 正答②

誤り。

分娩直後から24時間程度は、分娩時の筋活動、脱水、ホルモン変化などによって一過性に軽度体温が上昇することがある。

したがって、軽度上昇だけで「必ず感染」とは判断しない。

ただし高熱の持続、悪臭悪露、子宮圧痛などを認める場合は感染を評価する。

問題92 正答①

正しい。

オキシトシンは視床下部で産生され、下垂体後葉から放出される。

乳頭刺激による射乳と子宮収縮に関与する。

R8では「前葉」として誤りを選ばせていたので、今度は正しい形。

問題93 正答①

正しい。

妊娠・産褥期は凝固能亢進、静脈うっ滞、血管壁損傷などが重なり、静脈血栓塞栓症〈VTE〉のリスクが上昇する。

特に帝王切開、肥満、長期臥床、既往歴などが加わればさらに注意する。

日本産科婦人科学会も妊娠中・産褥期の血栓症リスク評価と予防を産科の重要項目として挙げている。

問題94 正答②

誤り。

新生児は生後数日に生理的体重減少を認めるが、減少が大きい場合には哺乳不足・脱水・高Na血症などを評価する。

「10%を超えていても何もしなくてよい」は明らかに不適切。

R8年度では3,200g→2,850g、約10.9%減少を異常側に置いているので、この数字はかなり重要。

問題95 正答②

誤り。

正常新生児の呼吸数はおおむね30〜60回/分程度。

成人よりかなり多い。

新生児では周期性呼吸などもみられるが、持続的な多呼吸、呻吟、陥没呼吸、チアノーゼなどを認めれば呼吸障害を評価する。


母子保健制度・最新制度

問題96 正答②

誤り。

母子保健法第6条では「新生児」とは「出生後28日を経過しない乳児」。

「1歳未満」は「乳児」の定義である。

同じ条文の中で、

新生児=出生後28日を経過しない
乳児=1歳未満
幼児=1歳から就学前

と区別されている。

これはめちゃくちゃこの学校が好きそうな問題。

問題97 正答①

正しい。

母子保健法第18条。

出生体重「2,500g未満」の乳児について、保護者は速やかに乳児の現在地の市町村へ届け出る。

2,500g「以下」ではない点も注意。

問題98 正答②

誤り。

1歳6か月児健康診査と3歳児健康診査の実施主体は「市町村」。

母子保健法第12条で市町村が実施しなければならないと規定されている。

R7年度で母子健康手帳、R8年度で母子関連法の公布年を出しているため、法律の「実施主体」は強い。

問題99 正答①

正しい。

国が示す望ましい妊婦健康診査の標準では、妊婦1人につき出産まで「14回程度」。

頻度は原則、

妊娠23週まで:4週に1回
24〜35週:2週に1回
36週以降:1週に1回

とされている。

問題100 正答②

誤り。

2026年度から定期接種となった妊婦へのRSウイルスワクチンの対象期間は、「妊娠28週0日から36週6日まで」。

1回接種する。

妊婦が作った抗体が胎盤を介して胎児へ移行し、出生後の乳児をRSウイルス感染症から守る「母子免疫」の考え方である。

これは2027年度予想では引き続き最重要候補に置いていい。

埼玉医科大学短期大学 専攻科母子看護学専攻

予想問題100問から学ぶ「詳細講義200」

詳細講義1 月経周期と排卵

月経周期を理解するときは、卵巣周期と子宮内膜周期を別々に暗記するのではなく、ホルモンの変化と結びつける。月経開始後、FSHの作用によって卵胞が発育し、卵胞から分泌されるエストロゲンが増加すると子宮内膜は増殖する。成熟卵胞から大量のエストロゲンが分泌されると、それまでの負のフィードバックから正のフィードバックへ変わり、LHサージが起こって排卵が誘発される。排卵後の卵胞は黄体となり、主としてプロゲステロンを分泌して子宮内膜を着床に適した分泌期へ変化させる。妊娠が成立しなければ黄体が退縮し、エストロゲンとプロゲステロンが低下して月経が始まる。「排卵=FSH」ではなく、排卵を直接誘発する重要なホルモンはLHである。

詳細講義2 hCG・プロゲステロン・エストロゲン

妊娠成立後のホルモンでは「いつ、どこから、何のために分泌されるか」を整理する。hCGは妊娠初期の絨毛から分泌され、黄体を維持してプロゲステロン分泌を保つ。プロゲステロンは子宮内膜を維持するとともに子宮筋の収縮を抑え、妊娠維持に重要な役割を果たす。妊娠が進むと胎盤がプロゲステロンやエストロゲン産生の中心となる。エストロゲンは子宮・乳腺の発育などを促し、妊娠末期には子宮筋のオキシトシン感受性にも関係する。hCGは妊娠末期に最高になるわけではなく、妊娠初期に急上昇した後に低下して一定水準となる点も頻出である。

詳細講義3 妊娠中の循環動態

妊娠すると胎盤循環を維持するため循環血液量が増加し、心拍出量も増える。ところが末梢血管抵抗は妊娠中期を中心に低下するため、血液量が増えているからといって血圧も同じように上昇するわけではない。さらに妊娠後期に仰臥位になると、増大した子宮が下大静脈を圧迫して静脈還流量が減少し、血圧低下、悪心、冷汗、気分不良などを生じることがある。これが仰臥位低血圧症候群であり、左側臥位などにして子宮による大血管圧迫を軽減する。埼玉医大短大では実際にこの体位変換まで問われているため、病態と看護を切り離さず覚える。

詳細講義4 妊娠中の血液変化

妊娠中は赤血球量も循環血漿量も増加するが、血漿量の増加率の方が大きいため、血液が相対的に希釈されてHbやHtが低下する。これが妊娠中にみられる生理的な血液希釈であり、「赤血球を作れなくなるから貧血になる」という説明ではない。また白血球、とくに好中球は生理的に増加することがあり、血小板は軽度低下することがある。さらに妊娠中は凝固能が亢進し、産褥期まで静脈血栓塞栓症のリスクが高くなる。したがって妊娠中の血液問題では、貧血だけでなく「凝固しやすい」という特徴まで覚えておきたい。

詳細講義5 妊娠悪阻とWernicke脳症

つわりは妊娠初期によくみられるが、体重減少、脱水、電解質異常、十分な食事・水分摂取ができない状態まで進めば妊娠悪阻を考える。特に重要なのがビタミンB1欠乏である。ビタミンB1は糖質代謝に必要な補酵素であり、欠乏した状態で大量のブドウ糖を投与するとB1消費が増え、Wernicke脳症を誘発する危険がある。代表症状は眼球運動障害、歩行失調、意識障害である。2026年版産科診療ガイドラインの作成過程で公表されたCQでも、脱水に対するブドウ糖含有輸液にはビタミンB1を添加することが推奨されている。妊娠悪阻では低カリウム血症や深部静脈血栓症にも注意する。

詳細講義6 妊娠糖尿病

妊娠糖尿病〈GDM〉では診断値を正確に覚える。75gOGTTで空腹時92mg/dL以上、1時間値180mg/dL以上、2時間値153mg/dL以上のいずれか1点以上を満たすとGDMと診断する。妊娠中は胎盤由来ホルモンなどによってインスリン抵抗性が高まるため、母体は血糖が上昇しやすくなる。母体高血糖が続けば胎児へ流入するブドウ糖も増え、胎児のインスリン分泌が増加して巨大児につながる。一方、出生すると母体からのブドウ糖供給だけが突然なくなるため、新生児は低血糖を起こしやすい。「母体高血糖なのに新生児低血糖」という関係まで理解しておく。

詳細講義7 妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群では「血圧が高い妊婦」とだけ覚えてはいけない。妊娠高血圧、高血圧腎症、加重型妊娠高血圧腎症などがあり、とくに高血圧腎症では母体臓器障害や胎盤機能不全を伴う可能性がある。頭痛、視覚異常、心窩部・右季肋部痛などは重症化を疑う重要な症状であり、けいれんを起こせば子癇となる。胎盤血流障害から胎児発育不全や胎児機能不全にもつながるため、母体血圧だけを見る疾患ではない。妊娠中の降圧薬では使用可能な薬剤と胎児への影響から避ける薬剤を区別することも必要である。

詳細講義8 切迫早産

日本では妊娠22週0日から36週6日までの分娩を早産という。切迫早産は、この時期に規則的な子宮収縮があり、頸管短縮や子宮口開大など早産へ進む危険が高い状態である。治療では妊娠週数、子宮収縮、感染、破水、胎児状態を総合して判断する。日本産科婦人科学会は、早産リスクが高い場合にリトドリン塩酸塩や硫酸マグネシウムによる子宮収縮抑制療法が行われること、34週未満で早産が予測される場合には副腎皮質ステロイドを使用することがあると説明している。ジノプロストのように子宮収縮を促進する薬剤との違いを押さえる。

詳細講義9 早産と副腎皮質ステロイド

早産が予測される妊婦へ投与するベタメタゾンなどの副腎皮質ステロイドは、母体の子宮収縮を止める薬ではない。目的は胎児の臓器成熟、とくに肺成熟を促進することである。早産児では肺胞表面活性物質が不足し、呼吸窮迫症候群〈RDS〉を起こしやすいため、出生前にステロイドを投与することで重症呼吸障害などのリスク低減を図る。つまり「切迫早産だから全部同じ薬」ではなく、子宮収縮抑制薬と胎児肺成熟促進薬では目的がまったく異なる。日本産科婦人科学会も34週未満で早産が予測される場合の副腎皮質ステロイド投与を説明している。

詳細講義10 硫酸マグネシウム

硫酸マグネシウム〈MgSO₄〉は助産受験で複数の場面に登場する。代表的なのは子癇のけいれん治療・再発予防である。また早産が差し迫った妊娠週数によっては胎児脳保護を目的として使用される場合があり、切迫早産に対する子宮収縮抑制目的で使われてきた場面もある。注意すべき副作用は高マグネシウム血症で、深部腱反射の低下・消失、呼吸抑制などが重要となる。したがって投与中は呼吸状態、意識、腱反射、尿量などを観察する。「MgSO₄=切迫早産の薬」と一語で覚えるより、使用目的を問題文から判断することが大切である。

詳細講義11 前置胎盤

前置胎盤は胎盤が内子宮口を覆う、またはその近くに位置する状態である。代表的な症状は妊娠後半の無痛性性器出血で、強い腹痛や子宮の持続的緊張を伴いやすい常位胎盤早期剥離との対比が重要になる。出血していても腹痛がないから軽症とは限らず、大量出血へ進む可能性がある。また前置胎盤が疑われる患者に不用意な内診指診を行えば胎盤を刺激して大出血を招く危険がある。産科出血の問題では「痛みの有無」「胎盤の位置」「子宮の硬さ」「胎児心拍」を組み合わせて判断する。

詳細講義12 常位胎盤早期剥離

常位胎盤早期剥離は、本来正常な位置に付着している胎盤が胎児娩出前に剥離する病態である。腹痛、子宮圧痛、持続する子宮収縮、子宮の緊張、性器出血、胎児心拍異常などを認める。ただし胎盤の後方に血液がたまると外出血が少ない場合もあり、「出血量が少ないから軽症」とは判断できない。胎盤が剥がれれば胎児への酸素供給が障害され、母体では大量出血やDICに進む危険もある。前置胎盤が「無痛性出血」を特徴とするのに対し、早期剥離では疼痛と子宮緊張が重要という違いをまず押さえる。

詳細講義13 前期破水

前期破水〈PROM〉は「陣痛開始前に卵膜が破綻した状態」であり、妊娠37週未満に限定した名称ではない。37週未満の前期破水はpreterm PROMとして区別する。破水すると腟内細菌が上行しやすくなり、子宮内感染のリスクが高まるほか、羊水減少、臍帯圧迫、臍帯脱出などにも注意する。したがって「夜中に破水したので朝まで様子を見る」という指導は不適切である。破水か尿失禁か判断しにくい場合もあるため、破水が疑われた時点で医療機関へ連絡させる。切迫早産と前期破水は関連して出題されやすい。

詳細講義14 胎児心拍数モニタリング

胎児心拍数は基線だけで正常・異常を決めない。正常基線はおおむね110〜160bpmであり、基線細変動、一過性頻脈、一過性徐脈を合わせて評価する。早発一過性徐脈は児頭圧迫と関連しやすく、変動一過性徐脈は臍帯圧迫、遅発一過性徐脈は子宮胎盤循環不全と関連する。特に遅発一過性徐脈が反復し、基線細変動まで減少・消失している場合は胎児低酸素への警戒が必要である。「徐脈がある=全部同じ原因」と覚えず、子宮収縮との時間的関係を見る。

詳細講義15 胎児循環

胎児は肺でガス交換をしておらず、胎盤が肺の役割を担う。そのため胎盤で酸素化された血液は臍静脈を通って胎児へ入り、一部は静脈管を介して下大静脈へ流れる。右心房に入った血液の一部は卵円孔を通って左心房へ進み、酸素の比較的豊富な血液を脳や心臓へ送る。右室から肺動脈へ出た血液の多くは、肺血管抵抗が高いため動脈管を通って大動脈へ流れる。出生して呼吸が始まると肺血管抵抗が低下し、これら胎児特有の短絡路が機能的に閉鎖して新生児循環へ移行する。

詳細講義16 児頭の回旋

正常な頭位分娩では、胎児は単に下へ降りてくるのではなく、母体骨盤の形に合わせて姿勢を変える。第1回旋では児頭が屈曲し、より小さい前後径で産道へ進入しやすくなる。第2回旋では後頭部が母体前方へ回旋し、第3回旋では恥骨結合の下を支点として児頭が伸展し娩出される。児頭娩出後には第4回旋として外旋が起こり、肩の向きと一致する。試験では「第2回旋=伸展」など、回旋番号と運動をずらした選択肢が作られやすいため、番号だけでなく分娩の場面をイメージする。

詳細講義17 分娩第1期・第2期・第3期

分娩第1期は分娩開始から子宮口全開大まで、第2期は子宮口全開大から児娩出まで、第3期は児娩出から胎盤娩出までである。単純な分類だが、胎児心拍の観察頻度、内診所見、怒責、分娩介助などを考える基準になるため重要である。第1期では子宮口の開大と児頭下降、第2期では母体の努責と児頭娩出、第3期では胎盤剥離・娩出と出血量に注目する。試験では「児娩出から胎盤娩出までを第2期」と1段ずらすだけの問題が作られるので、確実に得点したい。

詳細講義18 胎盤剥離徴候

胎盤剥離徴候は名称と現象を正確に対応させる。Ahlfeld徴候は臍帯につけた目印や鉗子が下降すること、Schröder徴候は胎盤剥離後に子宮底が上昇し、子宮が細長く右方へ偏位することなどで判断する。Küstner徴候やStrassmann徴候も、恥骨上部の圧迫や子宮への刺激と臍帯の動きの関係から胎盤剥離をみる方法である。R8年度はこの領域を5問連続で出しているため、名前だけではなく「その操作をすると何が起こるのか」まで整理する必要がある。

詳細講義19 弛緩出血

胎盤娩出後は子宮筋が強く収縮することで、胎盤剥離面を走る血管が圧迫されて止血される。子宮収縮が不十分になると、この生理的止血機構が働かず大量出血する。これが弛緩出血である。多胎妊娠、巨大児、羊水過多、遷延分娩などによる子宮筋の過伸展や疲労はリスクとなる。観察では出血量だけでなく、子宮底の高さ・硬さ、悪露、血圧、脈拍、意識状態を確認する。産後出血はTone〈子宮収縮〉、Trauma〈産道損傷〉、Tissue〈胎盤遺残〉、Thrombin〈凝固異常〉の4Tで整理すると原因を考えやすい。

詳細講義20 産褥感染

産褥期の発熱をすべて感染と判断するわけではないが、発熱が持続し、子宮圧痛、下腹部痛、悪臭のある悪露などを伴えば子宮内膜炎などの産褥感染を考える。帝王切開創、会陰創、尿路、乳房なども感染源となるため、発熱だけを見ず全身を観察する。産褥早期には分娩時の身体活動や脱水によって一時的に軽度体温上昇を認めることもあるため、「何度あるか」だけでなく、いつから、どの程度持続し、ほかにどんな症状を伴うかが重要である。

詳細講義21 子宮復古

妊娠中に大きくなった子宮は、分娩後に急速に縮小して非妊時の状態へ戻る。これを子宮復古という。正常経過ではおおむね産後4〜6週頃までに非妊時に近い大きさになる。一方、産後10〜14日頃には子宮が小骨盤腔内へ下降し、腹壁から子宮底を触れにくくなるため、「10〜14日で非妊時の大きさに戻る」と混同しやすい。授乳による乳頭刺激はオキシトシン分泌を促し、子宮収縮を強めるため子宮復古にも関係する。R6とR8で数字を変えて繰り返し出題された重要項目である。

詳細講義22 悪露

悪露は産褥期に子宮から排出される血液、壊死組織、分泌物などの混合物であり、産褥経過に伴って性状が変化する。分娩直後は血液成分の多い赤色悪露が中心で、その後は褐色・漿液性を経て白色悪露へ移行する。したがって産後すぐに白色悪露になるわけではない。観察では色だけでなく量、血塊、臭気、変化の方向を見る。悪露が急に増加する、鮮血が続く、大きな血塊が出る、悪臭を伴う場合には、子宮復古不全、胎盤遺残、感染などを考える。

詳細講義23 プロラクチンとオキシトシン

授乳関連ホルモンでは、「作る」と「出す」を分ける。プロラクチンは下垂体前葉から分泌され、乳腺の乳腺胞細胞へ作用して乳汁を産生する。一方、オキシトシンは視床下部で作られ、下垂体後葉から放出されて乳腺の筋上皮細胞を収縮させ、乳汁を乳管へ押し出す射乳反射を起こす。さらにオキシトシンは子宮収縮も促進する。そのため「プロラクチン=乳汁産生」「オキシトシン=射乳・子宮収縮」をセットにする。埼玉医大短大ではこの違いを何度も角度を変えて出している。

詳細講義24 エンドクリンとオートクリン

乳汁産生は分娩後ずっと同じ仕組みで調節されているわけではない。授乳開始初期はプロラクチンなどホルモンによる内分泌性調節、すなわちエンドクリンコントロールの影響が大きい。その後、乳汁分泌が確立すると、その乳房からどれだけ乳汁が除去されたかという局所調節、すなわちオートクリンコントロールの比重が大きくなる。乳汁が十分排出されれば産生が維持され、長時間貯留すれば産生が抑えられる。R6でオートクリン、R7でエンドクリンを出題しているので、両者を一対として理解する。

詳細講義25 マタニティブルーズと産後うつ

マタニティブルーズでは産後数日頃から涙もろさ、不安、気分変動、いらだちなどを認めるが、多くは一過性で、おおむね2週間以内に改善する。一方、症状が長く続き、強い抑うつ、興味・喜びの喪失、睡眠や食欲の障害、育児困難などがみられる場合には産後うつ病を考える。「産後だから気分が落ち込むのは普通」と片付けないことが重要である。R8年度では「2〜3か月続くマタニティブルーズ」を誤りとしており、期間の違いは試験でも使いやすい。

詳細講義26 新生児の体温調節

新生児は体表面積が体重に比べて大きく、皮下脂肪が少なく、体温調節機能も未熟なため熱を失いやすい。さらに成人のような効率的なふるえによる熱産生が難しく、褐色脂肪組織を利用した非ふるえ熱産生が重要になる。熱喪失には、濡れた皮膚から水分が気化する「蒸発」、冷たい物体との接触による「伝導」、冷たい空気の流れによる「対流」、接触していない冷たい壁などへの「放射」がある。出生直後にすぐ身体を乾かすのは蒸発による熱喪失を防ぐためである。

詳細講義27 新生児の生理的体重減少

出生後、新生児は余分な体液の排泄や摂取量がまだ少ないことなどにより体重が一時的に減少する。これは生理的体重減少であるが、減少率が大きい場合は「正常だから様子を見る」で済ませない。授乳量不足、吸啜不良、脱水、高ナトリウム血症などを評価する必要がある。R8年度では3,200gから2,850gへ減少した約10.9%のケースを正常経過とはしていない。試験では体重そのものより、「出生体重から何%減ったか」を計算できることが重要になる。

詳細講義28 新生児黄疸

生理的黄疸は通常、生後24時間を過ぎてから明らかになり、生後数日にピークを迎える。一方、生後24時間以内に出現する黄疸は早発黄疸であり、溶血など病的原因を考えて評価する必要がある。新生児では赤血球量が多く寿命も短いことに加え、肝臓のビリルビン処理能力が未熟なため間接ビリルビンが上昇しやすい。重度の非抱合型高ビリルビン血症ではビリルビンが中枢神経へ沈着し核黄疸を起こす危険があるため、「黄色いのは新生児なら普通」と判断しない。

詳細講義29 NCPR

新生児蘇生で最も重要なのは「換気」である。新生児の徐脈・心停止の多くは低酸素を背景とするため、初期処置後に自発呼吸がない、または心拍数100/分未満なら人工呼吸を開始する。十分な換気を行っても心拍数60/分未満なら胸骨圧迫へ進み、人工呼吸と胸骨圧迫の比は3:1である。2025年版NCPRでは蘇生・安定化の基本的評価と介入の流れは維持され、声門上気道デバイスなどが整理された。心拍100未満ですぐ胸骨圧迫するわけではない点が重要である。

詳細講義30 Apgar score

Apgar scoreは出生後の新生児状態をAppearance〈皮膚色〉、Pulse〈心拍〉、Grimace〈刺激反応〉、Activity〈筋緊張〉、Respiration〈呼吸〉の5項目について各0〜2点で評価する。通常1分値と5分値を評価し、必要に応じてその後も継続する。重要なのは、Apgar scoreが蘇生開始の判断を待つための検査ではないという点である。呼吸がない、心拍数が低いなど明らかな蘇生適応があれば、点数計算が終わるまで待たずに処置を開始する。試験では各所見から合計点を計算させることもある。

詳細講義31 新生児の原始反射

原始反射は中枢神経系の成熟度を評価する重要な所見である。Moro反射は突然の姿勢変化や刺激で上肢を外転・伸展し、その後内転・屈曲する。探索反射は口角や頬への刺激で刺激側へ口を向け、吸啜反射は口腔内刺激によって吸う運動を起こす。把握反射では手掌刺激で指を握る。反射があるかだけでなく、左右差、弱さ、消失すべき時期に残っていないかも神経学的評価につながる。「音を聞いて瞬目する=Moro反射」のように異なる反応を混同しない。

詳細講義32 新生児マススクリーニング

新生児マススクリーニングは、出生時には症状が分かりにくい先天性代謝異常などを早期に発見し、不可逆的障害が起こる前に治療へつなげるための検査である。日本では従来20疾患を対象とした検査が行われており、現在はSMA〈脊髄性筋萎縮症〉やSCID〈重症複合免疫不全症〉の追加に向けた実証事業が進められている。こども家庭庁も2026年に新生児マススクリーニング実証事業について通知を継続しているため、「20疾患だけを永久に固定暗記」するのではなく制度変更も確認する必要がある。

詳細講義33 閉経とホルモン

閉経では卵巣の卵胞機能が低下し、エストロゲンとプロゲステロンが減少する。同時にインヒビンも低下するため、視床下部・下垂体への負のフィードバックが弱くなり、FSHとLHは上昇する。特にFSHの上昇が目立つ。したがって「卵巣機能が低下したからすべての性腺系ホルモンが低下する」という理解は誤りである。エストロゲン低下によって血管運動神経症状、泌尿生殖器症状、骨量減少などが起こりやすくなる。R6年度ではこのホルモン増減を5問連続で出題している。

詳細講義34 ホルモン補充療法〈HRT〉

HRTは更年期障害、とくにほてり・発汗など血管運動神経症状への有効性が高い治療である。一方で、誰にでも同じ方法を使うわけではなく、子宮の有無、年齢、閉経後年数、乳癌・血栓症などの既往やリスクを評価する。子宮を有する女性へエストロゲン単独療法を長期間行うと子宮内膜増殖症・子宮内膜癌のリスクを高めるため、通常は黄体ホルモンを組み合わせる。HRT問題では「更年期だからエストロゲンだけ投与」と単純化せず、禁忌・慎重投与・利益とリスクを考える。

詳細講義35 出生前検査

出生前検査にはスクリーニング検査と確定的検査がある。NIPTは母体血中の胎盤由来cfDNAを解析し、主として特定の染色体疾患について可能性を評価するスクリーニングであり、陽性だけで胎児疾患が確定するわけではない。確定診断には羊水検査や絨毛検査などが用いられる。検査前後には、結果の意味、偽陽性・偽陰性、確定検査の必要性、検査後にどのような意思決定が生じ得るかまで説明する必要がある。出生前診断は技術的知識だけでなく、意思決定支援や倫理的課題まで助産師教育で重要となる。

詳細講義36 母子感染

母子感染は経胎盤感染、産道感染、母乳感染など経路で整理すると覚えやすい。風疹、トキソプラズマ、サイトメガロウイルスなどでは胎内感染が重要であり、GBSは主として分娩時の垂直感染が問題となる。HTLV-1では母乳を介した感染が重要である。単純ヘルペスも新生児感染では分娩時感染が大きな問題となる。つまり「母子感染=全部胎盤を通る」ではない。病原体名だけを覚えるより、いつ母体から児へ移るのかを理解した方が、感染予防策や分娩管理まで一緒に覚えられる。

詳細講義37 妊婦とワクチン

妊娠中のワクチンでは「生ワクチンかどうか」が基本となる。麻疹、風疹、水痘などの生ワクチンは妊婦には原則接種しない。一方、不活化ワクチンやmRNAワクチンなどは妊娠中だから一律禁忌になるわけではなく、感染リスクや有益性を評価して接種する。インフルエンザワクチンも妊娠中に接種可能である。R7年度ではこの領域を5問まとめて出しており、「妊婦はワクチンを全部打てない」という誤った一括暗記を狙っている。

詳細講義38 HPVワクチン

HPVワクチンは子宮頸癌などの原因となる高リスク型HPVへの感染を予防する。2026年4月から日本の定期接種で公費使用されるHPVワクチンは9価ワクチン〈シルガード9〉のみとなった。定期接種対象は小学校6年から高校1年相当の女子で、接種開始年齢によって2回または3回となる。9価ワクチンは子宮頸癌原因の80〜90%を占める7種類の高リスクHPV型への感染予防が期待される。ただしワクチンを接種すれば子宮頸癌検診が不要になるわけではない。

詳細講義39 妊婦へのRSウイルスワクチン

2026年度から妊婦へのRSウイルス母子免疫ワクチンが予防接種法に基づく定期接種となった。対象は接種時点で妊娠28週0日から36週6日までの妊婦で、1回筋肉内接種する。妊婦自身のRSウイルス感染を主目的としているのではなく、接種によって母体に作られた抗体が胎盤を通じて胎児へ移行し、出生後の乳児をRSウイルスによる重症下気道感染から守る「母子免疫」がポイントである。2027年度受験では非常に出題価値の高い最新制度である。

詳細講義40 母子保健法

母子保健法は妊産婦、乳児、幼児の健康保持・増進に関する基本的な法律である。試験では法律名だけでなく、「誰が行うか」「何歳までか」「何g未満か」を問われやすい。母子健康手帳の交付、乳幼児健康診査、低体重児の届出、未熟児訪問指導、産後ケア事業などが関連する。特に自治体の役割として市町村が頻繁に登場するため、「母子保健=都道府県」と覚えない。法律問題では医学的に正しい制度であっても根拠法が違えば誤答になる点にも注意する。

詳細講義41 母子健康手帳

母子健康手帳は妊娠期から出産、産褥、新生児期、乳幼児期まで母子の健康情報を継続的に記録するもので、市町村が妊娠の届出をした者へ交付する。単なる妊婦用の診察券ではなく、妊娠経過、分娩、新生児、予防接種、乳幼児発育などを一貫して記録し、保護者と医療・保健関係者が共有できることに意味がある。厚生労働省の「出産なび」でも妊娠期から乳幼児期までの健康状態を一貫して記録するものと説明されている。

詳細講義42 低体重児の届出

母子保健法第18条では、出生体重2,500g未満の乳児が出生した場合、保護者は速やかにその旨を乳児の現在地の市町村へ届け出ることが定められている。「2,500g以下」ではなく「2,500g未満」である。また1,500g未満だけが対象というわけでもない。なお出生体重2,500g未満は低出生体重児、1,500g未満は極低出生体重児、1,000g未満は超低出生体重児という区分も合わせて整理しておくと、新生児問題へ応用できる。

詳細講義43 産後ケア事業

産後ケア事業は、出産後の母子に対して心身のケア、育児支援などを行う仕組みで、母子保健法に位置付けられている。実施主体は市町村であり、宿泊型、通所型、居宅訪問型など地域の体制に応じた支援が行われる。単に「育児ができない母親だけの制度」ではなく、産後の心身の負担や育児不安を抱える母子を支援し、必要に応じて他の保健・福祉サービスへつなぐ役割もある。こども家庭庁は2026年3月にも産前・産後サポート事業・産後ケア事業ガイドラインを改定しているため、今後も制度問題として狙いやすい。

詳細講義44 出産育児一時金

出産育児一時金は、公的医療保険の加入者が妊娠4か月、すなわち85日以上で出産した場合に支給され、現在は子ども1人につき原則50万円である。双胎なら原則として2児分となる。また生児を出産した場合だけに限定されず、妊娠85日以上であれば死産や流産なども支給対象となり得る。被保険者本人に対する「出産育児一時金」と、被扶養者の出産に対する「家族出産育児一時金」の名称の違いも試験では狙われる。

詳細講義45 左心不全と右心不全

左心不全では左室から血液を十分送り出せず、左房・肺静脈側に血液がうっ滞するため、肺うっ血、呼吸困難、起坐呼吸、発作性夜間呼吸困難などが現れる。一方、右心不全では体静脈系にうっ血し、頸静脈怒張、肝腫大、下肢浮腫などがみられる。実際には左心不全が進行して右心不全も合併することがあり、完全に独立した病態ではない。ただし試験では「呼吸困難=左」「頸静脈怒張・下肢浮腫=右」という基本対応をまず確実にする。

詳細講義46 急性腎障害〈AKI〉

AKIは原因から腎前性、腎性、腎後性に整理する。腎前性は大量出血、脱水、ショックなどで腎血流が低下する状態、腎性は糸球体腎炎や間質性腎炎など腎実質自体の障害、腎後性は尿管・尿道閉塞など尿路の閉塞によって起こる。腎前性を長時間放置すれば虚血によって腎実質障害へ進む場合もあるため、分類は固定されたものではない。「ショック後の乏尿」「大量出血後の乏尿」と書かれていれば、まず循環血液量低下による腎前性AKIを考える。

詳細講義47 輸血副作用

輸血副作用は「輸血中すぐ起こるもの」と「後から起こるもの」を分ける。ABO不適合などによる急性溶血性副作用では発熱、悪寒、腰背部痛、血圧低下、血色素尿、DIC、腎障害などを起こし得る。TRALIでは輸血後に急性呼吸障害・非心原性肺水腫を起こし、TACOでは循環負荷による肺水腫が問題になる。輸血後GVHDは輸血直後ではなく、発熱、発疹、肝障害、下痢、汎血球減少などを呈する重篤な遅発性合併症である。「スクリーニングしているから感染症はゼロ」という選択肢も誤りになる。

詳細講義48 頭蓋内圧亢進

頭蓋内は頭蓋骨という閉鎖空間であり、脳実質、血液、脳脊髄液のいずれかが増えれば、代償できる範囲を超えた時点から頭蓋内圧が上昇する。進行すると頭痛、嘔吐、意識障害、瞳孔異常などが現れ、さらにCushing現象として血圧上昇と徐脈、呼吸異常を認めることがある。看護では頭部を適度に挙上して静脈還流を妨げない、低酸素を避ける、吸引を必要最小限にする、怒責など急激に頭蓋内圧を上げる行為を避けることが重要である。

詳細講義49 アレルギーⅠ〜Ⅳ型

Ⅰ型はIgEを介した即時型で、アナフィラキシー、花粉症、アレルギー性鼻炎などが代表。Ⅱ型は細胞表面などに対する抗体が関与する細胞障害型で、免疫性血小板減少症などが代表として扱われる。Ⅲ型は免疫複合体が組織へ沈着して炎症を起こし、SLEや関節リウマチが教科書的代表例となる。Ⅳ型はT細胞を主体とする遅延型で、接触性皮膚炎などが代表である。アナフィラキシーはⅣ型ではなくⅠ型であり、発症時の第一選択治療はアドレナリン筋肉内注射である。

詳細講義50 高齢者の薬物動態

高齢者では体内水分量が減少し、体脂肪率が増加するため、水溶性薬物は分布容積が小さくなって血中濃度が高くなりやすく、脂溶性薬物は脂肪組織へ蓄積して作用時間が延びやすい。また肝血流・肝代謝能が低下し、腎血流量やGFRも低下するため、とくに腎排泄型薬物は体内に蓄積しやすい。したがって「高齢者は体が小さいから薬を減らす」という単純な話ではなく、吸収、分布、代謝、排泄の変化を考える。R8年度でこの薬物動態が実際に出題されているので、各変化を反対にした選択肢にも対応できるようにする。
生殖・妊娠成立・遺伝

詳細講義51 女性生殖器の構造

女性内性器には卵巣、卵管、子宮、腟がある。卵巣では卵胞が発育して卵子が排出され、卵管は排卵された卵子を取り込んで子宮方向へ輸送する。子宮は体部と頸部に分かれ、子宮内膜は月経周期に伴い増殖・分泌・脱落を繰り返す。卵管は間質部、峡部、膨大部、漏斗部に分かれ、正常な受精が最も起こりやすいのは卵管膨大部である。「受精=子宮内」という誤答は頻出なので注意する。

詳細講義52 男性生殖器と精子形成

精子は精巣の精細管で形成され、精巣上体で成熟して運動能を獲得する。精巣のLeydig細胞からはテストステロンが分泌され、Sertoli細胞は精子形成を支える。LHはLeydig細胞を刺激してテストステロン産生を促し、FSHは主としてSertoli細胞へ作用する。男性生殖内分泌では「FSH=精子形成」「LH=テストステロン」という大枠を押さえると整理しやすい。

詳細講義53 原始生殖細胞と減数分裂

ヒトの体細胞は46本の染色体をもつが、精子と卵子は減数分裂によって23本となる。受精によって父由来23本と母由来23本が合わさり、受精卵は再び46本になる。減数分裂で染色体が正しく分離しないと染色体数異常が生じ、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーなどにつながる。染色体異常は単なる病名暗記ではなく、「どの染色体が何本あるか」まで覚える。

詳細講義54 常染色体と性染色体

ヒトの染色体46本のうち44本が常染色体、残り2本が性染色体である。Down症候群は21番染色体の異常、Edwards症候群は18番、Patau症候群は13番なので常染色体異常である。一方、Turner症候群は45,X、Klinefelter症候群は47,XXYであり性染色体異常となる。R6年度で5問連続出題されたので、「病名→染色体」の双方向で答えられるようにする。

詳細講義55 Down症候群

Down症候群は21番染色体が3本存在する21トリソミーが最も多い。特徴として筋緊張低下、特徴的顔貌、発達遅延などがあり、先天性心疾患、とくに房室中隔欠損などを合併することがある。また一過性骨髄異常増殖症や白血病、甲状腺疾患などにも注意する。出生前検査で可能性を評価できても、NIPTだけで確定診断にはならない。

詳細講義56 Turner症候群

Turner症候群の代表的核型は45,Xで、女性にみられる性染色体異常である。低身長、翼状頸、性腺機能低下などが特徴で、卵巣機能不全によって自然な二次性徴が十分進まないことがある。大動脈縮窄など心血管系異常も重要である。「性染色体が1本少ない」という点をKlinefelter症候群と区別する。

詳細講義57 Klinefelter症候群

Klinefelter症候群は男性にみられ、代表的核型は47,XXYである。高身長、精巣萎縮、男性不妊、女性化乳房などがみられることがある。性染色体が1本多い点が特徴であり、Turner症候群の45,Xとは反対方向の数的異常である。性染色体異常は「男性か女性か」だけではなく、核型までセットで覚える。

詳細講義58 胎児の性分化

発生初期の胚には男女共通の生殖器原基が存在する。Y染色体上のSRY遺伝子の働きによって精巣への分化が進み、Sertoli細胞から分泌される抗Müller管ホルモンによってMüller管が退縮する。Leydig細胞由来のテストステロンはWolff管系の発達に関与する。女性ではMüller管から卵管、子宮、腟上部などが形成される。R6年度問題1の周辺知識として必須である。

詳細講義59 卵胞発育

卵胞は原始卵胞から一次卵胞、二次卵胞を経て成熟卵胞へ発育する。FSHの刺激によって顆粒膜細胞が発育し、エストロゲン産生が増加する。通常は複数の卵胞が発育を開始しても、その中から1個の主席卵胞が選択されて排卵へ進む。排卵後の卵胞は黄体へ変化し、妊娠が成立しなければ白体へ退縮する。

詳細講義60 基礎体温

基礎体温は排卵後にプロゲステロンの体温上昇作用によって高温相となる。正常な排卵周期では低温相と高温相の二相性を示し、妊娠が成立すると黄体機能が維持されるため高温相が継続する。基礎体温だけで妊娠を確定することはできないが、排卵や黄体機能を推測する補助となる。R6年度では妊娠8週の事例で高温相持続が問われている。

詳細講義61 受精能獲得

射精された精子はそのまま直ちに卵子へ侵入できるわけではなく、女性生殖路内を移動する過程で受精能獲得を起こす。その後、卵子周囲の透明帯へ結合して先体反応を起こし、卵子へ侵入する。1個の精子が侵入すると多精子受精を防ぐ仕組みが働く。助産学校では受精場所だけでなく、受精前後の順序を問われる可能性がある。

詳細講義62 受精卵の卵割

受精後、受精卵は卵管内を移動しながら2細胞、4細胞、8細胞へと卵割を繰り返し、桑実胚、胚盤胞へ発達する。この卵割では細胞数は増えるが、透明帯に包まれている間は胚全体が急激に大きくなるわけではない。胚盤胞となって子宮腔へ到達した後、透明帯から脱出して着床へ進む。

詳細講義63 着床

着床は通常、受精後約6〜7日頃から始まり、胚盤胞が子宮内膜へ接着・侵入することで進む。受精後2日程度で着床するわけではない。子宮内膜はプロゲステロンの作用によって分泌期となり、着床に適した状態へ変化している。着床部位は通常子宮体部であり、卵管など子宮腔外へ着床すると異所性妊娠となる。

詳細講義64 異所性妊娠

異所性妊娠の多くは卵管妊娠である。妊娠反応が陽性なのに子宮内に胎嚢が確認できない場合や、下腹部痛、性器出血を認める場合には疑う。卵管破裂に至ると腹腔内出血によって出血性ショックを起こすことがある。妊娠初期の腹痛では「流産だけ」と決めず、異所性妊娠を除外することが重要である。

詳細講義65 胎盤の構造

胎盤は母体側の脱落膜と胎児側の絨毛膜から形成され、絨毛間腔には母体血が流れる。母体血と胎児血が正常な胎盤で直接混ざり合うわけではなく、胎盤関門を介して酸素、二酸化炭素、栄養物、老廃物などが交換される。また胎盤は内分泌器官でもあり、hCG、プロゲステロン、エストロゲン、hPLなどを産生する。

詳細講義66 胎盤ホルモンhPL

hPL〈ヒト胎盤ラクトーゲン〉は胎盤から分泌され、妊娠が進むにつれて増加する。母体ではインスリン抵抗性を高め、脂肪分解を促進して、母体がブドウ糖を消費しすぎないようにすることで胎児へブドウ糖を供給しやすくする。この作用が強くなる妊娠後半では妊娠糖尿病が顕在化しやすくなる。GDMの病態を理解するうえで重要である。

詳細講義67 臍帯

正常な臍帯には通常、臍動脈2本と臍静脈1本が含まれる。臍動脈は胎児から胎盤へ血液を送り、臍静脈は胎盤から胎児へ酸素・栄養の比較的豊富な血液を戻す。血管の周囲をWharton膠様質が包み、圧迫から保護している。臍帯動脈が1本しかない単一臍帯動脈では、他の胎児異常がないか評価する。

詳細講義68 羊水の産生と吸収

妊娠初期の羊水は母体血漿由来成分などの影響が大きいが、妊娠中期以降は胎児尿が重要な供給源となる。一方、胎児は羊水を嚥下し、消化管から吸収する。したがって胎児腎機能や尿路異常では羊水過少、消化管通過障害などでは羊水過多を認めることがある。羊水量は胎児の状態を反映する重要な情報である。

詳細講義69 羊水の役割

羊水は胎児を外力から保護するだけではなく、胎児が自由に運動できる空間を確保し、筋骨格系の発育や肺発育にも関与する。また臍帯圧迫を軽減し、胎児の体温環境を安定させる。羊水過少では臍帯圧迫や肺低形成などが問題となり、羊水過多では母体の腹部膨満や早産リスクなどを考える。

詳細講義70 胎児肺成熟

胎児肺ではⅡ型肺胞上皮細胞から肺サーファクタントが産生される。サーファクタントは肺胞表面張力を低下させ、呼気時の肺胞虚脱を防ぐ。早産児では産生が不十分なため呼吸窮迫症候群を起こしやすい。早産が予測される妊婦へ副腎皮質ステロイドを投与する理由は、この肺成熟を促すことにある。

妊娠の診断・正常経過

詳細講義71 妊娠週数の数え方

妊娠週数は通常、最終月経開始日を妊娠0週0日として数える。実際の受精は一般にその約2週間後なので、「妊娠8週=受精後8週間」ではない。予定日は妊娠40週0日、最終月経開始日から280日後が基本となる。月経周期が不規則な場合には超音波所見によって週数を修正することがある。

詳細講義72 Naegele概算法

月経周期が28日で規則的な場合、分娩予定日は最終月経開始日の月に9を足す、または3を引き、日に7を足して概算できる。例えば11月26日なら翌年9月2日となる。ただし月ごとの日数や周期の長さによって調整が必要であり、現在の臨床では超音波による妊娠週数評価も重要である。

詳細講義73 胎嚢・胎芽・心拍

妊娠初期の超音波では、まず子宮内胎嚢が確認され、その後卵黄嚢、胎芽、胎児心拍が確認される。経腟超音波は経腹超音波より妊娠初期の観察に適している。妊娠反応陽性でも子宮内胎嚢が確認できない場合には、妊娠時期が早い可能性だけでなく異所性妊娠も考える。

詳細講義74 CRL

CRL〈頭殿長〉は胎児の頭頂部から殿部までの長さで、妊娠初期の週数決定に非常に有用である。月経周期が不規則で最終月経だけでは週数が不確かな場合にも用いられる。妊娠が進むと胎児が屈曲し測定誤差が増えるため、以後はBPDなど他の指標を用いる。

詳細講義75 BPD

BPD〈児頭大横径〉は胎児頭部の左右方向の径を超音波で測定した値で、妊娠週数や胎児発育評価に用いる。妊娠初期の週数決定ではCRLが優先され、その後BPDなどが重要になる。R7年度で「8〜11週にBPD」という誤った記述が出題されているため、CRLとの時期の違いを覚える。

詳細講義76 子宮底長

子宮底長は恥骨結合上縁から子宮底までを測定し、妊娠中期以降の子宮増大や胎児発育を簡便に評価する。ただし母体肥満、多胎妊娠、羊水量、胎位、子宮筋腫などでも変化するため、単一の値だけで胎児発育を診断するものではない。妊娠週数と大きく乖離する場合には超音波評価などを行う。

詳細講義77 妊娠中の呼吸器変化

妊娠するとプロゲステロンなどの影響で換気量が増加し、酸素消費量も増える。横隔膜は増大した子宮に押し上げられる一方、胸郭は広がる。妊婦が「息が深くなった」と感じることはあるが、明らかな呼吸困難や低酸素を「妊娠だから普通」と決めつけてはいけない。肺塞栓症や心疾患などとの鑑別が必要となる。

詳細講義78 妊娠中の腎・尿路変化

妊娠中は腎血流量とGFRが増加するため、血清クレアチニンは非妊娠時より低値となりやすい。またプロゲステロンの作用や増大子宮の影響で尿管が拡張し、尿の停滞が起こりやすくなるため尿路感染症にも注意する。妊婦のクレアチニンを一般成人の基準だけで判断すると腎障害を見逃すことがある。

詳細講義79 妊娠中の消化器変化

プロゲステロンの作用で消化管運動が低下し、食道下部括約筋の緊張も低下するため、妊婦は便秘や胃食道逆流症状を起こしやすい。増大子宮による物理的圧迫も加わる。便秘予防では水分、食物繊維、適度な運動などを基本とし、必要時には妊娠中に使用可能な薬剤を検討する。

詳細講義80 妊娠中の皮膚変化

妊娠中はホルモン変化によって乳輪、外陰部、白線などの色素沈着が目立つことがある。また腹部には妊娠線が現れることがあり、顔面に肝斑を認める場合もある。これらは生理的変化である一方、強い掻痒や黄疸を伴う場合には妊娠性肝疾患など別の病態も考える。

詳細講義81 妊娠中の体重増加

妊娠中の体重増加には胎児、胎盤、羊水、子宮・乳房増大、循環血液量増加、母体脂肪蓄積などが含まれる。現在の日本の目安では妊娠前BMIに応じて推奨増加量が異なり、BMI 18.5未満では12〜15kg、18.5以上25未満では10〜13kg、25以上30未満では7〜10kgが目安となる。古い教材の「BMI25以上は一律約5kg」と混同しない。

詳細講義82 葉酸

葉酸はDNA合成などに関与し、妊娠前から妊娠初期に不足すると胎児の神経管閉鎖障害リスク上昇と関連する。妊娠が判明してからではなく、妊娠を計画する段階から十分に摂取することが重要である。通常の食品からの摂取に加え、妊娠を計画する女性などには400μg/日の葉酸を食品以外から摂取することが推奨される。

詳細講義83 鉄

妊娠では母体赤血球量増加と胎児・胎盤への鉄供給が必要になるため鉄需要が増える。鉄欠乏性貧血では小球性低色素性貧血となり、血清フェリチン低下が鉄欠乏を反映する。食事からの摂取だけで改善しない場合は鉄剤を使用する。鉄剤では悪心、便秘、黒色便などがみられることも覚えておく。

詳細講義84 妊娠中のカルシウム

胎児骨格形成のため妊娠中はカルシウム需要が増えるが、母体では腸管からのカルシウム吸収が高まるなどの適応が起こる。カルシウムだけでなくビタミンDも骨代謝に重要である。母体栄養は「胎児に全部取られる」という単純な考えではなく、母体の生理的適応まで含めて理解する。

詳細講義85 妊娠中の便秘

妊娠中はプロゲステロンによる腸蠕動低下、増大子宮による腸管圧迫、活動量低下、鉄剤などによって便秘が起こりやすい。予防では水分摂取、食物繊維、適度な運動、排便習慣の確立が基本となる。強くいきむことへの恐怖だけで排便を我慢するとさらに悪化する。

詳細講義86 妊娠中の腰痛

妊娠が進むと腹部重量が増え、重心が前方へ移動するため腰椎前弯が強くなり、腰痛が起こりやすい。またリラキシンなどによって骨盤周囲の靱帯も弛緩する。姿勢調整や適度な運動、身体に負担の少ない動作を指導する。激痛、神経症状、発熱などを伴う場合は単なる妊娠性腰痛と判断しない。

詳細講義87 妊娠中の浮腫

妊娠後期には増大子宮による下大静脈・骨盤静脈圧迫や血漿膠質浸透圧の変化などから下肢浮腫が生じることがある。ただし急激な浮腫、血圧上昇、蛋白尿などを伴う場合には妊娠高血圧症候群などを評価する。一側性の下肢腫脹・疼痛では深部静脈血栓症も考える。

詳細講義88 静脈血栓塞栓症

妊娠・産褥期は凝固能亢進、静脈うっ滞、血管壁損傷というVirchowの三徴がそろいやすく、VTEリスクが上昇する。帝王切開、肥満、長期安静、既往歴、血栓性素因などでさらに高くなる。片側下肢の腫脹・疼痛はDVT、突然の呼吸困難や胸痛、低酸素は肺血栓塞栓症を疑う。

詳細講義89 妊娠中の薬物療法

妊娠中の薬剤は「全部危険」でも「市販薬なら安全」でもない。胎児への影響は薬剤の種類、投与量、妊娠週数などで異なる。特に器官形成期には催奇形性が問題となり、妊娠中・後期では胎児腎機能や循環などに影響する薬剤もある。自己判断で中止すると母体疾患が悪化してかえって母児へ危険を及ぼすこともある。

詳細講義90 妊娠中のACE阻害薬・ARB

ACE阻害薬やARBは胎児腎機能障害、羊水過少などの重大な胎児影響が知られており、妊娠中は使用を避ける。高血圧をもつ女性が妊娠を希望する場合は、妊娠前から使用薬を確認して妊娠中に使用可能な薬剤へ変更する必要がある。薬名だけではなく「胎児腎障害→羊水過少」という関連まで覚える。

詳細講義91 妊娠とワルファリン

ワルファリンは胎盤を通過し、妊娠時期によって胎児奇形や胎児出血などを起こす可能性があるため、妊娠中の抗凝固療法では適応を慎重に判断する。一方、ヘパリンは胎盤を通過しないため妊娠中に用いられることがある。抗凝固薬では「母体に効く=胎児にも同じように安全」ではない。

詳細講義92 妊婦の感染症と発熱

妊婦が発熱した場合は母体感染だけでなく胎児への影響も考える。高熱、脱水、低酸素は母体循環を悪化させ、重症感染症では胎児状態にも影響する。また風疹、CMV、トキソプラズマなど病原体によっては胎内感染が問題となる。妊娠中だから薬を使えないと決めつけず、必要な治療を安全性を評価しながら行う。

詳細講義93 風疹と妊娠

妊娠初期に母体が風疹へ感染すると胎盤を介して胎児感染を起こし、先天性風疹症候群の原因となる。代表的障害は難聴、先天性心疾患、白内障である。風疹ワクチンは生ワクチンのため妊娠中には接種せず、妊娠前や産後に免疫獲得を図ることが重要である。

詳細講義94 GBS

GBSは健康な女性の腟・直腸などにも存在する細菌だが、分娩時に新生児へ感染すると早発型GBS感染症を起こし、敗血症、肺炎、髄膜炎などにつながる。妊娠後期に培養検査を行い、保菌妊婦では分娩時抗菌薬投与によって新生児感染を予防する。母体に症状がないから安全とは限らない。

詳細講義95 性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルスによる新生児感染では、分娩時に産道を通過する際の感染が重要となる。分娩時に活動性病変がある場合には新生児感染リスクを考えて分娩方法を検討する。新生児ヘルペスは皮膚・眼・口腔病変だけでなく、中枢神経感染や播種性感染に進むことがあり重篤である。

詳細講義96 トキソプラズマ

トキソプラズマは加熱不十分な肉や猫の糞便などを介して感染することがある。妊娠中の初感染では胎盤を介して胎児感染を起こし、眼病変や中枢神経障害などにつながる。妊婦には生肉・加熱不十分な肉を避け、土や猫の排泄物を扱った後は手洗いを徹底するなど具体的な予防行動を説明する。

詳細講義97 CMV

CMVは成人では無症候性のことも多いが、妊娠中に胎児へ感染すると先天性CMV感染症となることがある。難聴、小頭症、脳内石灰化などが問題となり、出生時に無症状でも後から難聴が明らかになる場合がある。幼児の唾液・尿との接触が感染機会となるため、手洗いなど基本的衛生行動も重要である。

詳細講義98 HTLV-1

HTLV-1母子感染では母乳を介した感染が重要である。妊婦健診で抗体検査を行い、陽性の場合には確認検査などを経て、母乳栄養による感染リスクと栄養方法について支援する。単に「陽性だから授乳禁止」と一言で終わらず、母親の意思決定を支えることも助産師に求められる。

詳細講義99 水痘と妊娠

妊婦が水痘へ初感染すると母体が重症化することがあり、妊娠時期によっては胎児への影響も問題となる。水痘ワクチンは生ワクチンなので妊娠中には接種しない。妊娠前に既往歴や免疫を確認しておくことが重要である。曝露した妊婦では免疫状態や妊娠週数などを踏まえて専門的対応が必要となる。

詳細講義100 B型肝炎の母子感染

HBs抗原陽性母体から出生した児では、適切な予防を行わないと母子感染が成立することがある。出生後早期からHBワクチンやHBIGを用いた予防を行う。母子感染によって乳幼児期に感染すると慢性化しやすいため、出生直後の対応が重要である。「母子感染=授乳を全部禁止」ではなく、感染症ごとに予防方法が異なる。
妊娠合併症・産科異常

詳細講義101 流産

流産は妊娠22週未満で妊娠が終了することをいう。妊娠初期の自然流産の多くは胎児染色体異常など胎児側要因による。性器出血や下腹部痛がみられるが、出血だけで流産が確定するわけではない。超音波所見、妊娠週数、胎児心拍などを総合して判断する。

詳細講義102 切迫流産

切迫流産では性器出血や下腹部痛を認めても、胎児心拍が確認され妊娠が継続している。流産が確定している状態ではない。「出血した=流産した」と説明してはいけない。不安が非常に強い時期であり、医学的評価と同時に心理的支援も必要となる。

詳細講義103 頸管無力症

子宮頸管無力症では、明らかな強い子宮収縮がないにもかかわらず妊娠中期に頸管が短縮・開大し、流産・早産へ進むことがある。既往歴や超音波での頸管長などを参考に評価し、症例によって頸管縫縮術などを検討する。切迫早産と似ていても、病態の中心が子宮収縮とは限らない。

詳細講義104 羊水過多

羊水過多では母体糖尿病、胎児消化管閉鎖、胎児貧血などさまざまな原因を考える。子宮が過度に伸展するため、切迫早産、胎位異常、破水時の臍帯脱出、分娩後の弛緩出血などのリスクにもつながる。単に「羊水が多い」という一つの所見から、分娩後まで連続して考えることが大切である。

詳細講義105 羊水過少

羊水過少では破水、胎児腎・尿路異常、胎盤機能不全などを考える。羊水が少ないと臍帯が圧迫されやすくなり、変動一過性徐脈など胎児心拍異常につながることがある。早期から高度の羊水過少が続けば肺低形成や四肢変形にも関係する。

詳細講義106 胎児発育不全

胎児発育不全〈FGR〉では胎児の大きさが妊娠週数に比べて小さく、胎盤機能不全、母体高血圧、喫煙、胎児異常などさまざまな原因がある。単に推定体重が小さいだけでなく、成長速度、羊水量、血流評価、胎児心拍などを総合する。胎児が小さいことと「妊娠週数を間違えたこと」は区別する。

詳細講義107 巨大児

一般に出生体重4,000g以上を巨大児として扱うことが多い。妊娠糖尿病・糖尿病などでは巨大児リスクが高まり、肩甲難産、分娩外傷、帝王切開などが問題となる。一方、胎児が大きいから必ず糖尿病とは限らず、遺伝的体格や母体体格なども影響する。

詳細講義108 多胎妊娠

多胎妊娠では単胎より早産、妊娠高血圧症候群、貧血、胎児発育異常、弛緩出血などのリスクが高い。双胎では一絨毛膜か二絨毛膜かが管理上重要で、一絨毛膜双胎では双胎間輸血症候群など特有の合併症がある。双胎だから単に「胎児が2人いる」だけではない。

詳細講義109 双胎間輸血症候群

一絨毛膜双胎では胎盤内の血管吻合によって一方の胎児から他方へ血液が偏って流れることがあり、双胎間輸血症候群〈TTTS〉を起こす。供血児では循環血液量低下・羊水過少、受血児では循環負荷・羊水過多などが生じる。二絨毛膜双胎では基本的にこの病態は起こらない。

詳細講義110 妊娠貧血

妊娠中のHb低下には生理的血液希釈と鉄欠乏の両方が関係する。鉄欠乏が進むと小球性低色素性貧血となり、フェリチンが低下する。鉄剤治療ではHbだけでなく鉄貯蔵の回復も考える。妊婦が疲れやすいからといってすべて「妊娠だから」で終わらせない。

詳細講義111 HELLP症候群

HELLP症候群はHemolysis〈溶血〉、Elevated Liver enzymes〈肝酵素上昇〉、Low Platelet count〈血小板減少〉を特徴とする重篤な妊娠合併症である。妊娠高血圧症候群に関連して発症することがあり、心窩部痛や右季肋部痛、悪心などを認める。血圧だけに注目すると見逃す可能性がある。

詳細講義112 子癇

子癇では妊娠・分娩・産褥期に妊娠高血圧症候群と関連するけいれん発作を生じる。発作時には母体の安全確保、気道・呼吸・循環の管理を行い、硫酸マグネシウムによるけいれん治療・再発予防が重要となる。舌を噛まないように硬い物を口へ無理に入れるような対応は行わない。

詳細講義113 胎盤機能不全

胎盤機能不全では胎児への酸素・栄養供給が低下し、FGRや胎児低酸素などにつながる。母体高血圧、胎盤病変、過期妊娠などが背景となることがある。胎児発育、羊水量、胎児心拍、血流など複数の情報を組み合わせて評価する。

詳細講義114 過期妊娠

妊娠42週0日以降を過期妊娠という。妊娠期間が延びると胎盤機能低下、羊水減少、胎便排泄、胎便吸引症候群などのリスクが高まる。予定日を過ぎただけですぐ過期妊娠になるわけではなく、「予定日=40週0日」「過期=42週以降」の数字を区別する。

詳細講義115 胎便

胎便は胎児・新生児の初期便で、胆汁色素などを含む暗緑色・粘稠な便である。胎児が低酸素ストレスを受けると子宮内で胎便を排泄することがあり、羊水が胎便で混濁する。胎便混濁だけで必ず胎便吸引症候群になるわけではないが、新生児の呼吸状態を注意深く評価する。

詳細講義116 胎便吸引症候群

胎便吸引症候群〈MAS〉では、胎便を含む羊水を胎児・新生児が気道へ吸引し、気道閉塞や化学性肺炎、肺高血圧などを生じる。出生後に多呼吸、呻吟、陥没呼吸、チアノーゼなどを呈することがある。過期産や胎児機能不全との関連も重要である。

詳細講義117 妊娠と甲状腺

甲状腺ホルモンは胎児の神経発達にも重要であり、妊娠中の甲状腺機能異常は適切に管理する必要がある。妊娠初期にはhCGがTSH受容体へ弱く作用するためTSHが低下することがある。非妊娠時の基準値だけで異常と判断しない点が重要である。

詳細講義118 妊娠とBasedow病

Basedow病ではTSH受容体抗体が甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンが過剰となる。妊娠中は母体だけでなく、抗体が胎盤を通過して胎児甲状腺へ影響することもある。薬物療法では妊娠時期によって薬剤選択を考える必要があり、未治療の甲状腺機能亢進も母児へ危険となる。

詳細講義119 妊娠と心疾患

妊娠では循環血液量や心拍出量が増えるため、基礎心疾患をもつ女性では循環負荷が増大する。妊娠中だけでなく、分娩直後は子宮収縮によって大量の血液が母体循環へ戻るため心負荷が急増することがある。心疾患妊婦では産褥早期まで継続して循環状態を観察する。

詳細講義120 妊娠と喘息

妊婦の喘息管理では「薬が胎児に怖いから全部中止する」ことは不適切である。喘息コントロール不良による母体低酸素は胎児にも影響するため、適切な吸入薬などを継続して発作を予防することが重要となる。妊娠中の薬剤管理では疾患を放置するリスクも同時に考える。

分娩・胎児心拍・産科救急

詳細講義121 陣痛

陣痛は子宮筋の周期的な収縮と休止を繰り返しながら分娩を進める。評価では間隔、持続時間、強さを確認する。分娩開始は規則的な子宮収縮が出現し、子宮頸管の開大・展退が進行していることを踏まえて判断する。痛みがあるだけでは真の陣痛とは限らない。

詳細講義122 前駆陣痛

前駆陣痛は妊娠末期にみられる不規則な子宮収縮で、休息すると軽快することがあり、子宮頸管変化も分娩陣痛ほど進行しない。真の陣痛では規則性が増し、間隔が短くなり、痛みも強くなりながら頸管開大が進む。R6年度の事例問題そのものの周辺知識である。

詳細講義123 産徴

分娩開始前後には子宮頸管が開大・展退することで卵膜と子宮壁の間にずれが生じ、少量の血液を混じた粘液性分泌物がみられることがある。これが産徴である。少量の血性分泌物だけで大量出血と同じ扱いにはしないが、量が多い場合は前置胎盤など異常出血との鑑別が必要となる。

詳細講義124 子宮口開大と展退

分娩進行では子宮頸管が薄く短くなる「展退」と、子宮口が広がる「開大」が起こる。子宮口全開大は約10cmである。初産婦と経産婦では展退と開大の進み方が異なることがあるため、子宮口径だけで分娩進行を判断しない。

詳細講義125 Station

Stationは児頭先進部と母体の坐骨棘との位置関係を示す。坐骨棘と同じ高さを0とし、それより上方をマイナス、下方をプラスで表す。児頭が下降すれば数値はプラス方向へ進む。「−3から+1になった」という変化は児頭が下降したことを示す。

詳細講義126 胎位・胎向・胎勢

胎位は胎児長軸と母体長軸の関係、胎向は胎児の背部が母体のどちら側を向くか、胎勢は胎児自身の姿勢を示す。正常では縦位・頭位が多く、胎勢は屈曲位をとる。これらの言葉を一括して「胎児の向き」と覚えると問題で混乱する。

詳細講義127 頭位

頭位は胎児頭部が先進する胎位で、正常分娩で最も多い。頭部の屈曲状態によって後頭位、前頭位、額位、顔位などに分かれる。最も分娩しやすいのは十分屈曲した後頭位であり、反屈が強くなるほど児頭の通過径が大きくなる。

詳細講義128 骨盤位

骨盤位では臀部や下肢が先進する。頭位と比べて臍帯脱出や児頭娩出困難などのリスクがあり、妊娠週数、胎児推定体重、骨盤位の種類などを踏まえて分娩方法を検討する。骨盤位だから必ず経腟分娩できない、あるいは必ず帝王切開という単純な知識ではない。

詳細講義129 胎児心拍基線細変動

基線細変動は胎児心拍数基線の細かな揺らぎで、自律神経系の働きや胎児酸素化状態を反映する。正常な細変動が保たれていることは重要な安心材料となる。睡眠周期や薬剤によって一時的に低下することもあるが、長時間の消失・著明な減少では胎児低酸素などを考える。

詳細講義130 一過性頻脈

一過性頻脈は胎児心拍数が一時的に上昇する現象で、胎動に伴って出現することが多い。適切な一過性頻脈がみられることは胎児の反応性が保たれていることを示す重要な所見である。ただし頻脈が長時間持続する「基線頻脈」とは区別する。

詳細講義131 早発一過性徐脈

早発一過性徐脈は子宮収縮とほぼ同じタイミングで心拍が緩やかに低下・回復し、主として児頭圧迫による迷走神経反射で生じる。分娩進行に伴ってみられることがあり、単独では強い低酸素を示す所見ではない。遅発・変動との違いを子宮収縮との時間関係から判断する。

詳細講義132 遅発一過性徐脈

遅発一過性徐脈は子宮収縮開始より遅れて心拍が低下し、子宮収縮が終わった後に回復する。子宮胎盤循環不全と関連し、反復する場合には胎児低酸素を警戒する。特に基線細変動の減少・消失を伴う場合には重症度が高くなる。

詳細講義133 変動一過性徐脈

変動一過性徐脈は急激に心拍が低下し、形やタイミングが一定しないことが特徴で、臍帯圧迫が代表的原因である。羊水過少、臍帯巻絡、破水後などでも起こりやすい。体位変換などによって臍帯圧迫が軽減する場合がある。

詳細講義134 胎児頻脈

胎児心拍数基線が160bpmを超えて持続する場合は基線頻脈を考える。母体発熱、感染、薬剤、胎児低酸素の初期などさまざまな原因がある。胎児心拍だけを下げようとするのではなく、母体体温、血圧、薬剤、感染所見など原因検索が重要である。

詳細講義135 胎児徐脈

胎児心拍基線が110bpm未満で持続する場合は基線徐脈を考える。原因として胎児低酸素、臍帯圧迫、母体低血圧、薬剤などがある。分娩中に突然高度徐脈となった場合には臍帯脱出、子宮破裂、常位胎盤早期剥離などの緊急病態も考える。

詳細講義136 仰臥位低血圧と胎児心拍

妊娠後期に仰臥位になると子宮が下大静脈を圧迫し、母体静脈還流が低下する。母体血圧が下がれば子宮胎盤血流も低下し、胎児心拍異常につながる可能性がある。分娩監視中に母体が悪心・冷汗を訴えたり胎児心拍が悪化した場合には、体位を確認して左側臥位などへ変更する。

詳細講義137 臍帯脱出

臍帯脱出は破水後に臍帯が胎児先進部より先へ下降し、腟内または外陰部へ脱出する状態である。先進部によって臍帯が圧迫されると胎児血流が急激に低下し、重度徐脈を起こす。臍帯圧迫を軽減しながら緊急娩出へつなげる必要がある。

詳細講義138 肩甲難産

肩甲難産では児頭が娩出された後、前在肩が恥骨結合後方などに嵌頓して肩が娩出できない。巨大児や母体糖尿病などがリスクとなるが、予測できないこともある。McRoberts体位、恥骨結合上縁部圧迫などを行い、子宮底圧迫は避ける。児の腕神経叢損傷や低酸素にも注意する。

詳細講義139 子宮破裂

子宮破裂は子宮壁が破綻する重篤な産科救急で、既往帝王切開など子宮手術歴がリスクとなる場合がある。突然の強い腹痛、胎児心拍異常、陣痛の変化、出血、母体ショックなどを認める。胎児・母体双方の生命に関わるため迅速な手術対応が必要となる。

詳細講義140 子宮内反症

子宮内反症では胎盤娩出前後に子宮底が内腔側へ反転し、重度出血やショックを起こす。出血量だけでは説明できない強いショックを呈する場合もある。胎盤付着中に過度な臍帯牽引を行うことなどが誘因となり得るため、胎盤娩出時の操作も重要である。

詳細講義141 産道裂傷

分娩時には会陰、腟壁、頸管などに裂傷を生じることがある。胎盤娩出後に子宮が硬く収縮しているのに鮮血が持続する場合には、弛緩出血より産道裂傷を考える。「産後出血=子宮収縮不良」と決めつけず、子宮の硬さが鑑別に役立つ。

詳細講義142 会陰裂傷

会陰裂傷は損傷の深さにより分類され、第3度では肛門括約筋、第4度では直腸粘膜まで損傷する。高度裂傷では排便機能障害や感染などを防ぐため適切な修復と産後管理が必要となる。疼痛が強いからと排便を長期間避けるのではなく、便を軟らかく保つことも重要である。

詳細講義143 胎盤娩出様式

Schultze様式では胎盤中央部から剥離し、胎児面を先にして娩出されることが多い。一方、Duncan様式では胎盤辺縁から剥離し、母体面を先にして娩出される。Schultzeでは出血が胎盤後方にたまり外出血が後から目立ち、Duncanでは剥離とともに外出血がみられやすい。

詳細講義144 癒着胎盤

癒着胎盤スペクトラムでは胎盤絨毛が子宮筋層へ異常に付着・侵入し、胎盤が正常に剥離しにくい。既往帝王切開と前置胎盤の組合せなどではリスクが高くなる。無理な胎盤剥離によって大量出血を起こす危険があり、妊娠中から診断・分娩計画を立てることが重要である。

詳細講義145 産科DIC

常位胎盤早期剥離、羊水塞栓症、大量出血などではDICを合併することがある。凝固因子・血小板が消費されるため、出血しているのにさらに止血しにくくなる。血小板減少、フィブリノゲン低下、FDP・D-dimer上昇などを確認し、原因治療と同時に血液製剤などによる凝固管理を行う。

詳細講義146 羊水塞栓症

羊水塞栓症は分娩周辺に突然、呼吸循環不全やDICなどを呈する重篤な産科救急である。単なる羊水の物理的塞栓だけでは説明できず、母体の免疫・炎症反応なども関与すると考えられている。突然の低酸素、血圧低下、出血傾向などが出現した場合には迅速な蘇生と大量出血対応が必要となる。

詳細講義147 産後出血量の観察

産後出血では目で見た量だけでは過小評価しやすい。血液が寝具や床へ広がっていたり、子宮内に貯留したりするため、母体の脈拍、血圧、意識、皮膚色、尿量など循環状態を合わせて評価する。出血が続くと脈拍上昇が血圧低下より先に現れる場合もある。

詳細講義148 ショック指数

Shock Indexは心拍数を収縮期血圧で割って求め、循環血液量減少を簡便に評価する指標として用いられる。例えば脈拍120回/分、収縮期血圧80mmHgなら1.5となり、出血性ショックを強く疑う。産科大量出血では血圧だけを見ず、心拍との組合せで変化を捉える。

詳細講義149 帝王切開後の観察

帝王切開後は出血、子宮復古、創部、疼痛、呼吸・循環、麻酔からの回復、尿量などを観察する。また手術と産褥が重なるためVTEリスクも高く、早期離床や必要な予防策を行う。帝王切開だから悪露や子宮復古の観察が不要になるわけではない。

詳細講義150 硬膜外麻酔

硬膜外麻酔では脊柱管内の硬膜外腔へカテーテルを留置し、局所麻酔薬などを投与して鎮痛・麻酔を得る。意識を保てることや追加投与が可能なことが特徴である。一方、母体低血圧、局所麻酔薬中毒、硬膜穿刺後頭痛などに注意する。薬剤の胎盤移行は「完全にゼロ」ではないため、絶対表現には注意する。

産褥・授乳

詳細講義151 後陣痛

分娩後の子宮収縮に伴う痛みを後陣痛という。経産婦では子宮筋が伸展しているため強く感じやすく、授乳時はオキシトシン分泌によって子宮収縮が促されるため痛みが強くなることがある。後陣痛自体は子宮復古に伴う生理的現象だが、強い持続痛や発熱などを伴う場合は別の病態を評価する。

詳細講義152 子宮復古不全

子宮復古不全では産後の日数に比べて子宮が大きく、子宮底下降が遅れたり悪露が長く続いたりする。胎盤・卵膜遺残、感染、子宮筋腫などが原因となる場合がある。子宮底の高さだけでなく硬さ、悪露量・性状、疼痛、発熱などを合わせて評価する。

詳細講義153 産褥期の循環変化

分娩後は胎盤循環が消失し、子宮収縮によって子宮内の血液が母体循環へ戻るため、循環血液量の分布が急激に変化する。その後、余分な体液は利尿や発汗によって排泄される。産褥早期に尿量が増えることは生理的変化の一つだが、出血後の乏尿は循環不全を疑う。

詳細講義154 産褥期の白血球

分娩という強い身体的ストレスによって産褥早期には白血球が増加することがある。そのため白血球数が高いだけで感染を診断しない。発熱の持続、CRP、子宮圧痛、悪露、創部など臨床症状を合わせて判断する。

詳細講義155 産褥期の排尿

分娩後は膀胱知覚低下、会陰部浮腫・疼痛、硬膜外麻酔などによって尿閉を起こすことがある。膀胱が過度に充満すると子宮を上方へ押し上げて子宮収縮を妨げ、出血増加につながる可能性もある。排尿回数だけでなく膀胱充満や残尿にも注意する。

詳細講義156 産褥期の便秘

産後は腸蠕動低下、会陰創への恐怖、活動量低下、水分不足などから便秘になりやすい。排便を我慢するとさらに便が硬くなるため、水分、食事、離床、排便習慣などを整える。腹部温罨法そのものを絶対禁忌と覚える必要はなく、標準的便秘管理の優先順位を理解する。

詳細講義157 乳房緊満

乳汁分泌が増える産後数日には乳房への血流増加や乳汁貯留によって乳房が張る。両側性で熱感を伴う生理的乳房緊満と、一側性の発赤・強い疼痛・発熱を伴う乳腺炎を区別する。授乳・搾乳によって適切に乳汁を除去し、乳房内のうっ滞を防ぐ。

詳細講義158 乳頭トラブル

乳頭亀裂や疼痛では、児の浅い吸着が原因となることが多い。乳頭だけをくわえさせるのではなく、乳輪まで深く含ませることが重要である。母親に我慢を求めるのではなく、授乳姿勢とラッチオンを観察し、原因を修正する。

詳細講義159 乳腺炎

授乳期乳腺炎では乳汁うっ滞に炎症が加わり、乳房の局所発赤・疼痛・腫脹や発熱を生じる。適切な授乳・乳汁排出を続けながら、細菌感染が疑われる場合には抗菌薬を使用する。乳腺炎だから授乳を一律中止するとは限らない。

詳細講義160 射乳反射

乳児の吸啜刺激が求心性神経を介して視床下部へ伝わるとオキシトシンが放出され、乳腺胞周囲の筋上皮細胞が収縮して乳汁が乳管へ押し出される。これが射乳反射である。母親の不安や痛みが強いと射乳がうまく起こりにくくなることもあり、心理的環境も授乳に関係する。

詳細講義161 初乳

初乳は分娩後早期に分泌される乳汁で、成熟乳に比べて蛋白質や免疫成分を多く含む。特に分泌型IgAなどが新生児の粘膜防御に役立つ。量が少なく見えても新生児の胃容量は小さいため、「少量だから栄養価がない」という意味ではない。

詳細講義162 母乳と免疫

母乳には分泌型IgA、ラクトフェリン、オリゴ糖など多様な感染防御因子が含まれる。これらは新生児・乳児の未熟な免疫系を補助する。母乳は栄養だけではなく免疫学的役割をもつという視点を持つと、初乳の意味も理解しやすい。

詳細講義163 母乳量と需要供給

乳汁分泌が確立した後は、乳房からどれだけ乳汁が除去されるかが産生量に大きく影響する。授乳間隔が極端に空いたり、乳汁が長く貯留したりすると産生が抑制される。逆に頻回かつ有効な吸啜で乳房が排乳されると産生が維持される。この考えがオートクリンコントロールにつながる。

詳細講義164 授乳と子宮収縮

授乳刺激で放出されたオキシトシンは乳腺だけでなく子宮筋も収縮させる。そのため授乳中に下腹部痛や悪露排出増加を感じることがある。これは多くの場合、子宮復古に伴う生理的反応である。授乳が子宮復古を「遅らせる」という選択肢は逆となる。

詳細講義165 乳汁分泌とプロラクチン

プロラクチンは吸啜刺激によって分泌が促され、乳汁産生を支える。授乳のたびにプロラクチンが上昇することで次の授乳に向けた乳汁産生が促進される。プロラクチンとオキシトシンはどちらも授乳に関与するが、前者は産生、後者は射乳という役割の違いを押さえる。

詳細講義166 母乳性黄疸

母乳栄養児では生後1週間以降も間接ビリルビン高値が続く母乳性黄疸を認めることがある。児の全身状態が良好で適切に体重増加している場合も多い。一方、出生早期に哺乳不足・脱水によって黄疸が強くなる状態とは病態が異なるため、時期と哺乳状況を合わせて判断する。

詳細講義167 産後うつ病

産後うつ病では抑うつ気分だけでなく、興味・喜びの低下、不眠、食欲変化、強い罪悪感、育児への自信喪失などがみられる。本人が「母親なのだから頑張らなければ」と症状を隠すこともあるため、母親だけでなく家族状況や支援体制も把握する。自傷・自殺念慮がある場合には緊急性が高い。

詳細講義168 EPDS

EPDS〈Edinburgh Postnatal Depression Scale〉は産後の抑うつ状態をスクリーニングするために用いられる質問票である。診断を確定する検査ではなく、高得点の場合には専門的評価へつなげる。点数だけでなく、自傷に関する質問への回答や面接時の様子も重要となる。

詳細講義169 産後ケアにおける助産師

産後ケアでは母体の身体回復、乳房・授乳、育児技術だけでなく、休息、心理状態、家族関係、生活環境などを包括的に見る。助産師がすべてを解決するのではなく、必要に応じて保健師、医師、精神保健、福祉などへつなぐことも重要な役割となる。

詳細講義170 母子同室

母子同室には母親が児のサインを知り、授乳機会を確保しやすい利点がある。一方、母体の疲労や術後状態、児の全身状態によっては休息を優先する必要もある。「母乳育児には24時間絶対母子同室」と一律に考えず、母児双方の安全と休息を個別に評価する。

新生児・小児

詳細講義171 正常新生児のバイタルサイン

新生児は成人より心拍数・呼吸数が多く、血圧は低い。呼吸数はおおむね30〜60回/分、心拍数も安静時で成人よりかなり多い。呼吸は不規則になりやすいが、持続する多呼吸、呻吟、陥没呼吸、チアノーゼは異常を疑う。「新生児は学童より血圧が高い」というR6型の誤答にも注意する。

詳細講義172 新生児の呼吸開始

出生すると臍帯を介した胎盤ガス交換が終了し、肺呼吸へ移行する。初回呼吸によって肺胞が開き、肺血管抵抗が低下して肺血流が増加する。それに伴って左房圧が上昇し、卵円孔は機能的に閉鎖する方向へ進む。出生は単に「息をし始める」だけではなく循環も大きく変化する。

詳細講義173 動脈管閉鎖

胎児期の動脈管は肺動脈と大動脈をつなぐが、出生後に酸素分圧上昇などによって収縮して機能的閉鎖へ向かう。早産児では閉鎖しにくく動脈管開存症となることがある。大きなPDAでは肺血流増加から呼吸状態悪化や心不全につながる。

詳細講義174 新生児低血糖

新生児は出生と同時に母体からの持続的なブドウ糖供給が途絶えるため、自ら血糖を維持しなければならない。低出生体重児、早産児、糖尿病母体児、巨大児などは低血糖リスクが高い。症状は振戦、活気低下、哺乳不良、無呼吸、けいれんなど非特異的である。

詳細講義175 糖尿病母体児

母体高血糖では胎盤を通過したブドウ糖によって胎児血糖も上昇し、胎児膵臓からインスリンが多く分泌される。出生すると母体からのブドウ糖供給が途絶えても高インスリン状態が残るため、低血糖を起こしやすい。また巨大児、低カルシウム血症、多血症などにも注意する。

詳細講義176 新生児多血症

新生児多血症では血液粘稠度が高くなり、末梢循環障害、低血糖、呼吸症状、黄疸などを起こすことがある。糖尿病母体児や胎盤機能不全などとの関連が知られる。赤血球が多いと分解されるビリルビン量も増えるため黄疸にもつながる。

詳細講義177 新生児低体温

低体温になると新生児は褐色脂肪による熱産生を増やすため酸素とブドウ糖を消費する。そのため低体温が続くと低酸素や低血糖、代謝性アシドーシスを悪化させる可能性がある。保温は単なる快適性ではなく新生児代謝を守る重要なケアである。

詳細講義178 新生児の生理的黄疸

出生後は胎児期の余分な赤血球が分解される一方、肝臓のビリルビン抱合能力が未熟であるため、間接ビリルビンが一時的に上昇する。これが生理的黄疸の基本病態である。ただし出現時期が早い、上昇が急、非常に高値などでは病的黄疸を考える。

詳細講義179 光線療法

光線療法では特定波長の光を皮膚へ当て、非抱合型ビリルビンを水溶性の排泄しやすい形へ変化させる。治療中は体温、水分状態、皮膚状態などを観察する。目への光曝露を防ぐため眼を保護することも基本となる。

詳細講義180 ビタミンK欠乏性出血

新生児はビタミンK貯蔵量が少なく、腸内細菌叢も未熟なため欠乏しやすい。ビタミンKは凝固因子合成に必要で、不足すると消化管出血や頭蓋内出血などを起こすことがある。このため出生後にビタミンK製剤を予防的に投与する。

詳細講義181 仮性メレナと真性メレナ

母体血を嚥下して新生児便が黒色となる場合は仮性メレナで、新生児自身の消化管出血による真性メレナと区別する。Apt試験は胎児Hbと成人Hbの性質の違いを利用して、血液が母体由来か新生児由来かを判別するのに用いられる。

詳細講義182 新生児聴覚スクリーニング

先天性難聴は早期に発見して適切な支援へつなげることが言語発達に重要である。自動ABRやOAEなどが新生児聴覚スクリーニングに用いられる。スクリーニングでreferとなっても難聴が確定したわけではなく、精密検査へつなぐことが重要である。

詳細講義183 Moro反射

Moro反射は頭部が急に落下するような刺激や突然の大きな刺激によって、上肢を外転・伸展した後に内転する反応である。左右差が著しい場合には鎖骨骨折、腕神経叢損傷なども考える。原始反射は「あるかないか」だけでなく左右対称性も見る。

詳細講義184 探索反射と吸啜反射

頬や口角へ刺激を与えると刺激側へ顔を向けて口を開くのが探索反射で、口腔内へ乳頭などが入ると吸うのが吸啜反射である。これらは出生直後の哺乳に重要である。早産児や神経学的異常では弱いことがあり、哺乳評価につながる。

詳細講義185 乳児の脱水

乳児は体重当たりの水分必要量が大きく、嘔吐・下痢・発熱などで脱水しやすい。尿量減少、口腔粘膜乾燥、活気低下、体重減少などを確認する。乳児では症状を自分で訴えられないため、保護者から哺乳量や排尿回数を具体的に聞くことが重要である。

詳細講義186 1型糖尿病の小児

1型糖尿病では自己免疫機序などによって膵β細胞が破壊され、インスリンが絶対的に不足するため、生涯にわたりインスリン治療が必要となる。学校生活では運動・給食・行事を一律禁止するのではなく、血糖管理と低血糖対策を行いながら可能な限り通常の生活を送れるよう支援する。

詳細講義187 低血糖への対応

意識があり安全に嚥下できる低血糖では、速やかにブドウ糖や糖質を摂取させる。意識障害がある患者へ無理に飲食させると誤嚥の危険があるため、静脈内ブドウ糖やグルカゴンなどを状況に応じて使用する。低血糖症状は冷汗、振戦、動悸から意識障害まで幅広い。

詳細講義188 ファロー四徴症

ファロー四徴症は心室中隔欠損、右室流出路狭窄、大動脈騎乗、右室肥大の4つを特徴とする。肺血流が少なくなるためチアノーゼを認めることがあり、乳幼児では低酸素発作を起こすことがある。しゃがみこみ姿勢は体血管抵抗を高め、右左短絡を減らして症状を軽減する。

詳細講義189 VSD

心室中隔欠損症では左右心室を隔てる中隔に欠損孔があり、通常は左室圧が高いため左から右へ血液が短絡する。大きな欠損では肺血流増加によって心不全、哺乳不良、体重増加不良などを呈する。乳児の「飲むと汗をかく」「体重が増えない」は心不全のサインとなることがある。

詳細講義190 乳児の発達

乳児発達は個人差が大きいが、定頸、寝返り、座位、つかまり立ち、歩行などにはおおよその順序がある。単一の月齢だけで異常と決めるのではなく、発達の流れと複数領域を評価する。粗大運動だけでなく、微細運動、言語、社会性も重要である。

一般看護・基礎医学・制度

詳細講義191 大動脈弁狭窄症

大動脈弁狭窄症では左室から大動脈へ血液を送り出す際の抵抗が増え、左室へ圧負荷がかかるため左室肥大を生じる。重症になると労作時呼吸困難、狭心痛、失神が代表的症状となる。長期間無症状で経過する場合があるため、症状出現は重要な転機となる。

詳細講義192 狭心症と心筋梗塞

狭心症は一過性の心筋虚血で、通常は数分程度の胸部圧迫感・絞扼感を生じる。労作性狭心症では運動時に出現し、休息やニトログリセリンで改善する。一方、心筋梗塞では心筋壊死が起こり、疼痛が長く続くことがある。「30分以上続く胸痛」を単純な狭心症と考えない。

詳細講義193 輸血関連急性肺障害とTACO

TRALIでは輸血後に急性呼吸不全と非心原性肺水腫を起こす。一方、TACOは輸血量・速度などによる循環過負荷で肺水腫を起こし、高齢者や心・腎機能低下患者でリスクが高い。どちらも呼吸困難を起こすが、原因が異なるため循環所見などを含めて評価する。

詳細講義194 ERCP後膵炎

ERCPでは十二指腸乳頭から胆管・膵管へカテーテルを挿入するため、検査後膵炎が代表的合併症となる。検査後の上腹部痛、悪心、血清膵酵素上昇などに注意する。また出血、穿孔、胆管炎なども起こり得る。検査終了で看護が終わるわけではない。

詳細講義195 重症筋無力症

重症筋無力症では神経筋接合部のシナプス後膜にあるアセチルコリン受容体などへの自己抗体によって神経筋伝達が障害される。易疲労性、眼瞼下垂、複視などが特徴で、休息によって改善する場合がある。感覚障害は基本的にみられない。呼吸筋障害によるクリーゼは緊急性が高い。

詳細講義196 急性動脈閉塞の5P

急性動脈閉塞の代表徴候はPain〈疼痛〉、Pallor〈蒼白〉、Pulselessness〈脈拍消失〉、Paresthesia〈知覚異常〉、Paralysis〈運動麻痺〉の5Pである。さらに冷感を加えることもある。静脈閉塞のような腫脹を中心に考えず、「血液が届かない」症状を理解する。

詳細講義197 変形性膝関節症

変形性膝関節症では関節軟骨の変性などによって疼痛や可動域制限を生じる。日常生活では正座や和式トイレなど深い膝屈曲を避け、適正体重、筋力維持、杖などを利用して関節負担を軽減する。片側の患側がある場合、杖は原則として健側で持つ。

詳細講義198 シェーグレン症候群

シェーグレン症候群は涙腺・唾液腺などの外分泌腺が自己免疫性に障害され、ドライアイ、ドライマウスを起こす。人工涙液、口腔保湿、唾液分泌刺激などで症状を和らげる。口腔乾燥は齲歯や口腔感染を起こしやすくするため、口腔ケアも重要となる。

詳細講義199 母子保健法における年齢区分

母子保健法では「新生児」は出生後28日を経過しない乳児、「乳児」は1歳に満たない者、「幼児」は満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者とされる。試験では28日と1年を入れ替えるだけで誤答を作れるため、定義を正確に覚える。「新生児=生後1か月くらい」という曖昧な記憶では危ない。

詳細講義200 1歳6か月児・3歳児健康診査

母子保健法に基づき、市町村は1歳6か月児健康診査と3歳児健康診査を実施する。身体発育だけでなく、運動・言語発達、視聴覚、歯科、生活習慣、親子関係や育児状況などを確認し、必要な支援へつなげる機会でもある。「実施主体=都道府県」とする選択肢に注意する。

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「絶対に落としてはいけない数字50」は直前暗記用、「間違えやすい組み合わせ50」は選択肢の入れ替え対策用にする。埼玉医大短大は実際に数字の差や名称の入れ替えで誤答を作っているので、この2章は相性がかなりいいと考え作成した。

絶対に落としてはいけない数字50

1 ヒトの体細胞の染色体数

46本。23対で構成される。精子・卵子などの配偶子は23本である。

2 Down症候群

21トリソミー。21番染色体が3本存在する。

3 Edwards症候群

18トリソミー。

4 Patau症候群

13トリソミー。

5 Turner症候群

代表的核型は45,X。

6 Klinefelter症候群

代表的核型は47,XXY。

7 正常妊娠期間

最終月経開始日を妊娠0週0日として、予定日は40週0日、280日後。

8 流産

妊娠22週未満で妊娠が終了したもの。

9 早産

妊娠22週0日から36週6日までの分娩。

10 正期産

妊娠37週0日から41週6日まで。

11 過期妊娠

妊娠42週0日以降。

12 子宮口全開大

約10cm。分娩第1期と第2期を分ける重要な数字。

13 GDM・空腹時血糖

75gOGTTで92mg/dL以上。

14 GDM・1時間値

180mg/dL以上。

15 GDM・2時間値

153mg/dL以上。GDMは92・180・153のいずれか1点以上で診断される。

16 妊娠糖尿病の血糖管理目標

空腹時95mg/dL未満を目安とし、食後1時間140mg/dL未満、または食後2時間120mg/dL未満を参考とする。診断基準の「92・180・153」と管理目標の「95・140・120」を混同しない。

17 正常胎児心拍数基線

110〜160bpm。

18 NCPR・出生1分後の目標SpO₂

60%以上。

19 NCPR・出生3分後

70%以上。

20 NCPR・出生5分後

80%以上。

21 NCPR・出生10分後

90%以上。「1分60、3分70、5分80、10分90」で覚える。

22 NCPRで人工呼吸を開始する心拍数

初期処置後、自発呼吸がない、または心拍100/分未満なら人工呼吸を開始する。

23 NCPRで胸骨圧迫へ進む心拍数

有効な人工呼吸を行っても心拍60/分未満なら胸骨圧迫を行う。

24 NCPRの人工呼吸と胸骨圧迫

3:1。成人蘇生の30:2などと混同しない。

25 GBS培養検査

産婦人科診療ガイドライン2026では妊娠36〜37週に行う。従来の教材の35〜37週をそのまま覚えない。

26 GBS保菌不明+破水

破水後18時間以上は分娩時抗菌薬投与を考えるリスク条件の一つ。

27 GBS保菌不明+母体発熱

38.0℃以上が重要な基準。

28 NTを評価する時期

妊娠11週0日〜13週6日。妊娠15〜16週ではない。

29 妊婦RSウイルスワクチン

2026年度から定期接種。接種対象は妊娠28週0日〜36週6日。

30 妊婦RSウイルスワクチンの回数

上記期間内に1回筋肉内接種する。

31 妊娠前BMI 18.5未満の体重増加

12〜15kg。

32 BMI 18.5以上25未満

10〜13kg。

33 BMI 25以上30未満

7〜10kg。

34 BMI 30以上

個別対応。上限5kgまでが目安とされている。R6年度の体重増加問題を考えるうえでも非常に重要。

35 妊娠を計画する女性の葉酸

通常の食品に加えて、食品以外から400μg/日の摂取が望ましい。「400mg」ではない。

36 標準的な妊婦健康診査

出産までに14回程度。

37 妊娠23週までの妊婦健診

おおむね4週間に1回。

38 妊娠24〜35週の妊婦健診

おおむね2週間に1回。

39 妊娠36週以降の妊婦健診

おおむね1週間に1回。

40 母子保健法の「新生児」

出生後28日を経過しない乳児。

41 母子保健法の「乳児」

1歳に満たない者。新生児と乳児を入れ替えない。

42 低出生体重児

出生体重2,500g未満。

43 極低出生体重児

出生体重1,500g未満。

44 超低出生体重児

出生体重1,000g未満。なお母子保健法上、2,500g未満で出生した乳児については保護者が市町村へ届け出る。

45 出産育児一時金の妊娠期間

妊娠4か月、すなわち85日以上での出産が対象。生産だけでなく条件を満たす流産・死産なども対象となり得る。

46 出産育児一時金

原則、子ども1人につき50万円。双胎なら原則2児分。ただし産科医療補償制度の対象外となる出産では48.8万円となる場合があるので、「何が何でも50万円」とは覚えない。

47 健康新生児の血糖目標・生後48時間まで

50mg/dL以上。

48 健康新生児の血糖目標・生後48時間以降

60mg/dL以上。R8年度の「出生2時間後30mg/dL」を正常と判断してはいけない。

49 Apgar score

5項目を各0〜2点で評価し、満点は10点。通常1分値・5分値を評価する。

50 臍帯血管

臍動脈2本+臍静脈1本。数字問題としても組み合わせ問題としても出しやすい。


間違えやすい組み合わせ50

ここは「単語を覚える」のではなく、必ずセットで覚える。埼玉医大短大は、この左右を1個だけ入れ替えて誤答を作ることが多い。

1 Wolff管とMüller管

Wolff管=男性内性器系の原基、Müller管=女性内性器系の原基。「Müller管=男性」と逆にしない。

2 FSHとLH

FSH=卵胞発育、LH=排卵誘発・黄体形成。排卵を直接引き起こす中心はLHサージ。

3 hCGとhPL

hCG=妊娠初期の黄体維持、hPL=妊娠後半のインスリン抵抗性増大などに関与する。

4 プロラクチンとオキシトシン

プロラクチン=下垂体前葉=乳汁産生、オキシトシン=下垂体後葉から放出=射乳・子宮収縮。

5 エンドクリンとオートクリン

エンドクリン=ホルモンによる乳汁分泌調節、オートクリン=乳房局所で乳汁除去量などに応じた調節。R6・R7で実際に両方出ている。

6 閉経後のホルモン

エストロゲン・プロゲステロン=低下、FSH・LH=上昇。「閉経だから全部低下」は誤り。

7 Down・Edwards・Patau

Down=21、Edwards=18、Patau=13。

8 TurnerとKlinefelter

Turner=45,X=女性、Klinefelter=47,XXY=男性。

9 左心不全と右心不全

左心不全=肺うっ血・呼吸困難・起坐呼吸、右心不全=頸静脈怒張・肝腫大・下肢浮腫。

10 腎前性・腎性・腎後性AKI

腎前性=脱水・大量出血・ショック、腎性=糸球体腎炎・間質性腎炎など、腎後性=尿路閉塞。

11 頭蓋内圧亢進とCushing現象

血圧上昇+徐脈。血圧上昇+頻脈に入れ替えない。

12 Ⅰ型アレルギー

IgE・即時型=アナフィラキシー、花粉症、アレルギー性鼻炎など。

13 Ⅱ型アレルギー

抗体による細胞障害型=免疫性血小板減少症などが教科書的代表例。

14 Ⅲ型アレルギー

免疫複合体型=SLEなど。関節リウマチも古典的試験分類ではⅢ型の代表として扱われる。

15 Ⅳ型アレルギー

T細胞・遅延型=接触性皮膚炎など。アナフィラキシーはⅣ型ではない。

16 FDP・CRP・HbA1c・eGFR

FDP=凝固・線溶、CRP=炎症、HbA1c=血糖管理、eGFR=腎機能。

17 喘息と急性喉頭蓋炎

気管支喘息=主として呼気性呼吸困難、急性喉頭蓋炎など上気道狭窄=吸気性呼吸困難・吸気性喘鳴。

18 風疹・GBS・HTLV-1

風疹=経胎盤感染、GBS=主に分娩時感染、HTLV-1=母乳感染が重要。

19 生ワクチンと妊婦

風疹・麻疹・水痘などの生ワクチン=妊娠中は原則禁忌。不活化・mRNAなど=妊娠中だから一律禁忌ではない。

20 妊娠糖尿病と糖尿病母体児

母体=高血糖、胎児=高インスリン、出生後=低血糖を起こしやすい。「母体高血糖だから児も出生後ずっと高血糖」ではない。

21 前置胎盤と常位胎盤早期剥離

前置胎盤=無痛性性器出血が典型、常位胎盤早期剥離=腹痛・子宮緊張・胎児心拍異常など。

22 PROMとpPROM

PROM=陣痛開始前の破水、pPROM=37週未満で起こった前期破水。PROMそのものを37週未満だけとしない。

23 早発・変動・遅発一過性徐脈

早発=児頭圧迫、変動=臍帯圧迫、遅発=子宮胎盤循環不全。

24 基線細変動と一過性頻脈

基線細変動が保たれること、一過性頻脈が出現することは一般に胎児状態を評価するうえで安心材料となる。持続的な細変動消失は安心所見ではない。

25 第1〜第4回旋

第1回旋=屈曲、第2回旋=内旋、第3回旋=伸展、第4回旋=外旋。番号をずらした問題に注意する。

26 SchultzeとDuncan

Schultze=中央から剥離・胎児面が先、Duncan=辺縁から剥離・母体面が先。

27 Ahlfeld徴候とSchröder徴候

Ahlfeld=臍帯につけた目印・鉗子が下降、Schröder=子宮底上昇・子宮が細長くなり右方へ偏位。

28 Küstner徴候とStrassmann徴候

Küstner=恥骨上部を圧迫したときの臍帯の動きで判定、Strassmann=子宮への刺激が臍帯へ伝わるかをみる。R8年度のように名称を入れ替えられやすい。

29 癒着胎盤と嵌頓胎盤

癒着胎盤=胎盤が子宮壁から正常に剥離しにくい、嵌頓胎盤=胎盤は剥離しているが異常収縮などで子宮内から娩出できない。

30 弛緩出血と産道裂傷

弛緩出血=子宮が軟らかく収縮不良、産道裂傷=子宮が硬く収縮していても鮮血が続くことがある。

31 産後出血の4T

Tone=子宮収縮不良、Trauma=産道損傷、Tissue=胎盤・組織遺残、Thrombin=凝固異常。

32 悪露

赤色悪露→褐色・漿液性悪露→白色悪露。産後直後から白色ではない。

33 マタニティブルーズと産後うつ

マタニティブルーズ=産後早期に出現し通常一過性、産後うつ=症状が持続し日常生活・育児へ大きく影響する。2〜3か月続く状態を単純にマタニティブルーズとしない。

34 生理的黄疸と早発黄疸

生理的黄疸=通常24時間以後、24時間以内の黄疸=病的原因を疑う早発黄疸。

35 真性メレナと仮性メレナ

真性メレナ=新生児自身の消化管出血、仮性メレナ=母体血を嚥下したもの。

36 褐色脂肪と新生児体温

褐色脂肪=非ふるえ熱産生。新生児は成人のような効率的なふるえによる熱産生が苦手。

37 Moro・探索・吸啜反射

Moro=突然の姿勢変化などで上肢外転・伸展後に内転、探索=頬・口角刺激で刺激側へ顔を向ける、吸啜=口腔刺激で吸う。

38 臍静脈と臍動脈

臍静脈=胎盤から胎児へ酸素の豊富な血液、臍動脈=胎児から胎盤へ酸素の少ない血液。

39 卵円孔・動脈管・静脈管

卵円孔=右房と左房、動脈管=肺動脈と大動脈、静脈管=臍静脈血を下大静脈方向へ短絡させる。

40 ファロー四徴症

心室中隔欠損+右室流出路狭窄+大動脈騎乗+右室肥大。「左室肥大」「肺動脈拡大」を入れられたら誤り。

41 大動脈弁狭窄症

大動脈弁狭窄=左室への圧負荷=左室肥大。右室肥大ではない。

42 狭心症と心筋梗塞

労作性狭心症=運動で生じ休息などで改善する一過性虚血、心筋梗塞=心筋壊死を伴い胸痛が長時間持続することがある。

43 TRALIとTACO

TRALI=輸血関連急性肺障害・非心原性肺水腫、TACO=循環過負荷による肺水腫。

44 重症筋無力症とLambert-Eaton症候群

重症筋無力症=主としてシナプス後膜のACh受容体など、Lambert-Eaton=シナプス前終末からのACh放出障害。

45 急性動脈閉塞と5P

Pain・Pallor・Pulselessness・Paresthesia・Paralysis。腫脹を中心とする静脈系の病態と混同しない。

46 変形性膝関節症と杖

右膝が患側なら杖は左手、左膝が患側なら右手。原則「杖=健側」。

47 高齢者の薬物動態

体内水分量低下=水溶性薬物の血中濃度上昇に注意、体脂肪増加=脂溶性薬物が蓄積・作用遷延しやすい、腎機能低下=腎排泄型薬物が蓄積しやすい。

48 出産育児一時金と家族出産育児一時金

被保険者本人が出産=出産育児一時金、被扶養者が出産=家族出産育児一時金。R6年度で名称をそのまま入れ替えて出題されている。

49 分娩各期

第1期=分娩開始〜子宮口全開大、第2期=全開大〜児娩出、第3期=児娩出〜胎盤娩出。「胎盤娩出まで」を第2期に入れない。

50 NCPRの100と60

100/分未満=まず人工呼吸、適切な換気後も60/分未満=胸骨圧迫。この「100と60」の役割を逆にしない。胸骨圧迫と人工呼吸は3:1である

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埼玉医科大学短期大学

過去問3年分から判明した「ひっかけ問題」攻略25

埼玉医科大学短期大学の問題は、ものすごく難しい医学知識を使って受験生を落とすタイプではない。それよりも、「知っているはずの基本事項を1か所だけ変える」「よく似た言葉を入れ替える」「正常値を少しだけずらす」という作り方が非常に多い。

つまり、この学校では知識を「なんとなく」覚えている人ほど危ない。

以下では、R6・R7・R8で実際に使われた誤答の作り方を整理する。

ひっかけ1 「上昇」と「低下」を逆にする

最も単純だが、非常に多い。R6年度では閉経後のホルモンについて、エストロゲン、プロゲステロン、FSH、LHなどが「上昇するか、低下するか」を連続して問われた。R8年度でも高齢者の薬物動態について、水溶性薬物や腎排泄型薬物の血中濃度が「上昇するか低下するか」を逆にした選択肢が使われている。ここで必要なのは単語暗記ではなく、「なぜ上がるのか」を一度理解すること。閉経では卵巣機能が低下するためエストロゲンは低下するが、負のフィードバックが弱くなるためFSH・LHは逆に上昇する。同じ領域でも全部同じ方向には動かない。

ひっかけ2 「前葉」と「後葉」を入れ替える

R8年度では「乳頭・乳輪への刺激は、下垂体前葉からオキシトシンの分泌を促す」という問題が出た。間違っているのは「オキシトシン」ではなく「前葉」の部分である。オキシトシンは視床下部で合成され、下垂体後葉から放出される。一方、乳汁産生を促すプロラクチンは下垂体前葉から分泌される。この学校では「文章のほぼ全部が正しいのに1単語だけ違う」という作り方が多いので、読み飛ばすと簡単に引っかかる。

ひっかけ3 正しい「作用」に、別のホルモン名を付ける

前葉・後葉だけではない。ホルモン問題では「作用は正しいがホルモン名だけ違う」という形も使える。例えば乳汁産生はプロラクチン、射乳はオキシトシンである。R7年度ではエンドクリンコントロール、R8年度ではオキシトシンの分泌部位が出ているため、「乳汁分泌」という大きなくくりだけ覚えている受験生は危ない。「誰が、どこから、何をするか」まで3点セットで覚える必要がある。R7では分泌部位とホルモンの組み合わせそのものも出題されている。

ひっかけ4 「現象は正しいが、名称だけ違う」

R8年度の胎盤剥離徴候が典型である。Ahlfeld徴候の現象をSchröder徴候と呼ばせたり、Schröder徴候の現象をAhlfeld徴候と呼ばせたりしている。つまり内容自体は医学的に存在するので、読んだ瞬間に「見たことがある」と安心すると落とされる。名称と現象を1対1で対応させる必要がある。R8ではこの方法を同じ5問セットの中で繰り返しているため、かなり意図的な出題形式と考えていい。

ひっかけ5 疾患名は正しいが「部位」を変える

R7年度の食道癌では「胸部下部食道が最も多い」として誤答を作っている。食道癌そのもの、胸部食道という範囲までは合っているため、曖昧に覚えていると正しそうに見える。R8年度のファロー四徴症でも、「右室肥大」を「左室肥大」、「肺動脈狭窄」を「肺動脈拡大」に変えれば、それらしい選択肢になる。

ひっかけ6 「右」と「左」を入れ替える

循環器では特に危険。R6年度では左心不全に頸静脈怒張、肝腫大、下肢浮腫など右心不全の所見を混ぜた。R8年度では大動脈弁狭窄症に「右室肥大」を置いている。本来は左室から大動脈へ血液を送り出しにくくなるため左室へ圧負荷がかかり、左室肥大を起こす。右・左を漢字一文字で入れ替えれば、それだけで立派な誤答になる。

ひっかけ7 数字を「ほんの少し」変える

これは埼玉医大短大では絶対に警戒したい。R8年度のGDMでは75gOGTTの1時間値を「190mg/dL以上」としているが、正しくは180mg/dL以上。2時間値153mg/dL以上は正しいので、数字を曖昧に覚えていると判断できない。R6年度のNCPRでも出生1分後のSpO₂、妊娠週数、体重増加量など数字そのものを聞いている。数字は「だいたい」では通用しない。

ひっかけ8 正しい数字を別の「時点」へ移す

数字だけではなく時点も変える。R6年度では出生1分後のSpO₂を問う一方、R8年度では生後2時間の血糖、生後22時間のレンガ色尿、生後24時間以内の黄疸、生後4日目の体重を並べている。例えば「黄疸」という現象自体は新生児によくみられるが、出生24時間以内なら生理的黄疸として簡単に処理できない。何が起こったかだけでなく「いつ起こったか」を読む必要がある。

ひっかけ9 正常な期間を長くしたり短くしたりする

R6年度では「子宮は産後10〜14日で非妊時の大きさに戻る」という誤答があり、R8年度では今度は「産後4〜6週で非妊時の大きさに回復する」を正しい問題として出している。さらにR8年度では「マタニティブルーズが2〜3か月続く」と期間を大きく延ばして誤答を作った。時間経過はこの学校の重要なひっかけ材料である。

ひっかけ10 「いつも」「絶対」「起こらない」で言い切る

文章中の強すぎる表現にも注意する。R8年度では「スクリーニング検査をしているので輸血後感染はおこらない」という選択肢がある。検査によってリスクは大幅に低下しても、ゼロとは言えない。R7年度の硬膜外麻酔でも「麻酔薬の胎児への移行がない」という絶対表現が使われていた。医療では「必ず」「絶対」「全例」「十分」「起こらない」という言葉が入ったら、一度立ち止まって考える癖をつけたい。

ひっかけ11 「これだけで十分」と言わせる

R6年度の経鼻胃管では、空気注入による気泡音だけで胃管位置確認は十分かを問われた。「方法自体が存在する」ことと「それだけで安全確認が完了する」ことは別である。医療安全問題では「○○だけで十分」「確認は不要」「すぐに実施できる」という表現が誤答になりやすい。

ひっかけ12 正しい処置を「タイミングだけ」変える

R7年度の膀胱留置カテーテルでは、「尿の流出が確認されたらすぐにバルーンを膨らませる」としている。尿流出確認は必要だが、バルーン部分まで膀胱内へ十分進入していることを確認してから膨らませなければ尿道損傷につながる。処置自体が正しくても、「いつ行うか」を少し変えると誤答になる。

ひっかけ13 正しい物品に「別の液体・材料」を使わせる

同じくR7年度では、膀胱留置カテーテルの固定用バルーンに生理食塩水を入れるとして誤答を作っている。バルーンを膨らませることは正しいが、使用液が違う。看護技術では「何をするか」だけではなく、使用物品、量、部位、順序まで見なければならない。

ひっかけ14 正しい看護行為を「反対側」で行わせる

R8年度の変形性膝関節症では杖を使用する際の側を問うている。原則として杖は患側ではなく健側で持つ。寝衣交換や点滴ライン管理でも「患側から脱ぐのか、健側から脱ぐのか」のような左右・順序問題は作りやすい。知識ではなく動作手順をイメージできるかが問われる。

ひっかけ15 似た「分類名」を並べる

R8年度では胃食道逆流症の内視鏡分類として、ロサンゼルス分類、Goligher分類、Quincke分類、Child-Pugh分類を並べている。すべて医学で実在する名称なので、どれももっともらしい。しかし、Goligherは内痔核、Child-Pughは肝硬変重症度など用途が違う。「聞いたことがあるから選ぶ」のではなく、分類名と対象疾患を結び付ける必要がある。

ひっかけ16 正しい薬を「別の疾患」に組み合わせる

R8年度の婦人科腟錠問題がそのままこの型。メトロニダゾール、エストリオール、抗真菌薬など、薬剤自体は実在するが、適応疾患との組み合わせを入れ替えている。R7年度にもリトドリン、ペニシリン、ジドブジン、ジノプロストンを並べて切迫早産治療薬を問う問題がある。薬剤問題は薬名だけではなく「薬効分類→適応疾患→作用」の順で覚える。

ひっかけ17 「同じ領域の別疾患」の症状を持ってくる

R7年度の重症筋無力症では、アセチルコリンの「放出障害」を原因とする選択肢がある。しかし放出障害を中心とするのはLambert-Eaton症候群で、重症筋無力症は主にシナプス後膜側のACh受容体などが問題となる。まったく無関係な誤答ではなく、「よく似た疾患の正しい知識」を持ってくるのが厄介である。

ひっかけ18 「一部は正しい文章」に間違いを混ぜる

R7年度の受精問題では「受精後2日目には4細胞まで分裂し着床している」という選択肢がある。「受精後2日頃に4細胞」という前半はもっともらしい。しかし着床はまだ始まっていないため、最後の数文字で誤りになる。選択肢は途中まで読んで判断しない。特にこの学校では、前半を正しくして最後だけ変えるタイプがある。

ひっかけ19 「知っている正常所見」と「異常所見」を同じ事例に混ぜる

R8年度の新生児問題では、生後22時間のレンガ色尿は正常経過として認め得る一方、生後2時間の血糖30mg/dL、24時間以内の高ビリルビン血症、10%を超える体重減少などを同時に並べている。全部が一見「新生児によくありそう」なのがポイント。この学校では正常生理を細かく理解していないと、何でも「新生児なら普通」と判断してしまう。

ひっかけ20 「症状がある=すぐ異常」と思わせる

逆方向のひっかけもある。例えば新生児のレンガ色尿、産褥早期の一時的な体温上昇、妊娠中の白血球増加などは、生理的にみられる場合がある。症状名だけで病気と決めるのではなく、「時期」「程度」「随伴症状」を見る必要がある。R6年度の産褥問題でもこの正常生理と異常の区別が狙われている。

ひっかけ21 法律は「制度そのもの」ではなく所管法を入れ替える

R7年度では母子保健法に規定されているものを問う問題があり、育児時間、出生届、不利益取扱い、母子健康手帳などが並ぶ。どれも母子・出産に関係する制度なので、それだけでは絞れない。母子健康手帳は母子保健法、出生届は戸籍法、育児時間は労働基準法というように、「制度名」と「根拠法」を対応させる必要がある。R8年度ではさらに法律の公布年まで聞いている。

ひっかけ22 「対象者」を入れ替える

R6年度の出産育児一時金問題では、被保険者本人と被扶養者の名称を入れ替えている。本人の出産なら出産育児一時金、被扶養者なら家族出産育児一時金。同じ50万円前後の制度だから内容だけ覚えていると名称で落とされる。制度問題では「誰が」「誰に」「何を」「どこから受けるか」を見る。

ひっかけ23 「○日以上」と「○日より後」を混同させる

出産育児一時金の妊娠85日以上、低出生体重児の2,500g未満など、境界値は非常に問題を作りやすい。「未満」と「以下」、「以上」と「超える」は1文字で意味が変わる。埼玉医大短大は数字を細かく扱うので、こうした境界条件も要注意である。

ひっかけ24 「正しいもの」と「誤っているもの」を途中で切り替える

非常に原始的だが実際に落ちる。R7・R8の4択問題では「正しいのはどれか」「誤っているのはどれか」「~でないのはどれか」が混在している。例えばR7年度問題9は食道癌について「誤っているのは」、問題10は労作性狭心症の胸痛として正しいもの、問題16は硬膜外麻酔で「適切でないもの」となっている。知識が合っていても設問条件を読み違えれば0点である。

ひっかけ25 「一度出た論点」を逆向きにしてもう一度出す

これが、この学校対策で最も重要かもしれない。普通の受験生は「去年出たから今年は出ない」と考えがちだが、埼玉医大短大はそうではない。R6では乳汁産生のオートクリンコントロール、R7ではエンドクリンコントロール、R8ではプロラクチンとオキシトシン。R6では子宮復古「10〜14日」を誤りとして出し、R8では「4〜6週」を正しいものとして再出題した。つまり既出テーマを捨てるのではなく、正誤を逆にする、周辺概念へ1段ずらす、正しい数字に直して再出題するという方法を使っている。

さて、受験生の皆さん、ここまでやると何かが見えてきません?
もう私には見えてます。
ここまで見ると、埼玉医大短大の誤答にはかなり共通点がある。

受験生が「何となく知っている」状態を狙っている。

例えば「オキシトシンは授乳に関係する」とだけ覚えていれば、前葉でも後葉でも正しそうに見える。「胎盤剥離徴候はAhlfeldとかSchröderとかがある」とだけ覚えていれば、名前を入れ替えられると分からない。「妊娠糖尿病は180とか190くらい」と覚えていれば1時間値190mg/dLに引っかかる。

だからこの学校では、暗記するときに、

「用語」だけではなく「用語+意味」
「数字」だけではなく「数字+時期」
「薬名」だけではなく「薬名+作用+適応」
「徴候名」だけではなく「徴候名+実際の現象」

までセットにする必要がある。

そして試験中には、選択肢を読んだ瞬間に○×を付けるのではなく、「この文章のどこを学校側が1個だけ変えた可能性があるか」を探す。

この視点が身につけば、初見問題でもかなり対応できるってことですよ‼️

実際、2026年度の専攻科学力試験でも、GDMの1時間値を190mg/dLにする、頭蓋内圧亢進の徐脈を頻脈にする、薬物動態の上昇・低下を逆にする、胎盤剥離徴候の名称を入れ替える、オキシトシンの前葉・後葉を入れ替える、といった「1か所だけ変える」問題が何度も使われている。

つまり、埼玉医大短大で一番怖いのは難問ではない。

「ほぼ正しい選択肢」なんですよ!

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埼玉医科大学短期大学 専攻科母子看護学専攻

R6・R7・R8年度127問から徹底分析した出題傾向

埼玉医科大学短期大学の専攻科を受験するなら、最初に知っておいてほしいことがある。

「助産学校だから、母性看護学と助産学だけ勉強すればいい」

この考え方はかなり危険である。

実際に令和6年度、令和7年度、令和8年度の3年分127問をすべて確認すると、この学校が求めているのは「周産期だけに詳しい受験生」ではない。妊娠・分娩・産褥・新生児の知識を求めながら、それとほぼ同じくらい「看護師としての基礎学力」を広い範囲から確認している。

これは学校のアドミッション・ポリシーとも一致する。専攻科が求める学生像には、明確に「看護師として、基礎学力を有している人」と記載されている。

そして3年間の問題を実際に数えると、その意味がよく分かる。


3年間127問を5分野に分けるとどうなるのか

令和6年度は47問、令和7年度は50問、令和8年度は30問。合計127問である。

この127問を「母性・助産・女性の健康」「新生児・小児」「成人・老年・一般看護」「基礎医学・看護技術」「法制度・公衆衛生・倫理」の5つに分けてみた。

令和6年度47問では、「母性・助産・女性の健康」20問、「新生児・小児」1問、「成人・老年・一般看護」7問、「基礎医学・看護技術」12問、「法制度・公衆衛生・倫理」7問となった。

令和7年度50問では、「母性・助産・女性の健康」18問、「新生児・小児」6問、「成人・老年・一般看護」10問、「基礎医学・看護技術」13問、「法制度・公衆衛生・倫理」3問。

令和8年度30問では、「母性・助産・女性の健康」13問、「新生児・小児」3問、「成人・老年・一般看護」8問、「基礎医学・看護技術」3問、「法制度・公衆衛生・倫理」3問となった。

3年間合計では、「母性・助産・女性の健康」51問、「新生児・小児」10問、「成人・老年・一般看護」25問、「基礎医学・看護技術」28問、「法制度・公衆衛生・倫理」13問である。

割合にすると、母性・助産・女性の健康が約40.2%、新生児・小児が約7.9%、成人・老年・一般看護が約19.7%、基礎医学・看護技術が約22.0%、法制度・公衆衛生・倫理が約10.2%となった。

ここから非常に重要なことが分かる。

母性・助産は約4割しかない

専攻科母子看護学専攻の試験なのだから、母性・助産が最も多いのは当然である。

しかし、127問中51問、約40%である。

逆に言えば、およそ6割は「母性・助産・女性の健康」以外から出ている。

さらに、「成人・老年・一般看護」と「基礎医学・看護技術」を合わせると53問。全127問の約41.7%である。

つまり3年間を合計すると、

「母性・助産・女性の健康」約40%

に対して、

「成人看護+基礎医学・看護技術」約42%

となる。

ほぼ同じなのである。

これが埼玉医科大学短期大学の最大の特徴だと思う。

助産師国家試験の勉強だけをしても足りない。看護師国家試験で勉強した成人看護、基礎看護、薬理、検査、病態生理まで、かなり広く戻らなければならない。


R6年度は「広く聞いたあと、5問セットで一気に掘る」

R6年度は全47問。

前半では、生殖器の発生、ステロイド、胃癌、NSAIDs、母子感染、骨粗鬆症、育児介護休業法、出生前診断、経鼻経管栄養、左心不全、肝硬変、呼吸困難、妊娠中の血液変化、頭蓋内圧亢進、国連高齢者原則、NCPRなど、とにかく範囲が広い。

そして後半に入ると出題形式が大きく変わる。

問題23〜27は染色体異常、28〜32はアレルギー、33〜37は閉経後のホルモン、38〜42は産褥期の生理、43〜47は出産に関する保険給付。つまり最後の25問が「5問×5テーマ」で構成されている。ここにすでに、現在まで続く埼玉医大短大の特徴が出ている。

この学校は「一つのテーマから1問だけ出して終わり」ではない。一つの分野を選んだら、その周辺から4問、5問とまとめて確認する。

例えば更年期なら、「エストロゲンだけ知っています」では足りない。エストロゲン、プロゲステロン、GnRH、LH、FSHまで全部知っている必要がある。産褥なら、子宮復古だけではなく、乳汁産生、体温、血液、腎機能まで聞いてくる。これが後に作った「詳細講義200」が必要になる理由でもある。


R7年度は「看護技術」が一気に増えた

R7年度は50問となり、前半25問が4択、後半25問が正誤形式となった。前半にはICN倫理綱領、合計特殊出生率、母子保健法、HRT、喫煙、出血傾向、ビタミン、ホルモン、食道癌、狭心症、ERCP、重症筋無力症、急性動脈閉塞、大腿骨転子部骨折、SLE、硬膜外麻酔、輸液計算などが並ぶ。助産学校の問題とは思えないほど一般看護領域が広い。そして後半では、さらに特徴的な5問セットが並ぶ。

問題26〜30が膀胱留置カテーテル、31〜35が与薬・注射、36〜40が妊婦へのワクチン、41〜45が妊娠期の超音波・胎児評価、46〜50が新生児。つまり「膀胱留置カテーテルだけで5問」「与薬だけで5問」という構成である。

ここは絶対に見落としてはいけない。

埼玉医大短大は、受験生が看護師免許を取得している、あるいは取得見込みであることを前提として、「看護師ならこれは知っているよね」という部分を普通に聞いてくる。学校自身が専攻科のアドミッション・ポリシーとして「看護師として、基礎学力を有している人」を掲げていることを考えると、この出題は非常に合理的である。


R8年度は30問へ減った。しかし「簡単になった」わけではない

最新のR8年度では問題数が50問から30問へ減った。しかし内容を見ると、出題範囲が母性へ狭くなったわけではない。ファロー四徴症、日本人の食事摂取基準、医療保険、母子関連法の公布年、腰椎穿刺、輸液中の寝衣交換、大動脈弁狭窄症、輸血副作用、GERD、妊娠糖尿病、頭蓋内圧亢進、AKI、婦人科薬、変形性膝関節症、シェーグレン症候群、高齢者の薬物動態、小児の反射、男女共同参画白書、切迫早産、新生児と続く。30問しかないのに、この広さである。その後の問題21〜25は胎盤剥離徴候・胎盤娩出、26〜30は産褥期。つまり問題数を減らしながらも、「広い4択+特定分野をまとめた2択」という基本構造は残っている。現在、大学公式でも2026年度の専攻科学力試験と解答が公開されている。

これは今後の対策にも重要である。

「2026年度は30問しか出なかったから、勉強範囲を減らしてよい」とはならない。

むしろ30問の中へ広い範囲を圧縮してきたと見る方がよい。


4択問題の重要性はむしろ高まっている

R7年度の公式配点では、4択25問が1問3点、後半の正誤25問が1問1点で、合計100点だった。つまり4択だけで75点。

R8年度では4択20問が各3点、後半10問が各1点で合計70点。4択だけで60点になる。

したがって総得点に占める4択問題の割合は、R7の75%からR8では約85.7%まで上がった。

ここは勉強方法にも影響する。

2択問題は覚えていれば取りやすい。しかし、本当に合否を大きく動かすのは3点問題である。たった4択を3問落とせば9点。

○×なら9問落としたのと同じである。

だから予想100問でも、単純な○×問題だけを大量に解かせるのではなく、4択問題で「似た選択肢から一つを選ばせる」訓練をしなければいけない。


3年連続で出ている「産褥・授乳」は最重要

これは3年分を見るとかなり強い。

R6年度では、産褥期について5問連続で、

子宮復古、乳汁産生、体温、血液変化、腎機能

を聞いている。

R7年度になると乳房構造、エンドクリンコントロールなどへ移る。

R8年度では再び産褥5問セットとなり、

オキシトシン、子宮復古、マタニティブルーズ
骨盤底トレーニング、排便が出題された。

特に乳汁分泌は面白い。

R6年度は「オートクリンコントロール」。

R7年度は「エンドクリンコントロール」。

R8年度は「プロラクチンとオキシトシン」。

同じ知識体系の中を少しずつ移動している。

これは偶然というより、「この領域は専攻科へ入る前に知っていてほしい」と学校側が考えている可能性が高い。したがって2027年度対策では、過去に出たから削るのではなく、むしろ乳汁分泌と産褥は周辺知識まで広げるべきである。


「一度出たところは出ない」が通用しない

これは埼玉医大短大対策で非常に重要。

一般的な受験対策では、「去年出たテーマだから今年は可能性が下がる」と考えがちである。

しかし、この学校は逆である。

R6年度では子宮復古について「10〜14日で非妊時の大きさに戻る」という誤った記述を出した。するとR8年度では「産後4〜6週で非妊時の大きさへ回復する」という正しい文章に変えて再び出した。完全に同じ論点である。

乳汁分泌、法律・制度、成人看護、看護技術、新生児が3年連続。つまり「過去問は出たところを消すために使う」のではない。

「過去問で出たところから、次に何を聞けるかを考えるために使う」。これが正しい。

今回予想問題100問を作るときも、まさにこの考え方を使っている。


法律・制度問題は3年連続で出ている

R6年度では育児・介護休業法と、出産育児一時金などの保険給付。R7年度では母子保健法に加え、合計特殊出生率や倫理綱領。R8年度では医療保険、母子に関係する法律の公布年、さらに男女共同参画白書から性犯罪・性暴力の統計まで出した。ここから分かるのは、「母子保健法だけ覚えればよい学校ではない」ということ。

この学校が問う社会系知識は、

法律、保険制度、統計、倫理。社会問題

まで広がっている。

特にR8年度で男女共同参画白書まで持ってきたことは重要で、最新の社会・女性保健に関する制度変更も予想範囲に入れた方がよい。

だから今回、予想問題や詳細講義には2026年度から変わった妊婦へのRSウイルスワクチンなども加えた。


新生児は「正常か異常か」を細かく聞く

新生児問題では、珍しい病気を大量に暗記するというより、「正常新生児の生理を正確に理解しているか」を見る傾向が強い。

R6年度ではNCPR。

R7年度では新生児マススクリーニング、胎便吸引症候群、メレナ、Moro反射、血圧。

R8年度では出生後の血糖、レンガ色尿、黄疸、体重減少。

この並びを見ると、正常・異常の境界を知っているかが重要である。

「新生児は黄疸が出る」では足りない。

「24時間以内なら病的原因を疑う」。

「新生児は体重が減る」でも足りぬ。

「何%までなら生理的範囲として考え、どこから哺乳不足や脱水を評価するのか」。

「新生児は血糖が低い」でもダメだ。

「30mg/dLを正常とはしない」。

こういう精度が必要になる。だから「絶対に落としてはいけない数字50」を別章にした意味がある。


胎児心拍は単なる正常値だけでは終わらない

R6年度では正常な胎児心拍数基線と、妊婦の体位による循環変化。R7年度では分娩中の胎児心拍監視と胎児の位置・回旋。つまり「110〜160bpmを覚えました」だけでは不十分。

次に出せるのは、

早発一過性徐脈、変動一過性徐脈、遅発一過性徐脈、基線細変動、一過性頻脈、母体低血圧
臍帯圧迫などである。

過去問を「同じ問題が出るか」で見るのではなく、学校が次に一段深く聞ける場所を探す。この考え方から、予想問題100問では胎児心拍の周辺をかなり広げた。


「薬」は単独暗記ではなく適応を聞く

3年間を通じて薬剤問題も目立つ。

R6年度ではNSAIDsやラクツロース

R7年度では切迫早産治療薬

R8年度では婦人科腟錠、切迫早産のベタメタゾン・リトドリン・MgSO₄・ジノプロストなど。ここから分かるのは、薬理作用を細かく分子レベルで聞くというより、

「この患者に使うか」
「この疾患はどうか」
「この場面では使わないのはどれか」

という臨床的な組み合わせが多いということ。

だから薬は、

薬剤名、作用、適応、主な注意点までまとめて覚える方が、この学校の試験には合う。


看護技術は「国家試験でやったからもういい」が危険

R6年度の経鼻胃管

R7年度の膀胱留置カテーテル、与薬、皮内・皮下・筋肉内注射、輸液計算

R8年度の腰椎穿刺、輸液中の寝衣交換

これだけ毎年出ている。しかも難しい看護技術ではない。「看護学生時代に習った基本技術」である。だからこそ怖い。

助産学校受験の勉強を始めると、多くの受験生は母性看護ばかり勉強して、基礎看護技術を数か月見なくなる。そこへ、

カテーテルのバルーンには何を入れるか
どちら側から寝衣を脱ぐか
注射角度はどうか
胃管の位置確認はどうするか

と出される。

難問ではない。しかし忘れていれば落とす。

この学校が公式に「看護師として、基礎学力を有している人」を求めている以上、この領域は今後も捨てない方がよい。


成人看護は疾患予測が難しい。だから国試レベルを広く復習する

成人看護で3年間に出た疾患を見ると、かなり散らばっている。

胃癌、骨粗鬆症、心不全、肝硬変、呼吸器疾患、頭蓋内圧亢進、食道癌、狭心症、重症筋無力症、急性動脈閉塞、大腿骨骨折、SLE、大動脈弁狭窄症、輸血副作用、GERD、AKI、変形性膝関節症、シェーグレン症候群など。

ここには「この疾患だけ勉強すればよい」という規則性があまりない。

したがって成人看護については、助産受験用に特殊な勉強をするより、看護師国家試験の主要疾患を広く復習する方が効率がよい。


「5問セット」はこの学校の署名のようなもの

これも3年間通して非常に特徴的である。

R6年度では、染色体5問、アレルギー5問、更年期5問、産褥5問、保険給付5問。

R7年度では、膀胱留置カテーテル5問、与薬5問、妊婦ワクチン5問、妊娠期評価5問、新生児5問。

R8年度では、胎盤剥離・娩出5問、産褥5問。

毎年使われている。

問題数が50問から30問へ減っても残った。

ここは学校固有性がかなり強い。

だから100問の予想問題でも、単発問題100個を並べるだけでは再現性が低い。

「胎児循環5問」
「母子感染5問」
「産褥5問」

のように、一つの領域を連続して判定させる形式を入れたのは、この過去問構造を踏まえている。


そして5問セットには「全体理解」を確認する意味がある

5問セットが厄介なのは、一つ知っていれば終わらないこと。

例えばR6年度の更年期

エストロゲンだけ覚えていても1問しか取れない

FSH、LH、プロゲステロン、GnRHまで整理して初めて5問取れる

R8年度の胎盤剥離徴候も同じ

Ahlfeldだけ覚えても、Schröder、Strassmann、Schultze、嵌頓胎盤との違いが分からなければ連続して失点する。

つまり学校側は、「単語カードで一つ覚えているか」ではなく「一つのテーマを体系的に理解しているか」を確認していると考えられる。

だから詳細講義を50ではなく200まで増やしたのは正解だ。


「数字」は毎年必ず警戒した方がいい

3年間を見ると数字の出し方も非常に多い。

妊娠週数、分娩予定日、BMI、妊娠中の体重増加、新生児SpO₂、胎児心拍数、輸液滴下数、NT測定時期、妊娠糖尿病診断値、新生児血糖、体重減少、法律上の日数など。

つまり、この学校では、

「意味は分かっています」だけでは取れない問題が一定数ある。

GDMを知っていても「92・180・153」を知らなければ落ちる。NCPRを知っていても「1分60%、3分70%、5分80%、10分90%」を知らなければ落ちる。母子保健法を知っていても「2,500g未満」「28日」を知らなければ落ちる。これも「数字50」を独立章にした理由である。


出題テーマは「完全に消える」のではなく形を変えて残る

3年間を比較して最も興味深いのはここ。

R6年度で大きく出たアレルギー5問は、翌年同じ5問セットでは出なかった。しかしR7ではSLE、R8ではシェーグレン症候群など自己免疫領域が残っている。

R6年度の更年期5問は、R7年度ではHRTへ変わった。

R6年度の保険給付5問は、R7では母子保健法、R8では医療保険と法律の公布年へ変わった。

R6年度の産褥5問は、R7で授乳・乳房、R8で再び産褥5問へ戻った。

つまり出題者は、

「去年使った問題をそのまま再利用」

しているわけではない。

しかし、

「去年扱った重要領域から次の知識へずらす」

という動きがかなり見える。

この学校では、過去問の正答だけ暗記する勉強が非常に弱い。

「その正答の周りには何があるのか」

まで覚える必要がある。

まさに今回の詳細講義200の考え方である。


では、2027年度に何を優先すべきか

3年間127問から考えると、最優先にするべきなのは「妊娠・分娩・産褥・授乳・新生児の正常生理」である。異常疾患だけを追うより、まず正常値・正常経過を完璧にする。

その次に、生殖内分泌、女性のライフサイクル、母子感染、妊婦への薬剤・ワクチン、胎児心拍、早産、胎盤、母子保健制度を厚くする。

そして同じくらい重要なのが、看護師国家試験レベルの成人看護と基礎看護技術。ここを切ってはいけない。

さらに法律・制度・最新統計も毎年数問は入る前提で勉強する。

最終的には、「母性だけを100点にする」より、「母性を高得点にして、一般看護を落とさない」方が埼玉医大短大では強い。


3年分127問から見える埼玉医大短大の本質

この学校の問題を「難しいか、簡単か」だけで評価すると本質を見誤る。

1問1問を見ると、看護師国家試験レベルの基本問題が多い。しかし範囲が広い。

しかも、

「数字を少し変える」
「前葉と後葉を変える」
「疾患と薬を入れ替える」
「正しい現象に違う名称を付ける」
「去年の問題を別方向から出す」

という方法で、曖昧な知識をかなり正確に落としてくる。だから埼玉医大短大対策で必要なのは、難しい参考書を何冊も読むことではない。

「基礎知識を広く持ち、その一つ一つを正確にすること」。3年分を全部見た結果、ここが一番はっきりした。そして大学が専攻科の入学者に「看護師として、基礎学力を有している人」を求めていることを考えると、これは問題作成上も一貫している。つまり、この学校の試験対策を一言で表すなら、

「助産の深さ」だけではなく、「看護の広さ」と「知識の正確さ」で勝つ試験