スズキ病院附属助産学校 最強予想問題300/詳細解説講義付き/選択〜アセスメント・優先・初期対応問題まで/スズキの過去問傾向から掴んだ的中を目指す問題集/7万字以上

  • 2026/08/29
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ここから有料版です。7万字ほどあります。こちらは予想問題になりますので、選択肢はある選択に偏っていますが、他の選択肢はなぜ違うのか(合っているのか)というリーズニング目的で使用することをお勧めします。むしろそれが目的であり、最も実力向上の近道です!

スズキ病院附属助産学校
専用予想問題1〜25
【基礎看護学】
問題1 標準予防策

標準予防策〈standard precautions〉において、原則として感染性があるものとして取り扱う対象に含まれないのはどれか。

1.血液
2.唾液
3.尿
4.汗

解説(正答4)

標準予防策では、すべての患者について「血液、汗を除く体液・分泌物・排泄物、傷のある皮膚、粘膜」などを感染性があるものとして取り扱う。したがって正答は「汗」である。ただし、血液が混入している場合などは別に考える必要がある。厚生労働省もこの範囲を明確に示している。

問題2 針刺し事故の予防

使用済み注射針の取り扱いで適切なのはどれか。

1.両手を使ってリキャップする。
2.使用後はリキャップせず専用容器へ廃棄する。
3.針先を折ってから一般廃棄物として処理する。
4.処置終了後にまとめて廃棄する。

解説(正答2)

使用済み注射針へのリキャップは、針刺し事故の原因になるため原則禁止されている。使用後は速やかに耐貫通性のある専用廃棄容器へ廃棄する。厚生労働省も「使用済みの注射針に再びキャップするリキャップを原則として禁止」と明記している。再現問題では「針刺し事故後の対応」が出ているため、次は「事故をどう予防するか」へずらして聞く可能性がある。

問題3 手指衛生

患者の排泄ケアを手袋を着用して行った。ケア終了後の対応として適切なのはどれか。

1.手袋を使用したので手指衛生は不要である。
2.手袋を外した後に手指衛生を行う。
3.同じ患者のケアを続ける場合は手袋を交換しない。
4.手袋の上からアルコール消毒を行い再使用する。

解説(正答2)

手袋を着用していても、外す際に手指が汚染される可能性があるため、手袋を外した後には手指衛生を行う。また、単回使用手袋を再使用してはいけない。同じ患者であっても、異なる処置へ移る場合には必要に応じて手袋交換と手指衛生を行う。

【小児看護学】
問題4 予防接種

1歳になった児に定期接種として開始するワクチンはどれか。

1.MRワクチン
2.HPVワクチン
3.日本脳炎ワクチンのみ
4.B型肝炎ワクチンの初回接種のみ

解説(正答1)

MR〈麻しん・風しん〉ワクチン第1期は1歳で接種する。水痘ワクチンも1歳から接種可能である。厚生労働省の最新予防接種案内でも、MRワクチンは「1歳と小学校に上がる前の合計2回」とされている。再現では小児の法律・風しんが出ているため、予防接種へずらすのは自然な予想である。

問題5 児童虐待

看護師が診察中の児に複数の不自然な皮下出血を認め、児童虐待の可能性があると判断した。対応として適切なのはどれか。

1.虐待が確定するまで通告しない。
2.保護者が虐待を認めた場合のみ通告する。
3.児童虐待を受けたと思われる段階で速やかに通告する。
4.守秘義務があるため医療機関から通告することはできない。

解説(正答3)

児童虐待防止法では、「児童虐待を受けたと思われる児童」を発見した者に通告義務がある。虐待が確定している必要はない。また、この通告は守秘義務によって妨げられない。再現問題で乳児家庭全戸訪問事業や児童に関する法律が出ている以上、「法律+具体的対応」として児童虐待は押さえておきたい。

問題6 1歳6か月児健康診査

1歳6か月児健康診査における発達の確認項目として適切なのはどれか。

1.ひとり歩きができるか。
2.二次性徴が始まっているか。
3.九九を暗唱できるか。
4.永久歯がすべて萌出しているか。

解説(正答1)

1歳6か月児健康診査では、歩行や言語などが重要な発達指標となる。厚生労働省の母子健康手帳関連資料でも、「ひとり歩きをしたのはいつですか」「意味のある言葉をいくつか話しますか」などが確認項目に含まれている。

問題7 乳児の脱水

嘔吐と下痢が続いている乳児の脱水の程度を評価するうえで、最も重要な指標はどれか。

1.脱水前からの体重減少の程度
2.乳歯の本数
3.出生時の身長
4.頭囲

解説(正答1)

小児の脱水では、脱水前からどの程度体重が減少したかが重症度を評価する重要な指標となる。厚生労働省が公開した医師国家試験でも、乳児の脱水状態の重症度判定について「体重減少の程度」を正答としている。尿量、皮膚ツルゴール、毛細血管再充満時間なども重要な観察項目である。

【母性看護学】
問題8 不妊症

不妊症の定義について正しいのはどれか。

1.避妊をせず性交を行い、3か月妊娠しなければ不妊症とする。
2.避妊をせず性交を行い、一般に1年間妊娠しない場合を不妊症とする。
3.女性側に原因がある場合のみ不妊症という。
4.一度妊娠した経験がある女性は不妊症にはならない。

解説(正答2)

日本産科婦人科学会は、妊娠を希望する男女が避妊せず性交を行っているにもかかわらず、一般に1年間妊娠しない場合を不妊と考えるとしている。ただし年齢などによっては、1年を待たず検査・治療を開始する場合がある。

これはスズキでは特に重要である。学校自身が「不妊症論」を独立科目として取り上げることを教育上の特徴として公式に明記しているため、再現問題で月経周期・ホルモンが出ているなら、その一段先として十分予想できる。

問題9 顕微授精

顕微授精〈ICSI〉について正しいのはどれか。

1.精子を子宮内へ注入する。
2.精子を卵子の細胞質内へ直接注入する。
3.受精卵を卵管へ注入する。
4.排卵を抑制する治療である。

解説(正答2)

ICSI〈intracytoplasmic sperm injection〉は、1個の精子を卵子へ直接注入して受精を促す方法である。一方、採取した精液から運動性の良い精子を集めて子宮内へ注入するのは人工授精〈AIH〉であり、両者を混同してはいけない。日本産科婦人科学会も、IVFとICSIをART〈生殖補助医療〉として整理している。

問題10 体外受精・胚移植

体外受精・胚移植〈IVF-ET〉の一般的な流れとして適切なのはどれか。

1.採卵→胚移植→受精→培養
2.卵巣刺激→採卵→受精・培養→胚移植
3.胚移植→卵巣刺激→採卵→受精
4.受精→排卵誘発→採卵→胚移植

解説(正答2)

一般的には、卵巣刺激によって複数の卵胞を発育させ、採卵し、体外で受精させて胚を培養した後、発育した胚を子宮内へ移植する。日本産科婦人科学会公式の不妊症解説でも、この流れが示されている。

スズキは日本で初めて体外受精・胚移植による妊娠・出生成功を指導した鈴木雅洲氏によって創設された学校であり、生殖医療は学校の成り立ちそのものと深く関係している。ここは一般的な助産学校より厚く予想してよい。

問題11 妊娠糖尿病

75g経口ブドウ糖負荷試験〈75gOGTT〉による妊娠糖尿病の診断基準に含まれる値はどれか。

1.空腹時血糖値 92mg/dL以上
2.1時間値 150mg/dL以上
3.2時間値 180mg/dL以上
4.空腹時血糖値 70mg/dL以上

解説(正答1)

75gOGTTでは、空腹時92mg/dL以上、1時間値180mg/dL以上、2時間値153mg/dL以上のうち、1点以上を満たす場合に妊娠糖尿病と診断する。数字の組合せは非常に出題しやすいため覚えておきたい。

問題12 妊娠糖尿病と新生児

妊娠糖尿病の母親から出生した児に生じやすいのはどれか。

1.低血糖
2.高血糖のみ
3.低ビリルビン血症
4.低体重のみ

解説(正答1)

母体の高血糖によって胎児血糖も高くなると、胎児のインスリン分泌が増加する。出生後は母体からの糖供給が途絶える一方、児の高インスリン状態が残るため低血糖を起こしやすい。日本産科婦人科学会も妊娠糖尿病の児側合併症として、巨大児、低血糖、多血症、黄疸などを挙げている。

再現問題に「吸啜不良の新生児→低血糖」があるため、**「では、低血糖になりやすい母体背景は?」**という逆向きの聞き方はかなり作りやすい。

問題13 妊娠高血圧症候群

妊婦健診において高血圧と判断する基準はどれか。

1.収縮期血圧130mmHg以上のみ
2.収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上
3.収縮期血圧150mmHg以上かつ拡張期血圧100mmHg以上
4.拡張期血圧110mmHg以上のみ

解説(正答2)

妊婦健診では、収縮期血圧140mmHg以上、かつ/または拡張期血圧90mmHg以上を認めた場合、高血圧として妊娠高血圧症候群などを評価する。日本産科婦人科学会2026年版ガイドラインの公式作成資料でもこの基準が明記されている。

問題14 妊娠中の重症高血圧

妊婦の血圧が複数回170/112mmHgであった。

対応として適切なのはどれか。

1.正常範囲なので次回健診まで経過観察する。
2.高血圧緊急症を念頭に速やかな降圧を行う。
3.水分摂取だけを勧める。
4.産後まで治療しない。

解説(正答2)

収縮期血圧160mmHg以上、かつ/または拡張期血圧110mmHg以上を複数回認める場合は、高血圧緊急症を念頭に速やかな降圧が必要になる。原則として入院管理が必要な状態である。

問題15 HELLP症候群

HELLP症候群を構成する3つの病態の組合せで正しいのはどれか。

1.溶血・肝酵素上昇・血小板減少
2.貧血・低血糖・白血球減少
3.高血糖・肝酵素低下・血小板増加
4.溶血・腎機能改善・血小板増加

解説(正答1)

HELLPは、Hemolysis〈溶血〉、Elevated Liver enzymes〈肝酵素上昇〉、Low Platelets〈血小板減少〉の頭文字からなる。日本産科婦人科学会2026年版資料でも、溶血所見、肝機能障害、血小板数減少を同時に伴う病態として定義している。上腹部痛や心窩部痛、悪心・嘔吐、強い倦怠感などが契機になることも重要である。

問題16 GBSスクリーニング

正期産新生児の早発型GBS感染症を予防するため、妊婦にGBS培養検査を行う時期として現在推奨されているのはどれか。

1.妊娠8〜10週
2.妊娠20〜22週
3.妊娠28〜30週
4.妊娠36〜37週

解説(正答4)

日本産科婦人科学会の2026年版では、GBS培養検査の時期が妊娠36〜37週とされている。ここは重要な変更点で、以前の「35〜37週」という知識だけで覚えている受験生は注意したい。学会の2026年版作成資料にも「2026から36〜37週に修正した」と明記されている。

問題17 GBS培養検査

GBS培養検査の検体採取部位として適切なのはどれか。

1.口腔と鼻腔
2.腟入口部と肛門
3.子宮頸管と尿道のみ
4.乳頭と臍部

解説(正答2)

GBSスクリーニングでは、腟入口部と肛門から検体を採取する。日本産科婦人科学会2026年版資料でもこの2か所が明記されている。「妊娠36〜37週」という時期だけでなく、「どこから採るのか」までセットで覚えておきたい。

問題18 GBS陽性妊婦

GBS培養陽性の妊婦が陣痛発来して入院した。新生児の早発型GBS感染症を予防するために行うのはどれか。

1.経腟分娩中にペニシリン系などの抗菌薬を点滴静注する。
2.全例帝王切開にする。
3.出生後の児にだけ抗菌薬を投与する。
4.母乳育児を禁止する。

解説(正答1)

GBS保菌妊婦では、経腟分娩中または前期破水後にペニシリン系などの抗菌薬を点滴静注して、新生児早発型GBS感染症を予防する。前児がGBS感染症であった場合や、今回妊娠中の尿培養でGBSが検出されている場合なども対象になる。

問題19 常位胎盤早期剝離

妊娠36週。妊婦に突然の腹痛と性器出血が出現した。腹部を触診すると子宮は持続的に硬い。

最も考えられるのはどれか。

1.前置胎盤
2.常位胎盤早期剝離
3.妊娠悪阻
4.うっ滞性乳腺炎

解説(正答2)

常位胎盤早期剝離では、性器出血、腹痛、腹部緊満感、胎動減少などがみられ、典型例では子宮が「板状硬」となる。一方、前置胎盤では典型的には痛みを伴わない性器出血が特徴であり、この二つの比較は非常に出題しやすい。

問題20 常位胎盤早期剝離の疑い

妊娠後半の妊婦が「急にお腹が痛くなり、赤ちゃんの動きも少なくなった」と訴えた。

優先して行うのはどれか。

1.胎児心拍数をモニタリングする。
2.次回妊婦健診まで自宅で経過観察する。
3.食事を摂取させる。
4.乳房マッサージを行う。

解説(正答1)

妊娠後半に腹痛や胎動減少がみられる場合には、常位胎盤早期剝離も疑い、胎児心拍数モニタリングを行う。2026年版JSOG資料でも、この状況では胎児心拍数モニタリングを行うことが明記されている。

問題21 サイトメガロウイルス

妊婦のサイトメガロウイルス〈CMV〉感染予防として適切なのはどれか。

1.乳幼児の唾液や尿に触れた後は手洗いを行う。
2.幼児と接触した日は必ず抗ウイルス薬を内服する。
3.妊婦全員にCMVワクチンを接種する。
4.CMV IgG陽性であれば感染予防は不要である。

解説(正答1)

CMVは乳幼児の唾液や尿を介して妊婦が感染することがあり、特に小さな子どもと接触する機会が多い妊婦では手洗いなどが重要になる。また、妊娠前に感染して抗体を持っていても、再感染や再活性化によって先天性感染が起こる可能性があるため、「IgG陽性なら何もしなくてよい」とはならない。日本産科婦人科学会2026年版資料も妊婦全体への感染予防情報の提供を勧めている。

問題22 トキソプラズマ

妊娠中のトキソプラズマ感染予防として不適切なのはどれか。

1.肉類は十分に加熱して食べる。
2.ガーデニングでは手袋を着用する。
3.野菜や果物をよく洗う。
4.生肉は新鮮であれば安全なので食べてもよい。

解説(正答4)

妊娠中は、生肉や加熱不十分な肉を避ける。生ハム、生サラミ、ユッケ、鳥刺し、ジビエなども注意が必要である。また、土を扱う場合には手袋を使用し、その後に手洗いを行う。日本産科婦人科学会2026年版資料でも具体的な感染予防策が示されている。

問題23 CTG・変動一過性徐脈

胎児心拍数陣痛図〈CTG〉で反復する変動一過性徐脈を認めた。

主な原因として考えられるのはどれか。

1.臍帯圧迫
2.母体の高血糖のみ
3.胎児の排尿
4.乳汁分泌

解説(正答1)

変動一過性徐脈は、臍帯圧迫との関連が重要である。日本産科婦人科学会2026年版資料でも、臍帯圧迫リスクのある症例で人工羊水注入を行うと、持続する変動一過性徐脈が減少することが示されている。再現問題にCTGそのものが複数出ているため、次は「波形を見て原因を考えさせる」方向へ進む可能性が高い。

問題24 CTG・胎児健常性

CTGで「基線細変動の減少を伴う、繰り返す遅発一過性徐脈」を認めた。

判断として適切なのはどれか。

1.胎児健常性は確実に保たれている。
2.胎児健常性が障害されているおそれがある。
3.正常な睡眠周期なので評価は不要である。
4.母体の乳汁分泌を示している。

解説(正答2)

日本産科婦人科学会2026年版では、「基線細変動の減少または消失を伴った、繰り返す遅発一過性徐脈」は、胎児健常性が障害されているおそれがある所見としている。逆に、正常な基線、正常な基線細変動、一過性頻脈あり、一過性徐脈なしであれば胎児健常性が保たれていると判断する。

ここは単に「CTGをいつ装着するか」から一段進んだ問題で、スズキの次回予想としてかなり重要。

問題25 弛緩出血

経腟分娩後、性器出血が増加した。腹部から触診した子宮底は大きく軟らかい。

最も考えられるのはどれか。

1.弛緩出血
2.妊娠悪阻
3.前期破水
4.乳腺炎

解説(正答1)

胎盤娩出後に子宮が十分収縮しないと、胎盤剝離面の血管を圧迫できず大量出血につながる。子宮底が大きく軟らかいことは子宮収縮不良を疑う重要な所見であり、弛緩出血を考える。分娩後異常出血では、子宮収縮の評価、子宮底マッサージ、子宮収縮薬、バイタルサイン評価、出血原因検索などが重要になる。日本産科婦人科学会は分娩後異常出血・産科危機的出血について、出血の原因検索と循環状態の継続評価を求めている。

この最初の25問は、再現100問とは意図的に重複を避けています。特にQ8〜10の不妊・ART、Q11〜15のGDM・HDP・HELLP、Q16〜18の2026年版GBS、Q19〜24の胎盤早期剝離・母子感染・CTGは、再現問題から横へ広げた中でも優先順位を高く見ています。

【母性看護学】

問題26 Bishopスコア

Bishop〈ビショップ〉スコアの評価項目に含まれないのはどれか。

1.子宮口開大度
2.子宮頸管の硬度
3.Station
4.先進部の固定度

解説(正答4)

Bishopスコアは、子宮口開大度、展退度、児頭下降度〈Station〉、子宮頸管の硬度、子宮口の位置の5項目で頸管熟化を評価する。「先進部の固定度」は独立した評価項目には含まれない。厚生労働省の助産師国家試験出題基準資料にも、ほぼ同じ形式の例題が掲載されている。再現問題で「子宮口4cm」という分娩進行場面が出ているため、その評価法としてBishopスコアまで押さえておきたい。


問題27 頸管熟化

分娩誘発前のBishopスコアが5点であった。

判断として適切なのはどれか。

1.頸管熟化は良好である。
2.頸管熟化は不良と判断することが多い。
3.直ちに分娩第2期と判断する。
4.胎児機能不全を示している。

解説(正答2)

日本産科婦人科学会2026年版資料では、一般に**Bishopスコア6点以下を「頸管熟化不良」**と判断することが多いとしている。分娩誘発の成功率は頸管熟化の程度に左右されるため、Bishopスコアを評価して誘発方法を選択する。


問題28 分娩誘発

分娩誘発を予定している初産婦のBishopスコアが2点であった。

対応として適切なのはどれか。

1.頸管熟化が非常に不良なため、原則として子宮収縮薬を用いない。
2.直ちにオキシトシンを最大量で開始する。
3.必ず帝王切開とする。
4.頸管熟化の程度は分娩誘発方法に影響しない。

解説(正答1)

JSOG2026年版資料では、Bishopスコア3点以下など「頸管熟化が非常に不良」と判断される場合、子宮収縮薬は原則として使用せず、頸管熟化・拡張法などを検討するとしている。したがって正答は1である。


問題29 Station

内診で児頭先進部が母体の坐骨棘の高さにある。

Stationはどれか。

1.-2
2.-1
3.0
4.+2

解説(正答3)

Stationは母体の左右の坐骨棘を結ぶ線を基準として児頭下降度を表す。坐骨棘の高さに先進部がある状態がStation 0であり、それより上方はマイナス、下方はプラスで表す。厚生労働省の助産師関連資料でもStationを児頭下降度の指標として説明している。


問題30 児頭の第2回旋

正常な頭位分娩における児頭の第2回旋について正しいのはどれか。

1.小泉門が母体前方へ向かう。
2.小泉門が母体後方へ向かう。
3.児頭が伸展して娩出される。
4.肩甲が外回旋する。

解説(正答1)

第2回旋では児頭が骨盤内を下降しながら縦軸方向に回旋し、正常な前方後頭位では小泉門が恥骨結合側、つまり母体前方へ向かう。厚労省が公開している助産師国家試験でも、「第2回旋―小泉門が恥骨結合側」という組合せが正しい選択肢として示されている。


問題31 児頭の第3回旋

正常分娩における児頭の第3回旋で起こるのはどれか。

1.屈曲
2.内旋
3.反屈〈伸展〉
4.肩甲の回旋

解説(正答3)

第3回旋では、児頭が恥骨結合下を支点として**反屈〈伸展〉**し、後頭、前頭、顔面、頤部の順に娩出される。厚生労働省公開の助産師国家試験でも「第3回旋では児頭が後屈する」が正しい記述として出題されている。


問題32 胎児発育不全〈FGR〉

胎児発育不全〈FGR〉の診断について適切なのはどれか。

1.胎児推定体重が10パーセンタイル未満なら全例FGRと診断する。
2.胎児推定体重のみで診断する。
3.胎児体重基準値からの偏差に加え、血流や羊水量、発育経過などを総合的に評価する。
4.出生後にしか診断できない。

解説(正答3)

日本産科婦人科学会2026年版資料では、胎児体重基準値の**-1.5SDを当面の目安**としつつ、ドプラ血流異常、羊水過少、腹囲、再検による発育の経時的変化などを合わせて総合的にFGRを診断するとしている。単に「10パーセンタイル未満=FGR」とするのは現在の日本の診断の考え方として不正確である。


問題33 FGRの評価

FGRが疑われる胎児の評価として重要なのはどれか。

1.胎児発育を経時的に評価する。
2.1回の胎児推定体重だけで分娩時期を決定する。
3.羊水量は評価しない。
4.胎児血流の評価は不要である。

解説(正答1)

超音波による胎児推定体重には一定の誤差があるため、FGRでは一度の測定値だけで判断せず、発育の経時的変化、羊水量、臍帯動脈などの血流所見、胎児健常性を総合的に評価する。JSOG2026年版資料でも再検による経時的評価の重要性が明記されている。


問題34 羊水過多

超音波検査で羊水インデックス〈AFI〉が26cmであった。

判断として適切なのはどれか。

1.羊水過少
2.正常範囲
3.羊水過多
4.AFIでは羊水量を評価できない。

解説(正答3)

JSOG2026年版資料では、羊水過多の目安としてAFI 24〜25cm以上、または最大羊水深度〈MVP〉8cm以上が示されている。したがってAFI 26cmは羊水過多と判断する。


問題35 羊水過多の原因

羊水過多の原因として考えられるのはどれか。

1.妊娠糖尿病
2.うっ滞性乳腺炎
3.産後うつ病
4.子宮復古不全

解説(正答1)

羊水過多の原因には胎児の嚥下・吸収障害、胎児貧血、多胎妊娠などのほか、妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠がある。再現問題に糖代謝そのものは出ていないが、予想問題前半でGDMを扱ったため、次は「GDM→羊水過多」という関連づけまで押さえておきたい。


問題36 RhD陰性妊婦

抗RhD抗体陰性のRhD陰性妊婦に、母体感作予防として抗D免疫グロブリンを投与する時期はどれか。

1.妊娠8週前後
2.妊娠16週前後
3.妊娠28週前後
4.妊娠40週以降のみ

解説(正答3)

抗RhD抗体陰性のRhD陰性妊婦では、胎児血液による母体感作を予防するため、妊娠28週前後に抗D免疫グロブリンを投与する。日本産科婦人科学会2026年版資料でも推奨レベルAで示されている。


問題37 RhD不適合・分娩後

RhD陰性で抗RhD抗体陰性の母親が、RhD陽性児を出産した。

母体への抗D免疫グロブリン投与時期として適切なのはどれか。

1.出生後6時間以内のみ
2.出生後24時間以内のみ
3.出生後72時間以内
4.産後1か月

解説(正答3)

児がRhD陽性であることを確認した場合には、分娩後72時間以内に母体へ抗D免疫グロブリンを投与する。次回以降の妊娠で胎児・新生児溶血性疾患を生じる原因となる母体感作を予防するためである。


問題38 RhD陰性妊婦と処置

抗RhD抗体陰性のRhD陰性妊婦で、抗D免疫グロブリン投与を検討する状況はどれか。

1.羊水穿刺後
2.通常の血圧測定後
3.NST後
4.体重測定後

解説(正答1)

羊水穿刺、絨毛採取、外回転術、腹部打撲、流産、異所性妊娠などでは胎児赤血球が母体血中へ移行して感作を生じる可能性があるため、抗D免疫グロブリン投与を検討する。JSOG2026年版資料に具体的に列挙されている。


問題39 RhD感作と胎児

RhD陰性妊婦で抗RhD抗体価が高値となった。

胎児で特に評価するのはどれか。

1.胎児貧血と胎児水腫
2.胎児の歯牙萌出
3.胎児の視力
4.乳汁分泌

解説(正答1)

母体抗RhD抗体が胎盤を通過して胎児赤血球を破壊すると、胎児貧血を起こし、重症化すれば胎児水腫につながる。JSOG2026年版では抗体価高値の場合、妊娠後半に1〜2週ごとの超音波検査で胎児貧血・胎児水腫を評価するとしている。


【新生児・小児看護学】

問題40 新生児の体温

正常新生児の体温として適切なのはどれか。

1.34.5〜35.5℃
2.35.5〜36.0℃
3.36.5〜37.5℃
4.37.8〜39.0℃

解説(正答3)

WHOの最新Essential Newborn Care教材では、新生児の正常体温を**36.5〜37.5℃**としている。新生児は体表面積が相対的に大きく、熱を失いやすいため、出生直後から保温することが重要である。


問題41 新生児の低体温

新生児の腋窩温が35.3℃であった。

WHOの分類に照らした判断として適切なのはどれか。

1.正常範囲である。
2.保温は必要ない。
3.危険徴候として保温・評価・対応が必要である。
4.母乳を中止する。

解説(正答3)

WHOのEssential Newborn Careでは、36.5〜37.5℃を正常範囲とし、35.5℃未満はDanger Signとしている。35.3℃であれば単に「少し寒い」ではなく、速やかな保温と全身状態の評価が必要になる。


問題42 産後のメンタルヘルス

エジンバラ産後うつ病質問票〈EPDS〉について適切なのはどれか。

1.日本では9点以上が支援を検討する一つの目安となる。
2.9点以上なら必ず産後うつ病と確定診断できる。
3.新生児の発育を判定する質問票である。
4.父親にしか使用できない。

解説(正答1)

日本ではEPDS9点以上が、産後うつの可能性が高い、あるいは要支援として評価を深める一つの目安として用いられている。ただしEPDSはあくまでスクリーニングであり、9点以上だから「産後うつ病と確定診断」ではない。厚労省資料でも9点以上をハイリスクとしてフォローにつなげている。


問題43 SIDS予防

乳幼児突然死症候群〈SIDS〉の発症リスクを低下させるため、乳児を寝かせる体位として推奨されるのはどれか。

1.腹臥位
2.仰臥位
3.常に左側臥位
4.常に右側臥位

解説(正答2)

医学上の理由がある場合を除き、乳児は仰向けで寝かせる。厚生労働省は、うつぶせ寝の方が仰向け寝よりSIDS発症率が高いことから、1歳までは眠り始めを仰向けにするよう勧めている。


問題44 SIDSのリスク

乳幼児突然死症候群〈SIDS〉の危険因子として特に注意するのはどれか。

1.妊娠中や児の周囲での喫煙
2.母乳育児
3.仰向け寝
4.児の周囲を禁煙にすること

解説(正答1)

厚生労働省はSIDSのリスクを低下させるポイントとして「仰向け寝」「できるだけ母乳育児」「たばこを避ける」の3点を示している。妊娠中の喫煙や乳児周囲の受動喫煙はSIDSの重要な危険因子である。


問題45 SGA

出生時の体重と身長が在胎週数相当の10パーセンタイル未満である新生児を表すのはどれか。

1.AGA
2.SGA
3.LGA
4.巨大児のみ

解説(正答2)

在胎週数に対して出生時の体格が小さい児はSGA〈small for gestational age〉と呼ばれる。厚生労働省公開の助産師国家試験でも「出生時の体重と身長が在胎週数相当の10パーセンタイル未満=SGA」とする問題が出題されている。再現問題ではAFD・パーセンタイルが出ているため、対になるSGAは優先して押さえておきたい。


【妊娠・産褥の生理】

問題46 妊娠中の血液変化

正常妊娠中の血液凝固系の変化として正しいのはどれか。

1.血液凝固因子は減少する。
2.血液凝固因子は増加する。
3.妊娠中は血栓形成リスクが低下する。
4.産褥期にはVTEの危険はない。

解説(正答2)

正常妊娠では血液凝固能が亢進し、複数の凝固因子が増加する。これは分娩時出血に備える生理的変化である一方、妊娠・産褥期に静脈血栓塞栓症〈VTE〉が増える一因でもある。厚生労働省公開の助産師国家試験でも「血液凝固因子は増加する」が正しい選択肢として出題されている。


問題47 妊娠と消化器系

正常妊娠中の消化器系の変化として適切なのはどれか。

1.噴門部括約筋の緊張が低下しやすい。
2.食道下部括約筋の緊張が著しく増加する。
3.胃食道逆流は起こりにくくなる。
4.妊娠により便秘は起こりにくくなる。

解説(正答1)

妊娠中はプロゲステロンなどの影響によって消化管平滑筋の緊張が低下し、食道下部・噴門部括約筋の緊張も低下しやすい。そのため胃食道逆流や胸やけが起こりやすくなる。厚労省公開の助産師国家試験でも「噴門部の括約筋の緊張が低下しやすい」が正答として扱われている。


問題48 産褥期のホルモン

正常に経過している褥婦の産褥3日において、血中でほぼ消失している胎盤由来ホルモンはどれか。

1.ヒト胎盤性ラクトゲン〈hPL〉
2.プロラクチン
3.オキシトシン
4.FSHのみ

解説(正答1)

hPLは胎盤から分泌されるホルモンであるため、胎盤娩出後は急速に低下する。厚生労働省公開の助産師国家試験でも、正常産褥3日の変化として「血中にhPLが検出されない」が正しい選択肢として出題されている。


問題49 臍帯血

胎児循環における臍帯血について正しいのはどれか。

1.臍帯静脈血は臍帯動脈血より酸素分圧が高い。
2.臍帯動脈血が胎盤から胎児へ酸素を運ぶ。
3.臍帯には2本の静脈と1本の動脈がある。
4.臍帯静脈は胎児から胎盤へ血液を運ぶ。

解説(正答1)

胎盤で酸素化された血液は1本の臍帯静脈を通って胎児へ流れ、胎児から胎盤へ戻る血液は2本の臍帯動脈を通る。そのため酸素分圧は臍帯動脈血より臍帯静脈血で高い。厚労省公開の助産師国家試験でも同じ内容が出題されている。


問題50 新生児の生理的体重減少

正常新生児の出生後早期の体重変化として適切なのはどれか。

1.出生直後から毎日必ず増加する。
2.出生後数日は一時的に体重が減少することがある。
3.生後2日で出生体重の2倍になる。
4.出生後の体重減少はすべて病的である。

解説(正答2)

正常新生児でも、出生後は胎便・尿の排泄や細胞外液の減少、哺乳量がまだ十分でないことなどから一時的な体重減少がみられる。厚生労働省の乳幼児身体発育調査でも、男女とも出生時に比べ生後1〜3日の体重中央値が低下した後、再び増加する推移が確認できる。したがって出生後早期の体重減少そのものは生理的に起こり得る。
【母子保健・小児】

問題51 妊婦RSウイルスワクチン

2026年度から定期接種となったRSウイルス母子免疫ワクチンの接種対象時期として正しいのはどれか。

1.妊娠12週0日〜19週6日
2.妊娠20週0日〜27週6日
3.妊娠28週0日〜36週6日
4.妊娠37週0日以降

解説(正答3)

2026年度から、妊婦に対するRSウイルス母子免疫ワクチンが予防接種法に基づく定期接種となった。対象は接種時点で妊娠28週0日〜36週6日の妊婦で、期間中に1回接種する。2026年から始まった制度なので、スズキ専用予想問題にはぜひ入れておきたい最新論点である。


問題52 母子免疫ワクチン

妊婦へのRSウイルス母子免疫ワクチンによって乳児が感染防御効果を得る仕組みはどれか。

1.ワクチンそのものが胎盤を通過する。
2.母体で産生された抗体が胎盤を通過する。
3.ワクチンが羊水中でRSウイルスを死滅させる。
4.出生後に母乳からワクチンが児へ移行する。

解説(正答2)

母子免疫ワクチンでは、妊婦への接種によって母体内で抗体が産生され、その抗体が胎盤を介して胎児へ移行する。出生直後から乳児に一定の感染防御効果を持たせることが目的である。厚生労働省も「母体内で作られた抗体が胎盤を通じて胎児に移行する」と明記している。


問題53 RSウイルス感染症

RSウイルス感染症について正しいのはどれか。

1.2026年度から妊婦へのRSウイルスワクチンが定期接種となった。
2.乳幼児では重症化することはない。
3.感染経路は空気感染のみである。
4.生後6か月以内の児では感染への注意は不要である。

解説(正答1)

RSウイルスは接触感染・飛沫感染で広がり、とくに生後6か月以内の乳児や早産児などでは重症化に注意する必要がある。2026年度から妊婦への母子免疫ワクチンが定期接種化されたことは、今後の母性・小児分野で非常に出題しやすい。


問題54 新生児聴覚検査

新生児聴覚検査における「1-3-6ルール」で正しいのはどれか。

1.1か月までに検査、3か月までに精密検査、6か月までに療育開始
2.1か月までに療育、3か月までに検査、6か月までに診断
3.1歳までに検査、3歳までに診断、6歳までに療育
4.出生1日目、3日目、6日目に検査する。

解説(正答1)

先天性難聴では、生後1か月までに聴覚検査、3か月までに精密検査、6か月までに療育開始という「1-3-6ルール」が重要である。厚労省資料でも、この時期までの早期発見・早期支援が言語発達に重要とされている。


問題55 新生児聴覚検査の方法

新生児聴覚スクリーニングの初回検査・確認検査として、厚生労働省が望ましいとしている方法はどれか。

1.純音聴力検査
2.自動ABR
3.語音聴力検査
4.ティンパノメトリーのみ

解説(正答2)

聴神経難聴スペクトラムではOAEが正常でも聴神経機能に異常がある場合があるため、厚生労働省は初回・確認検査を**自動聴性脳幹反応検査〈自動ABR〉**で行うことが望ましいとしている。


問題56 3歳児健康診査

3歳児健康診査で確認される項目はどれか。

1.視覚と聴覚
2.妊娠週数
3.Apgarスコア
4.胎児心拍数

解説(正答1)

3歳児健康診査では、身体発育や栄養、歯科だけでなく、眼および耳・鼻・咽頭の疾病・異常の有無も確認する。現在の健診情報には視力、屈折検査、聴力なども含まれている。


【母子感染・予防接種】

問題57 妊娠と水痘ワクチン

妊婦への水痘ワクチン接種について正しいのはどれか。

1.妊娠中に積極的に接種する。
2.妊婦には接種しない。
3.妊娠後期のみ接種できる。
4.分娩直前のみ接種できる。

解説(正答2)

水痘ワクチンは生ワクチンであるため、妊婦には接種しない。JSOG「産婦人科診療ガイドライン産科編2026」作成資料でも推奨Aとして明記されている。


問題58 妊婦の水痘曝露

水痘に対する免疫をもたない妊婦が水痘患者と濃厚接触した。

対応として適切なのはどれか。

1.水痘ワクチンを直ちに接種する。
2.速やかにガンマグロブリンを投与する。
3.何もせず経過観察する。
4.全例直ちに帝王切開する。

解説(正答2)

水痘免疫を持たない妊婦が患者と濃厚接触した場合、JSOG2026年版資料では速やかなガンマグロブリン投与を推奨している。妊婦への水痘生ワクチン接種は行わない。


問題59 風しんと産褥

妊娠中の風しんHI抗体価が16倍以下であった褥婦への対応として適切なのはどれか。

1.次回妊娠まで何もしない。
2.産褥期に風しんワクチン接種を勧める。
3.授乳中なのでワクチンは永久に禁止する。
4.新生児にだけワクチンを接種する。

解説(正答2)

JSOGの2026年版資料では、風しんHI抗体価16倍以下の妊婦には産褥期のワクチン接種を勧めるとしている。風しんワクチンは生ワクチンなので妊娠中には接種できないが、授乳中の接種は可能である。


問題60 先天性CMV感染

先天性サイトメガロウイルス〈CMV〉感染の診断に適切なのはどれか。

1.生後3週間以内の新生児尿を用いた核酸検査
2.生後6か月の便培養
3.臍帯の細菌培養のみ
4.出生1年後の血糖測定

解説(正答1)

先天性CMV感染を診断するには、後天性感染との区別が必要であるため、生後3週間以内の新生児尿を用いた核酸検査を行う。JSOG2026年版資料でも推奨Aとして示されている。


問題61 CMVと新生児聴覚検査

新生児聴覚スクリーニングで正常が確認できなかった児で考慮すべき検査はどれか。

1.生後3週間以内の尿CMV核酸検査
2.妊娠糖尿病検査
3.母体のBishopスコア
4.胎児心拍数陣痛図

解説(正答1)

先天性CMV感染は先天性難聴の重要な原因である。JSOG2026年版では、新生児聴覚スクリーニングで正常が確認できない場合、生後3週間以内の新生児尿CMV核酸検査を行うとしている。


問題62 CMV抗体

妊娠前からCMV IgG陽性である妊婦について正しいのはどれか。

1.胎児へのCMV感染は絶対に起こらない。
2.母子感染は起こり得る。
3.CMV IgG陽性なら胎児は必ず感染している。
4.出生後の聴覚評価は不要である。

解説(正答2)

既感染でCMV IgG陽性であっても、再感染や再活性化などにより母子感染が起こる可能性がある。JSOG2026年版資料にも「CMV IgG陽性でも母子感染は起こりうる」と明記されている。


【妊娠高血圧症候群】

問題63 重症高血圧

妊娠高血圧症候群で重症域と判断する血圧はどれか。

1.130/80mmHg以上
2.140/90mmHg以上
3.150/100mmHg以上
4.160/110mmHg以上

解説(正答4)

妊娠高血圧症候群は140/90mmHg以上で診断され、とくに収縮期160mmHg以上または拡張期110mmHg以上は重症高血圧であり厳重な管理が必要となる。


問題64 妊娠高血圧腎症

妊娠20週以降に初めて高血圧を発症した。蛋白尿はないが、血小板減少と肝機能障害を認めた。

判断として適切なのはどれか。

1.蛋白尿がないので妊娠高血圧腎症ではない。
2.妊娠高血圧腎症と診断され得る。
3.正常妊娠である。
4.妊娠糖尿病と診断する。

解説(正答2)

現在の妊娠高血圧腎症では蛋白尿が必須ではない。高血圧に加えて肝・腎機能障害、神経障害、血小板減少、子宮胎盤機能不全などを認める場合も妊娠高血圧腎症と診断される。


問題65 早発型妊娠高血圧症候群

早発型妊娠高血圧症候群の定義として正しいのはどれか。

1.妊娠20週未満で発症
2.妊娠28週未満で発症
3.妊娠34週未満で発症
4.妊娠37週以降で発症

解説(正答3)

日本産科婦人科学会では、妊娠34週未満に発症したものを早発型、妊娠34週以降に発症するものを遅発型として整理している。早発型では重症化しやすいため注意が必要である。


問題66 子癇

子癇のけいれん発作の治療・再発予防に用いる薬剤はどれか。

1.硫酸マグネシウム
2.オキシトシン
3.プロラクチン
4.ビタミンK

解説(正答1)

子癇に対しては**硫酸マグネシウム〈MgSO₄〉**を投与し、けいれん治療と再発予防を行う。2026年版JSOG資料でも、ボーラス投与後に持続投与することが示されている。


問題67 子癇発作時の初期対応

妊婦が突然けいれん発作を起こした。

初期対応として適切なのはどれか。

1.気道確保、酸素投与、バイタル評価、静脈路確保を行う。
2.直ちに歩行させる。
3.経口摂取させる。
4.胎児だけを観察して母体は観察しない。

解説(正答1)

子癇ではまず母体救命を優先し、転落防止、気道確保、酸素投与、バイタルサイン評価、静脈路確保を行う。分娩前であれば胎児心拍数モニタリングも行う。


問題68 妊娠高血圧症候群の警告症状

妊娠高血圧症候群で注意すべき症状はどれか。

1.これまで経験したことのない頭痛
2.軽度の鼻水のみ
3.爪が伸びる。
4.毛髪が伸びる。

解説(正答1)

強い頭痛、視覚異常、ろれつが回りにくい、上腹部・胃部痛、悪心などは重症化の徴候となり得る。JSOGも、これまで経験したことのない頭痛や目が見えにくい症状などがあれば速やかな受診を求めている。


【胎盤・分娩前管理】

問題69 前置血管

前置血管について正しいのはどれか。

1.臍帯血管が内子宮口周辺を走行する状態である。
2.胎盤が必ず子宮底にある状態である。
3.母体血管だけが子宮口を走行する。
4.産後にのみ診断できる。

解説(正答1)

前置血管は、卵膜付着や副胎盤などに伴い、羊膜と脱落膜の間を走る臍帯血管が内子宮口周辺を通る状態である。破膜によって胎児血管が破綻すると胎児に重大な失血を起こし得る。


問題70 前置血管のリスク

前置血管のリスク因子として挙げられるのはどれか。

1.体外受精胚移植による妊娠
2.母乳育児
3.産後の乳房緊満
4.新生児黄疸

解説(正答1)

JSOG2026年版資料では、前置血管のリスク因子として体外受精胚移植による妊娠、多胎妊娠などを挙げている。スズキは生殖補助医療との関係が深いため、ARTと産科異常を結びつけた問題は押さえたい。


問題71 前置血管の管理

前置血管と診断された妊婦の管理として適切なのはどれか。

1.高次施設での周産期管理を考慮する。
2.自宅分娩を原則とする。
3.必ず経腟分娩を行う。
4.妊娠中の管理は不要である。

解説(正答1)

前置血管を疑った場合には高次施設での管理を考慮し、診断された場合は個々のリスクに応じて管理入院や早産期の予定帝王切開を検討する。


問題72 前置胎盤の診断

前置胎盤の胎盤位置を評価するのに有用なのはどれか。

1.経腟超音波検査
2.胸部単純X線
3.頭部CT
4.心電図

解説(正答1)

前置胎盤が疑われる場合、胎盤と内子宮口の位置関係を経腟超音波検査で評価する。妊娠中期に疑われても、その後胎盤と子宮口との位置関係が変化するため経時的に確認する。


問題73 低置胎盤

低置胎盤について正しいのはどれか。

1.胎盤が内子宮口を完全に覆っている。
2.胎盤は内子宮口を覆わないが、胎盤辺縁と内子宮口の距離が2cm以内である。
3.胎盤が必ず子宮底に存在する。
4.胎盤が存在しない。

解説(正答2)

低置胎盤は胎盤が内子宮口を覆ってはいないものの、胎盤辺縁と内子宮口との最短距離が2cm以内の状態をいう。前置胎盤との違いを整理しておきたい。


問題74 前置胎盤の分娩

前置胎盤の分娩方法として現在選択されるのはどれか。

1.すべてのタイプで帝王切開
2.すべて経腟分娩
3.吸引分娩のみ
4.鉗子分娩のみ

解説(正答1)

日本産科婦人科学会は、現在はすべてのタイプの前置胎盤で帝王切開が選択されるとしている。低置胎盤については胎盤と内子宮口との距離などを考慮して個別に判断する。


【分娩管理】

問題75 分娩誘発前の説明

分娩誘発を行う前に妊婦へ説明すべき内容として適切なのはどれか。

1.誘発理由、方法、代替療法、有害事象
2.胎児の性別だけ
3.母親の血液型だけ
4.児の出生後の名前だけ

解説(正答1)

JSOG2026年版では、分娩誘発前に実施理由、方法、代替療法、想定される有害事象について事前説明することを推奨Aとしている。


問題76 突然の高度徐脈

分娩中、それまで正常であった胎児心拍数が突然高度徐脈となった。

原因として考えるのはどれか。

1.臍帯脱出
2.乳房緊満
3.乳腺炎
4.新生児黄疸

解説(正答1)

突然の高度徐脈・遷延一過性徐脈では、臍帯圧迫・臍帯脱出、過強陣痛、子宮破裂、常位胎盤早期剝離、母体低血圧など緊急性の高い原因を検索する。


問題77 子宮収縮薬と胎児心拍異常

オキシトシン投与中に胎児心拍数モニタリングで重篤な異常を認めた。

対応として適切なのはどれか。

1.投与速度を2倍にする。
2.減量または投与中止を行う。
3.胎児心拍を無視する。
4.分娩後まで同量を継続する。

解説(正答2)

子宮収縮薬使用中に重篤な胎児心拍異常を認めた場合、オキシトシンでは減量または投与中止を行う。子宮収縮による胎盤循環低下や過強陣痛による胎児低酸素を考える必要がある。


問題78 高度徐脈が回復しない場合

胎児心拍数の突然の高度徐脈に対して胎児蘇生を行ったが回復しない。

次の対応として適切なのはどれか。

1.翌日まで待つ。
2.急速遂娩を行う。
3.母乳育児を開始する。
4.産褥健診を行う。

解説(正答2)

原因検索と胎児蘇生を行っても胎児心拍数が回復しない場合は、急速遂娩を行う。JSOG2026年版でも推奨Aとなっている。


問題79 臍帯脱出

臍帯脱出を認めた際、児が娩出されるまで行う対応はどれか。

1.胎児先進部を用手的に挙上する。
2.臍帯を強く牽引する。
3.産婦を歩かせる。
4.陣痛をさらに増強する。

解説(正答1)

臍帯脱出では先進部による臍帯圧迫を減らすため、児娩出直前まで用手経腟的に胎児先進部を挙上し続ける。胎児低酸素を防ぎながら急速遂娩へつなげる。


問題80 吸引分娩

吸引娩出術を行っている。総牽引時間が20分を超えても児が娩出されない。

対応として適切なのはどれか。

1.さらに長時間吸引を続ける。
2.鉗子娩出術または帝王切開を行う。
3.そのまま自然分娩を翌日まで待つ。
4.母体を帰宅させる。

解説(正答2)

JSOG2026年版では、吸引の総牽引時間20分、または総牽引回数5回を超えて児が娩出されない場合には、鉗子娩出術または帝王切開へ移行するとしている。


問題81 吸引分娩後の新生児

吸引分娩後の新生児で、とくに注意が必要な重篤な合併症はどれか。

1.帽状腱膜下血腫
2.乳腺炎
3.前置胎盤
4.妊娠高血圧症候群

解説(正答1)

吸引分娩では頭血腫や眼底出血に加え、帽状腱膜下血腫に注意する。大量出血によるショックや死亡につながる可能性があるため、出生後の頭部所見と循環状態を観察する。


【産科出血・産褥】

問題82 産科危機的出血の観察

産科危機的出血で継続して評価すべき項目はどれか。

1.尿量
2.児の歯牙萌出数
3.母親の利き手
4.出生児の髪の長さ

解説(正答1)

産科危機的出血では、意識、血圧、心拍数、SpO₂、呼吸数、出血量だけでなく尿量や凝固状態を継続的に評価する。尿量低下は循環血液量不足を反映する重要な指標となる。


問題83 フィブリノゲン

分娩後異常出血が持続している。単独でも「産科危機的出血」の宣言を考慮するフィブリノゲン値はどれか。

1.500mg/dL未満
2.400mg/dL未満
3.300mg/dL未満
4.150mg/dL未満

解説(正答4)

2026年版JSOG資料では、分娩後異常出血が持続し、フィブリノゲン150mg/dL未満を認めた場合、それ単独でも産科危機的出血を宣言する基準の一つとしている。かなり細かいが、最新ガイドライン型の問題として狙える。


問題84 トラネキサム酸

産科大量出血に対するトラネキサム酸について適切なのはどれか。

1.大量出血発症後3時間以内の投与が推奨される。
2.産後1か月後に投与する。
3.出血が止まってから初めて投与する。
4.妊産婦には絶対に使用できない。

解説(正答1)

JSOG2026年版資料では、大量出血に対するトラネキサム酸は発症後3時間以内に1g投与することが推奨されている。産科危機的出血では時間が非常に重要である。


問題85 産後メンタルヘルス

育児不安が強い母親への産後うつスクリーニングとして適切なのはどれか。

1.産後2週または4週頃にEPDSなどを用いて評価する。
2.産後1年までは評価しない。
3.新生児にEPDSを行う。
4.母親の精神状態は産後健診では扱わない。

解説(正答1)

JSOG2026年版資料では、育児不安の強い母親などについて産後2週または4週の時点でEPDS等により状態を把握し、必要なら精神科や地域支援へつなげるとしている。


【新生児】

問題86 Late preterm児

在胎35週で出生した児で特に注意するのはどれか。

1.低血糖と呼吸障害
2.高血糖だけ
3.永久歯の萌出
4.思春期早発症

解説(正答1)

在胎34〜36週のlate preterm児は正期産児に近く見えても未熟性が残っており、低血糖や呼吸障害を起こしやすい。JSOG2026年版では血糖測定と呼吸監視を行うとしている。


問題87 新生児の正常体温

WHOが示す新生児の正常体温範囲はどれか。

1.34.0〜35.0℃
2.35.0〜36.0℃
3.36.5〜37.5℃
4.38.0〜39.0℃

解説(正答3)

WHOの最新Essential Newborn Careでは、正常新生児の体温を**36.5〜37.5℃**としている。出生後は乾燥、skin-to-skin contact、保温などによって低体温を予防する。


問題88 臍帯結紮

蘇生を必要としない新生児の臍帯結紮についてWHOが推奨しているのはどれか。

1.出生直後5秒以内
2.出生後30秒以内
3.少なくとも出生後1分より前には行わない。
4.出生24時間後

解説(正答3)

WHOは、蘇生を必要としない新生児について臍帯結紮を出生後1分より前に行わない delayed cord clampingを推奨している。胎盤から児への血液移行によって乳児期の鉄状態改善などが期待される。


問題89 出生直後のskin-to-skin contact

合併症のない新生児への出生直後のケアとして適切なのはどれか。

1.母親とのskin-to-skin contactを行う。
2.すべての児を直ちに母親から離す。
3.体温測定のため1時間裸で放置する。
4.哺乳を24時間禁止する。

解説(正答1)

合併症のない新生児では、出生直後から母親とのskin-to-skin contactを行う。これは低体温予防、母子関係形成、母乳育児開始を支える重要なケアである。


問題90 早期授乳

WHOが推奨する母乳育児開始の時期はどれか。

1.出生後1時間以内
2.生後24時間以降
3.生後3日以降
4.生後1週間以降

解説(正答1)

WHO・UNICEFは、可能な児について出生後1時間以内に母乳育児を開始するよう推奨している。初乳を摂取できるだけでなく、その後の完全母乳栄養にもつながる。


問題91 出生直後の吸引

清明な羊水から出生し、自発呼吸が良好な新生児への対応として適切なのはどれか。

1.全例で口腔・鼻腔吸引を行う。
2.ルーチンの口腔・鼻腔吸引は行わない。
3.全例気管挿管する。
4.全例胸骨圧迫する。

解説(正答2)

WHOは、清明羊水から出生し自発呼吸している児に対して、口・鼻のルーチン吸引を行わないよう推奨している。気道内分泌物によって呼吸が妨げられているなど、必要な場合にのみ気道を確保する。


問題92 胎便混濁羊水

胎便混濁羊水から出生したが、児は自発呼吸が良好である。

対応として適切なのはどれか。

1.全例気管挿管して吸引する。
2.ルーチンの気管内吸引は行わない。
3.全例胸骨圧迫する。
4.全例NICUへ挿管したまま搬送する。

解説(正答2)

WHOでは、胎便混濁羊水でも児が自発呼吸している場合、ルーチンの気管内吸引を行わない。過去の「胎便=まず吸引」という知識だけで覚えていると間違いやすい。


問題93 新生児マススクリーニング

新生児マススクリーニングの目的はどれか。

1.先天性代謝異常などを発症前に発見し、早期治療につなげる。
2.児の性格を判定する。
3.将来の身長を予測する。
4.胎児心拍数を評価する。

解説(正答1)

新生児マススクリーニングは、先天性代謝異常や先天性甲状腺機能低下症などを症状出現前に発見し、早期治療によって障害を予防・軽減することを目的としている。


問題94 新生児マススクリーニングの採血

新生児マススクリーニングの採血時期として一般的なのはどれか。

1.出生直後
2.出生後5〜7日頃
3.生後6か月
4.1歳

解説(正答2)

厚生労働省の実施要綱では、一般的な採血時期を出生後5〜7日としている。検体は新生児から採取した血液をろ紙にしみ込ませて検査する。


問題95 新生児聴覚検査の初回時期

分娩取扱施設で新生児聴覚検査を実施する場合、初回検査の時期として望ましいのはどれか。

1.おおむね生後3日以内
2.生後3か月
3.1歳
4.3歳

解説(正答1)

厚生労働省通知では、分娩施設で新生児聴覚検査を行う場合、おおむね生後3日以内に初回検査を行い、リファーの場合にはおおむね生後1週間以内に確認検査を行うとしている。


問題96 新生児聴覚検査後の療育

新生児聴覚検査で難聴が確認され、療育が必要と判断された。

療育開始時期の目安として適切なのはどれか。

1.生後6か月頃まで
2.3歳以降
3.小学校入学後
4.成人後

解説(正答1)

新生児聴覚検査では早期発見だけで終わらず、必要な児を生後6か月頃までに療育へつなげることが重要である。これが1-3-6ルールの「6」に相当する。


問題97 授乳時の良好な吸着

児が乳房へ良好に吸着している所見はどれか。

1.児の口が大きく開き、下唇が外側へ向いている。
2.口をほとんど開かず乳頭だけを吸っている。
3.児の顎が乳房から離れている。
4.乳頭を浅くくわえて速く吸い続ける。

解説(正答1)

良好なattachmentでは、口が大きく開く、下唇が外反する、顎が乳房に接触する、乳輪は下側より上側が多く見えるなどが認められる。吸啜はゆっくり深く、時折休止する。


問題98 母児分離と搾乳

NICU入院などで母児が一時的に分離している。

母乳分泌を維持するための援助として適切なのはどれか。

1.搾乳方法を指導・支援する。
2.直接授乳できるまで乳房刺激を禁止する。
3.母乳育児を諦めるよう説明する。
4.搾乳した母乳はすべて廃棄する。

解説(正答1)

WHOは、母児が一時的に分離した場合でも母乳分泌を維持できるよう、搾乳方法を指導・支援することを勧めている。NICU児への母乳支援にも直結する論点である。


問題99 カンガルーマザーケア

カンガルーマザーケア〈KMC〉について正しいのはどれか。

1.早産児・低出生体重児を可能な限り早期から長時間skin-to-skin contactでケアする。
2.児と母親を完全に分離する。
3.正期産児には必ず人工乳を与える方法である。
4.児を低体温にすることを目的とする。

解説(正答1)

WHOの2025年版KMCガイドでは、KMCを早産児・低出生体重児に対し、可能な限り早期から長時間のskin-to-skin contactを行い、母乳栄養を基本とするケアとしている。保温、母乳育児、母児関係形成などに有効である。


問題100 完全母乳栄養

WHO・UNICEFが推奨している乳児栄養として正しいのはどれか。

1.生後6か月までは完全母乳栄養を推奨する。
2.出生直後から水を追加する。
3.生後1か月から必ず離乳食を開始する。
4.6か月で母乳を必ず中止する。

解説(正答1)

WHO・UNICEFは出生後6か月まで完全母乳栄養を推奨し、6か月頃から適切な補完食を開始しながら、母乳育児を2歳以降まで継続できるとしている。2026年8月4日に更新されたWHOの最新ファクトシートでも、この推奨は維持されている。
【生殖医療・不妊】

問題101 AMH

抗ミュラー管ホルモン〈AMH〉について正しいのはどれか。

1.卵子の質を直接評価できる。
2.卵巣予備能を推測する指標として用いられる。
3.卵管の通過性を評価する。
4.子宮内膜の厚さだけを評価する。

解説(正答2)

AMHは卵巣に残っている卵子の数、すなわち「卵巣予備能」を推測する目的で用いられる。ただし、AMH値から卵子の質そのものを推測することはできない。日本産科婦人科学会もこの点を明確にしている。また厚生労働省の診療報酬上も、不妊症患者の調節卵巣刺激療法における治療方針決定を目的としたAMH測定が位置づけられている。

スズキでは不妊症論を独立科目として扱っているため、AMHはかなり入れておきたい。


問題102 子宮卵管造影検査

子宮卵管造影検査〈HSG〉によって主に評価するのはどれか。

1.卵管の通過性と子宮腔の形態
2.卵子の染色体
3.精子運動率
4.胎児心拍数

解説(正答1)

子宮卵管造影検査では造影剤を使用して、卵管が通過しているか、子宮腔の形態に異常がないかを評価する。不妊症検査の基本的な一つであり、日本産科婦人科学会公式の不妊症解説にも明記されている。


問題103 男性不妊

男性側の不妊症検査として基本となるのはどれか。

1.精液検査
2.子宮卵管造影検査
3.子宮鏡検査
4.基礎体温測定

解説(正答1)

男性側ではまず精液検査を行い、精子濃度、運動率などを評価する。異常を認める場合には、精索静脈瘤など男性側の疾患も考慮して泌尿器科での評価につなげる。


問題104 OHSSのリスク

卵巣過剰刺激症候群〈OHSS〉のリスクが高いのはどれか。

1.AMH高値の女性
2.AMH低値の女性のみ
3.閉経後女性
4.卵巣刺激を行っていない男性

解説(正答1)

OHSSのリスク因子には、若年、やせ、PCOS、OHSS既往、AMH高値、発育卵胞数の増加、血中エストラジオールの急増、採卵数増加、hCG投与量増加などがある。日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2023」CQ327で整理されている。

ここは「AMHが高い=妊娠しやすい」と単純に考えさせない問題としても使える。


問題105 OHSS

卵巣過剰刺激症候群〈OHSS〉でみられるのはどれか。

1.卵巣腫大、腹水、血液濃縮
2.卵巣萎縮と循環血液量増加
3.低血糖のみ
4.子宮口開大のみ

解説(正答1)

OHSSでは卵巣の囊胞性腫大と毛細血管透過性亢進が起こり、血漿成分が血管外へ漏出する。その結果、循環血液量減少、血液濃縮、腹水・胸水などが生じる。重症例では腎不全や血栓症、肺水腫にまで進展する。

また、妊娠が成立すると内因性hCGの影響でOHSSが重症化・遷延することがある。ここはスズキなら十分狙える。


【妊婦健康診査】

問題106 妊婦健診の間隔

正常に経過している妊婦の妊娠23週までの妊婦健康診査の間隔として、厚生労働省が示している目安はどれか。

1.毎週
2.2週間に1回
3.4週間に1回
4.8週間に1回

解説(正答3)

厚生労働省の「妊婦に対する健康診査についての望ましい基準」では、妊娠初期から妊娠23週まではおおむね4週間に1回としている。


問題107 妊娠24〜35週の健診

正常妊娠で妊娠24週から35週までの妊婦健診の間隔はどれか。

1.毎日
2.おおむね1週間に1回
3.おおむね2週間に1回
4.おおむね6週間に1回

解説(正答3)

妊娠24〜35週は、おおむね2週間に1回が標準的な目安である。妊娠週数が進むにつれて母体・胎児の変化をより短い間隔で確認していく。


問題108 妊娠36週以降の健診

正常妊娠で妊娠36週以降から出産までの妊婦健診の間隔はどれか。

1.おおむね1週間に1回
2.おおむね2週間に1回
3.おおむね4週間に1回
4.1回のみ

解説(正答1)

妊娠36週以降はおおむね1週間に1回となる。したがって基本は「〜23週=4週ごと、24〜35週=2週ごと、36週〜=1週ごと」と整理しておく。


問題109 妊娠初期の血液検査

妊娠初期に標準的に行われる血液検査に含まれないのはどれか。

1.ABO・Rh血液型
2.梅毒血清反応
3.HIV抗体
4.Apgarスコア

解説(正答4)

妊娠初期には、ABO・Rh血液型、不規則抗体、血算、血糖、B型肝炎抗原、C型肝炎抗体、HIV抗体、梅毒血清反応、風しんウイルス抗体などを確認する。Apgarスコアは出生後の新生児評価であり、妊婦の血液検査ではない。


問題110 妊娠中の血算

厚生労働省が示す標準的な妊婦健診では、血算検査を行う時期として適切なのはどれか。

1.妊娠初期のみ
2.妊娠初期、24〜35週、36週以降
3.分娩後のみ
4.妊娠20週に1回のみ

解説(正答2)

標準的には、血算は妊娠初期に1回、妊娠24〜35週に1回、妊娠36週以降に1回行う。妊娠に伴う血液希釈や鉄需要増加によって妊婦貧血を生じやすいため、経時的な確認が必要になる。


【妊婦貧血・妊娠中の生理】

問題111 妊娠中の貧血

妊娠中に貧血を生じやすくなる理由として適切なのはどれか。

1.循環血液量の増加に対して血球成分の増加が追いつかず、血液が希釈される。
2.循環血液量が著しく減少するためである。
3.胎児へ鉄は移行しない。
4.妊娠中は鉄需要が減少する。

解説(正答1)

妊娠中は循環血液量、とくに血漿量が大きく増える一方、赤血球量の増加はそれほど大きくないため、血液が相対的に希釈される。さらに胎児への鉄供給も必要となるため、鉄欠乏性貧血を起こしやすい。厚生労働省の現在の母性健康管理情報でも、妊娠8〜9か月頃には循環血液量が非妊娠時より約30〜40%増えると説明されている。


問題112 妊婦貧血の症状

妊婦貧血でみられやすい症状はどれか。

1.動悸・息切れ・立ちくらみ
2.黄疸のみ
3.けいれんのみ
4.高熱のみ

解説(正答1)

妊婦貧血では、動悸、息切れ、立ちくらみ、疲労感、脱力感などを認めることがある。他覚的に顔面蒼白がみられる場合もある。


【妊娠悪阻】

問題113 妊娠悪阻とビタミンB1

妊娠悪阻による脱水のためブドウ糖を含む輸液を行う。

併せて投与することが重要なのはどれか。

1.ビタミンB1
2.ビタミンKのみ
3.ビタミンDのみ
4.葉酸のみ

解説(正答1)

妊娠悪阻で長期間食事摂取が不十分な場合、ビタミンB1〈チアミン〉欠乏を生じることがある。ブドウ糖投与によってB1消費が進むとWernicke脳症を誘発する危険があるため、ブドウ糖を含む輸液にはビタミンB1を添加する。日本産科婦人科学会2026年版作成資料CQ201でも推奨Aとなっている。


問題114 妊娠悪阻とVTE

妊娠悪阻について正しいのはどれか。

1.深部静脈血栓症のリスク因子になる。
2.VTEのリスクを低下させる。
3.十分な脱水が望ましい。
4.水分補給は避ける。

解説(正答1)

妊娠悪阻は、脱水や活動性低下などによってVTE・深部静脈血栓症のリスクを高める。JSOG2026年版作成資料でも、十分な飲水・補液によって発症予防に努めることが明記されている。さらに2026年公表の産婦人科領域VTE関連資料でも、妊娠悪阻はVTEリスク因子として列挙されている。


問題115 妊娠悪阻と電解質

妊娠悪阻で特に注意する電解質異常はどれか。

1.低カリウム血症
2.高カルシウム血症のみ
3.高ナトリウム血症のみ
4.高リン血症のみ

解説(正答1)

繰り返す嘔吐などによって妊娠悪阻では低カリウム血症を起こしやすい。JSOG2026年版作成資料でも、「妊娠による生理的変化と嘔吐によって低カリウム血症に陥りやすい」と明記されている。


【妊娠中の体重・運動】

問題116 妊娠中の体重増加

妊娠前BMIが18.5以上25未満の妊婦に対する、妊娠中の体重増加量の目安はどれか。

1.0〜3kg
2.3〜5kg
3.10〜13kg
4.20〜25kg

解説(正答3)

JSOG2026年版作成資料では、妊娠前BMIが18.5以上25未満の場合、妊娠中の体重増加量の目安は10〜13kgとされている。BMI18.5未満では12〜15kg、BMI25以上30未満では7〜10kg、BMI30以上では個別対応となる。

数字問題として非常に出しやすい。


問題117 妊娠前のやせ

妊娠前にやせている女性で増加するリスクはどれか。

1.早産・低出生体重児
2.巨大児のみ
3.妊娠期間の著明な延長のみ
4.胎児巨人症のみ

解説(正答1)

JSOG2026年版資料では、妊娠前にやせている女性では、切迫早産・早産、貧血、低出生体重児分娩などのリスクが高いとしている。一方、肥満では妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開、巨大児などが増える。


問題118 妊娠中の運動

妊娠中の運動を勧めない状態はどれか。

1.前置胎盤
2.正常に経過している低リスク妊娠
3.妊娠前から適度な運動習慣がある正常妊婦
4.合併症のない妊婦

解説(正答1)

妊娠中の適度な有酸素運動は、禁忌がない妊婦では健康維持に有用である。一方、前置胎盤、低置胎盤、前期破水、切迫流・早産、妊娠高血圧症候群、頸管無力症、持続する性器出血などがある場合には運動の開始・継続を勧めない。


【多胎妊娠】

問題119 双胎の膜性診断

双胎妊娠の超音波検査でλ〈ラムダ〉サインを認めた。

考えられるのはどれか。

1.二絨毛膜双胎
2.一絨毛膜二羊膜双胎
3.一絨毛膜一羊膜双胎のみ
4.膜性は全く推定できない。

解説(正答1)

隔膜の起始部が厚く、白い絨毛膜がなだらかに隔膜へ移行するλサインは二絨毛膜双胎を示唆する。一方、薄い隔膜が絨毛膜へ角をもって移行するTサインは一絨毛膜二羊膜双胎を示唆する。2026年版JSOG作成資料では、遅くとも妊娠14週までの膜性診断を推奨している。


問題120 一絨毛膜双胎の管理

一絨毛膜双胎の妊娠16週以降の管理として適切なのはどれか。

1.少なくとも2週間ごとに超音波検査を行う。
2.分娩まで超音波検査は必要ない。
3.妊娠30週以降に1回だけ検査する。
4.母体体重のみを評価する。

解説(正答1)

一絨毛膜双胎ではTTTSやselective FGRなど特有の合併症がある。そのためJSOG2026年版作成資料では、妊娠16週以降、分娩まで少なくとも2週間ごとに超音波検査を行い、羊水量の不均衡や胎児発育を確認するとしている。


問題121 TTTS

双胎間輸血症候群〈TTTS〉が主として問題となるのはどれか。

1.一絨毛膜双胎
2.二絨毛膜双胎のみ
3.単胎妊娠のみ
4.異所性妊娠

解説(正答1)

TTTSは、一つの胎盤を共有する一絨毛膜双胎に存在する胎盤内血管吻合を背景に生じる。一絨毛膜双胎ではTTTSのほか、selective FGR、TAPSなどの特徴的合併症にも注意する。


【骨盤位】

問題122 骨盤位と外回転術

骨盤位に対して外回転術を行う条件として適切なのはどれか。

1.緊急帝王切開が可能な体制で行う。
2.前置胎盤があっても積極的に行う。
3.胎児機能不全があっても行う。
4.児の成熟度は考慮しない。

解説(正答1)

外回転術では、経腟分娩の禁忌がないこと、緊急帝王切開が可能であること、児が成熟していることなどが条件となる。前置胎盤や胎児機能不全がある場合には適応にならない。


問題123 骨盤位経腟分娩

骨盤位の経腟分娩を予定していたが、分娩時に足位であることが判明した。

分娩方法として適切なのはどれか。

1.そのまま経腟分娩を続ける。
2.帝王切開を選択する。
3.必ず吸引分娩を行う。
4.必ず自然破水まで待つ。

解説(正答2)

JSOG2026年版作成資料では、骨盤位経腟分娩を予定していても、膝位、足位、低出生体重児、児頭骨盤不均衡、早産が疑われる場合には帝王切開を選択するとしている。


【静脈血栓塞栓症】

問題124 妊娠中のVTEリスク

妊娠中の静脈血栓塞栓症〈VTE〉のリスク因子はどれか。

1.妊娠悪阻
2.適切な水分摂取
3.適度な歩行のみ
4.正常な妊娠経過そのもの以外にリスク因子は存在しない。

解説(正答1)

2026年公表の産婦人科領域VTE関連資料では、VTEリスク因子として、35歳以上、BMI25以上、喫煙、安静臥床、長時間旅行、脱水、全身感染、手術、OHSS、妊娠悪阻、多胎妊娠、妊娠高血圧腎症などを挙げている。

つまり今回の第二セットでは、不妊治療→OHSS→妊娠→VTEまで知識がつながるようにしている。


問題125 妊娠中のDVT

妊娠中に深部静脈血栓症〈DVT〉を発症した。

基本となる抗凝固療法はどれか。

1.未分画ヘパリン〈UFH〉
2.ワルファリンを第一選択とする。
3.抗凝固療法は行わない。
4.アスピリンのみで治療する。

解説(正答1)

2026年2月公表の産婦人科領域VTE資料では、妊娠中のVTEに対して治療量の未分画ヘパリン〈UFH〉による抗凝固療法を行うとしている。ワルファリンは妊娠中には原則として使用しない。また、適切な抗凝固療法を開始し、浮遊血栓がなく全身状態が安定している場合などでは、長期安静より早期離床・歩行が望ましいとされる。
【切迫早産・頸管無力症】

問題126 子宮頸管長

流早産ハイリスク妊婦の子宮頸管長を評価する時期として適切なのはどれか。

1.妊娠6〜8週頃
2.妊娠10〜12週頃
3.妊娠18〜24週頃
4.妊娠38週以降

解説(正答3)

日本産科婦人科学会の「産婦人科診療ガイドライン産科編2026」作成資料では、流早産ハイリスク症例の抽出には、妊娠18〜24週頃の経腟超音波検査による子宮頸管長測定が有効としている。妊娠初期は子宮体部下部と頸部との区別が難しいことも、この時期が選ばれる理由の一つである。


問題127 頸管短縮

妊娠21週の単胎妊婦。経腟超音波検査で子宮頸管長が22mmであった。

判断として適切なのはどれか。

1.十分な頸管長である。
2.頸管短縮として早産リスクを考慮する。
3.分娩第1期と判断する。
4.正期産が開始したと判断する。

解説(正答2)

JSOG2026年版資料では、妊娠20〜24週で頸管長25mm未満は早産リスクが高いことが示されている。また、妊娠24週未満で25mm未満への短縮は、治療的頸管縫縮術などを検討する際の一つの目安にもなっている。したがって22mmは「問題なし」とは判断しない。


問題128 頸管無力症

頸管無力症の特徴として最も適切なのはどれか。

1.強い陣痛の後に子宮口が開大する。
2.大量出血を伴って胎盤が剝離する。
3.明らかな子宮収縮や性器出血を自覚しないまま子宮口が開大する。
4.妊娠高血圧を伴って子宮口が閉鎖する。

解説(正答3)

頸管無力症は、外出血や子宮収縮などの切迫流早産徴候を自覚しないにもかかわらず、子宮口が開大して胎胞が形成されてくる状態とされる。ここは「切迫早産=子宮収縮」という知識だけで考えると間違えやすい。


問題129 予防的頸管縫縮術

頸管無力症の既往があり、予防的頸管縫縮術を行うこととなった。

施行時期として適切なのはどれか。

1.妊娠6週以前
2.妊娠12週以降のなるべく早い時期
3.妊娠30週以降
4.分娩開始後

解説(正答2)

JSOG2026年版資料では、経腟的予防的頸管縫縮術は妊娠12週以降のなるべく早期に行うとしている。妊娠初期の流産リスクと、頸管無力症が好発する時期より前に実施する必要性を考慮したものとなっている。


問題130 頸管縫縮術と感染

頸管無力症が疑われる妊婦に38.3℃の発熱、白血球増多、CRP高値を認めた。

対応として適切なのはどれか。

1.感染の有無にかかわらず直ちに頸管縫縮術を行う。
2.感染の治療を優先する。
3.オキシトシンを投与する。
4.外来で1か月経過観察する。

解説(正答2)

感染や炎症が存在する状態で頸管縫縮術を行うと、それらを増悪させる可能性がある。JSOG2026年版では、発熱、高度白血球増多、CRP高値などの感染徴候がある場合は、原則として頸管縫縮術より感染治療を優先するとしている。


問題131 早産と母体ステロイド

妊娠29週。1週間以内の早産が予想されている。

胎児の肺成熟促進などを目的として母体へ投与するのはどれか。

1.ベタメタゾン
2.オキシトシン
3.プロラクチン
4.メトトレキサート

解説(正答1)

妊娠24週以降34週未満で1週間以内の早産が予想される場合には、児の肺成熟や頭蓋内出血予防などを目的としてベタメタゾンを母体へ投与する。JSOG2026年版資料では、12mgを24時間ごとに計2回筋肉内投与する方法が示されている。


問題132 早産と硫酸マグネシウム

妊娠30週で早産が予想されている。

胎児の脳保護を目的として母体への投与を考慮する薬剤はどれか。

1.硫酸マグネシウム
2.ワルファリン
3.インスリン
4.ビタミンK

解説(正答1)

JSOG2026年版資料では、妊娠32週未満の早産が予想される場合、胎児の脳保護を目的として硫酸マグネシウム〈MgSO₄〉を投与するとしている。子癇に使用するMgSO₄とは目的が異なる点にも注意したい。


【前期破水・早産管理】

問題133 早産期前期破水

妊娠30週で前期破水した。臨床的絨毛膜羊膜炎はなく、胎児の状態も良好である。

管理として原則適切なのはどれか。

1.抗菌薬を投与しながら待機管理する。
2.全例直ちに帝王切開する。
3.無治療で帰宅させる。
4.妊娠37週まで胎児評価を行わない。

解説(正答1)

妊娠24週以降34週未満の前期破水で、感染徴候がなく胎児健常性が保たれている場合は、抗菌薬投与下で妊娠期間の延長を図る待機管理が原則となる。未熟児として出生するリスクと感染リスクとのバランスをみながら管理する。


問題134 前期破水と抗菌薬

妊娠32週で前期破水した。

抗菌薬について適切なのはどれか。

1.妊娠37週未満では抗菌薬投与を行う。
2.感染徴候がなくても抗菌薬は絶対禁忌である。
3.抗菌薬は産後のみ使用する。
4.胎児心拍が正常なら抗菌薬は不要である。

解説(正答1)

JSOG2026年版では、妊娠37週未満の前期破水には抗菌薬を投与するとしている。抗菌薬投与によって絨毛膜羊膜炎、新生児感染症などが減少することが示されている。


【流産・異所性妊娠】

問題135 稽留流産の診断

妊娠初期。胎囊を認めるが胎芽が確認できない。

対応として適切なのはどれか。

1.1回の検査だけで必ず稽留流産と診断する。
2.原則として適切な間隔をあけて再検査し、慎重に診断する。
3.直ちに異所性妊娠と確定する。
4.胎囊を認めれば胎児死亡と判断する。

解説(正答2)

排卵日のずれなどによって、推定妊娠週数より実際の妊娠週数が若い場合がある。そのためJSOG2026年版では、胎囊を認めるものの胎芽・胎児が確認できない場合、1〜2週間以内の適切な間隔をあけて複数回診察した後に慎重に稽留流産と診断するとしている。


問題136 流産後の管理

妊娠10週で完全流産と診断された。

対応として適切なのはどれか。

1.全例子宮内容除去術を行う。
2.原則として外科的治療を行わず経過観察する。
3.全例メトトレキサートを投与する。
4.全例帝王切開を行う。

解説(正答2)

JSOG2026年版では、稽留流産・不全流産では待機的管理または外科的治療を選択する一方、完全流産では原則として子宮内容除去術を行わず経過観察するとしている。ただし出血や感染などがあれば別途対応が必要になる。


問題137 流産と外科的治療

妊娠11週の不全流産を待機的に管理していたが、中等量以上の出血が持続している。

対応として適切なのはどれか。

1.待機管理を必ず続ける。
2.子宮内容除去術を行う。
3.1か月後まで診察しない。
4.水分摂取だけで対応する。

解説(正答2)

待機的管理中でも、中等量以上の出血が持続する場合や子宮内感染を併発した場合には外科的治療へ切り替える。JSOG2026年版では子宮内容除去術が推奨されている。


問題138 異所性妊娠

妊娠反応陽性。妊娠6週相当であるが、経腟超音波検査で子宮内に胎囊を確認できない。

まず考慮するのはどれか。

1.異所性妊娠
2.前置胎盤
3.弛緩出血
4.乳腺炎

解説(正答1)

妊娠5〜6週以降で妊娠反応が陽性にもかかわらず子宮腔内に胎囊を確認できない場合には、異所性妊娠を疑う必要がある。ただし、ごく初期の正常妊娠や流産との鑑別も必要であり、hCGの推移や再度の超音波検査を用いて慎重に判断する。


問題139 異所性妊娠の確定所見

異所性妊娠を確定する所見はどれか。

1.子宮腔外に胎囊と卵黄囊または胎芽を認める。
2.尿中hCGが陽性である。
3.妊婦に悪心がある。
4.乳房緊満を認める。

解説(正答1)

JSOGでは、子宮腔外に胎囊、卵黄囊、胎芽などを確認できれば異所性妊娠と診断するとしている。尿中hCG陽性だけでは妊娠部位を特定できない。


問題140 異所性妊娠の治療

異所性妊娠の治療方針を決定する際に考慮するのはどれか。

1.母体の全身状態、着床部位、hCG値、胎児心拍、腫瘤径など
2.妊婦の身長だけ
3.胎児の性別だけ
4.母親の利き手だけ

解説(正答1)

異所性妊娠では、すべての症例を同じ方法で治療するわけではない。全身状態、着床部位、hCG値、胎児心拍の有無、腫瘤径などを参考に、手術療法・薬物療法・待機療法を慎重に選択する。


【出生前検査】

問題141 NIPT

NIPT〈非侵襲性出生前遺伝学的検査〉について正しいのはどれか。

1.染色体疾患を確定診断する検査である。
2.染色体疾患の可能性を評価する非確定的検査である。
3.胎児に針を刺して採血する。
4.陽性なら追加検査は不要である。

解説(正答2)

NIPTは母体血中のcell-free DNAを利用して胎児の染色体疾患の可能性を評価する非確定的検査である。陽性であっても、それだけで胎児の疾患を確定することはできない。こども家庭庁も出生前検査を「確定検査」と「非確定検査」に明確に区別している。


問題142 NIPTの対象疾患

日本の認証制度におけるNIPTの対象疾患の組合せで正しいのはどれか。

1.13トリソミー・18トリソミー・21トリソミー
2.5トリソミー・7トリソミー・9トリソミー
3.ターナー症候群のみ
4.すべての遺伝性疾患

解説(正答1)

現在の日本の認証施設で行うNIPTの対象は、13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーの3疾患である。こども家庭庁の最新情報でも、この3疾患に限定していることが明記されている。


問題143 NIPT陽性

NIPTで21トリソミー陽性となった。

対応として適切なのはどれか。

1.NIPTのみで21トリソミーと確定診断する。
2.遺伝カウンセリングを行い、羊水検査などの確定検査について説明する。
3.検査結果について説明しない。
4.必ず妊娠を終了するよう指示する。

解説(正答2)

NIPTは非確定的検査であるため、陽性の場合には遺伝カウンセリングを行い、羊水検査や絨毛検査などの確定診断の選択肢を説明する。出生前検査では、医療者が結論を指示するのではなく、十分な情報提供のもとで妊婦・家族の自律的意思決定を支えることが基本となる。


問題144 羊水検査

胎児染色体検査のために行う羊水検査の実施時期として適切なのはどれか。

1.妊娠5週以降
2.妊娠8週以降
3.妊娠15週以降
4.産後のみ

解説(正答3)

羊水染色体検査は一般に妊娠15週以降に行う。羊水中に存在する胎児由来細胞を採取して染色体を調べる確定的検査である。


問題145 絨毛検査

胎児染色体の確定検査として行われる絨毛採取の時期として適切なのはどれか。

1.妊娠11〜14週頃
2.妊娠20〜24週頃のみ
3.妊娠36週以降
4.産後

解説(正答1)

日本産科婦人科学会のガイドラインでは、染色体検査を目的とする絨毛採取は妊娠11〜14週に行うとしている。羊水検査より早い時期に確定的な染色体検査が可能だが、国内では実施できる施設が限られる。


問題146 出生前検査の意思決定

出生前検査について医療者の対応で適切なのはどれか。

1.すべての妊婦へ一律に検査を受けるよう勧める。
2.医療者が受検するかどうかを決定する。
3.十分な情報提供を行い、本人の自律的な意思決定を支援する。
4.検査を希望しない妊婦には情報提供しない。

解説(正答3)

こども家庭庁の出生前検査に関する基本的な考え方では、出生前検査をマススクリーニングとして一律に実施・推奨することは否定されている。必要な情報と支援を提供し、妊婦本人の意思決定を尊重することが重要である。


【臍帯・分娩異常】

問題147 臍帯脱出

破水直後、それまで正常であった胎児心拍数が突然70bpmまで低下した。

まず疑うべき状態の一つはどれか。

1.臍帯脱出
2.乳腺炎
3.産後うつ病
4.妊娠悪阻

解説(正答1)

正常であった胎児心拍数が突然高度徐脈となった場合には、臍帯圧迫・臍帯脱出、過強陣痛、子宮破裂、常位胎盤早期剝離、母体低血圧などを緊急に検索する。特に破水直後の急激な徐脈では臍帯脱出を見逃してはいけない。


問題148 臍帯脱出への対応

臍帯脱出が確認された。胎児心拍数は高度徐脈である。

児が娩出されるまでの対応として適切なのはどれか。

1.胎児先進部を用手的に挙上し臍帯への圧迫を軽減する。
2.臍帯を強く引っ張る。
3.産婦を積極的に歩行させる。
4.オキシトシンを増量する。

解説(正答1)

臍帯脱出では、胎児先進部による臍帯圧迫を減らすことが重要である。JSOGでは胎児蘇生の一つとして、用手経腟的に胎児先進部を挙上することを示している。並行して急速遂娩へ向けた対応を行う。


【妊娠中の感染症】

問題149 パルボウイルスB19

妊婦がヒトパルボウイルスB19に初感染した場合、胎児で特に注意するのはどれか。

1.胎児水腫
2.巨大児のみ
3.多指症のみ
4.新生児乳腺炎

解説(正答1)

妊娠中のパルボウイルスB19感染では、胎児の赤血球系へ影響して重度の胎児貧血を起こし、非免疫性胎児水腫や流産・胎児死亡につながる可能性がある。2025年には日本国内でも伝染性紅斑の報告増加が確認されており、妊婦では現在も重要な母子感染症である。


問題150 リステリア感染症

妊婦がリステリア感染症を予防するため、特に注意すべき食品はどれか。

1.未殺菌乳を使用したナチュラルチーズや生ハム
2.十分に加熱した白米
3.加熱直後の味噌汁
4.十分に加熱した肉

解説(正答1)

厚生労働省は、リステリア食中毒の原因となり得る食品として、生ハムなどの食肉加工品、未殺菌乳や加熱せず製造されるナチュラルチーズ、スモークサーモンなどを挙げている。リステリアは低温でも増殖可能で、妊婦が感染すると胎盤・胎児へ感染し、流産や新生児への影響を生じることがある。
【糖代謝異常妊娠】

問題151 妊娠糖尿病の産後フォロー

妊娠糖尿病〈GDM〉と診断された女性の産後の管理として適切なのはどれか。

1.分娩した時点で糖尿病リスクは消失するため検査は不要である。
2.産後6〜12週に75gOGTTを行う。
3.次回妊娠時まで血糖評価は行わない。
4.HbA1cのみを産後24時間以内に測定すればよい。

解説(正答2)

妊娠糖尿病の既往がある女性は、将来2型糖尿病を発症するリスクが高い。日本産科婦人科学会の「産婦人科診療ガイドライン産科編2026」作成資料では、妊娠による糖代謝への影響がなくなる産後6〜12週に75gOGTTを行うことが有用としている。産後6〜12週の受診が難しい場合には、産後4週の1か月健診時に行うことも考慮される。最初の検査が正常でも、その後も定期的なフォローが望ましい。


問題152 分娩後のインスリン需要量

糖尿病合併妊娠でインスリン治療を行っていた女性が出産した。

分娩後のインスリン需要について正しいのはどれか。

1.急速に増加する。
2.ほとんど変化しない。
3.急速に低下する。
4.産後6か月まで増加し続ける。

解説(正答3)

胎盤娩出後は胎盤由来のインスリン抵抗性ホルモンが急激に減少するため、インスリン需要量は分娩後に急速に低下する。 そのため妊娠中と同じ量をそのまま投与すると母体低血糖を起こす危険がある。JSOG2026年版作成資料では、必要に応じてインスリンを減量または中止し、血糖値をみながら調整するとしている。


問題153 糖代謝異常妊娠と新生児

糖代謝異常を有する母親から出生した新生児で注意するのはどれか。

1.低血糖
2.高ナトリウム血症のみ
3.低ビリルビン血症
4.低体温だけで低血糖は起こらない。

解説(正答1)

糖代謝異常妊娠では、胎児が母体高血糖の影響を受けて高インスリン状態になる。出生によって母体からの糖供給が途絶えてもインスリン作用が残るため、新生児低血糖を起こしやすい。またJSOG2026年版では、糖代謝異常妊婦から出生した児では低血糖のほか、呼吸窮迫症候群〈RDS〉にも注意するとしている。


問題154 糖尿病合併妊娠と胎児評価

糖尿病合併妊娠で血糖コントロールが十分でない。

妊娠32週以降の管理として適切なのはどれか。

1.胎児健常性の評価は不要である。
2.NSTなどを用いて胎児健常性を適宜評価する。
3.胎児心拍数は分娩時だけ確認する。
4.母体血糖値だけを確認する。

解説(正答2)

糖代謝異常合併妊娠では、妊娠32週以降に子宮内胎児死亡〈IUFD〉のリスクが高まることが知られている。とくに血糖コントロール不良例では、妊娠32週以降にNSTなどを用いて胎児健常性を適宜評価することが重要になる。異常を認めた場合には早期入院管理も考慮される。


【甲状腺疾患・妊娠と薬】

問題155 妊娠と甲状腺機能検査

妊婦に頻脈、体重減少、手指振戦がみられ、甲状腺疾患が疑われる。

まず行う検査として適切なのはどれか。

1.TSHとFT4
2.Apgarスコア
3.Bishopスコア
4.75gOGTTのみ

解説(正答1)

甲状腺機能異常が疑われる妊婦では、血中TSHとFT4を測定する。甲状腺機能異常は母体だけでなく妊娠成立や周産期予後にも影響するため、適切な診断・管理が必要になる。日本産科婦人科学会の公式ガイドラインでも、臨床症状や病歴から甲状腺疾患を疑う場合にはTSH・FT4等を測定するとしている。


問題156 甲状腺機能亢進症

妊婦の甲状腺機能検査で、TSH低値、FT4高値を認めた。

考えられるのはどれか。

1.甲状腺機能亢進症
2.甲状腺機能低下症
3.妊娠糖尿病
4.妊娠高血圧症候群

解説(正答1)

甲状腺機能検査では、TSH低値+FT4高値は甲状腺機能亢進症を示す。一方、TSH高値+FT4低値なら甲状腺機能低下症を考える。妊娠初期にはhCGのTSH受容体刺激作用によって一過性にTSHが低下する場合もあり、検査値だけでなく症状や妊娠週数を含めた評価が必要である。


問題157 甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症でみられる検査所見はどれか。

1.TSH低値、FT4高値
2.TSH高値、FT4低値
3.TSH低値、FT4低値のみが必須
4.TSH高値、FT4高値

解説(正答2)

典型的な甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモン産生が不足するためFT4が低下し、それを補おうとして下垂体からのTSH分泌が増加する。したがってTSH高値、FT4低値となる。妊婦の甲状腺機能異常は母児双方の予後に関係するため、異常が確認された場合には専門医との連携が重要となる。


問題158 妊娠判明後の服薬

持病のため薬剤を内服している女性が妊娠した。

対応として適切なのはどれか。

1.妊娠が分かった時点ですべての薬を自己判断で中止する。
2.市販薬なら妊娠中でも必ず安全なので継続する。
3.自己判断で中止せず、処方医や産婦人科医などに相談する。
4.妊娠中はどの薬剤も使用できない。

解説(正答3)

妊娠中に注意が必要な薬剤がある一方、母体疾患を適切に治療するため妊娠中も継続すべき薬剤もある。 自己判断で中止すると原疾患が悪化し、かえって母体・胎児に悪影響を及ぼす場合がある。厚生労働省も、妊娠判明だけを理由に自己判断で薬剤を中止せず、医師・薬剤師へ相談するよう明記している。


問題159 抗てんかん薬と葉酸

抗てんかん薬を服用しており、妊娠を希望している女性への指導として適切なのはどれか。

1.妊娠するまで葉酸を避ける。
2.妊娠前から葉酸摂取を考慮する。
3.妊娠判明と同時に抗てんかん薬を自己判断で中止する。
4.抗てんかん薬と神経管閉鎖障害には関連がない。

解説(正答2)

カルバマゼピンやバルプロ酸などの一部の抗てんかん薬には葉酸拮抗作用があり、神経管閉鎖障害〈NTDs〉のリスクとの関連が知られている。JSOG2026年版作成資料では、日本神経学会のガイドラインを引用し、抗てんかん薬服用中の女性は非妊娠時から1日0.4mg程度の葉酸を補充することが望ましいとしている。なお、妊娠判明後に抗てんかん薬を自己判断で中断すると発作再燃の危険がある。


【帝王切開既往・TOLAC】

問題160 TOLACの条件

帝王切開既往妊婦がTOLAC〈trial of labor after cesarean delivery〉を希望している。

TOLACを行う条件として適切なのはどれか。

1.既往帝王切開が何回でもよい。
2.子宮破裂既往があってもよい。
3.緊急帝王切開や子宮破裂への緊急手術が可能な施設で行う。
4.既往帝王切開の術式は確認しなくてよい。

解説(正答3)

JSOG2026年版では、TOLACを行う条件として、緊急帝王切開および子宮破裂への緊急手術が可能な体制を求めている。また、既往帝王切開が原則1回、子宮下節横切開であること、子宮破裂既往がないこと、その他の子宮腔に達する手術既往がないことなどを確認する。


問題161 TOLAC中の胎児監視

TOLAC中の胎児心拍数管理として適切なのはどれか。

1.入院時のみCTGを20分記録する。
2.分娩中は胎児心拍数を連続モニタリングする。
3.胎児心拍数は分娩後に確認する。
4.胎動があればモニタリングは不要である。

解説(正答2)

TOLACでは、子宮破裂に伴って胎児心拍数異常が出現することがあるため、試験分娩中は分娩監視装置による胎児心拍数の連続モニタリングを行う。 JSOG2026年版では推奨Aとされている。


問題162 TOLACと分娩誘発

帝王切開既往妊婦のTOLAC中の分娩誘発・陣痛促進について正しいのはどれか。

1.プロスタグランジン製剤を積極的に使用する。
2.プロスタグランジン製剤は使用しない。
3.すべての子宮収縮薬を無制限に使用できる。
4.帝王切開既往は子宮収縮薬の使用に関係しない。

解説(正答2)

帝王切開瘢痕がある子宮では、過度な子宮収縮によって子宮破裂のリスクが高まる。JSOG2026年版では、TOLAC中の分娩誘発・陣痛促進においてプロスタグランジンF2α製剤、PGE2経口剤、PGE2腟用剤を使用しないとしている。


問題163 VBAC後の観察

帝王切開既往妊婦が経腟分娩〈VBAC〉した。

分娩後に特に注意して観察するのはどれか。

1.母体のバイタルサインと下腹痛
2.視力のみ
3.乳汁分泌量のみ
4.児の身長のみ

解説(正答1)

TOLACでは分娩が終了したからといって子宮破裂への注意が不要になるわけではない。JSOG2026年版では、経腟分娩後もshock indexなど母体バイタルサインの変化と下腹痛の有無を観察するとしている。遅れて子宮破裂や腹腔内出血が明らかになる可能性を考慮するためである。


【妊娠41週以降・過期妊娠】

問題164 妊娠41週以降の胎児評価

妊娠41週2日。妊娠経過に大きな異常はない。

胎児健常性の評価頻度としてJSOG2026年版が示しているのはどれか。

1.月1回
2.週1回未満
3.週2回以上
4.胎児評価は不要

解説(正答3)

妊娠41週以降は周産期死亡や児の罹病率が上昇し、羊水過少の頻度も増加する。このためJSOG2026年版では、胎児健常性を週2回以上評価するとしている。一般的には胎児心拍数図や超音波による羊水量などを組み合わせて評価する。


問題165 妊娠41週の分娩管理

妊娠41週3日の妊婦への管理として適切なのはどれか。

1.42週を超えるまで分娩誘発を考慮しない。
2.分娩誘発を考慮した管理を行う。
3.全例緊急帝王切開を行う。
4.胎児健常性評価を中止する。

解説(正答2)

JSOG2026年版では、妊娠41週0日〜41週6日では分娩誘発を考慮した管理を行うとしている。ただし全例を即座に誘発するという意味ではなく、胎児健常性、頸管熟化度、妊婦の希望などを踏まえて管理方針を決定する。


問題166 妊娠42週

妊娠42週1日の妊婦への管理として適切なのはどれか。

1.原則として分娩誘発を勧める。
2.必ず自然陣痛を待つ。
3.胎児評価を行わず帰宅させる。
4.42週以降も正常正期産と同じ管理でよい。

解説(正答1)

**妊娠42週0日以降はpostterm〈過期〉**に該当し、周産期死亡や児の罹病率がさらに高くなる。そのためJSOG2026年版では、妊娠42週以降では原則として分娩誘発を勧めるとしている。


問題167 妊娠時期の分類

postterm〈過期〉に該当するのはどれか。

1.妊娠37週0日以降
2.妊娠39週0日以降
3.妊娠41週0日以降
4.妊娠42週0日以降

解説(正答4)

JSOG2026年版では、妊娠37週0日〜38週6日をearly-term、39週0日〜40週6日をfull-term、41週0日〜41週6日をlate-term、**42週0日以降をpostterm〈過期〉**としている。41週台と42週以降で管理方針が異なるため、数字を正確に覚える必要がある。


【羊水・胎児評価】

問題168 羊水過少

妊婦健診で子宮底長が妊娠週数に比べて小さく、羊水過少が疑われた。

評価として適切なのはどれか。

1.超音波検査で最大羊水深度やAFIなどを測定する。
2.Apgarスコアを測定する。
3.Bishopスコアのみを測定する。
4.母体身長だけを確認する。

解説(正答1)

羊水過少が疑われる場合には、超音波断層法を用いて羊水ポケット、最大羊水深度〈MVP〉、羊水インデックス〈AFI〉などを測定する。 同時に原因検索と胎児健常性の評価を行う。


問題169 羊水過少の原因

羊水過少の原因として考えられるのはどれか。

1.胎児の両側腎無形成
2.母体の乳房緊満
3.産後うつ病
4.児の乳歯萌出

解説(正答1)

胎児の腎無形成・腎異形成、閉塞性尿路疾患などでは胎児尿産生が低下し、羊水過少を起こす。また、前期破水、胎盤機能不全、FGR、妊娠高血圧症候群、過期妊娠なども原因となる。とくに妊娠中期からの高度羊水過少では胎児泌尿器疾患を念頭に置く。


【子宮筋腫合併妊娠】

問題170 子宮筋腫合併妊娠

子宮筋腫を合併した妊婦で頻度が増加するとされるのはどれか。

1.胎位異常
2.新生児乳腺炎
3.新生児齲歯
4.児の視力低下

解説(正答1)

JSOG2026年版では、子宮筋腫合併妊娠では早産、前置胎盤、常位胎盤早期剝離、胎位異常、陣痛異常、帝王切開、分娩後出血などの頻度が増えるとしている。筋腫の位置・個数・大きさに加え、胎盤との位置関係も評価する。


問題171 妊娠中の子宮筋腫核出術

子宮筋腫合併妊娠について適切なのはどれか。

1.妊娠中は全例筋腫核出術を行う。
2.帝王切開時には必ず同時に筋腫核出術を行う。
3.一般的に妊娠中および帝王切開時の筋腫核出術は推奨されない。
4.子宮筋腫は妊娠・分娩経過に全く影響しない。

解説(正答3)

子宮筋腫は妊娠中に疼痛や変性を起こすことがあるが、一般的に妊娠中および帝王切開時の筋腫核出術は推奨されない。 妊娠子宮は血流が豊富であり、筋腫核出に伴う大量出血などの危険がある。やむを得ず行う場合でも利益と危険性を慎重に検討する必要がある。


【産褥・乳房異常】

問題172 子宮復古不全

子宮復古不全の原因として考えられるのはどれか。

1.胎盤片・卵膜片の遺残
2.正常な直接授乳
3.正常な排尿
4.産後の歩行

解説(正答1)

子宮復古不全は、分娩後の子宮が正常な速度で妊娠前の状態へ戻らない状態である。原因として、胎盤・卵膜遺残、悪露の子宮腔内滞留、子宮筋腫、子宮内膜炎などがある。厚生労働省の母性健康管理情報でも、胎盤片・卵膜片の残留によって子宮の回復が遅れることが示されている。


問題173 子宮復古不全の観察

産褥期。子宮復古不全を疑う所見として適切なのはどれか。

1.産褥日数に比べ子宮が大きく軟らかく、悪露が多い。
2.子宮が経日的に縮小している。
3.悪露が徐々に減少している。
4.子宮収縮が良好である。

解説(正答1)

子宮復古不全では、産褥経過に比べて大きく軟らかい子宮を触知し、悪露量が多い状態が持続することがある。胎盤・卵膜遺残や感染が背景にあることもあり、悪露の量・性状、子宮底、圧痛、発熱などを評価する。


問題174 乳腺炎の抗菌薬治療

授乳中の女性に乳房発赤、疼痛、発熱を認め、乳腺炎と判断された。搾乳と鎮痛薬で対応したが、24時間経過しても改善しない。

対応として適切なのはどれか。

1.抗菌薬投与を検討する。
2.さらに1週間無治療で待つ。
3.授乳・搾乳を永久に禁止する。
4.全例直ちに乳房切除術を行う。

解説(正答1)

JSOG2026年版では、乳腺炎に対してまず搾乳や消炎鎮痛薬などを行い、24時間以内に改善しない場合、または症状が急速に悪化する場合には抗菌薬を投与するとしている。また症状が長時間持続する場合や強い場合には細菌培養も考慮する。


問題175 乳腺膿瘍

乳腺炎が悪化し、超音波検査で乳腺膿瘍を認めた。

治療として適切なのはどれか。

1.穿刺または皮膚切開によって排膿する。
2.何もせず自然消失を待つ。
3.母体への水分摂取を禁止する。
4.子宮底マッサージを行う。

解説(正答1)

乳腺膿瘍では抗菌薬のみでは十分な治療にならない場合があり、穿刺または皮膚切開による排膿を行う。難治性・反復性の場合にはMRSA感染や悪性腫瘍など他の原因も検討する。JSOG2026年版の授乳に関するCQでも、乳腺膿瘍に対して排膿を行うことが明記されている。


【不育症・抗リン脂質抗体症候群】

問題176 反復流産

反復流産の定義として正しいのはどれか。

1.自然流産を1回経験した場合
2.自然流産を2回繰り返した場合
3.自然流産を3回以上繰り返した場合
4.人工妊娠中絶を2回経験した場合

解説(正答2)

日本産科婦人科学会では、自然流産を2回繰り返した場合を「反復流産」、3回以上繰り返した場合を「習慣流産」としている。生化学的妊娠は流産回数には含めない。不育症の原因には子宮形態異常、抗リン脂質抗体症候群、甲状腺機能異常、夫婦の染色体構造異常などがある一方、精査しても原因不明となる場合も多い。


問題177 抗リン脂質抗体症候群

抗リン脂質抗体症候群〈APS〉の診断に用いられる抗体はどれか。

1.抗カルジオリピン抗体
2.抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体のみ
3.抗SS-A抗体のみ
4.抗アセチルコリン受容体抗体

解説(正答1)

APSの診断に用いられる検査には、ループスアンチコアグラント〈LA〉、抗カルジオリピン抗体、抗β2-glycoprotein I抗体がある。また、一過性陽性を除外するため、抗体が一定期間持続していることを確認する必要があり、JSOG2026年版作成資料では12週間以上持続することが示されている。


問題178 APS合併妊娠

2回以上の流産歴があり、抗リン脂質抗体症候群の診断基準を満たす女性への妊娠中の治療として適切なのはどれか。

1.低用量アスピリンと未分画ヘパリン
2.ワルファリンのみ
3.オキシトシン
4.プロラクチン

解説(正答1)

JSOG2026年版作成資料では、APSの診断基準を満たす反復・習慣流産患者では、低用量アスピリンと未分画ヘパリンの併用療法の有効性が確立しているとしている。スズキの第二セットでは不妊治療だけでなく、「妊娠成立後に妊娠をどう維持するか」まで押さえておきたい。


【胞状奇胎】

問題179 胞状奇胎

妊娠反応陽性で、超音波検査により子宮内に多囊胞状の所見を認めた。

まず疑うのはどれか。

1.胞状奇胎
2.前置胎盤
3.頸管無力症
4.うっ滞性乳腺炎

解説(正答1)

JSOG2026年版CQ207では、妊娠反応陽性かつ超音波検査で子宮内に多囊胞状の所見を認めた場合には胞状奇胎を疑うとしている。疑った場合には血中hCGを測定し、子宮内容除去術を行い、摘出した組織を病理組織学的検査へ提出する。


問題180 胞状奇胎後の管理

胞状奇胎の子宮内容除去術後の管理として適切なのはどれか。

1.血中hCGを継続的に測定する。
2.hCGの測定は手術当日だけでよい。
3.術後のフォローは必要ない。
4.血圧だけを毎週測定する。

解説(正答1)

胞状奇胎では、除去後に侵入奇胎などの続発性疾患を発症する可能性がある。そのためJSOG2026年版では、一次管理として1〜2週ごとに血中hCGを確認し、基準値に到達するまで追跡するとしている。「胎盤様組織を取ったら終了」ではないことが重要である。


【巨大児・肩甲難産】

問題181 巨大児

日本産科婦人科学会のガイドラインで「巨大児」とされる出生体重はどれか。

1.3,000g以上
2.3,500g以上
3.4,000g以上
4.5,000g以上

解説(正答3)

JSOG2026年版では、CQ313を**「巨大児(出生体重4,000g以上)が疑われる妊婦への対応」**としている。したがって日本での巨大児の基準は出生体重4,000g以上である。HFDは在胎週数に対する相対的な大きさなので、巨大児とは区別する。


問題182 肩甲難産

肩甲難産について正しいのはどれか。

1.巨大児にしか起こらない。
2.非巨大児でも起こり得る。
3.糖代謝異常とは関連しない。
4.出生体重が3,000g未満なら絶対に起こらない。

解説(正答2)

肩甲難産は巨大児でリスクが上昇するが、非巨大児でも発生する。 JSOG2026年版作成資料では、肩甲難産のおよそ半数は非巨大児で発生するとの報告も示されている。また、糖尿病合併妊娠・妊娠糖尿病では、巨大児でなくても肩甲難産リスクが上昇する。したがって胎児体重だけで完全に予測することはできない。


問題183 肩甲難産への対応

児頭娩出後、肩甲が娩出されず肩甲難産と判断した。

基本的な対応として適切なのはどれか。

1.McRoberts体位をとる。
2.母体を腹臥位のまま固定する。
3.児頭を強く牽引する。
4.子宮収縮薬を急速に増量する。

解説(正答1)

肩甲難産が発生した場合は、まず応援を要請し、基本手技としてMcRoberts体位をとらせる。両大腿を母体腹部へ強く屈曲させることで骨盤出口部の条件を改善し、肩甲娩出を図る。過度な児頭牽引は腕神経叢損傷などにつながるため避ける。


問題184 肩甲難産と恥骨結合上圧迫

肩甲難産でMcRoberts体位をとった。次に行う基本手技として適切なのはどれか。

1.恥骨結合上縁部を圧迫する。
2.子宮底を強く圧迫する。
3.臍帯を強く牽引する。
4.児頭を回転させながら強く引く。

解説(正答1)

肩甲難産の基本手技には、McRoberts体位とともに恥骨結合上縁部圧迫法がある。前在肩甲を斜め下方へ圧迫し、肩幅を小さくしながら娩出を図る。子宮底を強く圧迫する方法ではない。


問題185 巨大児と帝王切開

糖尿病のある妊婦で、胎児推定体重が4,600gである。

分娩方法について適切なのはどれか。

1.予防的帝王切開を考慮する。
2.必ず経腟分娩を行う。
3.胎児体重は分娩方法に影響しない。
4.吸引分娩を必ず行う。

解説(正答1)

JSOG2026年版資料では、超音波による胎児体重推定には誤差があることを前提としつつ、糖尿病のある女性では胎児推定体重4,500g以上、糖尿病のない女性では5,000g以上が疑われる場合、予防的帝王切開を考慮するとしている。絶対的な帝王切開適応ではなく「考慮」である点も重要である。


【癒着胎盤スペクトラム】

問題186 癒着胎盤スペクトラムのリスク

癒着胎盤スペクトラム〈PAS〉を強く疑う組合せはどれか。

1.帝王切開既往+前置胎盤
2.正常分娩既往+乳房緊満
3.初産婦+正常胎盤位置
4.母乳育児+産褥2日

解説(正答1)

JSOG2026年版CQ307では、帝王切開既往を有する妊婦に前置胎盤を認める場合にはPASを疑って精査するとしている。帝王切開回数が増えるほどPASリスクはさらに上昇する。スズキではARTを厚く勉強するため、「生殖医療→妊娠→胎盤異常」までつなげておく価値がある。


問題187 PASの分類

胎盤絨毛が子宮筋層内に侵入している状態はどれか。

1.Placenta accreta
2.Placenta increta
3.Placenta percreta
4.Placenta previa

解説(正答2)

PASでは侵入の深さによって分類される。胎盤絨毛が筋層に接しているものがaccreta、筋層内へ侵入するものがincreta、筋層を穿通して子宮漿膜へ達するものがpercretaである。


問題188 PASの管理

妊娠中に癒着胎盤スペクトラム〈PAS〉が強く疑われ、自施設では大量出血への十分な対応が困難である。

適切なのはどれか。

1.高次施設へ紹介する。
2.必ず自施設で自然分娩を待つ。
3.胎盤異常については産後まで評価しない。
4.外来フォローを中止する。

解説(正答1)

PASでは胎盤剝離が困難となり、剝離操作によって大量出血を起こす危険がある。JSOG2026年版では、自施設で精査や大量出血への対応、集学的治療が困難な場合には、対応可能な高次施設へ紹介して周産期管理を行うとしている。


【産科DIC・羊水塞栓症】

問題189 産科DIC

2024年改訂版産科DIC診断基準で、産科DICと診断する点数はどれか。

1.2点以上
2.4点以上
3.6点以上
4.8点以上

解説(正答4)

日本産科婦人科学会と日本産婦人科・新生児血液学会の「2024年改訂版産科DIC診断基準」では、基礎疾患・徴候、凝固系検査、線溶系検査を評価し、合計8点以上を産科DICと診断する。常位胎盤早期剝離、羊水塞栓症、非凝固性分娩後異常出血などは重要な基礎疾患・徴候である。


問題190 産科危機的出血

分娩後異常出血が持続している。単独でも「産科危機的出血」の宣言を考慮する検査値はどれか。

1.フィブリノゲン400mg/dL
2.フィブリノゲン300mg/dL
3.フィブリノゲン200mg/dL
4.フィブリノゲン150mg/dL未満

解説(正答4)

JSOG2026年版では、分娩後異常出血が持続し、フィブリノゲン150mg/dL未満を認めた場合には、それ単独でも産科危機的出血を宣言する基準の一つとしている。また産科DICスコア8点以上、SI≧1.5、非凝固性出血、乏尿や末梢冷感なども重要である。


問題191 羊水塞栓症

分娩中の妊婦が突然、呼吸困難となり、急激にSpO₂が低下してショック状態となった。

考慮すべき疾患はどれか。

1.羊水塞栓症
2.乳腺炎
3.妊娠悪阻
4.子宮内膜症

解説(正答1)

羊水塞栓症では、分娩中または分娩直後に突然、低酸素血症、循環虚脱・ショック、DICなどが短時間で出現することがある。JRC蘇生ガイドライン2025でも、心肺虚脱型羊水塞栓症を妊産婦蘇生の重要テーマとして独立して扱っている。


問題192 羊水塞栓症の初期対応

羊水塞栓症が疑われ、妊婦に呼吸困難とSpO₂低下を認める。

優先するのはどれか。

1.気道確保と酸素投与
2.経口水分摂取
3.歩行
4.乳房マッサージ

解説(正答1)

羊水塞栓症では動脈血酸素化障害、ショック、DICが急速に進行することがあるため、まず迅速な気道確保と酸素投与、循環管理を行う。必要に応じて心肺蘇生や大量輸血・凝固因子補充などへ直ちに移行する。


【会陰裂傷】

問題193 OASIS

産科的肛門括約筋損傷〈OASIS〉に該当する会陰裂傷はどれか。

1.第1度のみ
2.第2度のみ
3.第3度および第4度
4.すべての会陰裂傷

解説(正答3)

JSOGが2026年版ガイドラインへ追加した留意点では、**第3度・第4度会陰裂傷をOASIS〈Obstetric Anal Sphincter Injuries〉**として扱っている。便失禁、性交痛、骨盤臓器脱など長期的なQOLへの影響があるため、適切な診断・修復が重要である。


問題194 第4度会陰裂傷

第4度会陰裂傷で損傷が及ぶのはどれか。

1.会陰皮膚のみ
2.会陰筋まで
3.肛門括約筋まで
4.肛門上皮・直腸粘膜まで

解説(正答4)

第1度は腟粘膜・会陰皮膚、第2度は会陰筋まで、第3度は肛門括約筋まで損傷する。第4度ではさらに肛門上皮・直腸粘膜まで損傷が及ぶ。 第3度と第4度の区別は助産の基本として押さえておきたい。


問題195 OASISのリスク因子

産科的肛門括約筋損傷〈OASIS〉のリスク因子はどれか。

1.鉗子分娩
2.完全母乳栄養
3.母児同室
4.新生児黄疸

解説(正答1)

JSOG2026年版のOASIS留意点では、リスク因子として鉗子分娩、吸引分娩、会陰正中切開、初産婦、後方後頭位などを挙げている。とくに器械分娩はOASISとの関連が強く、分娩後には裂傷の程度を正確に評価する必要がある。


【新生児蘇生】

問題196 新生児蘇生・人工呼吸

出生直後の新生児に自発呼吸がなく、心拍数は80/分である。

行うのはどれか。

1.人工呼吸
2.胸骨圧迫のみ
3.ルーチンケアのみ
4.母乳栄養開始

解説(正答1)

JRC蘇生ガイドライン2025では、出生後に自発呼吸がない、または心拍数が100/分未満の場合には人工呼吸を開始する。新生児蘇生で最も重要なのは有効な換気であり、成人CPRの感覚で直ちに胸骨圧迫へ進まないことが重要である。


問題197 新生児の人工呼吸回数

新生児蘇生における人工呼吸の回数として適切なのはどれか。

1.10〜20回/分
2.20〜30回/分
3.40〜60回/分
4.100〜120回/分

解説(正答3)

JRC2025では、新生児蘇生時の人工呼吸は40〜60回/分とする。有効な換気が行われているか、胸郭の動きなどを確認しながら実施する。


問題198 人工呼吸後の再評価

新生児に有効な人工呼吸を開始した。

心拍数と呼吸を再評価する時期として適切なのはどれか。

1.約10秒後
2.約30秒後
3.5分後
4.30分後

解説(正答2)

JRC2025では、有効な人工呼吸を開始した後、おおむね30秒後に心拍数と呼吸を再評価する。 心拍数の改善が乏しい場合には、まず人工呼吸が本当に有効に行われているかを確認する。


問題199 新生児の胸骨圧迫

有効な人工呼吸を30秒以上行ったが、新生児の心拍数は50/分である。

次に行うのはどれか。

1.胸骨圧迫と人工呼吸
2.人工呼吸を中止する。
3.母児同室とする。
4.経口哺乳を開始する。

解説(正答1)

JRC2025では、有効な人工呼吸を30秒以上実施しても心拍数が60/分未満の場合に胸骨圧迫を開始する。ここでも「人工呼吸が適切に行えていること」を確認してから胸骨圧迫へ進む点が重要である。


問題200 新生児蘇生の胸骨圧迫

新生児蘇生で胸骨圧迫と人工呼吸を行う。

基本となる比率はどれか。

1.30:2
2.15:2
3.5:1
4.3:1

解説(正答4)

新生児蘇生では、窒息を原因とする心停止が多いため人工呼吸の重要性が成人より高い。JRC蘇生ガイドライン2025でも、胸骨圧迫と人工呼吸の基本比率として3:1が維持されている。つまり1分間では、おおむね胸骨圧迫90回と人工呼吸30回を組み合わせる。
問題201 妊娠高血圧症候群

妊娠34週。血圧168/112mmHg。妊婦は「今までにない強い頭痛があり、胃のあたりも痛い」と訴えている。

この妊婦で優先して評価するのはどれか。

1.血小板数と肝機能
2.乳房の緊満
3.基礎体温
4.児の歯牙萌出

解説(正答1)

重症域の高血圧に加えて、強い頭痛や心窩部・上腹部痛がある場合は、重症妊娠高血圧症候群やHELLP症候群、子癇などへの進行を考える。HELLP症候群では溶血、肝酵素上昇、血小板減少がみられるため、血小板数、AST・ALT、LDHなどを優先して確認する。 日本産科婦人科学会も、HELLPでは上腹部痛や嘔吐などの消化器症状がみられるとしている。


問題202 子癇

妊娠36週。妊娠高血圧症候群で入院中の妊婦が突然全身性けいれんを起こした。

最優先で行う対応はどれか。

1.母体の気道確保と全身状態の安定化
2.胎児の推定体重測定
3.経口で水分を摂取させる。
4.ただちに授乳指導を開始する。

解説(正答1)

子癇では胎児評価よりも、まず母体の安全確保、気道・呼吸・循環の評価と安定化を優先する。けいれん治療・再発予防には硫酸マグネシウムが用いられ、その後、母体安定化と並行して胎児状態や分娩方針を評価する。妊産婦の救急対応では「まず母体」が基本になる。


問題203 常位胎盤早期剝離

妊娠36週。突然強い下腹部痛が出現し、少量の性器出血を認める。腹部を触診すると子宮は持続的に硬く、胎児心拍数にも異常を認めた。

最も考えられるのはどれか。

1.前置胎盤
2.常位胎盤早期剝離
3.妊娠悪阻
4.頸管無力症

解説(正答2)

突然の腹痛、性器出血、子宮筋の過緊張・板状硬、胎児心拍異常は常位胎盤早期剝離を強く疑う所見である。性器出血量が少なくても、胎盤後方に血液が貯留している場合があるため、出血量だけで重症度を判断してはいけない。胎児心拍数モニタリング、超音波、凝固系を含む血液検査を速やかに行う。


問題204 前置胎盤

妊娠34週。これまで腹痛はなかったが、突然鮮血の性器出血を認めた。妊娠中期の超音波検査では胎盤が子宮口付近にあると説明されていた。

最も考えられるのはどれか。

1.前置胎盤からの警告出血
2.常位胎盤早期剝離
3.子宮破裂
4.妊娠悪阻

解説(正答1)

前置胎盤では妊娠後半に、**痛みを伴わない突然の性器出血〈警告出血〉**が出現することがある。常位胎盤早期剝離では腹痛や子宮収縮・板状硬を伴うことが多いため、症状の違いを区別することが重要である。前置胎盤では大量出血へ移行する可能性があるため、少量でも直ちに評価が必要になる。


問題205 前期破水と感染

妊娠31週。前期破水のため入院している。母体体温38.3℃、母体心拍数112/分、子宮に圧痛があり、胎児心拍数は175bpmである。

最も疑うのはどれか。

1.臨床的絨毛膜羊膜炎
2.妊娠糖尿病
3.前置胎盤
4.妊娠悪阻

解説(正答1)

前期破水後の母体発熱、母体頻脈、子宮圧痛、胎児頻脈は、臨床的絨毛膜羊膜炎を疑う重要な所見である。前期破水では単に「羊水が漏れたか」だけでなく、感染徴候と胎児健常性を継続して評価することが重要になる。日本産科婦人科学会2026年版関連資料でも、前期破水では臨床的絨毛膜羊膜炎の有無を確認することが管理の基本とされている。


問題206 早産期前期破水

妊娠30週。前期破水と診断された。発熱や子宮圧痛はなく、胎児心拍数も正常である。

管理として適切なのはどれか。

1.抗菌薬投与などを行いながら待機管理を検討する。
2.全例ただちに帝王切開する。
3.無治療で帰宅させる。
4.胎児評価を行わず37週まで待つ。

解説(正答1)

妊娠34週未満の前期破水で、感染や胎児機能不全など直ちに分娩すべき理由がなければ、未熟性を軽減するため抗菌薬、必要に応じた母体ステロイドなどを用いながら妊娠期間延長を図る待機管理が基本になる。感染徴候や胎児状態が変化すれば管理方針も変わるため、継続的なアセスメントが必要である。


問題207 妊娠悪阻

妊娠10週。2週間以上ほとんど食事が摂れず、繰り返し嘔吐している。ブドウ糖を含む輸液開始後、眼球運動障害、ふらつき、意識の混乱が出現した。

最も考えられるのはどれか。

1.Wernicke脳症
2.子癇
3.HELLP症候群
4.羊水塞栓症

解説(正答1)

長期間の摂食不良によるビタミンB1欠乏状態でブドウ糖負荷を行うと、B1消費がさらに進み、Wernicke脳症を発症することがある。代表的症状は眼球運動障害、失調性歩行、意識障害である。そのため妊娠悪阻でブドウ糖を含む輸液を行う場合は、ビタミンB1を補充する。


問題208 妊娠悪阻とDVT

妊娠12週。妊娠悪阻で1週間ほとんどベッド上で過ごしていた。右下腿に腫脹と疼痛を認め、左右差が明らかである。

最も優先して考えるのはどれか。

1.深部静脈血栓症〈DVT〉
2.妊娠糖尿病
3.乳腺炎
4.前置胎盤

解説(正答1)

妊娠そのものがVTEリスクを上昇させるうえ、妊娠悪阻では脱水と長時間の活動性低下が加わるためDVTのリスクがさらに高まる。片側性の下腿腫脹や疼痛があればDVTを疑い、速やかに評価する必要がある。妊娠悪阻では十分な飲水・補液によるVTE予防も重要である。


問題209 妊娠糖尿病と新生児

妊娠糖尿病の母親から出生した児。出生3時間後、吸啜が弱く、活気がなく、手足に振戦様の動きがみられる。

最優先で確認するのはどれか。

1.血糖値
2.視力
3.聴力
4.頭囲

解説(正答1)

糖代謝異常の母体から出生した児では、胎児期の高インスリン状態が出生後も残るため新生児低血糖を起こしやすい。哺乳不良、活気低下、振戦などがみられた場合には、まず血糖値を確認する。症状を単に「眠っているだけ」と判断してはいけない。


問題210 胎動減少

妊娠37週。妊婦から「昨日まではよく動いていたのに、今日は赤ちゃんの動きが明らかに少ない」と連絡があった。

対応として適切なのはどれか。

1.胎児健常性を評価する。
2.正期産なので正常と説明する。
3.1週間後の健診まで待つ。
4.胎動は妊娠後期には完全になくなると説明する。

解説(正答1)

胎動減少・消失は胎児低酸素、FGR、胎児死亡などに先行する場合があるため、「妊娠後期だから動かなくなる」と安易に判断してはいけない。 NST、超音波による胎児発育や羊水量、必要に応じて血流などを評価する。JSOG2026年版関連資料でも、胎動減少を主訴に受診した妊婦では胎児健常性評価を行うとしている。


問題211 FGR

妊娠32週。子宮底長が妊娠週数に比べて小さく、超音波検査でも胎児推定体重が小さい。妊婦は最近胎動も少なく感じている。

アセスメントとして適切なのはどれか。

1.胎児発育、羊水量、胎児健常性を総合的に評価する。
2.推定体重1回の値だけで直ちに帝王切開を決定する。
3.出生後まで評価しない。
4.母体の乳房だけを観察する。

解説(正答1)

FGRは単に「小さい胎児」というだけではない。JSOG2026年版では、胎児推定体重に加えて発育の経時的変化、腹囲、羊水量などを考慮して総合的に診断する。胎動減少を伴う場合は、さらに胎児健常性の評価が重要になる。


問題212 一絨毛膜双胎

妊娠20週の一絨毛膜二羊膜双胎。一児の羊水量が増加し、もう一児では著しく減少している。

最も疑うのはどれか。

1.双胎間輸血症候群〈TTTS〉
2.前置胎盤
3.妊娠悪阻
4.異所性妊娠

解説(正答1)

一絨毛膜双胎では胎盤内の血管吻合を介して血流不均衡が生じ、TTTSを発症することがある。典型的には一児で羊水過多、もう一児で羊水過少となる。JSOG2026年版では、一絨毛膜双胎は妊娠16週以降、少なくとも2週ごとの超音波検査で羊水量不均衡と胎児発育を評価することを推奨している。


問題213 異所性妊娠

妊娠6週。妊娠反応陽性。右下腹部痛と少量の性器出血があり、経腟超音波検査で子宮内に胎囊を確認できない。

優先して考慮するのはどれか。

1.異所性妊娠
2.前置胎盤
3.妊娠高血圧症候群
4.乳腺炎

解説(正答1)

妊娠反応陽性で、妊娠週数相当になっても子宮内胎囊を確認できず、腹痛や性器出血がある場合は異所性妊娠を必ず鑑別する。 異所性妊娠は破裂すると腹腔内出血から母体の生命に関わるため、正常妊娠や流産との鑑別を慎重に行う。JSOG2026年版関連資料も「異所性妊娠の鑑別は母体生命予後に関わるため特に重要」としている。


問題214 異所性妊娠破裂

妊娠7週。異所性妊娠疑いで経過観察中である。突然強い下腹部痛が出現し、顔面蒼白、血圧78/46mmHg、脈拍126/分となった。

最も優先すべき判断はどれか。

1.異所性妊娠破裂による腹腔内出血を疑う。
2.正常な妊娠初期症状と判断する。
3.妊娠悪阻と判断する。
4.乳房緊満と判断する。

解説(正答1)

異所性妊娠疑いの女性に、突然の腹痛と循環不全を示す低血圧・頻脈・顔面蒼白が出現した場合、卵管破裂などによる腹腔内出血を最優先で疑う。 これは「病名を当てる」だけでなく、母体ショックへ進む緊急事態として認識できるかを問う問題である。


問題215 胞状奇胎

妊娠10週。悪心・嘔吐が非常に強く、子宮は妊娠週数に比べて大きい。超音波検査で子宮内に多数の囊胞状所見を認めた。

最も考えられるのはどれか。

1.胞状奇胎
2.頸管無力症
3.前置胎盤
4.子宮復古不全

解説(正答1)

妊娠反応陽性で、超音波検査に多数の囊胞性・多囊胞性所見を認める場合には胞状奇胎を疑う。胞状奇胎ではhCGが高値となり、強い妊娠悪阻様症状を示すこともある。治療後もhCGを継続的に追跡する必要がある。


問題216 RhD陰性妊婦

妊娠28週。RhD陰性、抗RhD抗体陰性の妊婦である。

母体感作を予防するために行うのはどれか。

1.抗D免疫グロブリンを投与する。
2.オキシトシンを投与する。
3.硫酸マグネシウムを投与する。
4.インスリンを投与する。

解説(正答1)

抗RhD抗体陰性のRhD陰性妊婦では、胎児赤血球による母体感作を防ぐため、妊娠28週前後に抗D免疫グロブリンを投与する。さらにRhD陽性児を出産した場合は、原則として分娩後72時間以内にも投与する。


問題217 RhD陰性妊婦と羊水穿刺

妊娠18週。RhD陰性、抗RhD抗体陰性の妊婦が羊水穿刺を受けた。

処置後に検討するのはどれか。

1.抗D免疫グロブリン投与
2.母乳中止
3.子宮底マッサージ
4.オキシトシン持続投与

解説(正答1)

羊水穿刺などの侵襲的処置では、胎児赤血球が母体循環へ移行する可能性がある。RhD陰性・未感作の妊婦では、そのような感作リスクのある処置後に抗D免疫グロブリン投与を検討する。


問題218 妊娠中のVTE

妊娠32週。長距離移動後から左下腿の腫脹と疼痛が出現した。

アセスメントとして最も重要なのはどれか。

1.DVTを疑って速やかに評価する。
2.妊娠による正常な浮腫として経過を見る。
3.左右差があっても問題ないと説明する。
4.強く下腿をマッサージする。

解説(正答1)

妊娠中の浮腫は珍しくないが、片側性の下肢腫脹・疼痛はDVTを疑うべき所見である。妊娠そのものがVTEリスクであり、長時間移動、脱水、安静などが加わるとさらにリスクが上がる。単なる妊娠浮腫と決めつけないことが重要である。


問題219 肺血栓塞栓症

妊娠34週。左下肢DVTで治療中、突然胸痛と呼吸困難が出現し、SpO₂が88%まで低下した。

最も優先して疑うのはどれか。

1.肺血栓塞栓症〈PTE〉
2.乳腺炎
3.前置胎盤
4.妊娠糖尿病

解説(正答1)

DVTのある妊婦に突然の呼吸困難、胸痛、低酸素血症が出現した場合は、血栓が肺動脈へ移動したPTEを最優先で考える。これは母体生命に関わるため、迅速な呼吸循環評価と治療が必要になる。


問題220 切迫早産

妊娠30週。10分間隔の規則的な子宮収縮があり、内診で子宮頸管の変化も認める。1週間以内の分娩となる可能性が高い。

胎児の肺成熟を促すために投与を考慮するのはどれか。

1.ベタメタゾン
2.オキシトシン
3.メトトレキサート
4.ワルファリン

解説(正答1)

妊娠24週以降34週未満で、1週間以内の早産が予想される場合には母体への副腎皮質ステロイド投与を行い、胎児肺成熟を促す。日本ではベタメタゾンが用いられる。第三セットでは「何週なら何をするか」を症例から判断できるようにする。


問題221 早産と胎児脳保護

妊娠30週。早産が避けられない可能性が高く、数時間以内の分娩が予想されている。

胎児の脳保護を目的として母体への投与を考慮するのはどれか。

1.硫酸マグネシウム
2.インスリン
3.抗D免疫グロブリン
4.オキシトシン

解説(正答1)

妊娠32週未満など早い週数で早産が予想される場合、児の脳性麻痺リスク低減を目的として母体へ硫酸マグネシウムを投与することがある。子癇で使うMgSO₄と同じ薬剤だが、ここでは「胎児脳保護」という目的が異なる。


問題222 頸管無力症

妊娠21週。腹痛も規則的な子宮収縮もないが、健診で子宮口が開大し、胎胞が腟側へ突出している。

最も考えられるのはどれか。

1.頸管無力症
2.常位胎盤早期剝離
3.妊娠悪阻
4.前置胎盤

解説(正答1)

頸管無力症では、明らかな陣痛や性器出血を伴わずに子宮頸管が短縮・開大し、胎胞形成・突出が進行することがある。「痛くないから切迫早産ではない」と判断してはいけない典型的な事例である。


問題223 GBS陽性妊婦

妊娠39週。GBS培養陽性の妊婦が陣痛発来して入院した。

新生児早発型GBS感染症予防として適切なのはどれか。

1.分娩中に母体へ抗菌薬を静脈投与する。
2.全例帝王切開とする。
3.母乳育児を禁止する。
4.児が感染してから初めて母体を治療する。

解説(正答1)

GBS保菌妊婦では、新生児早発型GBS感染症を予防するため、分娩中にペニシリン系などの抗菌薬を静脈投与する。 GBS陽性だけを理由に帝王切開へ変更するわけではない。2026年版ではGBSスクリーニング時期も妊娠36〜37週へ整理されている。


問題224 性器ヘルペス

妊娠39週。陣痛発来して入院した妊婦の外陰部に、新鮮な性器ヘルペス病変を認める。

母子感染を防ぐために適切なのはどれか。

1.可能であれば帝王切開を行う。
2.吸引分娩で早く娩出する。
3.会陰切開を行えば経腟分娩できる。
4.分娩方法は感染リスクに関係しない。

解説(正答1)

分娩時に活動性の性器ヘルペス病変が存在する場合は、産道を通過する際の新生児感染を防ぐため、実施可能であれば帝王切開を行う。単に「感染症だから抗菌薬」という考えではなく、感染経路を考えて分娩方法を判断する必要がある。


問題225 妊娠41週

妊娠41週3日。陣痛はまだない。NSTは正常で、母体にも異常はない。

管理として適切なのはどれか。

1.胎児健常性を継続して評価しながら、分娩誘発を考慮する。
2.42週を超えても胎児評価は不要である。
3.必ずただちに緊急帝王切開を行う。
4.43週まで何もせず待つ。

解説(正答1)

妊娠41週以降は周産期リスクが徐々に上昇するため、胎児健常性をより頻回に評価しながら分娩誘発を考慮する。 41週だから即帝王切開ということではない。一方、42週0日以降では原則として分娩誘発を勧める方向になるため、「41週台」と「42週以降」の違いを区別する必要がある。
問題226 正常な胎児心拍数波形

妊娠39週。分娩第1期。胎児心拍数基線140bpm、基線細変動は正常、一過性頻脈を認め、一過性徐脈は認めない。

この胎児の状態について適切なのはどれか。

1.胎児健常性が保たれていると考える。
2.重度胎児機能不全と判断する。
3.直ちに緊急帝王切開を行う。
4.胎児心拍数の評価を中止する。

解説(正答1)

正常な基線、正常な基線細変動、一過性頻脈を認め、問題となる一過性徐脈がない場合には、胎児健常性が保たれている可能性が高い。CTGは一つの所見だけを見るのではなく、基線・基線細変動・一過性変化を組み合わせて評価する。JSOG2026年版でも、CTGによる胎児健常性評価はこれらを総合して行う。


問題227 遅発一過性徐脈

妊娠40週。分娩中、基線細変動が減少し、子宮収縮のたびに遅発一過性徐脈を繰り返している。

アセスメントとして適切なのはどれか。

1.胎児健常性が障害されている可能性を考える。
2.正常波形なので経過観察だけでよい。
3.児頭下降を示す正常所見である。
4.母体の乳汁分泌を示している。

解説(正答1)

基線細変動の減少・消失を伴う反復する遅発一過性徐脈は、胎児健常性が障害されている可能性がある重要なCTG所見である。持続する場合には監視強化、保存的処置、急速遂娩準備などを行い、分娩進行状況も含めて経腟分娩を継続できるか判断する。


問題228 破水直後の高度徐脈

妊娠39週。子宮口5cm。自然破水した直後、それまで140bpmであった胎児心拍数が突然70bpmとなった。

最初に考えるべき原因の一つはどれか。

1.臍帯脱出
2.乳腺炎
3.妊娠悪阻
4.新生児黄疸

解説(正答1)

正常であった胎児心拍数が突然高度徐脈となった場合には、臍帯圧迫・臍帯脱出、過強陣痛、子宮破裂、常位胎盤早期剝離、母体低血圧などを速やかに検索する。特に破水直後であれば、臍帯脱出は最優先で除外したい原因である。


問題229 臍帯脱出の確認

破水直後に胎児心拍数が70bpmとなった。内診すると臍帯を触知した。

児が娩出されるまで行う対応として適切なのはどれか。

1.胎児先進部を用手的に挙上する。
2.臍帯を強く牽引する。
3.産婦を歩行させる。
4.子宮収縮薬を増量する。

解説(正答1)

臍帯脱出では胎児先進部によって臍帯が圧迫され、胎児低酸素が急速に進行する可能性がある。そのため児娩出直前まで用手経腟的に胎児先進部を挙上し、臍帯への圧迫を軽減する。 同時に急速遂娩の準備を進める。


問題230 高度徐脈の持続

分娩中に突然胎児心拍数が60〜70bpmとなった。母体体位変換、子宮収縮薬中止、原因検索などを行ったが、胎児心拍数は回復しない。

次に行うのはどれか。

1.急速遂娩
2.翌日まで経過観察
3.歩行
4.食事摂取

解説(正答1)

突然の高度徐脈に対して原因検索と胎児蘇生を行っても胎児心拍数が回復しない場合には急速遂娩を行う。JSOG2026年版では明確に推奨Aとされている。


問題231 子宮頻収縮

オキシトシンによる陣痛促進中である。30分間の平均で、10分間に6回の子宮収縮を認めている。

この状態はどれか。

1.子宮頻収縮
2.微弱陣痛
3.正常な産褥子宮収縮
4.子宮復古不全

解説(正答1)

子宮頻収縮〈tachysystole〉は、分娩時の子宮収縮回数が10分間に5回を超える状態で、30分以上の区画の平均で評価する。胎児機能不全と関連する場合があるため、オキシトシン投与中なら減量または中止を検討する。


問題232 オキシトシンと重度胎児機能不全

オキシトシン投与中、CTGがレベル5相当の重度胎児機能不全となった。

オキシトシンへの対応として適切なのはどれか。

1.投与を中止する。
2.投与速度を2倍にする。
3.同量で継続する。
4.胎児心拍数が異常でも最大量まで増量する。

解説(正答1)

JSOG2026年版では、子宮収縮薬投与中にレベル5相当の重度胎児機能不全を認めた場合には投与を中止するとしている。レベル3〜4の場合も減量または中止を検討する。


問題233 異常に強い陣痛痛

オキシトシン投与中の産婦が、「さっきまでと違い、ずっとものすごく痛い」と訴えた。子宮収縮の間欠が不明瞭である。

対応として適切なのはどれか。

1.過強陣痛や子宮破裂などを念頭に状態を評価し、オキシトシンの減量・中止を検討する。
2.正常な陣痛なので必ず増量する。
3.痛みだけなら観察は不要である。
4.分娩後まで同量を継続する。

解説(正答1)

疼痛には個人差があるため痛みだけで過強陣痛とは診断できないが、異常に強い疼痛や持続する収縮が出現した場合には、過強陣痛、切迫子宮破裂・子宮破裂、胎盤早期剝離などを念頭に母体・胎児を総合評価する。子宮収縮薬の減量・中止も検討する。


問題234 TOLAC中の急変

帝王切開既往のある産婦がTOLAC中である。突然強い持続性腹痛を訴え、胎児心拍数が高度徐脈となり、母体血圧も低下した。

最も疑うのはどれか。

1.子宮破裂
2.正常な第2期陣痛
3.乳腺炎
4.妊娠悪阻

解説(正答1)

TOLAC中の突然の強い腹痛、胎児心拍異常、母体循環不全は子宮破裂を疑うべき緊急所見である。JSOGでも突然の高度徐脈の原因として子宮破裂を挙げ、母体の血圧低下や異常出血があれば母体救命の初期対応と急速遂娩を検討する。


問題235 人工破膜

微弱陣痛のため人工破膜による陣痛促進を検討している。

実施前に確認すべきなのはどれか。

1.児頭が固定していること。
2.乳汁分泌が開始していること。
3.産後の子宮復古が良好であること。
4.新生児黄疸がないこと。

解説(正答1)

人工破膜には臍帯脱出の危険があるため、JSOG2026年版では児頭固定を確認した後に行うとしている。分娩進行を促す処置でも、まず合併症を起こさない条件を確認することが重要である。


問題236 肩甲難産

児頭は娩出したが、肩甲が娩出されない。

まず行う基本的な対応はどれか。

1.応援を要請しMcRoberts体位をとる。
2.児頭を強く牽引する。
3.子宮底を強く圧迫する。
4.産婦を一人にする。

解説(正答1)

肩甲難産ではまず応援を確保し、新生児蘇生や外傷にも備える。そのうえで基本手技としてMcRoberts体位を行う。児頭を強く牽引すると上腕神経叢損傷などの危険がある。JSOGの公式資料でもMcRoberts体位が基本手技として示されている。


問題237 肩甲難産の追加手技

McRoberts体位をとったが肩甲が娩出されない。

次に行う基本手技はどれか。

1.恥骨結合上縁部圧迫
2.子宮底圧迫
3.臍帯牽引
4.オキシトシン急速増量

解説(正答1)

肩甲難産ではMcRoberts体位とともに恥骨結合上縁部圧迫法を行う。前在肩甲を斜め下方へ圧迫して肩幅を小さくし、娩出を促す。子宮底を強く圧迫する方法ではない。


問題238 吸引分娩の中止判断

吸引分娩を開始した。吸引カップ装着後20分を経過し、牽引は5回行ったが児は娩出されない。

対応として適切なのはどれか。

1.鉗子分娩または帝王切開へ移行する。
2.さらに30分吸引を続ける。
3.牽引回数に制限はない。
4.翌日まで待つ。

解説(正答1)

JSOG2026年版では、吸引娩出術で総牽引時間20分、または滑脱を含む総牽引回数5回を超えても娩出しない場合には、鉗子娩出術または帝王切開術へ移行するとしている。


問題239 吸引分娩後の新生児

吸引分娩で出生した新生児。数時間後、頭部に縫合線を越えて広がる柔らかい腫脹があり、顔色不良と頻脈を認めた。

最も疑うのはどれか。

1.帽状腱膜下血腫
2.生理的黄疸
3.乳児湿疹
4.臍ヘルニア

解説(正答1)

吸引分娩後に、縫合線を越えて広がる頭皮の波動性腫脹と循環不全徴候を認めた場合は帽状腱膜下血腫を強く疑う。大量出血が可能なスペースであり、ショックにつながるため、頭囲・腫脹・皮膚色・心拍・血圧などを慎重に観察する。吸引・鉗子分娩後の新生児外傷の評価は、JSOGの専門研修到達目標でも重要な分娩管理項目に位置づけられている。


問題240 分娩後出血と子宮収縮

経腟分娩後、性器出血が急に増加した。子宮底を触診すると大きく軟らかい。

まず疑うのはどれか。

1.子宮収縮不良による弛緩出血
2.頸管無力症
3.妊娠悪阻
4.異所性妊娠

解説(正答1)

分娩後異常出血では、まず出血原因を系統的に検索する。大きく軟らかい子宮+大量出血であれば、子宮収縮不良による弛緩出血を考える。分娩後異常出血は母体救命に直結するため、子宮の収縮状態、産道損傷、胎盤遺残、凝固異常などを同時に評価する。


問題241 分娩後出血と産道損傷

分娩後、鮮血の出血が持続している。しかし子宮は硬く良好に収縮している。

優先して考えるのはどれか。

1.産道裂傷
2.子宮収縮不良だけ
3.妊娠悪阻
4.子宮頸管無力症

解説(正答1)

出血が続いていても子宮が十分硬く収縮している場合には、頸管・腟・会陰などの産道損傷を疑って診察する。分娩後出血は「出血=弛緩出血」と決めつけず、子宮収縮、胎盤遺残、裂傷、凝固異常などを網羅的に評価する必要がある。


問題242 産科危機的出血

分娩後出血が持続している。血圧80/50mmHg、脈拍126/分である。

Shock Index〈SI〉は約1.6である。

判断として適切なのはどれか。

1.産科危機的出血を宣言する基準の一つを満たす。
2.正常範囲である。
3.SIは産科出血では使用しない。
4.出血量だけを見ればよい。

解説(正答1)

Shock Indexは心拍数÷収縮期血圧で計算する。この症例では126÷80≒1.58である。JSOG2026年版では、分娩後異常出血が持続しSI≧1.5の場合、産科危機的出血を宣言する基準の一つとしている。


問題243 産科危機的出血とフィブリノゲン

分娩後異常出血が持続している。血中フィブリノゲンは120mg/dLであった。

判断として適切なのはどれか。

1.単独でも産科危機的出血宣言を考慮する。
2.正常なので問題ない。
3.500mg/dL未満ならすべて同じ重症度である。
4.フィブリノゲンは評価しない。

解説(正答1)

JSOG2026年版では、フィブリノゲン150mg/dL未満は、それ単独でも産科危機的出血を宣言する基準の一つである。出血量だけでなく、SI、バイタルサイン、尿量、凝固状態などを継続して評価する。


問題244 大量出血とトラネキサム酸

分娩後の大量出血が始まって1時間である。止血処置と輸血準備を進めている。

薬剤として投与を考慮するのはどれか。

1.トラネキサム酸
2.インスリン
3.抗D免疫グロブリン
4.プロラクチン

解説(正答1)

産科大量出血では止血処置・輸血・凝固因子補充などと並行して、大量出血発症後3時間以内のトラネキサム酸1g投与が推奨されている。時間依存性があるため、「出血が長時間続いてから考える」薬ではない。


問題245 産科危機的出血の観察

大量出血が続く産婦を管理している。

継続して評価する項目として最も適切なのはどれか。

1.意識、血圧、心拍、SpO₂、呼吸数、尿量
2.身長のみ
3.利き手のみ
4.妊娠前の基礎体温のみ

解説(正答1)

産科危機的出血では、意識レベル、血圧、心拍数、SpO₂、呼吸数、出血量、尿量、凝固状態を継続的に評価する。血液検査では血算、フィブリノゲン、PT、APTT、FDP/Dダイマーなども確認する。


問題246 羊水塞栓症

分娩直後、産婦が突然呼吸困難を訴え、SpO₂が急低下した。続いて血圧が低下し、出血部位から非凝固性出血がみられた。

最も疑うのはどれか。

1.羊水塞栓症
2.妊娠悪阻
3.乳腺炎
4.頸管無力症

解説(正答1)

分娩中・分娩直後に突然の低酸素血症、循環虚脱、DIC・非凝固性出血が出現した場合には羊水塞栓症を考える。羊水塞栓症はJSOGの最新専門研修到達目標でも、診断・病態・治療を理解すべき産科救急疾患として位置づけられている。


問題247 羊水塞栓症の優先順位

羊水塞栓症が疑われ、産婦のSpO₂が80%、血圧70/40mmHgである。

最優先するのはどれか。

1.母体の呼吸・循環の蘇生
2.授乳指導
3.新生児健診予約
4.歩行練習

解説(正答1)

羊水塞栓症では母体が急速に呼吸循環不全へ陥るため、気道・呼吸・循環を最優先して蘇生する。同時に大量出血・DICへの治療や専門チームの招集を進める。JRC2025でも羊水塞栓症に対する蘇生介入が妊産婦蘇生の重要テーマとなっている。


問題248 分娩後出血と胎盤遺残

児娩出後、胎盤の一部が欠損していることが確認された。性器出血が持続し、子宮収縮も不良である。

優先して疑うのはどれか。

1.胎盤遺残
2.新生児黄疸
3.妊娠悪阻
4.頸管無力症

解説(正答1)

分娩後出血では胎盤遺残も重要な原因である。胎盤娩出後には胎盤・卵膜が完全であるか確認し、欠損があれば子宮内遺残を考える。胎盤遺残は子宮収縮不良や持続出血の原因となり、必要に応じて胎盤用手剝離などの処置が検討される。JSOGの最新専門研修到達目標でも、分娩後異常出血の原因検索と胎盤用手剝離は重要技能として位置づけられている。


問題249 前置胎盤+帝王切開既往

帝王切開既往2回の妊婦。今回の妊娠では前置胎盤であり、超音波検査で胎盤と子宮筋層の境界が不明瞭である。

最も警戒するのはどれか。

1.癒着胎盤スペクトラム〈PAS〉
2.妊娠悪阻
3.乳腺炎
4.頸管無力症

解説(正答1)

帝王切開既往+前置胎盤はPASの非常に重要なリスク組合せである。JSOG2026年版関連資料でも、帝王切開既往があり前置胎盤を認める場合にはPASを疑って精査するよう求めている。PASでは分娩時に大量出血へ至る可能性があるため、高次施設での計画的管理が重要になる。


問題250 分娩中の母体急変と胎児心拍

分娩中、それまで正常だった胎児心拍数が突然高度徐脈となった。同時に産婦の意識レベル低下と血圧低下を認めた。

最も優先する対応はどれか。

1.母体の救命処置を開始しながら胎児の急速遂娩を準備する。
2.胎児だけを観察し母体評価は行わない。
3.1時間経過観察する。
4.産婦を歩行させる。

解説(正答1)

胎児心拍異常は、母体の出血・ショック・心停止などの急変を最初に示すこともある。 母体の意識障害、血圧低下、異常出血を認めた場合には母体救命の初期対応を直ちに行い、同時に胎児蘇生と急速遂娩を準備する。第三セットで最も重要な考え方の一つは、胎児モニターを見ながらも「母体を見落とさない」ことである。
問題251 産褥子宮内膜炎

産褥3日。褥婦は悪寒を訴え、体温38.8℃、呼吸数25/分である。子宮に圧痛があり、子宮底は臍高でやや軟らかい。超音波検査では子宮内に悪露の貯留を認める。

最も考えられるのはどれか。

1.乳腺炎
2.子宮内膜炎
3.生理的な子宮復古
4.妊娠高血圧症候群

解説(正答2)

産褥期の発熱に加えて、子宮圧痛、子宮復古不良、悪露貯留を認める場合には子宮内膜炎を考える。厚生労働省が公開している助産師国家試験でも、ほぼ同じ所見から「子宮内膜炎」を判断させている。乳房が緊満していても、乳房痛・局所発赤などが乏しければ「発熱=乳腺炎」と決めつけず、子宮所見を含めてアセスメントする必要がある。


問題252 子宮復古不全

産褥5日。子宮底が産褥日数に比べて高い位置にあり、子宮は軟らかい。赤色悪露が多く持続している。

アセスメントとして適切なのはどれか。

1.正常な子宮復古である。
2.子宮復古不全を疑う。
3.正常な乳汁生成Ⅱ期である。
4.産後の正常な血圧変化である。

解説(正答2)

産褥経過と比較して子宮が大きく軟らかく、赤色悪露が多く持続する場合には子宮復古不全を疑う。背景として胎盤・卵膜遺残、悪露の子宮内貯留、感染などを評価する必要がある。産褥では単に子宮底の「高さ」だけではなく、硬さ、悪露量・性状、圧痛、発熱を組み合わせて判断する。


問題253 産褥期のDVT

帝王切開後3日。褥婦が「左ふくらはぎが痛い」と訴えている。左下腿だけが腫脹し、右側との左右差を認める。

最も優先して考えるのはどれか。

1.深部静脈血栓症〈DVT〉
2.正常な産褥浮腫
3.乳腺炎
4.子宮復古不全

解説(正答1)

妊娠・産褥期はVTEのリスクが高く、帝王切開や安静もリスクを増加させる。片側性の下肢腫脹と疼痛を認めた場合には、正常な浮腫と決めつけずDVTを疑う。日本産科婦人科学会2026年版では、妊娠中だけでなく「分娩後のVTE予防」「妊娠・産褥期にDVT/PTEを疑った場合」が独立したCQとして扱われている。


問題254 産褥期の肺血栓塞栓症

帝王切開後4日。DVTが疑われていた褥婦が突然、胸痛と呼吸困難を訴え、SpO₂が87%まで低下した。

最も疑うのはどれか。

1.肺血栓塞栓症〈PTE〉
2.乳房緊満
3.子宮内膜炎
4.生理的産褥変化

解説(正答1)

DVTが疑われる産褥婦に、突然の呼吸困難、胸痛、低酸素血症が出現した場合にはPTEを最優先で考える。 産褥期のVTEは母体生命に関わるため、呼吸・循環状態を直ちに評価し、速やかな診断・治療へつなげる。


問題255 EPDS

産後2週。褥婦にEPDSを実施したところ11点であった。「育児がつらく、自信がない」と話している。

対応として適切なのはどれか。

1.11点なので産後うつ病と確定診断する。
2.支援が必要な可能性を考え、詳しい評価と支援につなげる。
3.30点未満なので問題ない。
4.産後1年までは経過を見る。

解説(正答2)

日本ではEPDS9点以上が「産後うつの可能性が高い」「要支援」と判断する一つの目安として用いられる。ただしEPDSはスクリーニングであり、点数だけで産後うつ病を確定診断するものではない。11点であれば、生活状況、睡眠、育児負担、家族支援などをさらに評価し、必要な支援へつなげる。


問題256 産後の自傷リスク

産後3週。褥婦が「自分なんていない方がいいと思うことがある」と話した。

最も優先するのはどれか。

1.自傷・自殺念慮の具体性と安全性を直ちに評価する。
2.母乳量を測定する。
3.1か月健診まで様子を見る。
4.「産後は皆そう思う」と説明する。

解説(正答1)

自傷を示唆する発言がある場合には、単なる育児疲労として処理せず、本人の安全を最優先して自殺念慮・計画の有無などを評価し、必要な医療・地域支援へ速やかにつなぐ。 EPDSも点数だけを見るのではなく、個々の回答内容を含めた評価が必要である。厚労省も周産期メンタルヘルスでは、多職種・地域連携によって重症化や自殺等を予防することを重視している。


【母乳・乳房アセスメント】

問題257 乳房緊満

産褥3日。両側乳房が全体的に張り、硬さと熱感がある。体温37.2℃。乳房に限局した強い発赤はない。

最も考えられるのはどれか。

1.乳房緊満
2.乳腺膿瘍
3.子宮内膜炎
4.DVT

解説(正答1)

乳房緊満は乳汁生成Ⅱ期にあたる産後2〜6日頃に起こりやすく、乳腺組織の充血や間質性浮腫によって両側乳房の張り・疼痛・硬さなどを生じる。適切な授乳が進めば軽快していく。局所的な発赤、高熱、全身症を伴う乳腺炎とは区別する。


問題258 乳房緊満への援助

産褥3日。乳房緊満が強く、乳輪も硬いため児がうまく吸着できない。

授乳前の援助として適切なのはどれか。

1.乳輪が軟らかくなる程度に搾乳してから授乳する。
2.授乳を数日間完全に中止する。
3.乳房を強く押しつぶす。
4.乳汁を出さないよう水分摂取を禁止する。

解説(正答1)

乳輪まで強く緊満していると、児が深く吸着できない場合がある。その場合は授乳前に少量搾乳して乳輪を軟らかくし、吸着しやすくする。直接授乳が成功しない場合には搾乳によって乳汁を除去することもJSOG2026年版資料で示されている。


問題259 乳頭痛と吸着

授乳のたびに乳頭が強く痛む。観察すると、児は乳頭の先端だけを浅くくわえている。

最初に行う援助はどれか。

1.児のポジショニングと吸着を修正する。
2.母乳育児を中止する。
3.児へ水を与える。
4.授乳時間を必ず1分以内にする。

解説(正答1)

乳頭痛の重要な原因の一つが不適切なポジショニング・浅い吸着である。良好な吸着では、児の口が大きく開き、下唇が外反し、顎が乳房に触れ、深くゆっくり吸啜する。 WHOも乳頭痛がある場合にはまずpositionとattachmentを修正するよう示している。


問題260 良好な吸着

授乳場面を観察している。

児が乳房へ良好に吸着している所見はどれか。

1.口が大きく開き、下唇が外側へ向き、顎が乳房に触れている。
2.口をほとんど開けず乳頭だけをくわえている。
3.下唇が内側へ巻き込まれている。
4.顎が乳房から大きく離れている。

解説(正答1)

WHOが示す良好なattachmentでは、口が大きく開く、下唇が外反する、顎が乳房に触れる、乳輪は下側より上側が多く見えるなどの特徴がある。問題259と組み合わせ、「乳頭痛→吸着を見る→どこを直すか」まで理解しておきたい。


問題261 乳腺炎

産褥10日。右乳房の一部にくさび状の発赤、熱感、圧痛があり、体温38.7℃。悪寒と全身倦怠感を伴っている。

最も考えられるのはどれか。

1.乳腺炎
2.正常な乳房緊満
3.子宮復古不全
4.産後の正常発熱

解説(正答1)

JSOG2026年版資料では、乳腺炎は圧痛、熱感、腫脹を伴うくさび形の乳房病変に、38.5℃以上の発熱、悪寒、インフルエンザ様症状などを伴うものとして説明されている。両側乳房全体が張る乳房緊満とは所見が異なる。


問題262 乳腺炎と授乳

乳腺炎を認める授乳婦。「母乳を止めないといけませんか」と尋ねた。

対応として適切なのはどれか。

1.乳汁排出を保つため、状態に応じて授乳・搾乳を継続する。
2.乳腺炎では全例直ちに授乳を永久中止する。
3.乳房を刺激しないよう乳汁を完全に貯留させる。
4.水分摂取を禁止する。

解説(正答1)

乳汁のうっ滞は乳腺炎を悪化させる要因になるため、一般的には適切な授乳・搾乳によって乳汁排出を維持する。 JSOGは、薬剤を投与されたからといって本来不要な授乳中断をすると、乳汁うっ滞から乳腺炎につながる可能性があるとも注意している。


問題263 乳腺膿瘍

乳腺炎に対する治療を行っているが、限局した有痛性腫瘤が増大した。超音波検査で膿瘍形成を認めた。

必要となる対応はどれか。

1.穿刺または切開などによる排膿を検討する。
2.何もせず1か月待つ。
3.子宮底マッサージを行う。
4.抗D免疫グロブリンを投与する。

解説(正答1)

乳腺炎が進行して膿瘍を形成した場合には、抗菌薬だけでは不十分なことがあり、穿刺吸引や切開による排膿が必要となる。乳房緊満→乳腺炎→乳腺膿瘍という重症化の流れを区別しておきたい。


問題264 不快性射乳反射〈D-MER〉

授乳婦が「母乳が出始める瞬間だけ、急に強い不安感と嫌な気持ちになる。数分すると消える」と話している。

対応として適切なのはどれか。

1.D-MERの可能性も考え、訴えを傾聴して授乳方法や継続について相談する。
2.必ず産後うつ病と診断する。
3.育児を拒否していると判断する。
4.本人の訴えを無視する。

解説(正答1)

JSOG2026年版資料では、射乳時のホルモン変化に伴って一過性の不快感を生じる**Dysphoric Milk Ejection Reflex〈D-MER〉**を取り上げている。疑われる場合には訴えを傾聴し、授乳方法や授乳継続について相談する。産後うつ病と同じものと決めつけないことが重要である。


【新生児アセスメント】

問題265 新生児低体温

出生2時間後。正期産児の腋窩温が35.4℃で、手足が冷たい。

優先して行うのはどれか。

1.保温し、全身状態を評価する。
2.裸のまま経過観察する。
3.冷水浴を行う。
4.母児分離を必ず24時間行う。

解説(正答1)

WHOは新生児の正常体温をおおむね**36.5〜37.5℃**としており、低体温では保温と原因・全身状態の評価が必要になる。skin-to-skin contactは保温にも有効である。新生児では低体温自体が感染症や低血糖などの徴候になることもあるため、「温めれば終わり」ではなく哺乳・活動性・呼吸なども確認する。


問題266 新生児の呼吸障害

生後1時間。呼吸数72/分で、呻吟と陥没呼吸を認める。

アセスメントとして適切なのはどれか。

1.呼吸障害を疑い、SpO₂を含めて速やかに評価する。
2.正常な新生児呼吸なので観察不要である。
3.授乳量だけを増やす。
4.生後24時間までは多呼吸を評価しない。

解説(正答1)

新生児で多呼吸、呻吟、陥没呼吸、チアノーゼなどを認める場合には呼吸障害を疑う。呼吸状態、SpO₂、皮膚色、心拍数などを速やかに評価し、必要な治療へつなげる。WHOも「呼吸困難」は新生児の重要なdanger signとしている。


問題267 生後24時間以内の黄疸

生後18時間。母親が「赤ちゃんの顔が黄色く見える」と話した。眼球結膜にも黄染を認める。

対応として適切なのはどれか。

1.生後24時間以内の黄疸として原因検索を行う。
2.典型的な生理的黄疸なので検査しない。
3.生後1週間まで放置する。
4.必ず母乳を中止する。

解説(正答1)

生後24時間以内に出現する黄疸は生理的黄疸とはみなさず、病的黄疸を疑って評価する。 厚生労働省公開の助産師国家試験でも、生理的黄疸について「生後24時間以内に出現する」は誤りとされている。また厚労省の助産業務関連資料でも、生後24時間以内の黄疸は異常所見として扱われている。


問題268 黄疸と全身状態

生後3日。黄疸が強く、児は眠りがちで哺乳力も低下している。

優先するのはどれか。

1.ビリルビン値と児の全身状態を評価する。
2.生理的黄疸なので観察を中止する。
3.水だけを飲ませる。
4.授乳を全面的に禁止する。

解説(正答1)

黄疸の評価では皮膚の色だけでなく、哺乳力、活動性、体重減少、水分状態、便色などを合わせて確認する。黄疸が強い、または児の状態が悪い場合にはビリルビンを測定し、治療適応を判断する。黄疸児に対して母乳を一律に中止するものではない。


問題269 新生児の体重減少

生後3日。出生体重3,000gの児が2,660gになった。授乳後も泣き続け、尿量も少ない。

アセスメントとして適切なのはどれか。

1.体重減少率と授乳状況・脱水徴候を詳しく評価する。
2.どの程度減少しても正常なので評価不要である。
3.出生体重より軽いのはすべて異常である。
4.直ちに離乳食を開始する。

解説(正答1)

3,000gから2,660gでは約11%の体重減少になる。出生後には生理的体重減少があるものの、減少が大きい場合には哺乳不足や脱水などを評価する必要がある。WHOの母乳育児教材でも、出生体重から7〜10%を超える体重減少や脱水徴候の有無を確認することが示されている。


問題270 新生児低血糖

生後4時間。児は活気が乏しく、吸啜が弱い。手足に細かな振戦を認める。

最初に確認するのはどれか。

1.血糖値
2.視力
3.聴力
4.乳歯の数

解説(正答1)

新生児低血糖では、哺乳不良、活気低下、振戦、けいれん、無呼吸などを認めることがある。こうした所見があれば速やかに血糖を評価する。厚労省の助産業務関連資料でも、けいれん・けいれん様運動では呼吸・SpO₂とともに血糖値を確認するとしている。


問題271 母児分離と搾乳

早産児がNICUに入院し、母親は直接授乳できない。「母乳が出なくなりそうで心配です」と話している。

援助として適切なのはどれか。

1.搾乳方法を指導し、乳汁分泌を維持できるよう支援する。
2.児が退院するまで乳房刺激を禁止する。
3.母乳はすべて廃棄する。
4.直接授乳できないなら母乳育児は不可能と説明する。

解説(正答1)

WHOは、母児が一時的に分離した場合には、母親が搾乳できるよう具体的に支援し、乳汁分泌を維持することを推奨している。NICU児では母親自身の母乳が重要な栄養源となるため、早期からの搾乳支援が大切である。


問題272 ビタミンK欠乏性出血症

出生後の児にビタミンK₂シロップを投与する主な目的はどれか。

1.新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症を予防する。
2.新生児黄疸を必ず予防する。
3.新生児低血糖を予防する。
4.RSウイルス感染を予防する。

解説(正答1)

新生児はビタミンKが不足しやすく、凝固因子産生が不十分となることで重篤な出血を起こすことがある。国内で承認されているK₂シロップは、新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症の予防を効能としている。厚生労働省の医薬品情報でもこの効能が明記されている。


問題273 新生児聴覚検査とCMV

生後2日の新生児聴覚スクリーニングでリファー〈要再検〉となった。

先天性サイトメガロウイルス感染症の評価として重要なのはどれか。

1.生後3週間以内に新生児尿のCMV核酸検査を検討する。
2.1歳になってから尿検査をする。
3.CMV検査は不要である。
4.母体のBishopスコアを測定する。

解説(正答1)

先天性CMV感染は先天性難聴の重要な原因である。出生後のCMV感染と区別するため、生後3週間以内の新生児尿を用いて核酸検査を行うことが重要である。JSOG2026年版では、新生児聴覚スクリーニングで正常が確認できない場合にもこの検査を行うことを推奨している。


問題274 新生児聴覚検査

生後3日の新生児聴覚検査でリファーとなった。母親が「難聴が確定したということですか」と尋ねた。

説明として適切なのはどれか。

1.確定診断ではなく、原則として確認検査や必要に応じた精密検査へつなげる。
2.リファーなら必ず重度難聴である。
3.再検査は必要ない。
4.成人になるまで経過観察する。

解説(正答1)

リファーは「要再検」であり、難聴の確定診断ではない。厚生労働省は、初回検査をおおむね生後3日以内、リファーならおおむね生後1週間以内に確認検査、精密検査は遅くとも生後3か月頃までを目安としている。家族へ不必要な不安を与えない説明も重要である。


問題275 出生直後の新生児

出生直後。正期産児だが啼泣が弱く、無呼吸となり、心拍数は80/分である。

最も優先して行うのはどれか。

1.有効な人工呼吸を開始する。
2.母乳を飲ませる。
3.ただちに胸骨圧迫だけを開始する。
4.母児同室として経過観察する。

解説(正答1)

新生児蘇生では換気が非常に重要である。出生後に自発呼吸がなく、心拍数が100/分未満であれば、保温・気道確保などの初期処置に続き有効な人工呼吸を開始する。 胸骨圧迫は、有効な人工呼吸を行っても心拍数が60/分未満の場合に進む。JRC蘇生ガイドライン2025でも新生児蘇生〈NCPR〉が独立した章として最新化されている。
問題276 HELLP症候群

妊娠35週。血圧170/112mmHg。妊婦は強い心窩部痛と悪心を訴えている。血液検査では血小板7.8万/μL、AST 165U/L、ALT 142U/L、LDH高値を認めた。

最も考えられるのはどれか。

1.HELLP症候群
2.妊娠糖尿病
3.妊娠悪阻
4.前置胎盤

解説(正答1)

重症高血圧に加え、心窩部痛、血小板減少、肝酵素上昇、LDH上昇を認めるため、HELLP症候群を強く疑う。HELLPはHemolysis〈溶血〉、Elevated Liver enzymes〈肝酵素上昇〉、Low Platelets〈血小板減少〉を特徴とする。疑った場合は血算、凝固系、AST・ALT・LDH、腎機能などを評価し、母体の安定化と娩出時期を検討する。


問題277 子癇発作

問題276の妊婦が突然全身性けいれんを起こした。

最も優先する対応はどれか。

1.気道・呼吸・循環を安定させ、硫酸マグネシウム投与を行う。
2.胎児推定体重を測定する。
3.経口で降圧薬を飲ませる。
4.直ちに歩行させる。

解説(正答1)

子癇では、まず母体の安全確保、気道・呼吸・循環の安定化を優先し、けいれんの治療・再発予防として硫酸マグネシウムを使用する。胎児評価や早期娩出は重要だが、母体状態を安定させたうえで進める。JSOG2026年版作成資料でも「母体状態の安定化後に胎児健常性を評価し早期娩出を図る」としている。


問題278 早産期前期破水

妊娠30週。前期破水で入院した。体温36.7℃、子宮圧痛なし、胎児心拍数正常である。規則的な子宮収縮があり、1週間以内の早産が予想されている。

適切な管理はどれか。

1.抗菌薬を投与し、ベタメタゾン投与などを行いながら管理する。
2.感染がないため無治療で帰宅させる。
3.全例直ちに帝王切開する。
4.胎児評価は行わない。

解説(正答1)

妊娠24週以降34週未満の前期破水で、臨床的絨毛膜羊膜炎がなく胎児健常性が保たれていれば、原則として抗菌薬投与下で待機管理する。また1週間以内の早産が予想される場合は、胎児肺成熟などを目的としてベタメタゾンを投与する。32週未満で早産が予想される場合には胎児脳保護を目的とするMgSO₄も考慮される。


問題279 前期破水と絨毛膜羊膜炎

妊娠31週。前期破水で待機管理中である。体温38.5℃、母体心拍数118/分、子宮圧痛あり、胎児心拍数175bpmとなった。

適切なのはどれか。

1.感染を疑い、分娩を含めた管理へ切り替える。
2.胎児心拍数が速いだけなので待機を続ける。
3.抗菌薬を中止する。
4.37週まで必ず妊娠を継続する。

解説(正答1)

発熱、母体頻脈、子宮圧痛、胎児頻脈は臨床的絨毛膜羊膜炎を疑う重要な所見である。JSOG2026年版作成資料では、臨床的絨毛膜羊膜炎と診断した場合には、感染増悪と分娩進行を考慮し、分娩誘発または帝王切開による妊娠終結を検討するとしている。


問題280 FGRと胎動減少

妊娠33週。胎児推定体重は基準値より明らかに小さく、羊水量も減少している。妊婦は「昨日から胎動が少ない」と訴えている。

最も優先するのはどれか。

1.胎児健常性を速やかに評価する。
2.出生まで経過観察のみとする。
3.体重測定だけを1か月後に行う。
4.母体の乳房を観察する。

解説(正答1)

FGRは推定体重だけでなく、胎児発育の経時的変化、腹囲、羊水量などを総合的に評価する。さらに胎動減少が加わっているため、NSTなどによる胎児健常性評価を優先する必要がある。「小さいが元気な胎児」なのか、胎盤機能不全により状態が悪化しているのかを区別することが重要である。


問題281 前置胎盤とPAS

妊娠35週。帝王切開既往が2回あり、今回前置胎盤と診断されている。超音波検査では胎盤と子宮筋層との境界が不明瞭である。

最も警戒するのはどれか。

1.癒着胎盤スペクトラム〈PAS〉
2.妊娠悪阻
3.頸管無力症
4.乳腺炎

解説(正答1)

帝王切開既往と前置胎盤の組合せはPASの強いリスク因子である。JSOG2026年版作成資料では、帝王切開既往があり前置胎盤が疑われる場合にはPASを疑って精査するとしている。PASでは分娩時の大量出血を想定し、対応可能な施設で計画的に管理する。


問題282 常位胎盤早期剝離とDIC

妊娠37週。突然の腹痛、性器出血、子宮板状硬を認めた。胎児心拍数は高度徐脈である。血液検査でフィブリノゲン110mg/dLであった。

対応として最も適切なのはどれか。

1.常位胎盤早期剝離と産科危機的出血を念頭に緊急対応する。
2.少量出血なので帰宅させる。
3.乳房マッサージを行う。
4.翌日再診とする。

解説(正答1)

症状から常位胎盤早期剝離が強く疑われ、さらにフィブリノゲン110mg/dLは重度の凝固障害を示す。JSOG2026年版では、分娩後異常出血が持続する状況でフィブリノゲン150mg/dL未満は産科危機的出血を宣言する基準の一つとされる。早剝ではDICが急速に進行するため、胎児の急速遂娩と母体の出血・凝固管理を並行して進める。


問題283 オキシトシンと胎児機能不全

オキシトシンによる陣痛促進中である。10分間に6回の子宮収縮を認め、CTGでは基線細変動減少と反復する遅発一過性徐脈が出現した。

まず行うのはどれか。

1.オキシトシンを減量または中止する。
2.オキシトシンを増量する。
3.CTGを外す。
4.産婦を歩行させる。

解説(正答1)

過度な子宮収縮に胎児心拍異常を伴っている。子宮収縮薬使用中に重篤な胎児心拍数異常を認めた場合は、原因検索を行うとともにオキシトシンを減量または中止する。改善しなければ急速遂娩も検討する。


問題284 臍帯脱出

妊娠39週。破水直後に胎児心拍数が65bpmまで低下した。内診すると児頭の横に臍帯を触知した。

最優先の対応はどれか。

1.先進部を用手的に挙上しながら急速遂娩を準備する。
2.臍帯を強く引っ張る。
3.オキシトシンを増量する。
4.30分経過観察する。

解説(正答1)

臍帯脱出では先進部による臍帯圧迫を軽減するため、児娩出直前まで用手的に胎児先進部を挙上する。同時に胎児低酸素が進行する前に急速遂娩を準備する。


問題285 TOLACと子宮破裂

帝王切開既往のある産婦がTOLAC中である。突然、持続する強い腹痛と胎児高度徐脈が出現した。母体血圧は82/48mmHgである。

最も考えられるのはどれか。

1.子宮破裂
2.正常な分娩進行
3.乳腺炎
4.産後うつ病

解説(正答1)

TOLAC中の突然の持続性腹痛、胎児高度徐脈、母体低血圧は子宮破裂を強く疑う組合せである。突然の高度徐脈では、臍帯脱出だけでなく子宮破裂、胎盤早期剝離、母体低血圧なども原因として検索する必要がある。母体救命と緊急手術を急ぐ。


問題286 肩甲難産

児頭娩出後、肩甲が娩出されない。児頭を軽く牽引しても娩出できない。

最初の基本的対応として適切なのはどれか。

1.応援を要請し、McRoberts体位をとる。
2.児頭を強く牽引する。
3.子宮底を強く圧迫する。
4.母親を歩行させる。

解説(正答1)

肩甲難産ではまず応援を要請し、新生児蘇生にも備える。基本手技としてMcRoberts体位を行い、必要に応じて恥骨結合上縁部圧迫を追加する。過度な児頭牽引は腕神経叢損傷の危険を高めるため避ける。


問題287 吸引分娩後の急変

吸引分娩で出生した児。生後2時間で頭部に縫合線を越えて広がる軟らかい腫脹を認めた。児は蒼白で、心拍数180/分、活気が低下している。

最も疑うのはどれか。

1.帽状腱膜下血腫
2.正常な産瘤のみ
3.生理的黄疸
4.臍ヘルニア

解説(正答1)

帽状腱膜下血腫では、頭蓋骨縫合線を越えて広範囲に出血が広がり得る。大量出血によって頻脈、蒼白、ショックを呈することがあるため、頭部所見だけでなく循環状態を評価する。厚労省の助産師国家試験出題基準でも、帽状腱膜下出血は新生児異常として独立した重要項目である。


問題288 弛緩出血

経腟分娩後15分。胎盤は完全に娩出したが出血が増加している。子宮底は臍上にあり、触れると軟らかい。

最も優先する対応はどれか。

1.子宮収縮を促す処置を行いながら出血量と循環状態を評価する。
2.子宮が軟らかいまま経過を見る。
3.産婦を歩行させる。
4.授乳のみ行う。

解説(正答1)

胎盤娩出後の大量出血と軟らかい子宮は、子宮収縮不良による弛緩出血を疑う。子宮収縮を促す処置や子宮収縮薬を行いながら、血圧、脈拍、出血量などを評価し、出血が続けば産科危機的出血への移行に備える。


問題289 産道裂傷

経腟分娩後、鮮血の出血が持続している。子宮底は臍下で硬く収縮しており、胎盤にも欠損を認めない。

次に優先して確認するのはどれか。

1.子宮頸管・腟・会陰の裂傷
2.子宮収縮不良のみ
3.母乳分泌量
4.新生児聴覚

解説(正答1)

子宮が十分収縮しているにもかかわらず鮮血の出血が続く場合には、産道裂傷を疑う。分娩後出血では、子宮収縮不良だけでなく胎盤遺残、産道損傷、凝固異常など原因を系統的に検索する必要がある。厚労省の助産師国家試験でも、子宮が硬い状態で出血が持続する事例について胎盤や産道を評価させている。


問題290 産科危機的出血

産後出血が持続している。血圧76/44mmHg、脈拍124/分、尿量が著しく減少し、フィブリノゲン130mg/dLである。

最も適切なのはどれか。

1.産科危機的出血を宣言し、止血と輸血を含む集学的対応を開始する。
2.通常の産褥観察を続ける。
3.水分を経口摂取させて待つ。
4.翌日に採血を再検する。

解説(正答1)

Shock Indexは124÷76で約1.63となり1.5を超え、乏尿とフィブリノゲン150mg/dL未満も認めている。JSOG2026年版ではこれらは産科危機的出血を宣言する基準となる。止血処置と並行して赤血球製剤・新鮮凍結血漿などを準備し、人員を確保して対応する。


問題291 産褥子宮内膜炎

産褥3日。体温38.8℃、悪寒あり。子宮に圧痛を認め、子宮底は臍高で軟らかい。悪露が子宮内に貯留している。

最も考えられるのはどれか。

1.子宮内膜炎
2.正常な産褥経過
3.乳房緊満のみ
4.妊娠悪阻

解説(正答1)

産褥期の発熱に、子宮圧痛、復古不良、悪露貯留を伴う場合には子宮内膜炎を考える。厚生労働省公開の助産師国家試験にも、体温38.8℃、子宮圧痛、臍高で軟らかい子宮、悪露貯留から子宮内膜炎を判断させる事例が出題されている。


問題292 産褥期PTE

帝王切開後4日。左下腿に腫脹と疼痛を認めていた褥婦が、突然胸痛を訴え、呼吸数30/分、SpO₂86%、血圧78/46mmHgとなった。

最優先するのはどれか。

1.PTEを疑い、診断より先に呼吸・循環管理を開始する。
2.下腿を強くマッサージする。
3.乳腺炎として抗菌薬を開始する。
4.歩行を促す。

解説(正答1)

DVTを示唆する片側下肢症状に続き、急な胸痛、低酸素、ショックを認めるためPTEを強く疑う。JSOGでは、妊娠・産褥期にPTEによる心停止・ショックが疑われる場合、診断確定よりも呼吸循環管理などの初期治療を優先するとしている。


問題293 母児分離と母乳

妊娠32週で出生した児がNICUへ入院した。母親は産後1日で、「直接飲ませられないなら母乳は出なくなりますか」と不安を訴えている。

適切な援助はどれか。

1.早期から搾乳方法を支援し、乳汁分泌を維持する。
2.児が退院するまで乳房刺激を行わない。
3.人工乳だけに切り替えるよう勧める。
4.母乳はすべて廃棄する。

解説(正答1)

母児分離時には、母乳分泌を確立・維持するため搾乳を支援する。WHOは、一時的に母児が分離した場合にも母親が搾乳できるよう具体的に指導することを推奨している。


問題294 新生児蘇生

出生直後。児は無呼吸で心拍数80/分である。保温、体位保持、必要な初期処置を行った。

次に最も重要なのはどれか。

1.人工呼吸
2.胸骨圧迫のみ
3.授乳
4.母児同室

解説(正答1)

新生児蘇生では換気が中心である。無呼吸または心拍数100/分未満であれば、有効な人工呼吸を開始する。胸骨圧迫を先に行うのではない。JRC蘇生ガイドライン2025でも、新生児蘇生ではまず換気の最適化が重視されている。


問題295 新生児の胸骨圧迫

問題294の児に有効な人工呼吸を30秒以上行ったが、心拍数は50/分である。

次に行うのはどれか。

1.人工呼吸に胸骨圧迫を加える。
2.人工呼吸を中止する。
3.授乳を開始する。
4.経過観察のみとする。

解説(正答1)

有効な人工呼吸を行っても心拍数が60/分未満であれば、胸骨圧迫を開始する。新生児では胸骨圧迫と人工呼吸を基本的に3:1で行う。人工呼吸が適切にできていることを確認してから胸骨圧迫へ進む点が重要である。


問題296 生後早期の黄疸

生後16時間。児の顔面から胸部に黄染を認め、哺乳力も低下している。

対応として適切なのはどれか。

1.生後24時間以内の黄疸として速やかに評価する。
2.典型的な生理的黄疸なので放置する。
3.1週間後に初めて確認する。
4.黄疸があれば全例母乳を中止する。

解説(正答1)

生後24時間以内に出現する黄疸は、通常の生理的黄疸とは区別して評価する必要がある。さらに哺乳力低下を伴っているため、ビリルビン値だけでなく溶血などの原因と全身状態を評価する。WHOも出生後24時間以内の黄疸を専門的な評価が必要な新生児異常として位置づけている。


問題297 新生児低血糖

妊娠糖尿病の母親から出生した児。生後2時間から活気が低下し、吸啜不良と振戦を認める。

最優先で確認するのはどれか。

1.血糖値
2.聴力
3.頭囲
4.視力

解説(正答1)

糖代謝異常を有する母体から出生した児は、新生児低血糖のリスクが高い。吸啜不良、活気低下、振戦などが出現した場合には、低血糖を疑って速やかに血糖値を確認する。症状を「眠っているだけ」と判断しないことが重要である。


問題298 早産児の体温管理

在胎34週、出生体重1,850g。呼吸循環は安定しているが、体温36.0℃である。

母児の状態が許す場合に有効なケアはどれか。

1.skin-to-skin contactを含む保温を行う。
2.裸のまま室温環境で経過を見る。
3.入浴によって体温を上げる。
4.母体から完全隔離する。

解説(正答1)

早産・低出生体重児は熱を失いやすい。WHOは新生児の保温、skin-to-skin contact、さらに早産・低出生体重児に対するカンガルーマザーケアを重要な新生児ケアとしている。呼吸循環が安定し実施可能であれば、母児接触は保温と母乳育児の支援にもつながる。


問題299 新生児聴覚検査

生後3日の新生児聴覚スクリーニングで片耳がリファーとなった。母親は「この子は難聴なんですね」と強く不安を訴えている。

説明として適切なのはどれか。

1.リファーは確定診断ではなく、確認検査へ進む必要がある。
2.リファーなら必ず高度難聴である。
3.再検査は1歳まで不要である。
4.検査結果について説明しない。

解説(正答1)

「リファー」は要再検であり、難聴の確定診断ではない。厚生労働省は、初回検査をおおむね生後3日以内に行い、リファーの場合はおおむね生後1週間以内に確認検査、必要なら遅くとも生後3か月頃までに精密検査へ進めるとしている。家族へ過剰な不安を与えない説明も重要である。


問題300 母児同時急変・優先順位

経腟分娩直後。新生児は啼泣良好で心拍数150/分、皮膚色も良好である。一方、母親は大量の性器出血を認め、血圧72/40mmHg、脈拍132/分、意識がもうろうとしている。

助産師の対応として最も適切なのはどれか。

1.新生児の安全なケアを他スタッフへ依頼し、母体救命を最優先する。
2.母体の出血より授乳開始を優先する。
3.新生児が元気なので母体も経過観察とする。
4.まず母児の記念撮影を行う。

解説(正答1)

新生児は現時点で安定している一方、母体は大量出血、低血圧、頻脈、意識障害を認め、生命を脅かす循環不全に陥っている。母体の救命処置、出血原因検索、止血、輸血準備などを直ちに開始し、新生児ケアは他のスタッフへ適切に分担する。

JSOG2026年版では、産科危機的出血では人員確保を行い、意識、血圧、心拍数、SpO₂、呼吸数、出血量、尿量、凝固状態を継続的に評価しながら止血・輸血を進めるとしている。「母親と児のどちらが重症かを瞬時に判断し、限られた人員を配分する」ことまで含めてアセスメントである。