都立看護専門学校 社会人入試・7校の特徴・倍率・学費・教育訓練給付金・国試合格率まで完全解説

  • 2026/09/02
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都立看護専門学校社会人入試を徹底性解説

「都立看護専門学校の社会人入試を受けたいけれど、そもそも都立看護ってどんな学校なの?」

「広尾、板橋、荏原、府中、北多摩、青梅、南多摩の7校は何が違う?」

「社会人でも3年間通える?学費はいくら?教育訓練給付金は使える?卒業後はどこに就職する?」

このあたりを調べている人は多いと思います。

しかも、2027年度の都立看護専門学校社会人入試は、これまでと条件が大きく変わりました。

受験可能年齢が25歳以上から「22歳以上」へ引き下げられ、さらに東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県・山梨県に限定されていた住所要件・就業要件も撤廃。2027年度からは全国から社会人入試へ出願できるようになりました。正確には、2027年3月31日までに22歳に達する者、つまり2005年4月1日以前に生まれた人が対象です。

これはかなり大きな変更です。

この記事では、2027年度に都立看護専門学校の社会人入試を考えている人に向けて、「都立看護専門学校とは何か」から、7校それぞれの特徴、3年間の学び、学費、専門実践教育訓練給付金、国家試験合格率、卒業後の進路、2026年度のオープンキャンパス・学校説明会、そして最新の社会人入試日程までまとめて紹介します。

※この記事は2026年9月2日現在の東京都・各校・厚生労働省の公表情報に基づいています。オープンキャンパス等の日程は変更される場合があるため、参加前には各校公式サイトを必ず確認してください。

都立看護専門学校とは?

東京都立看護専門学校とは、東京都が設置・運営している公立の看護専門学校です。

現在、東京都内に7校あります。

区部には「広尾看護専門学校」「板橋看護専門学校」「荏原看護専門学校」の3校、多摩地域には「府中看護専門学校」「北多摩看護専門学校」「青梅看護専門学校」「南多摩看護専門学校」の4校が設置されています。すべて看護学科3年課程です。

募集定員は、広尾80名、板橋80名、荏原80名、府中80名、北多摩120名、青梅80名、南多摩80名。7校合わせて1学年600名です。北多摩だけが120名の大規模校となっています。

3年間の課程を修了すると「看護師国家試験受験資格」が得られ、さらに保健師学校・助産師学校への受験資格も得られます。また、卒業者には「専門士(医療専門課程)」の称号が与えられます。したがって、卒業後にそのまま看護師として就職するだけではなく、助産師や保健師を目指して進学することも可能です。

ここで勘違いしてはいけないのが、「都立看護専門学校=都立病院の附属看護学校」ではないということです。

都立看護専門学校を卒業すれば自動的に都立病院へ就職できるわけではありません。都立病院へ就職する場合も、通常の採用選考を受けて合格する必要があります。実習病院への就職についても同じです。

一方で、学校そのものの設置目的には東京都内の看護人材の育成があります。そのため、社会人入試・推薦入試については「卒業後、看護師として都内に就業する意思があること」が受験資格になっています。

都立看護専門学校の学費はかなり安い

都立看護を考える社会人にとって、かなり大きなメリットになるのが学費です。

2026年4月時点では、入学料11,300円、授業料は年間265,700円。さらに1年次の教科書代約19万円、ユニフォーム・教材費約4万円、損害保険料などを含めると、1年次が約511,500円、2年次約270,200円、3年次約270,200円となっています。

東京都が公表している3年間の概算総額は「約1,051,900円」です。

もちろん、これ以外に実習先までの交通費、必要に応じたワクチン接種費用、PC等の購入費などがかかる可能性があります。

それでも、看護師資格を取得できる3年間の教育課程として、授業料だけなら年間約26万6,000円。社会人が看護師へキャリアチェンジするときの学校として、費用面はかなり強い選択肢です。

しかも社会人の場合、ここからさらに重要な制度があります。

社会人なら必ず確認したい「専門実践教育訓練給付金」

都立看護専門学校の看護専門課程看護学科3年課程は、厚生労働大臣が指定する「専門実践教育訓練講座」です。東京都公式も対象講座であることを明記しています。

これが社会人にとって非常に大きい。

一定の雇用保険加入歴などの要件を満たしている場合、専門実践教育訓練給付金として「教育訓練経費の50%」が支給されます。年間上限は40万円です。

さらに、講座修了後1年以内に目標資格を取得し、雇用保険の被保険者として就職または就業しているなどの条件を満たすと「70%」、年間上限56万円として再計算され、差額が追加支給されます。

2024年10月1日以降に受講を開始した人については、さらに訓練修了後の賃金が受講開始前より5%以上上昇するなどの条件を満たせば「80%」、年間上限64万円まで再計算されます。

ただし、ここは非常に重要です。

「都立看護に入れば誰でも学費の80%が戻ってくる」という制度ではありません。

初めて教育訓練給付金を受ける人の場合、原則として受講開始日までに雇用保険の支給要件期間が2年以上必要です。過去に教育訓練給付金を受給したことがある場合などは原則3年以上が必要になります。また、離職者の場合には、原則として雇用保険の被保険者資格を失ってから受講開始まで1年以内であることなどの条件があります。

そして、入学してから「そういえば教育訓練給付金を使いたい」と動くのでは遅い可能性があります。

専門実践教育訓練給付金を利用するには、受講開始前に訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成し、原則として受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認手続きを行う必要があります。

社会人受験生なら、合格してから調べるのではなく、「自分が給付対象になるのか」を受験前からハローワークへ確認しておいた方がいいでしょう。

なお、給付率の対象になる「教育訓練経費」は何でも含まれるわけではありません。厚生労働省は、本人が学校へ支払った入学料・受講料を基本としており、交通費、PCなどの機器代などは対象外としています。

都立看護専門学校では3年間で何を学ぶ?

都立看護専門学校の教育課程は、大きく「基礎分野」「専門基礎分野」「専門分野」の3領域で構成されています。

単に教室で知識を詰め込むだけではありません。少人数グループによる参加型授業、演習、シミュレーション教育、臨地実習を組み合わせ、看護師として必要になる知識・技術・判断力を3年間で段階的に身につけていきます。

授業は原則月曜日から金曜日まで。1限は9時開始、4限終了は16時20分です。学年は前期と後期に分かれています。

1年次

1年次は、人体の構造や機能、疾病、薬理など看護を理解するための専門基礎科目と、看護の基本となる知識・技術を学んでいきます。

ベッドメイキング、清潔援助、バイタルサイン測定など、看護技術の基本を校内実習で学びながら、基礎看護学実習Ⅰ・Ⅱへ進みます。

国家試験対策も3年生になって突然始めるのではありません。都立看護では1年次から学習会、ミニテスト、模擬試験などを実施し、学習方法そのものから支援しています。

2年次

2年次になると、成人・老年・小児・母性・精神・在宅など、それぞれの対象や健康状態に応じた看護を本格的に学びます。

都立看護では、1年次に基礎看護学実習を行った後、2年次の7月頃から3年次11月頃まで、各看護学領域の臨地実習が本格化します。

つまり、「専門学校だから座学中心」という学校ではありません。広尾看護専門学校の公式説明では、都立看護専門学校では学習時間のおよそ3分の1を臨地実習が占めるとされています。

3年次

3年次は臨地実習の比重が大きくなり、これまで学んできた病態、看護技術、患者理解、臨床判断を実際の患者さんへの看護へつなげていきます。

同時に、就職活動と国家試験対策も進めなければなりません。

都立看護では、少人数グループごとのチューター制、模擬試験、学習会、個別指導などを行っています。2年次から病院インターンシップや就職ガイダンスが始まり、3年次には就職試験の小論文対策や模擬面接まで実施されています。

「3年間学校に通えば資格がもらえる」のではありません。

3年間でかなりの授業・実習をこなし、その先に看護師国家試験があります。

だからこそ、社会人の場合は「合格できるか」だけではなく、「3年間学習を継続できる生活環境を作れるか」まで考えて学校を選ぶ必要があります。

都立看護専門学校7校の特徴を徹底比較

ここからは、7校を一校ずつ見ていきます。

都立看護は基本となる教育理念や教育課程は共通していますが、学校の規模、立地、実習病院、設備、教育上の特色はかなり違います。

①東京都立広尾看護専門学校

広尾看護専門学校は、1949年に東京都立第一高等看護学院として設置された、都立看護専門学校7校の中で最も長い歴史を持つ学校です。卒業生は4,000人を超えています。1学年定員は80名です。

「広尾」という名称ですが、現在は校舎建て替えのため、2024年9月から世田谷区上北沢の仮校舎で授業を行っています。京王線八幡山駅から徒歩約6分です。

主な実習施設には、東京都立広尾病院、日本医科大学付属病院、厚生中央病院、東京都立駒込病院、東京都立松沢病院などがあります。

広尾の特徴として見逃せないのが実習環境です。公式には「学生6人に専任教員1名」という少人数での実習指導を掲げています。高度急性期・救急、がん、精神など性格の異なる医療機関で学べることも特徴でしょう。

看護師国家試験について、学校公式の個別ページで現在掲載されている最新値は第114回の100.0%です。第113回98.7%、第112回100%、第111回100%、第110回100%と高い水準が続いています。なお、第115回については、2026年9月2日時点で広尾の個別公式ページには合格率がまだ掲載されていません。数字を推測して掲載するのは避けます。

卒業後は都立病院機構の病院だけではなく、その他の都内病院や、助産師・保健師課程への進学という進路があります。

広尾看護専門学校の2026年度説明会

2026年9月2日以降では、9月3日ミニ説明会、10月8日ミニ説明会、10月24日学校祭・ミニ説明会、11月15日学校説明会、12月3日・12月17日ミニ説明会が予定されています。なお、9月3日の回は公式サイト上ですでに申込終了となっています。

②東京都立板橋看護専門学校

板橋看護専門学校は、渋沢栄一が初代院長を務めた養育院をルーツに持つ、非常に歴史のある学校です。現在の1学年定員は80名。東武東上線大山駅から徒歩約5分、都営三田線板橋区役所前駅から徒歩約10分と、アクセスの良さも大きな特徴です。

板橋で特に面白いのが「シミュレーション教育」と「多職種連携教育」です。

基礎実習室、小児・母性実習室、在宅実習室、模擬病棟などでシミュレーションモデルを活用して臨床判断力を育てています。また、大学医学部・薬学部の学生と看護学生が一緒に学ぶIPE(Interprofessional Education:多職種連携教育)も実施されています。地域フィールドワークを通して地域包括ケアを学ぶ点も特徴です。

主な実習先には東京都立豊島病院、東京都健康長寿医療センターなどがあります。

そして板橋は、2026年2月実施の第115回看護師国家試験で「全員合格」。つまり学校公式で100%が確認できます。

令和7年度卒業生78名の進路を見ると、東京都立病院等34名、その他の都内病院32名、都外病院7名、進学3名などとなっており、東京都立病院機構のほか、大学病院、公的病院、民間病院までかなり幅広い就職実績があります。

板橋看護専門学校の2026年度説明会

今後は10月31日に学校祭・公開講座、11月21日にオープンキャンパス、12月2日にミニ説明会が予定されています。

③東京都立荏原看護専門学校

荏原看護専門学校は大田区東雪谷にあり、東急池上線洗足池駅から徒歩約10分。1学年定員80名です。

荏原の特徴は、社会人受験生との相性がかなりいいところです。

学校公式も「出身地、年齢、性別、経歴など多様な学生」が学んでいることを明記しており、学生と教職員の距離が近いことを特色として挙げています。実習では学生5~6名に教員1名を配置し、シミュレーターや実際の医療機器、在宅・母性・小児・模擬病棟などを活用しています。

さらに、荏原独自の科目として「感染予防に向けての看護」があり、感染予防を臨床で実践するための知識・技術を深く学べるとしています。

主な実習施設は、東京都立荏原病院、東京都立墨東病院、東京都立駒込病院、東京都立松沢病院、東京労災病院、牧田総合病院などです。

国家試験については、学校公式が「常に全国平均を上回っている」と説明しています。ただし、2026年9月2日時点の荏原公式キャリアページには第115回の学校別合格率そのものが掲載されていません。このため、この記事では第三者サイトの数字を持ち込まず、個別数値は「公式未掲載」とします。

令和7年度の進路は、最新の東京都公式入学案内では東京都立病院機構29.2%、その他都内病院65.3%、その他5.5%。主な就職先として荏原病院、駒込病院、牧田総合病院、墨東病院、大森赤十字病院、昭和医科大学病院などが挙げられています。

荏原看護専門学校の2026年度説明会

9月10日、10月8日、11月12日、12月10日にミニ説明会、10月31日と12月19日にオープンキャンパスがあります。10月31日は学校祭も同時開催。さらに2027年3月13日にもオープンキャンパスが予定されています。

④東京都立府中看護専門学校

府中看護専門学校は府中市武蔵台にあり、JR西国分寺駅から徒歩約10分。1学年定員80名です。

実習先として東京都立多摩総合医療センター、東京都立小児総合医療センターなどがあり、多摩地域の高度・専門医療に触れやすい実習環境が大きな特徴です。

校内実習では学生3人に1台のベッドを用意し、学生同士が看護師役・患者役となって看護技術を学びます。臨地実習では教員1名が学生6名を担当。1年次から国家試験対策を開始し、3年次には補講、模擬試験、個別強化学習まで行っています。

第115回看護師国家試験の学校公式合格率は97.3%です。

卒業後の進路を見ると、令和7年度は東京都立病院機構43.2%、その他の都内病院51.4%、進学2.7%。近年では多摩総合医療センター、神経病院、小児総合医療センター、多摩北部医療センターなどへの就職者が多く、都立病院機構との結び付きが進路実績にも表れています。

府中看護専門学校の2026年度説明会

9月3日にミニ説明会、10月31日に「けやき祭」と公開講座・学校説明会、11月13日、11月26日、12月10日、12月24日に秋冬のミニ説明会が予定されています。

⑤東京都立北多摩看護専門学校

北多摩看護専門学校は東大和市にあり、西武拝島線・多摩モノレール玉川上水駅から徒歩約4分。

最大の特徴は「規模」です。

他の6校が1学年80名なのに対して、北多摩だけは120名。都立看護専門学校唯一の大規模校で、2026年3月末時点で約6,500名の卒業生を輩出しています。さまざまな年齢・経歴を持つ学生と一緒に学べるという意味でも、社会人には興味深い学校です。

主な実習先は公立昭和病院、東京都立多摩北部医療センターなど。病院だけでなく訪問看護ステーションや福祉施設なども含め、多摩地域を中心とした幅広い実習環境を持っています。

卒業後も多摩地域との結び付きがかなり強く、令和6年度卒業生110名のうち103名が都内へ就職し、そのうち81名が多摩地域へ就職しています。

国家試験について、学校公式個別ページで現在確認できる最新掲載値は第114回に相当する2025年2月実施分で「110名受験・110名合格、100.0%」です。第115回の個別数値は2026年9月2日時点では同ページへまだ掲載されていません。

北多摩看護専門学校の2026年度説明会

今後の大きなイベントは10月24日。学校祭「北看祭」と同日に、13時30分から15時まで学校説明会が予定されています。

⑥東京都立青梅看護専門学校

青梅看護専門学校は青梅市大門にあり、1学年定員80名。主な実習先には市立青梅総合医療センター、市立阿伎留医療センターなどがあります。

青梅で特徴的なのが「形態機能学」です。

一般的な「解剖生理学」という名前ではなく、人間を生活者として捉えながら身体の仕組みを理解し、それを看護へ結び付けるため「形態機能学」という科目を設けています。授業の約半分を看護教員が担当し、自分の身体を使った実験なども取り入れています。

また、輸液ポンプ、採血などの実践的な演習を通じ、安全な看護技術と判断力の育成にも力を入れています。学生それぞれの強み・弱みを把握した学習支援、各学年での国家試験模試、就職模擬面接なども特徴です。

国家試験について、学校公式の個別ページで現在掲載されている最新値は第114回の100%。第113回94.8%、第112回100%などとなっています。第115回の個別数値は、2026年9月2日時点では学校公式ページにまだ掲載されていません。

就職先は、市立青梅総合医療センター、公立阿伎留医療センター、公立福生病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センター、公立昭和病院、立川相互病院など、多摩地域を中心に幅広くなっています。助産師・保健師課程への進学実績もあります。

青梅看護専門学校の2026年度説明会

9月19日に学校祭と学校説明会、10月2日、10月14日、11月4日、11月24日、12月10日にミニ説明会があります。さらに2027年3月14日にも学校説明会を予定しています。

青梅は通常の日程以外でも、事前に電話で相談すれば個別の施設案内・入学相談を受け付けています。

⑦東京都立南多摩看護専門学校

南多摩看護専門学校は多摩市にあり、1学年定員80名。1995年4月に開校した、都立7校の中では最も新しい学校です。

多摩センター駅から徒歩約15分。主な実習施設は多摩南部地域病院、町田市民病院などで、多摩地域の医療機関と連携した実習を行っています。

4つの実習室、演習室、図書室など比較的ゆとりのある教育施設を備え、経験豊かな専任教員に加えて、大学や実習病院の専門分野の講師による授業も行っています。

第115回看護師国家試験は76名受験、73名合格で「96.0%」。全国新卒平均94.1%を上回っています。第114回は100%でした。

令和7年度卒業生76名のうち66名が都内就職。内訳は都立21名、その他国公立11名、私立34名となっています。

なお、2027年度から本校舎の改修工事が予定されており、工事期間中は日野市落川の仮校舎での運営が予定されています。学校側は教育内容や実習環境に変更はないと説明しています。2027年度受験生はここも確認しておきましょう。

南多摩看護専門学校の2026年度説明会

今後は11月14日に学校説明会と学校祭が予定されています。南多摩は2026年度から、対面説明会と同時にZoomによるオンライン学校説明会も実施しています。

都立看護7校全体の国家試験合格率は?

学校別の数字ばかり見ると分かりにくいので、都立看護専門学校7校全体も見ておきましょう。

東京都が公表している最新の令和7年度実績では、7校合計570名が受験し、547名が合格。合格率は「96.0%」です。

過去を見ると、令和3年度98.3%、令和4年度99.5%、令和5年度96.7%、令和6年度99.3%、令和7年度96.0%となっています。

令和7年度の全国新卒者合格率は94.1%、看護系大学は96.3%でした。つまり最新年度でも、都立看護7校全体として全国新卒平均を上回っています。

ここは「専門学校だから国家試験に弱い」というイメージを持っている人には、かなり重要な数字でしょう。

都立看護専門学校の卒業後は?

都立看護専門学校7校全体では、進学希望者等を除いた就職率が「100%」と公表されています。

各校に来る求人は学生定員の3~4倍程度あり、就職先は東京都立病院機構、公立病院、大学病院、国立系病院、民間病院など非常に幅広くなっています。

卒業後の代表的なルートは大きく分けると、

「看護師として東京都内の病院へ就職する」

「助産師学校へ進学する」

「保健師学校へ進学する」

「その後、臨床経験を積みながら認定看護師などを目指す」

といった形になります。

社会人入試で入学した場合は、もともと「卒業後、看護師として都内に就業する意思」が受験条件です。そのため、「資格だけ取得して卒業後すぐ地方へ戻る」という前提で社会人入試を受ける制度ではないことには注意してください。

【2027年度】都立看護専門学校の社会人入試

2027年度の社会人入試では、受験資格が大幅に変更されました。

受験資格の柱は、高校卒業または同等以上の学力があること、卒業後に看護師として東京都内で就業する意思があり、合格した場合には辞退せず入学することを確約できること、そして2027年3月31日までに22歳に達することです。

従来あった東京都・隣接4県の住所要件、就業要件は撤廃されました。

つまり、北海道でも大阪でも福岡でも沖縄でも、条件を満たせば2027年度から社会人入試へ出願できます。

2027年度社会人入試の日程

出願期間は「2026年8月27日~9月10日」。

一次試験は「2026年9月27日」で、小論文。

二次試験は「2026年10月16日」で、人物考査。

入学考査料は13,600円です。

2026年9月2日現在、すでに出願受付期間に入っています。

都立看護専門学校の社会人入試倍率

  1. 直近の令和8年度社会人入試では、7校合計174名が受験し103名が合格。全体倍率は1.7倍でした。

学校別では、広尾1.3倍、板橋2.3倍、荏原1.4倍、府中2.5倍、北多摩2.1倍、青梅1.5倍、南多摩1.7倍です。

ただし、この1.7倍を見て「2027年度も同じくらいだから簡単」と考えるのは危険です。

2027年度からは年齢要件が25歳以上から22歳以上へ拡大し、住所・就業要件まで撤廃されました。

ただ、これまで制度上受験できなかった「22~24歳」と「東京都・隣接4県以外の社会人」が新たに受験可能になった以上、受験対象となる母集団そのものは明確に広がっています。

直近倍率だけを見て安心する年度ではありません。
また、倍率というのは総合倍率であり、年齢によっても倍率は異なります。20代前半と20代後半以降では倍率がかなり異なります。
看護受験では、年齢が高くなれば高くなるほど倍率が上昇します。たとえ総合倍率が2倍でも30代倍率が3倍、40代が5倍というのは看護受験では当たり前です。

推薦入試もある

高校生を中心に検索される「都立看護専門学校 推薦入試」についても触れておきます。

2027年度推薦入試は、2026年9月17日~10月1日が出願期間、試験日は10月16日。試験内容は小論文と人物考査です。

直近令和8年度の推薦入試倍率は、広尾1.1倍、板橋1.5倍、荏原1.0倍、府中1.2倍、北多摩1.2倍、青梅1.1倍、南多摩1.2倍、7校全体で1.2倍でした。

社会人入試とは受験資格も評価される背景も違うため、「推薦が1.2倍だから社会人も簡単」という見方はできません。

社会人が都立看護を選ぶメリット

ここまで見てくると、都立看護専門学校が社会人から注目される理由はかなり分かりやすいと思います。

まず、3年間の学費が非常に抑えられていること。

次に、7校すべて専門実践教育訓練講座で、雇用保険の条件を満たす社会人なら教育訓練給付金を利用できる可能性があること。

さらに、1年次から国家試験対策があり、7校全体の国家試験合格率も高いこと。

そして、卒業後の就職先が東京都立病院機構だけに限定されず、公立病院、大学病院、民間病院まで幅広いこと。

加えて、荏原や北多摩などの公式ページを見ても分かるように、現役高校卒業者だけではなく、社会人経験者、子育て経験者など、さまざまな背景を持つ学生が学んでいます。北多摩の公式Q&Aでも、社会人学生自身が「社会人も比較的多い」と回答しています。

「社会人から看護師になりたい」という人にとって、都立看護はかなり現実的な選択肢です。

ただし、「社会人経験があるから評価される」「倍率が2倍前後だから簡単に入れる」という話ではありません。

社会人入試では、小論文と人物考査があり、さらに出願段階で自分自身の経験や看護師を志す理由を整理しなければなりません。

特に2027年度は受験資格そのものが拡大しています。

「社会人だから何となく有利」ではなく、なぜ今から看護師を目指すのか、これまで何をしてきたのか、それが看護師になることとどうつながっているのか、なぜ都立看護なのか、なぜその7校の中からその学校なのか。

ここまで明確にして受験する必要があります。

どの都立看護専門学校を選ぶべき?

7校とも同じ「都立看護」ですが、学校選びは偏差値や倍率だけで決めない方がいいでしょう。

救急・高度急性期など幅広い大規模病院での実習環境に関心があるなら広尾。

シミュレーション教育、多職種連携、地域包括ケアに関心があるなら板橋。

多様な年齢層、教員との距離、感染看護などに魅力を感じるなら荏原。

多摩総合医療センター、小児総合医療センターなど多摩地域の高度専門医療との関係を重視するなら府中。

120名という大規模校、多摩地域での幅広い実習、多様な学生との学びを求めるなら北多摩。

形態機能学や、身体の仕組みを看護へ結び付ける教育、多摩西部地域での医療に関心があるなら青梅。

充実した施設、多摩南部の地域医療、比較的新しい学校環境を重視するなら南多摩。

このように見ていくと、同じ都立看護でもかなり違います。

そして社会人入試では、「どこでもいいから都立に入りたい」という学校研究では弱い。

オープンキャンパスや学校説明会へ参加したら、校舎を見て終わるのではなく、「この学校で何を学べるのか」「どこで実習するのか」「自分が看護師として目指している方向と何がつながるのか」まで確認しておいた方がいいでしょう。

まとめ|2027年度は都立看護社会人入試が大きく変わる

都立看護専門学校は、東京都が設置・運営する3年課程の公立看護専門学校で、広尾、板橋、荏原、府中、北多摩、青梅、南多摩の7校があります。

年間授業料は265,700円、3年間の諸費用は東京都の2026年4月時点の概算で約105万円。

7校すべて専門実践教育訓練講座に指定されており、条件を満たす社会人であれば専門実践教育訓練給付金を利用できる可能性があります。

卒業すると看護師国家試験受験資格に加えて、保健師学校・助産師学校の受験資格、専門士の称号が得られます。

そして2027年度社会人入試からは「22歳以上」へ対象年齢が拡大し、住所要件・就業要件も撤廃。全国から受験できるようになりました。

都立看護の社会人入試は、今までとは受験者層が変わる可能性があります。

だからこそ、直近倍率だけを見て判断するのではなく、7校それぞれの違いを理解したうえで、自己推薦書、小論文、人物考査まで一貫した対策をしておく必要があります。

次の記事では、2027年度の「都立看護専門学校 社会人入試」について、受験資格変更、7校それぞれの倍率、自己推薦書、小論文、人物考査までさらに詳しく解説します。