【2027年新卒】東大病院の看護師年収は640万円前後?初任給・賞与4.52か月・夜勤手当・寮費・採用試験を徹底解説

  • 2026/07/23
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東京大学医学部附属病院、いわゆる東大病院は、日本を代表する特定機能病院です。

「日本最高峰の大学病院だから、看護師の給料も突出して高いのではないか」と考える人もいれば、「国立大学病院は基本給が低い」という古い印象を持つ人もいるでしょう。

2027年度看護職員募集要項によると、2025年4月実績の4年制大学卒看護師は、基本給与25万3100円、教育研究連携手当4万9354円、夜勤月5回分6万1286円を合わせて、月額36万3740円です。さらに住居手当は月額最大2万8000円、賞与は2025年度見込みで年間約4.52か月。超過勤務手当は、この公式月収とは別に支給されます。

この条件をもとに満年度年収を計算すると、夜勤月5回と賞与だけで約573万円。住居手当上限を加えると約607万円です。さらに時間外勤務を月10時間として概算すると、大卒看護師の満年度年収は約638万~645万円前後が一つの比較目安になります。

つまり、東大病院は公式募集要項に掲載された月収だけを見ると36万円台ですが、賞与、住宅手当、残業代まで条件をそろえて計算すれば、新卒看護師年収ランキングの640万円前後の最上位グループへ入る可能性があります。

しかも、今回の募集要項に掲載されているのは2025年4月の給与実績です。2027年4月の実際の採用時点までに俸給表や給与規則が改定された場合、基本給与や手当額が変わる可能性があることも明記されています。

この記事では、東大病院の看護師年収、初任給、賞与、夜勤手当、残業代、住宅手当、看護師寮、福利厚生、採用人数、採用試験に加え、東大病院で看護師として何を学び、どのようなアセスメント能力が身につくのかまで詳しく解説します。

東大病院の2027年度看護職員募集は合計約160名

2027年4月1日採用では、看護師・助産師について、常勤職員約130名、常勤職員・任期付き約30名が募集されました。合計すると約160名です。

任期付き常勤職員は、育児休業者や自己啓発休業者の代替職員として1年間の任期で採用されます。

ただし、教育体制、給与、保険、休暇などの処遇は通常の常勤職員と同じです。採用後に希望すれば、翌年度の常勤職員採用試験を受験できます。

したがって、任期付きだから給与や新人教育が簡略化されるわけではありません。一方で、最初から期間の定めがない常勤職員として採用される場合とは雇用上の位置づけが異なります。

応募時には、「常勤職員」と「常勤職員・任期付き」のどちらへ応募しているのかを確認する必要があります。

採用試験は書類審査・作文・個人面接

2027年度採用試験の選考方法は、一次選考が書類審査、二次選考が作文と個人面接です。オンライン試験ではなく、すべて東大病院内で対面実施されました。

2026年4月には複数日にわたって採用試験が設定され、5月試験については、4月試験で定員へ達した場合には実施しない可能性があるとされていました。実際に看護部は、2026年5月29日・30日の採用試験を実施しないと発表しています。

東大病院は約160名という大規模採用ですが、募集人数が多いから最後まで応募できるとは限りません。

人気病院では、採用予定人数が多くても受験者数も多くなります。さらに試験日が複数ある場合、後半日程まで採用枠が残る保証はありません。

2028年卒以降に東大病院を志望する場合は、採用試験の直前ではなく、病院説明会や見学会が始まる段階から準備する必要があります。

東大病院の看護師採用倍率は公表されているのか

東大病院の看護師採用倍率は、公式には公表されていません。

募集人数が約160名だからといって、倍率が低いとは判断できません。受験者総数、一次選考通過者数、最終合格者数が公開されていない以上、正確な倍率を計算することは不可能です。

一方、東大病院は全国の看護系大学、専門学校、大学院から応募者が集まる病院です。採用パンフレットでは病床数1226床、看護職員約1400名、手術件数年間約1万件、分娩件数年間約900件とされており、特定機能病院、救命救急センター、総合周産期母子医療センター、臨床研究中核病院、がんゲノム医療中核拠点病院などの機能を備えています。

採用人数だけで難易度を判断するのではなく、全国規模で志望者を集める高度急性期病院であることを踏まえる必要があります。

2027年新卒看護師の公式初任給

2027年度募集要項に掲載されている給与は、2025年4月実績です。

4年制大学卒看護師

基本給与 25万3100円
教育研究連携手当 4万9354円
固定給合計 30万2454円
夜勤月5回分 6万1286円
月額合計 36万3740円

3年課程卒看護師

基本給与 24万9400円
教育研究連携手当 4万8633円
固定給合計 29万8033円
夜勤月5回分 6万1083円
月額合計 35万9116円

4年制大学卒助産師

基本給与 25万5400円
教育研究連携手当 4万9803円
固定給合計 30万5203円
夜勤月5回分 6万1402円
月額合計 36万6605円

大学院修士課程修了の看護師

基本給与 26万500円
教育研究連携手当 5万797円
固定給合計 31万1297円
夜勤月5回分 6万1692円
月額合計 37万2989円

大学院修士課程修了の助産師

基本給与 26万2700円
教育研究連携手当 5万1226円
固定給合計 31万3926円
夜勤月5回分 6万1808円
月額合計 37万5734円

公式月収には超過勤務手当、住居手当、通勤手当、扶養手当は含まれていません。夜勤は月5回で計算されており、夜勤回数が少なければ月収も下がります。

教育研究連携手当とは何か

東大病院の給与を正しく理解するうえで重要なのが、教育研究連携手当です。

大卒看護師の場合、基本給与25万3100円に対して、教育研究連携手当4万9354円が加算されています。

固定給の合計は30万2454円です。

教育研究連携手当は夜勤回数によって増減する手当ではなく、基本給与とともに毎月支給される固定部分として募集要項に掲載されています。

したがって、東大病院の看護師給与を比較するときに、基本給与25万3100円だけを見て「初任給は25万円」と評価するのは適切ではありません。

実際の固定給は30万2454円です。

一方、募集要項では賞与の具体的な算定基礎までは示されていません。固定給全額を基礎に計算するのか、基本給与を中心に別の調整を行うのかは、公開資料だけでは完全には確認できません。

本記事では、募集要項に掲載された固定給と賞与月数を用いた比較モデルとして年収を計算しますが、実際の賞与額は病院の給与規則や在職期間によって変わります。

夜勤月5回で6万1286円

4年制大学卒看護師の主要手当は、夜勤月5回の場合で6万1286円です。

単純平均すると、夜勤1回当たり約1万2257円です。

3年課程卒は月5回で6万1083円、4年制大学卒助産師は6万1402円となっています。

東大病院の勤務は、週38時間45分の変形労働時間制です。

基本的な二交替勤務は、日勤が8時から16時45分、夜勤が15時30分から翌9時まで。休日は4週8休制です。

夜勤月5回は、首都圏病院の給与比較で一般的に使われる夜勤月4回より1回多い条件です。

したがって、東大病院の公式月収36万3740円を、夜勤月4回で計算している病院の月収とそのまま比較することはできません。

夜勤を4回へそろえるなら、単純計算で約1万2257円を差し引き、

36万3740円-約1万2257円
=約35万1480円

となります。

一方、実際に夜勤月5回が標準的に続くのであれば、年間では夜勤4回モデルより約14万7000円多くなります。

病院別年収ランキングでは、夜勤回数を統一して比較するのか、病院が公表する標準モデルを使用するのかを明確にする必要があります。

賞与は年間約4.52か月

東大病院の賞与は年2回で、2025年度見込みは年間約4.52か月です。

ただし、新卒採用初年度は約2.9か月分となります。

入職初年度の賞与が少なくなるのは、夏季賞与の算定期間が不足するためです。

したがって、4月に入職してから最初の12か月で、最初から年間4.52か月分の賞与を受け取れるわけではありません。

満年度の賞与を固定給30万2454円に対して単純計算すると、

30万2454円×4.52か月
=約136万7000円

です。

基本給与25万3100円だけを基礎にした場合は、

25万3100円×4.52か月
=約114万4000円

となります。

両者には約22万円の差があります。

公開募集要項には賞与の算定基礎となる給与項目が細かく記載されていないため、実際の支給額を1円単位で断定することはできません。

しかし、教育研究連携手当が固定給として位置づけられていることから、本記事の病院間比較では、固定給30万2454円を用いたモデルを中心に計算します。

大卒看護師の満年度年収を計算

4年制大学卒看護師の夜勤月5回込み月収は36万3740円です。

年間の月例給与は、

36万3740円×12か月
=436万4880円

です。

固定給30万2454円へ賞与4.52か月を掛けると、

約136万7000円

となります。

両者を合計すると、

436万4880円+約136万7000円
=約573万2000円

です。

したがって、夜勤月5回と満年度賞与を含み、住宅手当と残業代を含まない年収は、約573万円が一つの目安です。

住宅手当を加えると約607万円

東大病院の住居手当は、月額最大2万8000円です。

家賃6万1000円以上のアパートなどを借り、支給要件を満たす場合に上限額となります。

年間では、

2万8000円×12か月
=33万6000円

です。

夜勤と賞与を含む約573万2000円へ住居手当を加えると、

約573万2000円+33万6000円
=約606万8000円

となります。

つまり、残業代を一切含めなくても、住宅手当上限を受け取る大卒看護師は年収約607万円です。

残業月10時間なら約640万円前後

東大病院の公式月収には、超過勤務手当が含まれていません。

時間外勤務手当は、月ごとの勤務実績に応じて別途支給されます。

固定給30万2454円、週38時間45分勤務を基礎に時間外単価を概算すると、残業月10時間分は月額約2万6000~3万円程度になる可能性があります。

年間では約31万~36万円です。

住宅手当込み約606万8000円へ、年間の超過勤務手当を加えると、

約637万~643万円

となります。

したがって、

  • 夜勤月5回

  • 満年度賞与4.52か月

  • 住居手当最大

  • 時間外勤務月10時間

という条件なら、東大病院の4年制大学卒看護師は、満年度年収約640万円前後が比較目安です。

ただし、これは公開された固定給を賞与基礎として用いた概算です。実際の賞与算定、超過勤務単価、夜勤回数、住居手当の支給可否によって年収は変動します。

夜勤月4回へ統一するとどうなるか

これまでの新卒看護師年収ランキングを夜勤月4回で統一する場合、東大病院の夜勤1回分に相当する約1万2257円を月収から差し引きます。

年間では約14万7000円の差です。

先ほどの年収約640万円から差し引くと、

夜勤月4回の統一モデル
約625万~629万円前後

となります。

したがって、東大病院の評価は、ランキングの計算条件によって変わります。

病院公式の夜勤月5回モデルを使用すれば640万円前後。

夜勤月4回へ統一すれば620万円台後半です。

東大病院をSSSランクとするか、SSランクとするかは、この夜勤回数の扱いによって分かれます。

ただし、募集要項の給与は2025年4月実績です。2026年度以降に基本給与や教育研究連携手当が上がっていれば、夜勤月4回へそろえても630万円台以上となる可能性があります。募集要項にも、給与規則や俸給表の改正により金額が変動する場合があると明記されています。

3年課程卒の満年度年収

3年課程卒看護師の固定給は29万8033円、夜勤月5回込み月収は35万9116円です。

年間の月例給与は、

35万9116円×12か月
=430万9392円

です。

固定給29万8033円へ賞与4.52か月を掛けると、約134万7000円。

夜勤と賞与を含む満年度年収は、約565万6000円です。

住居手当上限33万6000円を加えると約599万2000円。

さらに時間外勤務月10時間を加えると、約630万~636万円前後が比較目安となります。

4年制大学卒との差は年間数万円から10万円程度です。

大卒の方が基本給与、教育研究連携手当、夜勤手当、時間外単価、賞与で少しずつ高くなりますが、3年課程卒でも住宅手当と残業代を含めれば630万円前後へ達する可能性があります。

助産師の満年度年収

4年制大学卒助産師の固定給は30万5203円、夜勤月5回込み月収は36万6605円です。

年間の月例給与は約439万9000円。

固定給へ賞与4.52か月を掛けると約138万円となり、夜勤と賞与を含む満年度年収は約578万円です。

住宅手当上限を加えると約612万円。

時間外勤務月10時間まで含めれば、約643万~649万円前後が目安になります。

ただし、助産師免許を持っているだけで、すべての人が助産師給与になるわけではありません。

募集要項には、看護師免許と助産師免許の両方を所有していても、看護師として採用・配属された場合は看護師として固定給が支払われると明記されています。

助産師免許取得者が必ず産科へ配属され、最初から助産師業務だけを担当できるとは限りません。

新卒1年目の年収は満年度モデルより低くなる

東大病院の年収約640万円という試算は、1年間を通して夜勤月5回、住居手当、時間外勤務月10時間、賞与4.52か月が支給された場合の満年度モデルです。

新卒看護師は、4月からいきなり夜勤月5回へ入るわけではありません。

入職後は、日勤業務を通じて患者の状態把握、情報収集、報告、点滴・薬剤管理、医療機器、急変対応などを学びます。その後、先輩看護師と夜勤業務を経験し、安全に勤務できる段階へ達してから夜勤回数が増えていきます。

また、採用初年度の賞与は約2.9か月と募集要項に明記されています。満年度の4.52か月より約1.62か月少なくなります。

固定給30万2454円を基礎に単純計算すれば、賞与差は約49万円です。

さらに入職後しばらく夜勤が少なければ、夜勤手当も満額にはなりません。

したがって、入職後最初の12か月は、満年度モデルより数十万円低くなる可能性があります。

年収約640万円は、新卒1年目の確定年収ではなく、夜勤と賞与が通常化した後の比較用年収です。

東大病院の看護師寮は敷地内

東大病院には、病院敷地内にワンルームマンションタイプの看護職員宿舎があります。

全室個室で冷暖房を完備し、賃料は月額2万5000円、共益費は月額1万2000円程度です。合計すると月額約3万7000円になります。入居には一定の条件があり、賃料・共益費は変更される可能性があります。

年間の負担額は、

約3万7000円×12か月
=約44万4000円

です。

東大病院のある文京区本郷周辺で民間のワンルームを借りる場合と比べると、住居費を大きく抑えられる可能性があります。

寮利用と住居手当はどちらが得か

本人名義の一般賃貸へ住み、住居手当の上限2万8000円を受け取る場合は、額面年収が高くなります。

一方、寮へ入る場合は住居手当を受けられない可能性がありますが、家賃そのものを抑えられます。

たとえば一般賃貸の家賃が月10万円なら、年間家賃は120万円です。

住居手当33万6000円を受け取っても、実質負担は86万4000円になります。

寮費と共益費が年間約44万4000円なら、その差は約42万円です。

額面年収では住宅手当モデルが高く見えても、家賃を差し引いた後の可処分所得では、寮の方が有利になる可能性があります。

さらに病院敷地内であれば、夜勤前後の通勤時間を短縮できます。

高度急性期病院の交替勤務では、毎日の通勤時間も身体的負担に影響します。単純な年収だけでなく、住居費と通勤時間を含めて比較する必要があります。

年次有給休暇は初年度15日

東大病院の年次有給休暇は年間20日です。

ただし、4月から12月までの採用初年は15日。翌年へ20日を上限として繰り越すことができます。

このほか、

  • 夏季指定休暇

  • リフレッシュ休暇

  • 結婚休暇

  • 病気休暇

  • 忌引・法事休暇

などの特別休暇があります。

育児休業制度、育児時間短縮勤務制度、院内保育園、介護休業制度、介護時間短縮勤務制度も設けられています。

社会保険は文部科学省共済組合と雇用保険へ加入します。

退職手当は、勤続6か月以上の場合に支給されます。

東大病院はどのような病院か

東大病院は、診療、教育、研究の3つの役割を担う大学病院です。

採用パンフレットでは、病床数1226床、1日平均入院患者数約1000人、外来患者数約2800人、職員数約4000人、看護職員約1400人とされています。一般病棟の看護配置は7対1です。

指定・機能には、

  • 特定機能病院

  • 地域がん診療連携拠点病院

  • 救命救急センター

  • 小児医療センター

  • 総合周産期母子医療センター

  • 東京都災害拠点病院

  • 臨床研究中核病院

  • がんゲノム医療中核拠点病院

などがあります。

単に重症患者が多いだけではありません。

一般病院ではまだ標準化されていない治療、希少疾患、難治性疾患、複数の合併症を持つ患者、臨床研究へ参加する患者などを看護する機会があります。

東大病院の看護は「みて、触れて、考える」

東大病院看護部は、「みて、触れて、考える看護」と、患者の生命力を引き出す看護を掲げています。

ここでいう「みる」は、モニターや電子カルテの数字を見るだけではありません。

患者の表情、皮膚色、呼吸の仕方、動作、会話、睡眠、食事、排泄などを観察します。

「触れる」は、看護技術を行うことだけでなく、皮膚温、浮腫、脈拍、筋緊張、疼痛反応など、患者の身体から直接得られる情報を確認することです。

そして「考える」とは、収集した情報を病態生理、治療、薬剤、検査値、時間経過と結びつけ、患者に何が起きているのかを判断することです。

高度な医療機器や検査がそろう大学病院ほど、看護師が患者の身体へ直接触れなくても情報を得られるように見えます。

しかし、モニターの数値が保たれていても、患者の呼吸努力、末梢循環、意識状態、苦痛が悪化している場合があります。

高度医療を支える看護では、機器から得られる情報と、患者から直接得られる情報を統合する臨床判断が不可欠です。

看護提供方式は固定チーム担当看護師制・ペア制

東大病院の病棟では、固定チーム担当看護師制とペア制を採用しています。

固定チーム担当看護師制では、患者を継続的に担当し、入院から退院までの経過を踏まえて看護を行います。

一方、ペア制では、複数の看護師が互いに確認しながら業務を進めます。

新人看護師にとっては、先輩の観察方法、優先順位、報告内容、患者への説明を日々の実践から学べる点に意味があります。

ただし、ペアで働くから、自分で考えなくてもよいわけではありません。

患者の状態を自分なりにアセスメントしたうえで、先輩へ何を報告し、何を相談するかを整理する必要があります。

新人教育はエルダーとプリセプターが支援

採用パンフレットでは、入職1年目の前半はエルダー、後半はプリセプターが中心となり、知識と技術を支援すると説明されています。

職場や業務への適応を助けるため、年間を通した心理面のサポートも行われます。新人を特定の指導者だけに任せるのではなく、スタッフ全員で育成する体制が示されています。

新卒看護師が高度急性期病院でつまずく原因は、看護技術の未熟さだけではありません。

情報量の多い電子カルテ、複数の治療、検査、薬剤、重症患者、緊急入院へ同時に対応する必要があります。

そのため新人教育では、手技の習得に加え、

  • 何を最初に観察するか

  • どの変化を異常と判断するか

  • どの時点で先輩や医師へ報告するか

  • 複数患者の優先順位をどう決めるか

  • 実践後に何を振り返るか

を学ぶ必要があります。

東大病院で身につくアセスメント

東大病院では、単一疾患だけでなく、複数の病態や治療が重なる患者を看護します。

たとえば、がん手術後の患者が腎機能障害、糖尿病、心疾患も抱えている場合、手術部位だけを観察すればよいわけではありません。

輸液量、尿量、循環動態、血糖、感染、疼痛、呼吸状態、離床状況などを関連づける必要があります。

また、臨床研究や先進的治療を受ける患者では、一般的な教科書だけでは十分に理解できない治療が行われることもあります。

看護師には、治療の目的、予測される効果、有害事象、観察項目を自ら確認し、患者へ安全に看護を提供する姿勢が求められます。

周術期看護で必要な判断

東大病院では、年間約1万件の手術が行われています。

周術期看護では、単に術後のバイタルサインを測定するだけでは不十分です。

血圧低下があれば、出血、循環血液量不足、麻酔薬の影響、疼痛、感染、心機能低下などを考えます。

SpO₂低下があれば、無気肺、喀痰貯留、鎮静、肺水腫、肺塞栓、気胸などの可能性を検討します。

手術の術式、麻酔、出血量、ドレーン、輸液量、既往歴を確認し、現在の変化と結びつける必要があります。

がん看護で必要な判断

東大病院は地域がん診療連携拠点病院であり、がんゲノム医療中核拠点病院でもあります。

薬物療法を受ける患者では、使用薬剤と副作用の発現時期を理解しなければなりません。

発熱があれば感染だけでなく、骨髄抑制、薬剤反応、腫瘍による症状も考えます。

食欲不振についても、悪心、口腔粘膜障害、味覚変化、疼痛、消化管障害、精神的負担など、複数の原因があります。

治療を受ける身体だけでなく、仕事、家族、妊孕性、経済面、治療選択への迷いまで含めて患者を捉える必要があります。

救急・集中治療で必要な判断

東大病院は救命救急センターを備えています。

重症患者では、血圧やSpO₂が正常範囲にあるかだけで判断できません。

昇圧薬や高濃度酸素、人工呼吸器によって数値が維持されている場合、患者の状態は決して安定しているとは限りません。

どの治療を受けた結果として現在の数値が保たれているのか、治療への反応が改善傾向なのか、悪化傾向なのかを判断します。

呼吸、循環、意識、尿量、乳酸、末梢循環、皮膚所見などを時間経過で追う力が求められます。

周産期・小児看護で必要な判断

東大病院は総合周産期母子医療センターと小児医療センターの機能を持ち、年間約900件の分娩が行われています。

周産期では、母体と胎児・新生児を同時に捉える必要があります。

妊産婦の出血、血圧、疼痛、意識状態だけでなく、胎児心拍、新生児の呼吸・循環、授乳、体温、家族の心理状態まで看護対象となります。

小児では、年齢や発達段階によって正常バイタルサインや症状の表現が異なります。

言葉で症状を説明できない子どもでは、表情、啼泣、活気、哺乳量、遊び、睡眠、保護者からの情報を統合します。

東大病院に向いている看護学生

東大病院は、病院名やブランドだけで就職先を選びたい人に向いている病院ではありません。

先端医療を扱う環境では、学校を卒業した時点の知識だけで仕事を続けることはできません。

治療や医療機器が更新されるたびに、自ら学び直す必要があります。

東大病院看護部も、期待する看護職像として「学び続ける姿勢」「チャレンジする精神」「誇りと喜びを持って働く姿」を掲げています。

具体的には、次のような人に向いています。

  • 病態生理と看護を結びつけて考えたい人

  • 高度急性期や先端医療を学びたい人

  • がん、救急、移植、周産期、小児などの専門性を深めたい人

  • 患者のわずかな変化を根拠を持って判断したい人

  • 新しい治療や看護を継続的に学べる人

  • 将来、専門看護師、認定看護師、特定行為研修、大学院なども検討している人

  • 看護研究や教育に関心がある人

一方、受け身で研修へ参加すれば自然に成長できると考える人には厳しい環境になる可能性があります。

大学病院の教育体制が充実していても、自分で患者の情報を調べ、分からない点を確認し、実践を振り返る姿勢がなければ、知識は臨床判断へつながりません。

東大病院のスペシャリスト育成

東大病院は、看護師特定行為研修を院内で実施しています。

2026年度には2026年10月開講の研修募集が行われ、一定の条件を満たす場合は特定一般教育訓練給付金の対象となります。

東大病院のような特定機能病院では、専門看護師、認定看護師、特定行為研修修了者などが、高度な看護実践、教育、相談、組織横断的な活動に関わります。

ただし、新卒で入職した直後から資格取得を目指すのではなく、まず基礎的な看護実践能力を身につけることが重要です。

患者の状態を正確に観察し、根拠を持って報告し、安全に基本技術を実施できなければ、その先の専門性は成立しません。

東大病院の看護師は公務員なのか

東大病院の看護師は、国家公務員ではありません。

募集者は国立大学法人東京大学です。採用後は国立大学法人東京大学の職員となります。

国立大学が法人化される前は、国立大学病院の職員が国家公務員として扱われていた時代がありました。

現在もインターネット上には「東大病院の看護師は国家公務員」という古い説明が残っている場合がありますが、現在の身分とは異なります。

一方、文部科学省共済組合、退職手当、住居手当、扶養手当など、公的機関に近い制度が設けられています。

東大病院の口コミを見る際の注意点

東大病院の看護師給与を口コミサイトで調べる場合、投稿年度を必ず確認する必要があります。

今回の2027年度募集要項に掲載されている給与は2025年4月実績です。過去の投稿には、給与改定前の基本給、旧手当額、旧賞与月数が記載されている可能性があります。

また、実際の年収は、

  • 学歴

  • 看護師または助産師としての採用区分

  • 職務経験

  • 夜勤回数

  • 超過勤務時間

  • 住居手当

  • 扶養手当

  • 配属部署

  • 採用初年度か満年度か

によって変わります。

「東大病院の看護師は年収〇万円だった」という個人の口コミが、すべての新人看護師へそのまま当てはまるわけではありません。

特に、初年度は賞与が約2.9か月であり、満年度は約4.52か月です。この違いだけでも年間給与に大きな差が生じます。

東大病院の看護師年収はSSSかSSか

東大病院の2027年度募集要項では、4年制大学卒看護師の2025年4月実績は次のとおりです。

基本給与 25万3100円
教育研究連携手当 4万9354円
固定給 30万2454円
夜勤月5回分 6万1286円
月額合計 36万3740円
賞与 年間約4.52か月
住居手当 月額最大2万8000円
超過勤務手当 別途支給

固定給全額を賞与比較の基礎として試算すると、

  • 夜勤月5回・賞与込み:約573万円

  • 住宅手当込み:約607万円

  • 残業月10時間込み:約638万~645万円

となります。

病院が公表する夜勤月5回モデルを使う場合、東大病院は640万円前後のSSSランク候補です。

一方、他院との比較条件を夜勤月4回へ統一すると、約625万~629万円前後となり、610万円以上のSSランクに位置づけるのが慎重です。

ただし、公式給与は2025年4月実績であり、2026年度以降の俸給改定が反映されれば、夜勤月4回でも年収はさらに上がる可能性があります。

現時点で最も誠実な評価は、

東大病院の大卒看護師は、満年度で約625万~645万円前後。夜勤回数と賞与算定によってSS~SSSランクとなる

というものです。

東大病院は給与だけで選ぶ病院ではない

東大病院は、給与だけを見ても首都圏上位に入る可能性があります。

しかし、この病院の最大の特徴は、単に年収が高いことではありません。

  • 特定機能病院

  • 救命救急センター

  • 臨床研究中核病院

  • がんゲノム医療中核拠点病院

  • 総合周産期母子医療センター

  • 小児医療センター

  • 年間約1万件の手術

  • 年間約900件の分娩

  • 看護職員約1400名

  • 固定チーム担当看護師制・ペア制

  • 「みて、触れて、考える看護」

  • 特定行為研修を含む専門職育成

という環境があります。

東大病院で求められるのは、有名病院で働くことへの憧れだけではありません。

患者の身体へ直接向き合い、得られた情報を病態生理と結びつけ、治療の影響を予測し、必要な看護へつなげる力です。

モニター、検査、AI、医療機器が発達しても、患者の変化を最初に捉える看護師の観察と判断は代替できません。

東大病院は、高年収と高度医療の両方を求める人にとって有力な就職先ですが、入職後も学び続け、臨床推論を積み重ねる覚悟が必要な病院です。

東大病院はどのような病院か|説明会前に知っておきたい病院機能

東京大学医学部附属病院は、一般病床1147床、精神病床40床、保険外病床21床を有する国内最大級の大学病院です。特定機能病院、救命救急センター、総合周産期母子医療センター、小児救急医療拠点病院、東京都災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、臨床研究中核病院、がんゲノム医療中核拠点病院など、複数の高度医療機能を担っています。

「東大病院で働く」という言葉から、珍しい疾患や最先端治療だけを想像する人もいるでしょう。しかし、実際に看護師が向き合うのは、複数の疾患、手術、薬物療法、医療機器、生活上の問題が重なった患者です。

2025年度には、新入院患者2万9618人、延べ入院患者33万1714人、1日平均入院患者909人、延べ外来患者63万543人を受け入れました。救急患者は年間1万1993人で、このうち三次救急患者は656人です。総手術件数は1万2664件に達しています。

数字から分かるのは、単に病床数が多いだけではなく、入退院、外来、救急、手術が大規模に動いている病院だということです。

新人看護師には、病態を理解する力だけでなく、限られた時間で情報を整理し、複数患者の優先順位を決め、治療や検査の予定を安全につなぐ力が必要になります。

「珍しい症例が見られる病院」だけではない

東大病院では、難治性疾患、希少疾患、先進的治療、臨床研究の対象となる患者を看護する機会があります。

しかし、希少な疾患名を覚えること自体が看護の目的ではありません。

たとえば、患者が新しい薬物療法を受けている場合、看護師は薬剤名だけを覚えるのではなく、治療目的、予測される有害事象、発現時期、観察項目、患者が感じている不安まで理解する必要があります。

同じ治療を受ける患者でも、年齢、腎機能、肝機能、栄養状態、既往歴、生活背景によってリスクは異なります。

東大病院で求められるのは、「珍しい症例を経験した」という経歴ではなく、複雑な情報を整理し、その患者に必要な看護へ変換する力です。

年間1万2664件の手術を支える周術期看護

東大病院では2025年度に1万2664件の手術が行われました。稼働可能な手術室は24室、手術台は25台で、定時手術に加えて臨時・救急手術にも対応しています。手術支援ロボットは3台体制で運用され、ハイブリッド手術室も整備されています。2025年度には脳死臓器移植術が116件行われました。

この手術件数は、手術室看護師だけに関係する数字ではありません。

一般病棟では、手術前の全身状態、服薬、栄養、感染、皮膚状態を整え、術後には呼吸、循環、疼痛、出血、意識、排液、尿量、創部、離床状況を観察します。

ICUでは、人工呼吸器、循環作動薬、補助循環装置などを使用する患者を看護します。

外来では、手術前後の説明や継続支援が必要になります。

リハビリテーション、薬剤、栄養、退院支援など、多職種との連携も欠かせません。

東大病院の術後看護で必要になる視点

術後患者の血圧が低下した場合、出血だけを考えればよいわけではありません。

麻酔薬の影響、循環血液量不足、心機能低下、不整脈、感染、疼痛、体位など、複数の原因を検討します。

SpO₂が低下した場合も、無気肺、喀痰貯留、呼吸抑制、肺水腫、肺塞栓、気胸など、術式や術後経過によって考える病態が異なります。

東大病院では高度で長時間に及ぶ手術も行われるため、看護師には「異常値を見つける力」だけでなく、手術侵襲、麻酔、薬剤、輸液、既往歴を現在の患者状態へ結びつける臨床推論が求められます。

救命救急と集中治療で学ぶ全身管理

東大病院は救命救急センターとして、重症救急患者を受け入れています。2025年度の救急患者総数は1万1993人、三次救急患者は656人でした。

救急看護では、診断名が確定する前から患者の状態を捉えなければなりません。

意識障害で搬送された患者であれば、脳血管障害だけでなく、低血糖、低酸素、敗血症、薬物、けいれん、電解質異常なども考えます。

血圧低下であれば、出血、脱水、心原性ショック、感染性ショック、閉塞性ショックなどを区別するため、呼吸、脈拍、皮膚、意識、尿量、検査値、超音波所見などを統合します。

ICUでは、モニター数値を読むだけでは不十分です。

血圧が正常でも、昇圧薬によって保たれている場合があります。SpO₂が正常でも、高濃度酸素や人工呼吸器の支援を受けている場合があります。

現在の数値だけでなく、どの治療によって維持されているのか、治療への反応が改善方向か悪化方向かを見る必要があります。

東大病院のICUで働く先輩看護師も、モニター、呼吸、血圧などを同時に捉え、全身状態をアセスメントする必要があると説明しています。新人については、理解度や成長に応じて受け持ち患者数や内容を調整し、複数の先輩が支援する体制が示されています。

がん医療とがんゲノム医療を支える看護

東大病院は地域がん診療連携拠点病院であり、がんゲノム医療中核拠点病院でもあります。

がん看護では、手術、薬物療法、放射線治療などの有害事象を観察するだけでなく、患者の治療選択、仕事、家族、妊孕性、経済面、療養場所に関わる支援が必要です。

発熱があった場合も、一般的な感染症だけでなく、骨髄抑制、薬剤反応、腫瘍熱などを考えます。

食欲低下についても、悪心、口腔粘膜障害、味覚変化、便秘、疼痛、不安、抑うつなど、複数の原因があります。

高度ながん治療を行う病院ほど、治療の複雑さに目を奪われやすくなります。

しかし、看護師に必要なのは、治療だけを見ることではありません。患者が何を大切にし、治療を受けながらどのように生活したいのかを捉えることです。

総合周産期母子医療センターで助産師が経験する看護

東大病院は総合周産期母子医療センターとして、基礎疾患を持つ妊産婦、切迫早産、妊娠高血圧症候群、胎児疾患など、管理が難しい妊娠・出産へ対応しています。

公式の先輩助産師紹介では、帝王切開が4割弱、経腟分娩の半数以上が無痛分娩であると説明されています。産科では複数のパートに分かれ、1年目は3~4か月ごとに新しい領域を経験する教育が紹介されています。

助産師には正常な妊娠・分娩経過を理解したうえで、母体や胎児の異常を早期に察知する力が求められます。

血圧上昇、頭痛、上腹部痛、浮腫、出血、胎児心拍変化などを個別に見るのではなく、妊娠週数、既往歴、検査値、治療状況と結びつけます。

帝王切開後には、出血、疼痛、血栓、感染、授乳、離床を評価します。

無痛分娩では、麻酔による血圧低下、運動神経への影響、胎児心拍の変化、分娩進行などを継続して観察します。

また、母体の安全だけでなく、出生後の新生児、母子関係、家族の心理状態まで看護対象になります。

東大病院の助産師採用は、高度周産期医療を経験できる点が魅力である一方、正常分娩だけを数多く経験したい人とは志向が異なる可能性があります。

小児医療では「言葉にならない変化」を捉える

東大病院は小児救急医療拠点病院として、小児の高度医療にも対応しています。

小児看護では、成人と同じ方法で症状を確認できない場合があります。

乳幼児は、痛みや息苦しさを言葉で説明できません。

そのため、表情、啼泣、活気、哺乳量、呼吸状態、睡眠、遊び、保護者から得られる情報を組み合わせます。

同じ心拍数や呼吸数でも、年齢によって正常範囲が異なります。病状が悪化しても、血圧低下が遅れて現れる場合があります。

看護師は「泣いているから大丈夫」「眠っているだけ」と判断せず、普段との違いを家族から確認し、客観的な観察へつなげる必要があります。

東大病院の小児病棟では、1年目に学ぶ手技がリスト化され、自立した項目を段階的に確認する教育が紹介されています。2年目以降も、病棟内で継続して学べる環境があるとされています。

東大病院看護部の特徴|「みて、触れて、考える看護」

東大病院看護部は、患者の生命力を引き出す「みて、触れて、考える看護」を掲げています。

看護部の理念は、患者に最適な看護を提供すること、優れた専門職業人を育成すること、医学と看護の発展を目指すことです。また、学び続ける姿勢、チャレンジする精神、誇りと喜びを持って働く姿を基本姿勢として示しています。

「みて、触れて、考える」という言葉は、大学病院の看護を理解するうえで非常に重要です。

大学病院には、モニター、検査、電子カルテ、画像診断、人工呼吸器など、患者の状態を確認する手段が数多くあります。

しかし、数値が正常でも患者が苦痛を抱えていることがあります。

皮膚色、発汗、呼吸努力、表情、会話、触れたときの冷感、浮腫、筋緊張、脈拍など、患者の身体から直接得られる情報があります。

看護師は、機器から得たデータと、自分の目、耳、手を通して得た情報を統合しなければなりません。

「違和感」を臨床判断へ変える

看護師が患者を観察していると、「昨日と少し違う」「何となく反応が鈍い」と感じることがあります。

その感覚を放置するのではなく、

  • どの所見が変わったのか

  • いつから変化したのか

  • バイタルサインや検査値と一致するか

  • 治療や薬剤の影響はないか

  • すぐに報告すべき状態か

まで言語化する必要があります。

東大病院の看護部サイトでも、患者との関わりを紹介する企画の中で、「違和感を大切に」というテーマが掲載されています。

「みて、触れて、考える看護」とは、優しく観察するだけではなく、得られた情報を臨床判断へつなげる看護だと考えられます。

固定チーム担当看護師制の意味

東大病院の病棟では、固定チーム担当看護師制を採用しています。

固定チーム制では、一定期間、同じチームが患者群を担当します。

担当看護師は、患者の入院経過、治療、生活背景、退院支援を継続的に把握します。

この方式の利点は、毎日異なる患者を作業的に担当するのではなく、治療経過を追いながら看護を修正できる点にあります。

たとえば、術後患者の離床が進まない場合、疼痛だけでなく、不安、筋力低下、呼吸状態、睡眠、栄養状態などを継続して評価できます。

一方、固定チーム制では、チーム内の情報共有が不十分だと看護の継続性が失われます。

新人看護師にも、自分が得た情報を申し送りや記録で正確に共有する力が求められます。

東大式新人受け入れ体制|エルダーとプリセプターの役割

東大病院の新人教育では、プリセプターとエルダーを中心に、病棟スタッフ、看護師長、主任・副看護師長、教育委員、専任教育担当者、看護部管理室が連携して新人を支援します。

先輩看護師の紹介では、エルダーは病棟で必要な知識や業務の習得を支え、プリセプターは心理面や日常的な相談を支える存在として説明されています。

一人の先輩だけに新人教育を任せるのではなく、複数の立場から支援する仕組みです。

ただし、指導者が複数いるほど、教え方や考え方の違いに戸惑う可能性もあります。

新人は、指導内容が異なるときに黙って混乱するのではなく、病棟の標準手順や患者の状態を確認し、必要に応じて教育担当者へ相談することが重要です。

最初の半年は先輩とペアで業務を行う

公式の先輩看護師紹介では、最初の半年は基本的にプリセプターやエルダーとペアになり、情報収集、朝の申し送り、受け持ち業務を学んだという経験が紹介されています。

振り返りノートを用いて、できたこと、新しく学んだこと、今後の課題を確認し、先輩から助言を受ける仕組みも示されています。

新人教育で重要なのは、手技の実施回数だけではありません。

同じ採血や点滴でも、患者の病態、凝固機能、血管状態、薬剤によって注意点は変わります。

「一度実施したから自立」ではなく、異なる患者へ安全に応用できるかが問われます。

1年目の秋に求められる自立

先輩看護師の体験談では、1年目の秋頃から、より自立した看護を求められ、責任を強く感じるようになったと紹介されています。

入職直後は、先輩と一緒に一つずつ確認できます。

しかし、半年を過ぎる頃には、受け持ち患者数が増え、自分で優先順位を決める場面が増えます。

この時期に新人が感じやすいのは、「技術はできるようになったが、複数患者を回せない」という壁です。

必要になるのは、処置を速く行うことだけではありません。

患者の重症度、時間指定の治療、検査、転倒リスク、急変可能性を整理し、予定を組み替える力です。

キャリアラダーは4段階

東大病院看護部は、レベルⅠからレベルⅣまでのキャリアラダーを活用しています。

レベルⅠは指導を受けながら看護実践を行う新人、レベルⅡは一人前として看護実践を行える段階、レベルⅢは優れた実践に加えて組織的役割を担う中堅、レベルⅣは卓越した看護実践と広範な組織的役割を担う段階です。

ラダー制度には、成長段階を確認しやすい利点があります。

一方で、研修を受ければ自動的に能力が上がるわけではありません。

実際の患者へ看護を行い、評価を受け、振り返り、次の実践へつなげる必要があります。

東大病院のように症例が複雑な病院では、知識を覚えるだけでなく、未知の状況でも学びながら対応する力が求められます。

2026年度新採用者研修の内容

2026年度の新採用者は、東京大学安田講堂で合同入職式を行った後、看護部オリエンテーションへ参加しました。

続いて、社会人としての基本姿勢、感染対策、安全対策、診療端末研修、院内見学、シャドーイング研修などが行われています。

シャドーイング研修では、先輩看護師の後について、業務の流れや患者への関わりを観察します。

ここで見るべきなのは、処置の手順だけではありません。

先輩がいつ患者へ声をかけ、どの情報を優先し、どのタイミングで医師へ報告し、予定外の出来事へどう対応しているかです。

新人研修は技術講習だけではなく、病院内で安全に働くための思考と行動を学ぶ期間と考える必要があります。

認定看護師は33名|スペシャリスト育成

東大病院では、2025年9月時点で33名の認定看護師が活動しています。認定看護師は、それぞれの専門領域で実践、指導、相談を担います。

東大病院では、認定看護師、専門看護師、特定行為研修修了者など、専門性を持つ看護師と関わる機会があります。

新人にとってスペシャリストの存在は、将来の資格取得だけを意味するものではありません。

一般病棟で褥瘡、感染、呼吸管理、疼痛、せん妄、栄養などに困った際、専門的な助言を得られる環境でもあります。

一方で、専門資格は入職すれば自動的に取得できるものではありません。

まずは基礎的な看護実践能力を身につけ、自分がどの領域で何を深めたいのかを明確にする必要があります。

公式には、ICU、神経内科・呼吸器内科病棟、手術部での勤務を経て、呼吸器疾患看護認定看護師と特定行為研修修了へ進んだ看護師のキャリアが紹介されています。

東大病院の説明会・見学会の特徴

東大病院は、オンライン病院説明会と対面の病院見学会を分けて実施しています。

2028年度採用向けには、オンライン説明会が2026年7月25日と8月9日、対面見学会が7月29日、8月10日に予定されています。10月には経験者向け見学会も設定されています。

東大病院では、一般的な病棟実習型のインターンシップは実施していません。公式Q&Aでは、代わりに先輩看護師との交流会と院内見学会を実施し、看護師との交流や病棟見学ができると説明されています。

したがって、「インターンシップへ参加して看護師と一日行動する」という形式ではありません。

説明会では病院と看護部の全体像を理解し、対面見学会では職場環境、病棟の動き、看護師同士の関わりを確認することになります。

冬季オンライン説明会は領域別

2027年度採用向けのオンライン説明会では、2026年1月24日の回に北海道から沖縄まで150名以上が参加しました。

冬季オンライン説明会は領域別に行われ、各領域の先輩看護師とオンラインで話せる形式でした。

この形式は、単なる病院概要説明より価値があります。

自分が関心を持つ救急、ICU、がん、小児、周産期などの看護師から、部署の患者像、教育、勤務の実際を聞ける可能性があるからです。

一方、150名以上が参加する説明会では、一人が質問できる時間に限りがあります。

公式サイトを読めば分かる給与、病床数、理念を当日初めて知るのではなく、公開情報では分からない点を事前に整理しておく必要があります。

採用情報は夏から動き始める

2028年度採用向けでは、2026年6月に7月・8月開催のオンライン説明会と対面見学会の募集が始まっています。

つまり、採用試験直前の冬や春から病院研究を始めるのでは遅い可能性があります。

大学3年生や専門学校2年生の夏から、採用ページ、LINE公式アカウント、説明会情報を確認しておくと、早期のイベントを逃しにくくなります。看護部は採用情報やイベントを配信するLINE公式アカウントも運用しています。

東大病院の見学会で見るべきポイント

東大病院の見学会では、建物の大きさや有名病院としての雰囲気だけを見ても十分ではありません。

見るべきなのは、実際の看護がどのように行われているかです。

看護師が患者のそばで何を見ているか

モニターや電子カルテだけを確認しているのか、患者へ触れ、表情、呼吸、動作まで観察しているのかを見ます。

これは「みて、触れて、考える看護」が現場でどのように実践されているかを知る手がかりになります。

チーム内でどのように情報共有しているか

看護師同士が短時間でも患者情報を確認しているか、相談しやすい雰囲気があるか、リーダーへ報告する場面があるかを観察します。

固定チーム担当看護師制では、情報共有が看護の継続性へ直結します。

新人が質問している場面

新人が先輩へ質問したとき、忙しい中でも立ち止まって確認しているか、相談することを否定されない雰囲気かを見る価値があります。

ただし、一回の見学で人間関係全体を断定することはできません。

あくまでも、その日の一場面として見る必要があります。

病棟の患者像

救急、外科、内科、小児、周産期では、患者の年齢、重症度、入退院数、看護技術が異なります。

病棟名だけでなく、「どのような患者を多く受け持つのか」を確認すると、入職後の学習内容を想像しやすくなります。

説明会で確認したい15項目

1.配属希望は第何希望まで出せるか

希望部署をどの段階で提出し、どの程度考慮されるのかを確認します。

2.内定後に配属面談があるか

採用試験時の希望だけで決まるのか、入職前に改めて確認する機会があるのかで準備が変わります。

3.新人の夜勤開始時期

開始月だけでなく、見習い夜勤の回数、独り立ちの評価方法を確認します。

4.夜勤月5回はどの程度一般的か

公式給与モデルは夜勤月5回です。部署によって標準回数が異なるのかを確認すると、年収と身体的負担を具体的に考えられます。

5.新人の受け持ち患者数の増え方

入職後何か月で何人程度を受け持つのか、重症患者の受け持ちはどのように始まるのかを確認します。

6.エルダーとプリセプターの役割

公式制度だけでなく、実際にどのくらい同じ勤務となり、相談時間を確保できるのかを確認します。

7.前残業と時間外勤務の申請方法

情報収集や記録のために勤務時間外となった場合、どのように申請するのかは重要です。

8.看護提供方式の部署差

固定チーム担当看護師制を基本としながら、ペアで行動する時間や、部署独自の運用があるかを確認します。

9.希望休の申請日数

月に何日まで希望を出せるのか、連休の取得方法も確認します。

10.宿舎へ入れる条件

入居可能な年数、希望者が多い場合の選考、設備、退去条件を確認します。

11.住宅手当と宿舎の選択

宿舎利用者は住居手当の対象外となるのか、民間賃貸を利用する場合の手続きを確認します。

12.認定看護師・大学院進学支援

勤続年数、推薦、研修中の給与、学費補助、復職後の役割まで確認すると、制度を現実的に理解できます。

13.部署異動の時期

何年目から異動希望を出せるのか、専門領域を深める場合と、複数領域を経験する場合の違いを確認します。

14.助産師の配属範囲

助産師免許取得者が必ず産科へ配属されるとは限らないため、助産師採用区分と配属の考え方を確認します。

15.常勤職員と任期付き常勤職員の違い

給与や教育は同じとされていますが、任期、次年度採用試験、配属の扱いを確認しておく必要があります。

東大病院の看護師口コミ・評判を10の論点から検証

東大病院には、ナスコミ、メディコ、Indeedなどに看護師口コミが掲載されています。

ナスコミでは教育、給与、福利厚生、残業、人間関係、施設、子育てなど幅広い投稿があり、メディコでも看護師、助産師を含む複数職種の口コミが確認できます。Indeedの看護職口コミでは、学びの機会を評価する意見がある一方、勤務時間や上司との関係などへの厳しい評価もあります。

ただし、口コミは投稿年度、病棟、管理者、経験年数によって内容が大きく異なります。

ここでは、一つの投稿を事実として断定するのではなく、就職前に確認したい10の論点として整理します。

口コミ1|教育体制は充実しているという意見が多い

ナスコミ、メディコ、Indeedでは、プリセプター、OJT、キャリアラダー、集合研修など、教育機会を評価する投稿が確認できます。

これは、東大式新人受け入れ体制、キャリアラダー、エルダー・プリセプター制度を公表している公式情報と整合します。

ただし、「教育が充実している」と「学習負担が軽い」は同じではありません。

口コミには、研修や課題が多く大変だったという意見もあります。一方、2024年頃の投稿では、研修のハイブリッド化や時間外課題の減少を評価する声も見られます。

教育制度は改善される可能性があるため、古い口コミだけで現在の研修負担を判断しない方がよいでしょう。

口コミ2|高度な症例を経験できる

大学病院として多様な症例を経験でき、専門的な知識を学べるという意見があります。Indeedでも学びの機会が評価され、専門知識が必要だが看護師として仕事へ集中できるという趣旨の投稿があります。

公式情報でも、特定機能病院、救命救急センター、がんゲノム医療中核拠点病院、総合周産期母子医療センターなどの機能が確認できます。

ただし、症例が多ければ自動的に能力が上がるわけではありません。

患者の病態と看護を結びつけて振り返らなければ、「忙しい症例をこなした」だけで終わる可能性があります。

口コミ3|残業時間は部署によって大きく異なる

メディコでは、日勤で1~2時間程度の残業があったという投稿や、毎回一定時間の残業が発生したという投稿があります。一方、ナスコミには残業申請を行えば支給されたという意見と、十分に申請できなかったという相反する意見があります。

これは、病棟、年度、管理者、業務量によって運用が異なる可能性を示します。

東大病院全体を一括して「残業代が出る」「出ない」と断定することはできません。

説明会では、平均残業時間よりも、残業の申請方法、前残業の扱い、部署別の退勤状況を確認する方が具体的です。

口コミ4|給与水準は比較的高いという意見がある

ナスコミやメディコでは、大学病院の中でも給与が良い、夜勤を行うと月給が上がるという趣旨の投稿があります。

公式の2027年度募集要項でも、大卒看護師の夜勤月5回込み月収は36万3740円とされ、住居手当や超過勤務手当は別途支給されます。

一方、Indeedの看護職評価では、給与・福利厚生の評価は突出して高いわけではありません。

額面給与が高くても、業務量や残業とのバランスをどう感じるかは個人差があります。

口コミ5|人間関係は病棟による

ナスコミ、メディコ、Indeedでは、人間関係が良かったという意見と、管理者や一部スタッフとの関係に苦労したという意見の両方があります。

1000人を超える看護職員が働く大規模病院では、すべての病棟に同じ雰囲気があるわけではありません。

異動や人事によっても変わります。

見学時に一つの病棟を見て「東大病院全体の人間関係は良い」と判断することも、一件の口コミで「病院全体が悪い」と判断することも適切ではありません。

口コミ6|施設や医療機器は充実している

メディコやナスコミでは、医療機器、物品、建物などを評価する投稿があります。新しい病棟は開放的で使いやすい一方、古い棟との差を指摘する意見もあります。

東大病院には複数の建物があり、すべての部署が同じ設備環境ではありません。

また、医療機器が充実していることは、働きやすさだけでなく、覚える機器や安全管理項目が多いことも意味します。

口コミ7|希望休や連休は部署差がある

メディコには、希望休を出しやすかった、夏季の連休を取得できたという意見がある一方、勤務表の発表が遅く予定を立てにくかったという投稿もあります。

希望休の通りやすさは、病棟人数、休職者、研修、手術予定などによって変わります。

説明会では、「休みを取れますか」と聞くだけではなく、希望休の日数、勤務表の確定時期、連休取得の運用を確認した方が実態へ近づきます。

口コミ8|産休・育休後に復帰する看護師がいる

メディコには、産休・育休制度を利用し、時短勤務で復帰したという投稿があります。復帰時のオリエンテーションや勤務時間の希望を評価する声も確認できます。

一方、ナスコミには、時短勤務でも業務負担を感じたという意見があります。

制度があることと、配属先で無理なく利用できることは別です。

将来の子育てとの両立を重視する場合は、時短利用者の配属、夜勤免除、急な休みへの対応を確認する必要があります。

口コミ9|宿舎や福利厚生を評価する声がある

ナスコミでは、ワンルーム宿舎、院内保育、福利厚生サービスなどを評価する投稿があります。

公式の先輩看護師紹介でも、福利厚生を利用して後楽園の施設へ行ったことや、東京大学構内の運動施設を利用した経験が紹介されています。

宿舎は家賃を抑えられる可能性がありますが、入居条件、築年数、部屋の位置、入居年限は確認が必要です。

口コミ10|忙しいが成長したい人には合う

口コミ全体では、忙しさや自己研鑽の負担を指摘する意見がある一方、多くの症例や教育機会を通じて成長できるという評価があります。

これは東大病院の特徴をよく表しています。

教育制度が充実しているから楽に働ける病院ではありません。

複雑な患者、治療、検査を理解するため、継続的な学習が必要です。

「有名病院で働きたい」という理由だけではなく、何を学び、どのような看護師になりたいのかが明確な人ほど、環境を活用しやすいでしょう。

口コミを読む際に必ず分けるべき三つの情報

東大病院の口コミは、次の三つに分けて読む必要があります。

公式情報と一致する内容

教育制度、プリセプター・エルダー、キャリアラダー、宿舎、福利厚生、専門医療などです。

部署によって変わる内容

残業、希望休、人間関係、夜勤の忙しさ、指導方法、時短勤務の負担などです。

投稿年度によって変わる内容

給与、研修課題、残業申請、建物、勤務体制などです。

2010年代前半の投稿と、2024年・2025年の投稿を同じ現在情報として扱うことはできません。

口コミは病院を断定的に評価するためではなく、説明会や見学会で確認する論点を見つけるために使うのが適切です。

東大病院に向いている看護学生・助産学生

東大病院は、次のような人に向いています。

高度急性期医療を学びたい人、病態生理と看護を結びつけたい人、救急・集中治療・がん・移植・周産期・小児などの専門性に関心がある人です。

また、新しい治療や医療機器について、自分で調べ続けられる人にも向いています。

分からないことをそのままにせず、患者の状態を先輩へ相談し、自分の考えを言語化する姿勢が必要です。

一方、次のような人は慎重に考える必要があります。

有名病院の経歴だけを求める人、研修へ参加すれば自動的に成長できると考える人、業務後の振り返りや学習を避けたい人です。

教育が充実している病院ほど、学ぶ内容も多くなります。

症例が複雑であるため、新人が最初からすべて理解できないのは当然です。

重要なのは、分からないことを認め、患者の安全を優先して相談できることです。

東大病院の記事は説明会前の完全予習として使える

東大病院を志望する場合、給与や病院名だけを見て応募を決めるのは十分ではありません。

事前に理解しておきたいのは、1200床規模の特定機能病院であり、年間1万2000件を超える手術、救命救急、がんゲノム医療、高度周産期、小児、移植などを担う病院だということです。

看護部は「みて、触れて、考える看護」を掲げ、固定チーム担当看護師制、キャリアラダー、プリセプター、エルダーによる新人教育を行っています。

説明会と見学会では、病院の規模に圧倒されるのではなく、自分が関心を持つ領域、受けたい教育、夜勤、配属、残業、宿舎、将来のキャリアを具体的に確認する必要があります。

口コミからは、教育、症例、設備、給与を評価する声がある一方、残業、人間関係、休暇、指導方法には部署差があることが分かります。

この記事を読んでから説明会へ参加すれば、「東大病院は有名だから受けたい」という段階を越え、自分がどの領域で何を学び、どのような看護を実践したいのかまで考えたうえで病院研究を進められます。


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